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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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日常と警戒心 2

 ダンジョンの入口が出現してから数日が経った。

 特に何も大きな事件は起きておらず、通行止めも順調に解除されて行っている。

 ダンジョンの中も探索が終わって元々あった地図との照らし合わせも済んだそうで、もうほとんど日常に戻ってきている感じだ。


 地面が陥没したところなんかはまだ直しきれていないっぽいけど、それでもまあ、ここまで来ると警戒心も薄れてぼんやりしてしまうのも仕方ないことだ。うんうん。

 それだけ平和ってことだよね。そして平和はいい事だ。

 気を付けろ、と言われているからまだ一応気にしているけれど、何も言われていなかったらとっくに警戒も何もやめているだろうし、むしろまだ気にしてて偉いのでは。


「……さて、そろそろ閉店だな」


 考えながら時計に目をやり、時間を確認して軽く閉店作業を始める。

 たまに駆け込みで何か買いに来る人とかも居るからまだ完全に閉めたりはしないけど、人もいないしカウンター周りくらいは片付けてしまっていいかな、と。

 一人だからね、なるべく早くやっちゃいたいんだよね。


 そんなわけで鼻歌交じりに閉店作業を始め、特に人も来ず閉店時間になったので店を閉めて閉店作業を終わらせた。

 エプロンを外しつつ夕飯はどうしようかなぁとのんびり考え、そもそも何があったかなぁと食材に思いを馳せる。

 朝ごはんの時に何かが無くなったなぁと思った記憶がないので、多分大体のものはあるだろう。


「適当にパスタでも茹でるかな~。ねー、シュッツ。何してんのお前」


 ノリノリで呟きながら裏口を開けると、予想通りそこにはシュッツが立っていた。

 気付かれるとは思っていなかったようで何やら目を逸らしているけれど、本当に何してんだお前。

 あまりにも不審者なその姿に思わずドン引きしちゃったじゃん。


「えー……っと……お疲れ、エスティ」

「何してんのお前」

「……えっと……夕方に大き目の魔力の乱れがあったから、体調崩したりしてないかなーって……余計なお世話かもしれないんだけど、確認はしないとな、って……」

「ああ、あったねぇそういえば。大丈夫だったよ。というかしっかり理由あるなら変にソワソワしないでよ」

「ごめんなさい……」


 結局改善はされない態度に、そんなに私が怖いかと言えば別に怖くはないと返された。

 それはそれでなんかちょっとむかつくな。

 意味はないけど一発殴っておこう。どうせ私よりシュッツの方が物理的には強いから、この程度は問題ないだろう。


「用事それだけ?」

「とりあえずは」

「ん。じゃあ私はご飯食べるから」

「はーい、おやすみエスティ」

「おやすみー気を付けて帰れよー」


 扉に鍵をかけて、今度こそ二階に上がる。

 シュッツが心配性なのはいつもの事なんだけど、イヴィさんに気を付けろと言われていたこともあって今回の件は妙に気になる。

 気にはなるけどすることも出来ることも無いので、早く全部終わってくれないと無意味にソワソワしちゃうよ。


「……あ、パンがもう無くなるなぁ。明日買いに行かないと」


 一度気にすると魔力はずーっと気になるので、わざわざ声を出して意識を夕飯に持っていく。

 明日の朝の分までくらいはあるけど、明日の夜の分は無さそうだな。

 店を閉めた後に買いに行くとして、他に何か必要なものが無いか確認しておいた方がよさそうだ。


 調味料系も確認した方がいいよなぁと思いつつ、野菜やら肉やらをざっくり切って適当に煮て味を調える。

 自分の分だけだしこんなんでいいのだ。アムとか来てるならもうちょっとちゃんとやるけど、一人ならそれなりに美味しく食べれればそれでいい。

 そして一人なのをいい事にパンをスープに浸して食べてしまう。お行儀とかしらねぇ~~。


 さて、これで野菜もちょっと買ってこないと行けなくなったわけだし、買い物リストとか作っておかないとね。

 なくても大丈夫だろうと思ってメモせずに買い物に行って、帰ってきてから買い忘れに気付いた時の虚無感はすさまじいからなぁ……

 もう一回買い物に行くの面倒だしもういいや……ってなる。


「えーっと、パンと~、玉ねぎと~、塩も買わないと、卵も無い、胡椒はまだある、魚が食べたい」


 明日の夕飯は魚かな。いいのが残ってるといいけど。

 買い物に行くのが店を閉めた後だと、どうしても残っていないことがあるからね。こればっかりは運だから星に願うしかない。

 私の魚食べたい、という小さな欲求のためにシュッツに買い物に行かせるのもどうかと思うしなぁ。


「他は……ないか?ないな?よし」


 食材と調味料の在庫を確かめて、作り終わった買い物リストを財布の中に入れておく。

 これでよし。あとは皿を洗ってシャワーを浴びて寝るだけだ。

 そんなわけでさっくり洗い物を終わらせ、着替えを持って一階に降りる。


 シャワーを浴びて二階に戻ってくると、窓からは満点の星空が見えた。

 ……まあ、実家のあたりに比べればこのあたりは明るいから星の数も少ないけれど、それでも見ていて楽しいくらいの星は並んでいる。

 これなら明日も晴れそうだぁ、とご機嫌に鼻歌なんかを歌いながら髪を乾かして、夜更かしはせずにさっさと眠りについた。

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