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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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兄からの手紙 2

 鳴り響く目覚ましを叩いて止め、のそり……と顔を上げる。六時半。いつも通りの起床時間。

 欠伸を零しつつベッドを降りて、とりあえず顔を洗いに行く。

 冷たい水で顔を洗えば目も覚める。一度部屋に戻って着替えを済ませ、ちまちまとピアスを付けて髪を整える。

 リビングに向かう前に隣の部屋に入り、スヤスヤ眠っているアムの布団を思い切り剥がす。


「アムー。あさだよー」

「おぉん……」

「朝ごはん作るから起きなー」

「お~ん」


 起きているのか居ないのか。とりあえず返事はしたしご飯を作ろう。

 そう考えて引きはがした布団をアムの顔面に落とし、おがぁ!と謎の悲鳴を上げたアムを尻目にキッチンに向かう。

 とりあえず卵焼くでしょ?あとは何があったっけ。


「ベーコンもうちょっとしかないや、使いきろ」


 大通りの肉屋で売っているベーコンが美味しいからブロックで買ってちまちま食べているのだけれど、それがもう少ししか残っていなかったのでこれも朝ごはんに。

 どんくらいに切ろうかなー。四等分くらいがちょうどいいかなー。

 あとは何があったっけ、っと。


「おはよーエスティー」

「おはよう」

「コーヒー淹れてい?」

「いいよ。ついでに私の分も」

「あいよー」


 棚を漁り始めたアムにぶつからないように移動し、パンにバターを塗って焼き始めながらベーコンと卵を火にかける。

 サラダもちゃちゃっと作れば朝食は完成だ。

 コーヒーはまだちょっとかかる?あ、もう出来る?なら丁度いいな。


 家にはコーヒーミルだのドリッパーだのサイフォンだのが何だか色々と置いてあるのだけれど、使うのは大体アムだ。

 先代が好きで使っていたんだけど、私は自分で飲むのは水でいいやってなるので基本的に使わない。

 なので、先代の死後棚に仕舞いっぱなしになっていたのを発見して、もったいなーい!とアムが引っ張り出してくるまで一年くらい使っていなかった。


 それ以降、せっかくいい道具があるんだし、コーヒーが嫌いなわけじゃないんだから、と来るたびに使う用になり、今では出しやすい位置に動かしたしコーヒー豆も常備してある。

 まあ、豆はアムが買ってきて置いてあるだけなんだけどね。

 なくなるかなーと思っていると買い足してくるので常備されている。


「アムは今日どうするの?」

「今日はのんびりしようかなー」

「ん、オッケー」

「お店暇だったらお喋りしようねっ」

「忙しかったら手伝ってね」


 テーブルに朝食を乗せて、アムがコーヒーを淹れ終わるのを待つ。

 香りは好きなんだよなぁ。自分で淹れるのは面倒くさいけど。

 それを言うとアムはエスティは意外と面倒くさがりだよねぇと笑う。……意外でもないと思うけど。


「むしろアムと兄さんのパワフルさが理解できない」

「えー、楽しいじゃん。せっかく家の外なんだから、楽しまないと!」

「それはそうだけどさー」


 私はどちらかって言うと「来る人」を見て楽しんでるから、アムみたいに「自分が行く」楽しみ方はちょっと分からない。

 言ってしまえば自主性がないのだ、私は。

 どうにかしないとーとは思うけど、結局どうにも変わってないよね。


「ま、いいか」

「いいよいいよ。ベーコンが美味しい、今はそれで充分さ。……これ本当に美味しいね」

「美味しいでしょ。無くなったから店閉めた後買いに行こ」

「それで間に合う?残ってる?」

「残ってないこともある」

「はーっ、しょうがない、買いに行ってくる」


 そんなに気に入ったかい。

 まぁ美味しいもんねー。そうだよねー。

 買い物行くならついでに頼みたいものもあるから出る前に言ってほしい。

 あと皿洗いは頼んだ。私はそろそろ店の開店準備に行くのでね……


「エスティコーヒーまだ飲むー?」

「いや、店番してる間は水ってマイルールがあるから……」

「いつ決めたんそれ」

「今」


 では~と手を振って階段を降りる。

 エプロンを手に取って店に向かい、店の中を見回りながらエプロンを付け、カウンターの内側に放置された昨日の書類を確認して裏に持っていく。

 あーとは、棚に隙間があったから何か適当に持って来よう。


 前の仕入れの時にレターセットが入ったから、それをペンとインクのあたりに並べよう。

 あと包装用紙も昨日売れたから在庫を持ってきて……そうなるとリボンも並べ替えたいな。

 さて、あと隙間は一つ。あんまり大きなものは置けないからまた小物だけど……どうしようか。


「エスティー!これなにー?」

「んー?ああ、ちょうどいいや。その箱もってきて」

「ほいほい。これなーに?」

「ミニミニテディベア。収穫祭の衣装を作るのに大量に出た端切れ布を加工した可愛いの」

「あー、リュバチート」

「そう。ハンカチも増やすかー」


 毎年この時期になると並ぶ期間限定の人気商品だ。

 柄が揃っているのはないから、全て一点物。色味だけ、とか、リボンを買って首に着けてお揃いーとか、そういう可愛い光景が多発する。

 非常にいい文化ですね。内心気持ちの悪い声を出しながら対応している。


「よーし、これでおっけい。開店するけど、アムどうする?」

「先に行ってくるかなー」

「ん、じゃあお使い頼みたいからちょっと待って」

「はいよー」


 店を開けて、適当なメモ帳に欲しいものを書いてアムに渡す。

 お小遣いいる?いらない?あらそう。

 じゃあいってらっしゃーい。まだ暑いから気を付けて。まあ、アムなら心配いらないだろうけど、ね。

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