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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
七章「曰く、暖簾に腕押し」
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春の日 2

 大きな欠伸を零しつつ窓の外を眺める。

 今日は何とも春らしい陽気の日で、さっきからもう欠伸が止まらない。

 ねっむいんだ。暇だから。


「人来ないなぁ……今日なんかそんな暇になるようなことあったっけ?」


 呟きつつ王都内のお祭りを思い返してみるけれど、今日は特に何かあった記憶はない。

 なら単に今日は暇な日なんだろうけど、あんまりにも暇だからちょっと困ってきた。

 だってもうやること何にも残ってないんだもん。書類仕事もなんもかんも、全部もう終わって未消化タスクはもう一つも残ってない。


 良いことなんだけどさ、良いことなんだけどね?でもね?暇なの。

 今ちょうど積読も無くてすっごい暇。このままだと寝ちゃうからなんかしたいんだけど、何しようかな……

 なんでこういう時に限ってこんなにもやることがないのかなぁ。


「ふぁ……あぁぁあ……」


 思いっきり欠伸をしてぼけーっと外を眺めていたら扉の鈴が音を立てたので、姿勢を正して営業スマイルを顔に張り付けた。

 入ってきたのはシュッツだったので、表情を作るのをやめて脱力する。


「なーんだ、シュッツか」

「え、なんでそんなに脱力してるの……?」

「今日ずっと暇」


 シュッツは今日もメモ帳を買いに来たらしい。

 いつものメモ帳とペンを会計して渡し、ついでになんか面白い事ない?と聞いておく。


「そんな雑な……」

「だって暇なんだもん」

「面白い話は……どうだろう、無いかな」

「えー。面白くない話は?」

「僕がヴァフル爺様に怒られた話かな……」

「怒られたんだ……」


 多分原因私だろうな。ごめんね?

 一応最近の色々については怒らないであげてって言ってはおいたんだけど、ヴァフル爺は聞き入れてくれないか、そっか……

 もしかしてヴァフル爺が最近来てたのってそれ?だとしたら本当にごめんね、爺のお説教怖いよね。


「それから、ご実家に戻る日程がそろそろ決まりそうかな」

「オッケー、決まったら教えて」

「はい」

「そんなに期間長くならないよね?」

「そうだね、二週間ちょっとくらいじゃないかな?」

「お知らせの用意しないとなー」


 そろそろだそろそろだと言われていた帰省の日がいよいよ決まるらしい。

 用事自体はそんなに時間のかかるものでもないから、大体は移動時間だろうなぁ。

 実家帰るの久々だなぁ。アンシークに来てからは一回も帰ってないから、八年ぶりくらい?九年?


「兄さんには会ったから感慨が無い」

「一応大事なことだよ?」

「シュッツももう一応って言ってるじゃん」


 参加はしなくちゃいけないけど、大して何が変わるわけでもないから自分の中では重要度が薄いんだよね。

 多分一族みんな興味ないけど行っとかないとな~くらいで来る。

 会ったところで何人の顔が分かるんだよって感じもするし、サッと行って兄さんと喋ってササッと帰って来よう。


「家出た時と同じ道で行くの?」

「いや、去年リュフィの街道が完成したから、そこを通っていこう」

「分かった」


 リュフィはグリヴィアのお隣の、四国くらいに囲まれてる小さな国だ。

 小さいけど何だかんだ平和に生き残ってるし国内は平和だし、良いところではある。

 私が実家を出て行く先として候補にもなってたみたいだしね、そこにでっかい街道が作られたんなら通って行った方が安全だろう。


「道中でお土産とか見繕っていい?」

「せめて帰りにしない……?」

「じゃあよっぽど欲しいものを見つけない限りは帰りにする」

「うん、そうして……」


 アルトには個人的に実家行ってくるーって言うつもりだし、なんかお土産で欲しいものとかないか聞いてみよう。

 多分何でもいいっていうだろうけどね、道中の国の特産品とか欲しいのあるかもしれないからね。

 実家へのお土産は……まぁ要らないよなぁ。兄さんには何か買って行ってもいいかもしれない。


「シュッツー」

「なぁに?」

「兄さんにお土産持っていこうと思うんだけど、何がいいかな?」

「バル様はエスティが居ればそれだけで喜ぶと思うけど……茶葉とかは日持ちもするし、帰った後も飲めるんじゃないかな?」

「んー……じゃあなんか見繕ってみる」

「はい。……この春はリリフィアとバーザットが特に出来がいいみたいだよ」

「分かった~」


 去っていくシュッツに手を振って、聞いた茶葉をメモしておく。

 まぁ詳しくは買いに行った時に店員さんに聞こう。

 いつも言ってるお店に行ってみて、他のところがいいよって言われたらそっちに行けばいいからね。


 ついでにラング爺さんの所にも持っていこうかなぁ。

 この間仕入れに行った時にアルノートさんが久々にぼろくそに言われて一人反省会してたし、クッキーかなんかと一緒に持っていってお茶会してもいいかもしれない。

 なんて予定を考えながら頬杖を付いて窓の外を眺める。


 シュッツのおかげで多少暇が潰せたとはいえ、まだまだ営業時間内だし普通に暇だからね。

 なんかいい感じにデートの待ち合わせとかしてる人いないかなぁ。

 この際デートじゃなくても待ち合わせしてる人でいい。それを眺めて勝手に脳内変換でデートの待ち合わせにする。そんなことしかすることが無いくらい暇なのだ。

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