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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
九章「曰く、背に腹は代えられない」
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出発間際

 荷物の準備を終えて、後はもう出発するだけとなった頃、グリヴィアの中は、まだモンスター云々で少々ピリついていた。

 またなんかモンスターが入り込んで、騎士団に討伐されたらしいんだよね。

 何か原因があるはずだーって色々調べてるけど、分かってないから皆気を張ってるのだ。


 そんな中で悪いけど、私は明日からしばらく実家に戻るので帰ってくる頃には収まってるといいなーと呑気に構えている。

 ちなみにアンシークにはちょっと前からおやすみの予告をしているし、今はもう明日からしばらくいないよーって札を掛けてあるから、準備は万端なのだ。


 実家に呼ばれてるっていえば皆あんまり突っこんで話を聞きには来ないしね。

 聞かれてもまぁ、なんか面倒くさい伝統の為に呼ばれてるだけでやることは無いんですよぉ、って愚痴がてらに聞いてもらうんだけど、聞かれないなら言う必要もない。


 なんて考えながらのんびり店番をしていると、カランコロンと扉が開いて常連さんが顔を出した。

 営業スマイルを顔に張り付けながら、それでもちょっと気が抜けた緩い声でいらっしゃいませぇ~と声を掛ける。


「良かった、まだ開いてた」

「臨時休業は明日からですよー」


 アンシークで消耗品をまとめ買いしてる人だから、無くなりかけてたことに気付いて慌てて来たんだろうなぁ。

 これがあと一日遅かったら閉まってる扉の前で絶望してたわけだ。

 間に合って良かったですねぇ。


「エスティも出発前にこんな慌ただしくて大変だなぁ」

「え、自虐です?」

「違う違う。モンスター騒ぎの方」


 お求めの品は予想通りいつもまとめ買いしていくものだったので、用意しながらのんびりお喋りする。

 今日は午前中にそれなりにお客さんが来たっきり、私が口いっぱいにサンドイッチを頬張ろうとちょっとうたた寝しようと他に人が来なくて暇だったんだよね。


「ここまで原因が判明しないのも珍しいですよねぇ」

「本当にな。騎士団も毎日忙しそうにしてんのに……」


 袋に詰めた商品を渡して、代金を受け取っておつりを渡す。

 去っていく背中に手を振って、扉が閉まったところで椅子に腰を下ろした。

 モンスター入り込みまくり問題、普段ならどうにかしようかとも思うんだけど……ちょっと時期が悪いよね。


 なにせ私は明日から実家に向かうわけだし、それは流石に無視は出来ない用事だし。

 調べるって言っても、私がやるとしたら結局シュッツに頼むことになるから、どうあれ今は何にも出来ないのだ。

 シュッツも明日からの移動とか、その他もろもろの準備で忙しいからね。


 ちょっと探ってみても良いんだけど、それで何かあった時に不在になるから何にも出来ないって問題もある。

 やらかしといてそれ放置して実家に行くの嫌だからね、だったら私は何にもしない。


「妙な流れはありそうだけど……まぁ、フィンさんが見つけるだろうしなぁ」


 実は一昨日くらいから、王都内の魔力の流れが若干、ほんのちょっとだけ不自然になっている場所も見つけたんだけど……なんでそんなの分かるんだ、とか言われちゃうと、説明が面倒だからね。

 自称下っ端の魔法部隊の秀才さんが見つけて調べてくれるだろうと信じて放置しているのだ。


 魔法部隊にはイヴィさんも居るし、正直見つけるのは時間の問題だと思うんだよね。

 見つけた後が面倒臭そうだなぁとかも思ってたりする。

 関わる気が無いから、探っても無いけどなんかもう既に面倒臭いからね、絶対後処理とかも面倒くさいよね。


「ふぁ……」

「眠そうだねぇ」

「おわぁ!?」


 扉が開いた音がしなかったのに、気付いたらフィンさんが目の前にいた。

 さてはまた鈴が鳴らないように悪戯して入ってきましたね!?

 時々やるそのお茶目心臓に悪いからやめてくださいね!?


「どうしたんですか……びっくりした……」

「エスティ、明日出発でしょ?」

「そうですよ~」

「明日はお見送りにもいけなさそうだし、今暇だったから顔出しとこうかと思って」

「あぁ、なるほど。わざわざありがとうごさいます」


 良かった、私の独り言が聞かれてたわけではなかったみたいだ。

 フィンさんはやっぱりずっと忙しいみたいで、今も休憩時間にフラッと寄ってくれたらしい。

 ちょうど近くに居たからって言ってるけど、フィンさんは円盤型移動魔道具でどこへでも行くからなぁ。本当かどうかは分からないなぁ。


「道中とか、いろいろ楽しんでね」

「フィンさんは働き過ぎで倒れないでくださいね」

「そんな真面目に頑張んないから大丈夫だよー」


 緩く笑っているけど、フィンさんはこういう大勢が巻き込まれかねない事件の時は大真面目だからなぁ。あんまり休んでくれなさそうだなぁ。

 なんて考えているのが伝わったのか、フィンさんは柔らかく笑ってカウンターに肘をついた。


「エスティは心配とかしないで、帰ってきたらなーんか解決してるー、くらいに思っといてよ」

「まぁ、その辺は信頼してます。けど私、割とさっさと戻ってきますよ?」

「どっちが早いか勝負する?」

「私の負けでいいからちゃんと休んでください」


 信用無いなぁと笑って、フィンさんは去って行った。

 本当に休憩時間に寄っただけらしいな、あれ。

 あんまり無理しないで欲しいけど、さっさと終わった方が休めるんなら止めるのも違うのかなぁ。

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