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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
二章「曰く、林中の蛇影」
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知り合いの来店 2

 棚に商品を追加したり乱れたところを直したり、今日ものんびり業務に励む。

 さっきまで程よい忙しさだったのだけれど、それも落ち着いたしご飯も食べ終わったしでいい具合に暇だから棚の整理を始めたら結構楽しくなってしまった。


 久々にがっつり配置を変えてもいいかもしれない。

 どうしようかなぁ、こっちの棚、向こうに持っていきたいなぁ。

 流石に一人じゃ動かせないからシュッツでも呼ぶかな。


 今日は店開けてないといけないから、次の休みにでも。

 なんて考えていたらカランコロンと扉の鈴が鳴った。

 おやお客さん。あんまり散らかしてなくてよかった。


「いらっしゃいませー」

「よっ」

「あ、やっほー」


 ぴょこっと顔を覗かせたのは昔からの知り合いの一人だ。

 兄さんの所に居たはずだけど、こっちに来たってことは手紙かな?

 とりあえずエプロンで軽く手を拭いて、何かお求めですー?と緩く声をかける。


「んにゃ、買い物ではないんだが……ほい、手紙」

「わーい。兄さん元気です?」

「元気元気。毎日くそ賑やかだよ」


 向こうも楽しそうで何よりだ。

 元気にしているのは手紙でも何となく分かるけど、直接聞けると安心する。

 もうかれこれ五年くらい会ってないかな?


「会いたいーって言ってるぞ」

「あはは。でも来ないですもんね」

「ま、こっちも中々忙しくてな……とはいえ俺が来れるんだからあいつも来れるだろうに」

「いいんですよ。そのうち家に呼ばれるでしょうしその時で」

「そういうもんか?」

「はい。それに、何かあったら私は兄さんを強制召喚出来ますから」


 仲が良いからこそ離れて生活する方がいいと言われて、家を出てから会わずにいるけれど連絡は取っているし兄さんがなんかあったら呼んでいいからな!と言ってくれているのでそれほど寂しくはない。

 こうして手紙で近況報告聞くのも楽しいからね。

 私から会いには行けないから、会いたいと言いつつ直接来ることはしない兄さんの意思を尊重するってことでね。


「というかギルド今忙しいんですか?」

「おう。ま、暇な時の方が少ないけどな」

「そりゃあそうでしょうね」


 兄さんやこの人が居る「ギルド」は一般のそれとちょっと違うから、暇になることはないんだろう。

 そういえば一般の方のギルドも最近はちょっと忙しそうだったな。

 何かあったのかなーと思いつつもそれほど気にしていなかったけど。


 なんて考えていたらカランコロンと鈴が鳴る。

 扉を見るとジャックさんが立っていた。

 それを見て帰って行く知り合いに手紙のお礼を言って見送り、改めてジャックさんに向かい直る。


「いらっしゃいませ。すいませんね、ちょっと散らかってて」

「いや、構わないが……彼は?」

「知り合いです。兄さんからの手紙を届けて貰いまして」

「エスティアには兄が居るのか」

「あれ、言ってませんでした?」


 別に隠してないからどこかで言ったもんだと思ってたけどそんなことなかったか。

 手紙は見せられないけど、気になるなら兄さんの話くらいいくらでもしますよ?

 私の事をこれでもかと可愛がり自己肯定感を最大値にまで育て上げた我が兄は話を聞く人により笑うか頭を抱えるかという極端な反応を起こさせる人物だ。


 ジャックさんがどんな反応をするのかはちょっと気になるけれど、鎧着てるってことは普通に仕事中なんだろうしわざわざ引き留めるのもな。

 渡されたリストを受け取り裏に商品を取りに行く。

 騎士団は忙しそうだなぁ。何も事件が起こらなくても書類仕事で忙しそう。というかむしろ何もない時に纏めてやるから平常時の方が忙しそう。


「はい、お待たせしました。ご確認お願いしますねー」

「ああ」


 商品を渡して確認してもらっている間に代金の計算をしておき、問題なかったので代金を提示して商品を袋に入れる。

 袋ちょっと小さかったかな?いや、いける。むしろぴったり。


「兄とは仲が良いのか?」

「そりゃあもう。結構な頻度で手紙のやり取りしてますよ」

「そうなのか」

「ジャックさんはご兄弟いらっしゃるんですか?」

「ああ。兄が一人と妹が二人」

「賑やかそうですねぇ」


 話しながら代金を受け取ってぎっちぎちになってしまった商品を渡す。

 ぎちぎちだけど落ちはしないからいいかな。いいよね。

 むしろ全然出せ無さそうだけどそこは袋破ってどうにかしてくださいね。


「では」

「はーい。またのご来店をー」


 にっこりと営業スマイルで見送り、扉が閉まってから中途半端なまま放置していた棚整理を再開する。

 これ終わらせないと他の作業できないからね。

 さあやるぞー。ところでこれどこに動かそうとしてたんだっけ?


 まあいいや。とりあえずやってりゃ終わるだろう。

 空いてるところにいい感じに収めていけばそのうちやりたかったことも思い出すだろうし、考えていても作業は終わらないからね。

 手を動かすのだよ、手を。いやでもやってりゃ終わるのです。


 ま、一回中断したせいで気分じゃなくなったから無理矢理気分を上げるために鼻歌でも歌いながらやりましょうかね。

 このあたり、裏から何か持ってきて隙間埋めないとなぁ。

 何がいいかなー。最近置いてなかった物。小物は色々置いてあるし……見繕ってくるかな。

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