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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
八章「曰く、月夜に釜を抜かれる」
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予期せぬ出来事

 今日はアンシークの定休日なので、私は元気に買い物に出かけている。

 色々買いたいものがあるんだよね。

 一人で出かけるって言ったらなんか心配されたりもしたけど、モンスターの目撃は付近ですら一軒もない場所だしまぁ大丈夫でしょ!と元気に油断中だ。


 だってあの場所まで警戒しないといけないなら、もう王都の中全部警戒範囲なんだもん。

 嫌だよ面倒くさいし疲れるよ。

 それに人の少ない場所をずーっと行くわけでもないから、本当に心配はいらないだろうという判断を下した。それ以上考えるのが面倒だったともいう。


「あらエスティ、お出かけ?」

「はい。ちょっとベロゼの方までお出かけです」

「そうなのね、楽しんでね」

「はい!」


 知り合いのお婆ちゃんに手を振って、ウキウキなまま歩く。

 ベロゼはちょっと歩いた先にある商店街の通称だ。アンシークがあるあたりとはお店の感じが違って、あの辺りで見つからない物はそっちで探した方が見つかったりもする。

 私は先代が教えてくれた店が好きだから個人的に通ってるってのもあるんだけどね。


 なんて、ウッキウキで歩いて目的のお店に入り、欲しかったものをあれこれ物色して回る。

 欲しかったものを探してる途中で見つけた買う予定のないものって、やたら心を惹かれるよね。

 探してたわけでもないのに欲しくなっちゃうの、なんでなんだろうなぁ……かわいいなぁ……買っちゃおっかなぁ……


「いやでもこの間置物買っちゃったしな……」

「色違いもございますよ」

「……何色ですか?」

「白と黒、それから黄色がございます」

「……白見てもいいですか?」

「はい。お持ちいたしますね」


 店員さんの誘惑に見事負けて買う予定のなかったものも購入し、荷物を抱えてウキウキなままお店を後にする。

 だって、だって可愛かったんだもん……!

 後悔はしてないので特に誰にってわけでもない言い訳もそこそこに、小腹が空いたのでカフェに入って飲み物と軽食を注文した。


 この後は別のお店に寄って、一旦帰って食材の買い出しかな。

 荷物がそこまで増えなければこのまま買い出し行っても良いんだけど、多分増えるから帰ることになるだろう。

 予定通りっちゃ予定通りだ。予定より荷物増えてるけど。


 どうせ増えるだろと思ってもいたから、増える所まで含めて予定調和ってことでいいか。いいよね!

 なんて思いつつ頼んでいた飲み物と軽食が届いたので、とりあえずそっちに集中する。

 わーい、美味しそう。お出かけはご飯も含めて楽しまないとね。


「さーて、次は……」


 休憩を終えてカフェから出たら、次の目的地であるお店に向かう。

 ここからはそんなに離れてない場所で、行き方は何パターンかあるんだけど……まぁ、今日はちゃんと大きい道を通って行こう。

 普段は細道通ってショートカットするんだけどね。




 とまぁ、そんな調子で買い物を楽しんで、欲しかったものも買う予定じゃなかった物も色々買えて大満足の一日になった。

 両肩がずっしりしているけど、一日を楽しんだ成果だと思えばなんかちょっと嬉しくなるから不思議だよね。

 疲れてはいるんだけどスキップでもしそうなくらい足取りは軽くて、でもやっぱり荷物は重いので一回アンシークに帰って荷物を置いてから夕食の買い出しに行くことにした。


 そんなわけでアンシークへ向かう道は、いつも通る細道ではなくでっかい通りをなるべく選んで進み、時々荷物を肩にかけ直す。

 楽しくなって流石に買いすぎた感があるよねぇ、なんて思いつつてってこてってこ歩いていたら、後ろで何か物音がした。

 人通りがないなんてことはない通りだし、別に気にしなくていいはずのそれが妙に気になってちょっとだけ振り返る。


「……はぇ?」


 見えたものに思わずとんでもなく緩い声が零れたけれど、私悪くないと思う。

 振り返った先に居たのは、なんかでっかい影のようなもの。

 目が光ってるから多分でっかい獣とか、そんな感じのもの。


 もしかしなくてもあいつ、注意喚起がされてた例のあいつだろうか。

 なんて、見つめ合ったままそこまで考えて、相手がじわじわ動き始めたので視線を前に戻して全力で地面を蹴る。


「いやなんで居るんだよ!?」


 ここはいままで目撃情報も無かったし、一番近い目撃情報の場所からもそれなりに離れている場所のはずだ。だからこんなにも油断してウロウロしてたわけだしね。

 まさか居るなんて思わないじゃん。居たとして、遭遇するなんて思わないじゃん。


 目撃情報が無いからって油断してたけど、もしかしてこれ、見つかってないだけで元々行動範囲はもっと広かったって感じですかね!?


「というか前にもこんなんあったなぁ~!?」


 追いかけてくる気配を感じて、振り返らずにとりあえず全力で走る。

 あ、荷物重い。でも私はこれを手放す気はないし、どこかにぶつけて壊れたりした場合全力で凹むので抱えて走る以外の選択肢が無い。

 命より大事なものは無いけど、でもこれを今手放すと心が死ぬ気がするんだよね!


 怒られたらその時謝ろう、と決めて、ひえぇ~と情けない声を出しつつ頑張って走る。

 距離の詰まり方がとんでもないな、これどうしよっかな!?

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