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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
八章「曰く、月夜に釜を抜かれる」
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山盛りの花籠

 今日は何かとタイミングのいい日だった。

 開店からしばらく続いた来店が全て捌けたところでちょうどよくパン屋のスクレ君が来てくれて、のんびりお昼を食べる時間もあった。

 その後少しゆっくりしていたらまたお客さんが来だしたので暇を持て余すことも無く、夕方ごろにまた暇になって一日の売り上げを紙に纏める。


 ここまで全てが綺麗に噛み合う日も珍しいので、なんかそれだけでいい事ありそうな気がするよね。

 なんてルンルンしながら閉店作業をしてエプロンを外し、裏からカバンを持ってくる。

 そこでちょうどよく扉が開いて鈴がガランゴロンッとけたたましく音を立てた。


「静かに開けなさい!」

「お、準備終わってんな」

「タイミングはバッチリだけど扉は丁寧に開けなさいっ!」

「よっしゃ行こうぜ~」


 全然聞いてくれないアルトに文句を言いつつ灯りを消して玄関の鍵を閉め、横に並んで歩き出す。

 今日はアルトと夕食を食べに行く約束をしていたのだ。

 お店はアルトが決めておいてくれたらしいので、私は大人しくついて行く。


「今月分はどんくらい出来た?」

「今月はなぁ……そもそもデザイン決めるのに時間が掛かったからちょっと数減るわ」

「オッケー」


 話しながらお店に向かって、扉を開けて中に入るアルトの背を追う。

 お、なんかオシャレなお店だ。アルトは美味しいご飯屋さんを見つけるのが上手だから、毎回別の所に連れて行ってくれるんだよね。

 美味しい美味しい言ってた店にはまた連れて行ってくれることもある。


「横並びだ、珍しい」

「こっちの方が話しやすいよな」

「確かに」


 横並びタイプの二人席に案内されて、座ってメニューを眺める。

 どうしよっかなぁ。最近パスタとか食べてないからパスタにしようかな。

 あとサラダも食べたい。なんか美味しそうなのがあるからこれにしよう。


 アルトが店員さんを呼んでくれたので料理を注文して、届くのを楽しみに待ちながらアルトの方に身体をちょっとだけ向ける。

 アルトもこっちを見ているので、ばっちりしっかり目が合った。


「んで、話って?」

「ちょっと……二、三週間くらい?店を閉めることになったので、ご報告?」

「あぁ、実家帰るのか」

「そう。お土産とかいる?なにがいい?」


 前からちょこちょこ話に出してたからか、アルトは驚きもせずに普通に返事をしてくれた。

 アルトには隠し事もそんなにしてないので話が早くて助かる。

 店の休業についてはこれからお知らせを作って店の中とかに置く予定だから、詳しい話をするのはアルトが一番最初だ。


「どこ通って行くんだ?」

「リュフィの街道通って、チャヒュロからミヴェヘ行って、ヴォヅリに入るって」

「割と真っすぐ行くんだな」

「そだね」

「ミヴェヘの伝統柄の小物とかあったら探してきてよ」

「オッケー」


 お土産の希望もしっかり聞いたところでサラダが届いたので、取り分けて食べ始める。

 美味しい。ドレッシング自家製って書いてあったけど、何が入ってるんだろう。

 うまうま言いながらモッサモッサ食べていたら、アルトが笑いながら同じのをもう一個頼んでくれた。


「実家帰ってエスティはすることあんの?」

「ない。兄さんと遊んでくる」

「そっか。鼻の頭にドレッシングついてんぞ」

「うっそ」


 触ったらついてなかった。本当に嘘じゃん。

 なんてやっている間に追加のサラダと一緒にパスタが届いたので、テーブルの上を開けてお皿を受け取る。

 やった、美味しそう。


「エスティ肉食う?」

「食べる!」

「はい、あーん」

「あー」


 ウキウキでパスタを巻いていたらアルトからお肉を差し出されたので、言われるがまま口を開けて入って来たお肉を噛みしめる。

 うっっま!なにこれ美味しい!

 お肉を噛みながらパスタを巻いて、飲み込んだところで今度はパスタを口に運ぶ。


「……美味い?」

「んっ!」

「そらよかった」

「アルトパスタ食べる?」

「ん、一口」

「はい」


 お肉を貰ったお礼にパスタを巻いて差し出し、美味しいよねっと同意を求める。

 時々サラダも食べつつパスタを食べ進めて、最後にはデザートなんかも頼んじゃったりなんかして、大いに外食を楽しんだ。

 アルトは途中からお酒も飲んでた。ここはまた来たいお店だなぁ。


 帰り道もご機嫌なまま帰り、アンシークの前まで送ってくれたアルトに手を振って扉を開ける。

 この後アルトが一人で歩いて帰るのも心配は心配なんだけど、私の方が面倒事引き寄せがちだからどうにもならないんだよね。

 前に何回か押し問答したことはあるけど、結局毎回私が言い負かされてこの形に落ち着いてるのだ。


「じゃ、おやすみ」

「おやすみー。帰り道気を付けてね」

「おう」


 去っていくアルトに手を振って、扉を閉めて鍵をかける。

 明日は店の用事がいくつかあるし、今日はこのままシャワー浴びてさっさと寝ちゃおう。

 気分がいいまま寝たら、なんかいい夢見れそうな気もするしねっ!


 なんてウキウキのまま荷物を置きに二階に上がり、パジャマを持って一階に降りる。

 シャワーを浴びて髪を乾かして、寝支度を整えたらさっさとベッドに入った。

 良い感じに眠気もあるし、これは本当にいい夢が見られそうだ。

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