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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
八章「曰く、月夜に釜を抜かれる」
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春の只中

 王都内に入り込んだモンスターの討伐が完了したという知らせを受け取って、とりあえずホッと一息つく。

 私が襲われてからまだ数日しか経ってないんだけど、目撃情報のあったあのモンスターは全て討伐し終えたんだそうだ。

 まだ原因は判明していないから、あんまり油断しないようにと言われはしたけど、でもまぁ一安心だよね。


「そうやって油断した結果だったんじゃ……」

「それはそうだけど、だってあの場所で遭遇すると思う?」

「僕の調べが甘かったです……」

「言っても仕方ないことで落ち込むなってば」


 報告に来ていたシュッツがまだ凹んでいるので、腕をベシベシ叩いておく。

 今回は私も悪くないしシュッツも悪くないってことで結論出したじゃん。家からも何も言われてないんだから、それでいいじゃん。


「はぁ……あ、そういえばアムから連絡来た?」

「うん。家で合流にするって」

「そっかそっか。アム今どこに居るんだろ」

「サーフェンスだって」

「思ったより遠い」


 私たちが実家に呼ばれているタイミングで、アムは特に呼ばれても無いけど家に遊びに来ることになっているのだ。

 久々にみんなで集まれるからって誰ともなく言い出したことで、そろそろ準備も始めないとなぁなんて思っていた時期だからもうちょっと近くに居るかと思ったんだけど……


「まぁ、アムだしなぁ」

「船で来るらしいよ」

「どこ通ってくるんだろうねぇ」


 その気になればどうにでも出来るのがアムだからね。

 別に心配はいらないし、土産話を楽しみにしていよう。

 そんな話をしながら、出かける準備を整えて家を出た。


 今日はアンシークの定休日で、元々出かけようと思ってたんだけど、それを知ったシュッツが報告がてら一緒に行くって言い出したんだよね。

 心配性め……モンスターは全部討伐されたってのに……


 ぼやきながら歩いて、ニレさんのところで花束を一つ買う。

 その後ものんびり話しながら歩く。


「こんにちはー」

「こんにちは。……おや、今日はお連れ様もいらっしゃるんですね」

「心配性がついてきただけです」

「なるほど」


 墓守さんに笑顔で見送られながら中に入って、先代の墓の前までは付いて来ずに途中で足を止めたシュッツを置いて墓の前にしゃがんだ。

 花束を乗せつつ、とりあえず口を開く。


「こんにちはおじい。来ましたよー。

 聞いてくださいよ、またモンスターに襲われましたよ、国の中なのに。

 なんなんでしょうねぇ、私なんか、そういうオーラ的なの出てるんですかねぇ?実家に帰ったついでに聞いてみようと思うんですけど、出てるって言われても困っちゃいますよね。


 んで、そうだ。ちょっと実家に呼ばれてるので、顔出してきます。

 そんなに時間かかんないし、すぐ戻ってきますよ。アンシークの事もありますからねぇ、私の代で潰すつもりもさらさらないし、しっかり帰ってきます。

 実家に居てもすることないですしね。兄さんに会えるのが楽しみーくらいですけど、兄さんにもこの前会えましたからねぇ。


 戻ってきたらまた来ますね、実家の話は面白くないだろうけど、道中の土産話はいっぱい出来ると思います。

 アムがね、今サーフェンスにいるらしくって。家で合流ってことになったんですけど、アムの道中の話も面白そうだからお土産にしますね。

 そういえばおじいは昔海を越えてあちこち行ってたって、ラング爺さんから聞きましたけど、サーフェンスにも行ったことあるんですかね?


 私は性分が引きこもりですからねぇ、グリヴィアとヴォヅリの行き来くらいしかしないし、道中も真っすぐ行くから他の国の事知らないんですよねぇ。

 旅行も楽しそうだとは思うけど、アンシークやってる方が好きですしねぇ。

 ……まぁ、今回のことをプチ旅行だと思っておきます。無理に行くもんでもないですからね。


 ……さて、あんまり長いとシュッツが心配するし、今日はこのくらいにしますね。

 ばいばいおじい、また来ます」


 のんびりダラダラ好きなように喋り倒して、よいせ、と小さく声を出しつつ立ち上がる。

 お墓に手を振って歩き出すと、シュッツがこっちに寄ってきた。

 終わった~と緩く声を掛けて横に並び、そのまま出口へ向かう。


 さーて、この後はどうしようかなぁ。どっか遊びに行ってもいいけど、そんなに遠くまで行く気は無いんだよね。

 買い物もこの間行ったわけだし……


 あ、そうだ。襲われた日に抱えていた荷物は、なんと全部無事だった。

 全力で庇った甲斐があったぜ、と一人でご機嫌になったりもした。

 自分の身より荷物を庇ったなんて知られたらシュッツに小言を言われそうだったので、それは言ってない。荷物無事だった~やった~とは言ったけど。


「シュッツどっか行きたいところとかある?」

「うーん……あ、新しく出来たケーキ屋さんなら一軒知ってるけど」

「よし行こう。ケーキ買って帰って、お茶しながら荷物の確認しよう」

「はーい」


 さっすがシュッツ。なんでそんなことまで調べてるのかは知らないけど、何でも知っててくれるから適当に予定を作るのにも大助かりだ。

 ケーキ、ケーキ。最近食べてなかった……わけではないけど、別にだからと言って控えないといけないなんて事は無いからね。

 こういうのは気分が大事だ。ご機嫌で過ごすための物はいくらあったって困らないんだから。

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