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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
二章「曰く、林中の蛇影」
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ギルドからの呼び出し 2

 大通りを眺めつつ、のんびりと水を飲む。

 暇な日のアンシークのいつもの光景なのでこれ自体は特別何の意味もないのだけれど、実はいつもと違うところが一個だけ。

 普段は良い感じの二人組が居ないかなぁと特に意味もなく外を眺めているが、今日は正確にはギルドの方を眺めているのだ。


 理由?それは簡単です。

 ギルドから漂ってくる人の苛立ちと焦りが日に日に強くなっているから。

 そのあたりはかなり正確に認識できるので見つかっていないんだろうなぁと思いつつ眺めているわけだけど、状態はかなり悪そうだ。


 騎士団の方も動き始めているみたいだけど、解決にはどのくらいかかるだろうか。

 盗まれた魔道具は使うつもりなのか売るつもりなのかでも捜査の難易度は変わりそうだ。

 売るならそのままではなく解体して中の魔石だけ抜き取るだろうし、そうなると物から割り出すのは難しくなる。


 魔石は魔力が結晶化したもの。

 ダンジョン内では結構見つかるし、生活の中で結構使うものだからそれを全部調べるなんてとても現実的じゃない。

 とりあえずアンシークとギルドの取引は続いているけど、分かりやすく数が減っているからなぁ。


 思い出してため息を吐いていたら扉の鈴がカランコロンと音を立てた。

 カウンターに頬杖をついてだらけていたので姿勢を正して営業スマイルを張り付ける。

 そのまま扉を見ていたらジャックさんとグレンさんが現れた。今日も今日とてお揃いで。仲いいですねぇー。


「いらっしゃいませー」

「やっほーエスティアちゃん」

「邪魔するぞ」


 中に他の客が居ないことを確かめたからなのか、のんびりとカウンターの方に歩いて来た。

 私としても今日は暇なのでちょっとおしゃべりに付き合ってほしい感じだ。

 とはいえ、二人とも騎士団の鎧を着ているから仕事中なんだろう。そんなに引き留めるわけにもいかないな。


「今日は何をお求めですか?」

「充填可能な魔石式のランプってあるかな?」

「充填可能な……少々お待ちを」


 確か幾つかあったはず、と奥の在庫を思い出しつつ立ち上がり、扉を開けて奥に入る。

 このあたりに纏めてあったよなぁーと棚を探して目的の物を見つけ、それを抱えて店に戻ってカウンターに乗せる。もう一つあるから持って来ようかな。


「とりあえず、うちにあるのはこの二つですかね。……あともう一個ありますけど……騎士団で使うならあれはなぁ」

「大きい感じ?」

「いえ、卓上ランプです。ただ、ものすごく値が張るというか飾りとしての用途がメインな感じでして」


 とある職人さんが作った最後の品であるランプは大事にしまい込まれて未だ持ち主を定めそこなっている。

 先代の頃から店にあるからなぁ。とはいえ有名な職人さんだから年々価値が高くなってしまって余計に買い取り手が居ないのだ。

 物は使ってこそなので誰かいい人を見つけて買い取って欲しいなぁと思ってるんだけどね、叩き売るわけにもいかないし、大事にしてくれる人じゃないとなぁ。


「なるほどねー……アンシークに眠るお宝系か」

「眠らせとくのも勿体ないんですけどねぇ」

「どっちにするんだ」

「ちょっと待てよせっかちだなぁ」

「グレンさんが使うんですか?」

「そ。俺の机のランプが壊れて……経費で落としていいから適当に見繕って来いって言われて」


 それで一緒に買いに来てるんだからやっぱり仲良しだなぁ。

 というか、うちを利用してくれるのは有難いですけどランプなら普通に専門店行った方が早かったのでは?

 まあ、在庫在りましたけども。


「んー……こっちかな」

「はーい。ランプだけで大丈夫ですか?」

「あ、インクお願いしてもいい?」

「了解です。いつもの色ですね」


 追加注文も聞いて奥から品を出してきて、合計金額を出して提示する。

 用意してもらっている間に商品を包んで袋に入れて、しっかりした作りだから重いんだよなぁなんて思う。騎士団員からしたらなんてことないんだろうけどね。

 私も日々の業務でじんわり鍛えられてるから見た目以上の力があるはずなんだけどなぁ。


「そういえば、エスティアちゃんはギルドの件聞いた?」

「聞きましたー。というかなんなら取引あるんで呼ばれて事情聴取ですよ」

「そうなのか。大変だったな」

「まあ、あのくらいならぜーんぜん平気なんですけど……早く解決するといいですねぇ」


 二人は今休憩時間らしく、私も暇なのでちょっとだけおしゃべりに興じる。

 騎士団も動いているけれど二人の所属とは別の部署らしく、今回の件には関われないらしい。

 なんであれ早い解決を願う。このままこのピリピリした感じが続くのは色んな意味で辛いからね。


「それにしてもギルド内部で盗みを敢行して見つからないとかとんでもない盗人ですね」

「全くだ。何をどうやったのか……」

「常人じゃないよね。意外と動物とか使役してやったのかもよ?」


 ギルドって基本的に警備が厳重だしその中でも特に厳重な場所だろうになぁ。

 どんなふうに保存してるのか知らないけど、多分厳重でしょう。

 三人でダラダラ考えても答えが出るわけもなく、二人の休憩時間に終わりが迫ってきたことでおしゃべりは終了になった。

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