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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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日常と警戒心

 それなりにお客さんの居る昼前の店内で、数組の会計をせっせと処理して去って行く後姿を見送る。

 今日は良い感じに忙しく、ちょうど会計のために並んでいた人が途切れたところでパン屋のスクレ君が現れた。

 いまならさっさと昼食を確保するくらいは出来るので、今日はお昼ご飯を食べ損ねて悲しくなることはなさそうだ。良かった良かった。


「こんにちはエスティ。今日は忙しそうだね」

「おかげさまでね。さて、今日は何ですか?」

「今日は厚切りベーコンとポテトとチーズのサンドイッチです」

「美味しそう。お菓子は?」

「エンガーディナー」

「いいねぇ」


 はーい、どっちもひとつで。いくらになります?四百六十コルメ、はい、じゃあこれでピッタリかな。

 なんてやり取りをして、去って行くスクレ君を見送る。

 受け取ったサンドイッチたちはとりあえずカウンターの内側、お客さんからは見えない位置に入れておいて、とりあえず客足が途切れるのを待つことにした。


 お昼ご飯のピークが来れば流石に人も減るし、なんなら一時的に店を閉めてお昼を食べてしまうことも出来る。

 本当に忙しい時は店を閉める隙すら無いから、今日はこれでも程よいくらいなのだ。

 そういう時はそもそもお昼ご飯買えないしね。買えた日は大体食べれる。


 なんて思いつつ会計やなんやかんやをこなしていたら、ちょうどいい感じに客が途切れて店内には私一人の状況になった。

 これ幸いとサンドイッチの包みを開け、少しずつ食べる。

 毎回これで口いっぱいに頬張ったところで人が来るからね、私だっていい加減学ぶのだよ。


 まぁ、今日はデザートのエンガーディナー食べ終わるまで誰も来なかったんだけどね。

 気を遣ったらこれだよ。これで気を抜いたら人が来るんだろう。知ってるんだぞ!

 ……うん、とりあえず、包みを捨てて手を拭こうね。


「ふぁ……あぁ……暇になると一気に暇だなぁ」


 もしかしたらこのまま午後はずっと暇だったりするかな?

 それならそれで今月の書類仕事が終わってないからそれを進めるんだけど……いけるかな、取ってこようかな。


「よっし、やるか!」


 やらないといけないけど別にやりたいわけではない、という非常に厄介な仕事のために気合を入れて椅子から立ち上がる。

 そうしたら、その直後にカランコロンと扉の鈴が鳴った。

 あ、はい。これは書類系はまた後になる感じですね。うん。


「いらっしゃいませー」

「やっほーエスティアちゃん」

「あらグレンさん。こんにちはー。何かお探しです?」

「えーっとね、実は俺もよく分かってなくて……」


 困ったように頬を掻きつつ、グレンさんはそんなことを言う。

 珍しいですねぇ~。よく分からない物ってことはグレンさん個人の買い物ではないんだろうけど、中位騎士がお使いをしているのは普通に流してしまっていいんだろうか。

 そういうのって見習いとか下位騎士がやるもんじゃないの?違うの?まあ、別にいいんだけどさ。


「あー……はいはいはい、なるほど。なんでこれグレンさんが頼まれたんです?」

「さぁ?俺はアンシークに行けば分かるって言われただけなんだよね」

「中位騎士って実は扱い悪いんですか?大丈夫です?」

「あはは。そんなことないよ。大丈夫」


 明らかに管轄外の物だと思うのだけれど、本人が気にしていないのならまあいいのかな。

 私がとやかく言うことでもないか、という事で、紙に書かれたご注文の品を取りに行く。

 絶対に在庫はあるけれど頼まれるのは年に一回二回くらいなので、どこに置いたかちょっとだけ記憶が曖昧だ。


 基本的に同じようなものを同じような位置に置いているはずなので、多分ここら辺のどこかにはあるはず。

 先代の置き方を真似したっていうか、店を継ぐ前にそれで慣れっちゃったから同じように置いているので、こういう昔からアンシークで取り扱ってるものはずーっと同じ位置にあるはずなんだけど……


「あり?なんで?どこにずらしたんだ?」


 梯子をかけて棚の上を覗いても、いつもの場所には別の箱が置いてある。

 箱の中身は見覚えのある物だったので、これを置くためにどこかにずらしたのだろうとあたりを付け、自分がやりそうな行動を辿ってみることにした。

 あれを置くのに場所がない、とりあえずこれをずらそう、これどこにおくかな。あ、あそこ空いてーら、よっこらしょ。


「ビンゴ。みーっけた」


 我ながら完璧な再現だったようだ。目的の物を見つけて、それを抱えて店の方に戻るとグレンさんはちょっと驚いた顔をした。

 どうしたんです?思ったより大きかったですか?

 ですよねぇ、グレンさんなら片手で持てそうだけど、私は両手じゃないと持てないサイズ感なわけだし。何も知らないでとりあえず行ってこいって言われたっぽいし小物系だと思うよねぇ。


「よいせ。確認は……出来ないんですもんね」

「そうだね。……これ何に使う物?」

「探知機のパーツです。この部分は消耗品なので、これだけアンシークに置いてあるんですよ」

「へぇー……なるほどね」


 ちなみに渡されたメモには細かい指定などが書かれてはいたが、アンシークに置いてあるのはこれ一種類なので指定して買いに行かせたならこれ以外ありえない。

 そんなわけで代金を貰い、箱を小脇に抱えて去って行くグレンさんを見送る。

 片手で持てると楽そうでいいなぁ~なんて考えながら、売れたから仕入れないと、とメモして次の仕入れリストに突っ込んだ。

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