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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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慌ただしい日

 いつも通り店を開け、いつも通り接客をして、ちょうど昼時に暇になったのでサンドイッチを頬張っていたら突然外から爆音が響いて来た。

 なに、なに!?びっくりしてサンドイッチが喉に詰まりかけたんだけど!?

 店の外に見える人たちも状況が飲み込めなくて戸惑っている感じだ。


 とりあえずサンドイッチの残りを食べきって店の外に出てみると、遠くで土煙が上がっているのが微かに見えた。

 建物の影に隠れてすぐに見えなくなったけど、国の中で、そんなに離れていないところで何かがあったようだ。

 家でも倒壊したのかな……派手な音とちょっとの振動は普通にびっくりするのでやめて貰いたいんだけど……


「エスティ」

「あ、ニレさん。今のなんですかね」

「何かしらね……はあ、今から出勤なのに……」

「お疲れ様です。なんにもないと良いですね~」


 通りがかりのニレさんとそんな話をして、煙の上がっていた方を眺めてから店の中に戻る。

 気にはなるけど、状況も分からないのに店を放置は出来ないからね。

 そのうちシュッツあたりが情報纏めて持ってきてくれるだろうし、私が危ないような状態ならまず真っ先に来るから今は安全ってことだ。


「……なーんだろ。魔力がぐっちゃぐちゃだ」


 とはいえ気にはなるので店の中から周りを探ってみたら、国内の魔力がやたらめったら乱れていた。

 無秩序もいいところ。普段結構綺麗に整っている土地だから違和感が凄い。

 建物の倒壊とかじゃないのか……とはいえ、人が魔法を使った程度ではこんなに乱れたりもしないはずだから余計に意味が分からない。


「うえぇ……酔った……」


 乱れすぎててちょっと覗いただけで気持ち悪くなるレベルだ。

 水飲も……はぁ~……やっぱ水がうめぇんだよなぁ……

 それにしてもなにが起こったんだか。あんなに乱れた魔力を視たのは実家に居た時以来だなぁ。


 視たら酔うので見ないようにしながらちびちび水を飲み、徐々に落ち着きを取り戻していく大通りの様子を眺める。

 おや、見慣れた中位騎士の姿が。今日も二人一緒にお仕事中らしい。

 本当に仲が良いんだなぁなんて思って笑っていたら、二人はどんどんこっちに歩いてくる。


 あ、もしかして目的地アンシークです?珍しく走ってるし急ぎの用事みたいだ。

 気付いたので鈴の音に先んじてコップを置き、姿勢を正して営業スマイルを顔に張り付ける。

 こんな状況だけど営業スマイルは完璧だぜ、なんて自画自賛したところで扉が開いて鈴がカランコロンと音を鳴らした。


「いらっしゃいませ」

「やっほうエスティアちゃん」

「いきなりですまないが、通行規制用のロープはあるか?」

「ありますよー、少々お待ちを」


 あるんだー……と小声で漏らしたグレンさんは無いと思いつつ来たってことです?

 まあ、私だってなんであるんだろうなぁと思いはするけども。こういう事があるから、なぜかずっと在庫置いてあるんだろうなぁ。

 考えながら裏に向かい、まとめて入れてある箱ごと店に持っていく。


「どのくらいご入用です?」

「あるだけ貰っていこうかな」

「はーい。……さっきの爆音と何か関係ある感じですか」

「ああ。少し進んだところに、ダンジョンの入口が出現した」

「あらまぁ。それはまた難儀な」


 いいながらロープを袋に詰め、代金を貰って袋を渡す。

 お仕事お疲れさまでーす、頑張ってくださーい。

 閉まる扉を見て営業スマイルは引っ込めて、カウンターに頬杖をつく。なるほど、ダンジョンの入口か。それなら魔力も乱れらぁな。


 この世界の地下はダンジョンで出来ている。でも、ダンジョンってもの自体はまだよく分かっていない。そんなよく分からないダンジョンの入口はたまに現れたり急に消えたりする。

 何が理由で出現するのかもよく分からないけれど、こうやって本当に急に出現するんだもんなぁ。

 国内に出たとあっては色々と面倒くさそうだ。


 やっと落ち着いたところだっただろうに、これでまたギルドと騎士団が忙しくなる。

 こっちに影響が出ないと良いけど。まあ、グリヴィアの地下は粗方調べてあるんだろうし、面倒ではあるけど大事にはならない、かな?

 ならないといいなぁ。それから、あとで詳しい位置を調べておいた方が良さそうだ。


 考えながら水を飲む。どのくらい大人しくしていたら色々と落ち着くだろうか。

 仕入れの時に通る道がそこに当たるようなら避けないといけないし、そもそもあんまり近寄りたくはないし。

 というか何より先に魔力が安定してくれないと、そのうち日常生活に支障が出そうなんだけど。


「はぁ~。遮断用になんか用意する方が早そう……」


 自分で魔力を整えるってのも出来なくはないんだけど、この規模をやるのはあまりにも面倒だし疲れるしやりたくないしで現実的ではない。

 アンシークの下くらいは整えようかな、とは思うけどね。

 自然に落ち着くのを待つのなら、それまで魔力を遮断しておいた方が楽な気がする。


「どうしようかなー。兄さんに手紙書いたとしても、返ってくるまでに落ち着きそうだし」


 解決策を知っていそうなのは兄さんだけど、何せ気軽に行ける距離ではないので「今どうにかしたい」って時には頼れないんだよね。

 ま、店を閉めた後とかにシュッツを呼んで考えよう。

 今は目を逸らして水でも飲んでればいいや。とりあえず外出の予定はないわけだしね。

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