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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
七章「曰く、暖簾に腕押し」
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春の日

 柔らかな日差しの中をのんびり歩いて進み、お花屋さんに顔を出す。

 他のお客さんが会計を済ませたのを見てからニレさんに寄って行き、花束を作ってもらってお花屋さんを離れた。

 花束は春らしく紫一色にしてもらってたので、実にこの時期らしい。


「こんにちはぁ~」

「こんにちは。おや、いい花束ですね」

「春らしくしてもらいました」


 墓守さんに挨拶をして中に入り、先代の墓の前まで歩いて行く。

 あれ、他にも花束が置いてある。誰か来てたのかな。

 お花の状態からして二日前くらいかな、なんて思いながら花束を墓前に添えてしゃがみ、膝の上で頬杖を付いた。


「来ましたよ、おじい。

 聞いてくださいよぉ、騎士団の見習い採用試験でなんか勢いがすごい人に告白されてなんか無駄に長引いて、やたらと噂が広まったんですよぉ。

 なにあれ、なんであんな話広まってるの?もう意味わかんない。

 とりあえずもう解決したから良いですけど、なんで私に?って感じです。フィンさんは笑うばっかで助けてくれないし。


 まぁ、そんなこともありましたけど今年も無事に採用試験は終わりましたよ。

 今年のブローチも大盛況で、模造品がもういっぱい出回ってます。ちゃんと模造品って分かるように作ってるあたり、数年前のごたごたが相当面倒だったのが伺えますね。

 あ、そうだ。ブローチの作成ですけど、後継も見つかったんですよ。親方はまだ認めてないみたいなこと言ってましたけど、あれは完全に自分の後継として扱ってます。素直じゃないですよねぇ。


 あ、そうだ。それとねおじい、新しく取引先が増えるかもしれないです。

 リュバチートから一人、別系統でお店を始める方が居るんですよ。

 ドレスじゃなくて、小物とかを作るのが好きな人でしたからね、いつかは自分のお店を開きたいって言ってましたし、リュバチートのお姉さんたちも手伝ったらしいです。

 楽しみですねぇ。お店の名前何になるんでしょう。


 ……さて、じゃあ今回はこのくらいにしておきます。

 ばいばいおじい。また来ますね」


 立ち上がってきた道を戻り、墓守さんに声を掛けて外に出る。

 そのままのんびりあるいて大通りの一角で立ち止まり、時計を確認していたら足音が近付いてきた。

 顔を上げるとフィンさんが立っていたので、寄って行って横に並ぶ。


「やっほーエスティ」

「こんにちはフィンさん」

「このままご飯行く?まだちょっと早いしどこか寄ってもいいけど」

「じゃあ一軒行きたい雑貨屋さんがあるんですけど、いいです?」

「いいよ~」


 予定よりちょっと早いけど、合流したのでフィンさんの手を引いて前から気になってた雑貨屋さんに向かうことにした。

 前からね、気になってたけどちょっと忙しくて行けなかったんだよねっ!

 フィンさんも好きだと思うんだよねぇ。


「こっちです」

「エスティがこのあたりのお店新規開拓してるの珍しいね」

「常連の子が教えてくれるんですよ。雑貨屋巡りが趣味な子が居ましてね」

「アンシークも雑貨屋みたいなものだもんねぇ」

「そうですよ。みたいなっていうか、代々雑貨屋ですからね?アンシーク」

「え、そうなの?」

「そうですよ!?」


 むしろ今までなんだと思ってたんです!?

 なんて叫びながら通りを進み、目的のお店を見つけて中に入った。

 落ち着いた雰囲気の店内では、若い子だけでなく少し年代が上のマダムたちも楽し気に買い物をしていて、なんともいい雰囲気だ。


 こういうお店好き。いいよね、落ち着いた雰囲気のお店。

 私がやると飾るの楽しくてどんどん装飾が増えるから、あんまり落ち着いてない店内になる。

 なんでだろうなぁ。やっぱり装飾の多さなのか、量よりも飾るものの所為なのか。


「あ、見てくださいフィンさん。イヴィさんみたいな色のハンカチありますよ」

「んははは!ほんとだ。え、買おうかな」

「仕事に持ってくんですか?」

「隊長に差し出す用のハンカチにするわ」

「どこで出番があるんですかそれ」


 笑っちゃったじゃん。どこに需要があるんですかそれ、イヴィさんそんなハンカチ差し出されるような人じゃないでしょう。

 本当に買うらしいフィンさんに笑いつつ、店内を見て回る。

 あ、なんかカワイイ木彫りの置物がある。ちっちゃいの可愛いな。


「お?買うの?」

「どうしましょう。可愛いですけど、昔こういうの買いすぎて先代に怒られたことあるんですよねぇ」

「エスティも怒られることあるんだ……」

「片付けきれなくなった辺りで流石に怒られました。それからあんまり買わないようにしてるんですけど……可愛いなこれ」

「水鳥?」

「ですかね?あまりにも丸いですけど」

「丸いねぇ」


 真ん丸で小さな木彫りの鳥は、裏側にしっかり足も彫り込まれていた。

 ……可愛いな。カウンターの内側辺りに置いとこうかな。このくらいなら邪魔にもならないし……


「えーっ。どうしよう」

「買っちゃえ買っちゃえ。木目で柄違いみたいになってるから選ぶの楽しいぞ?」

「すぐ唆してくる!これ色薄い方が可愛いですかね?」

「買う気じゃん。色は好みでしょ、自分はこのくらいの色が好き」


 ええい買ってしまえ。このくらいの大きさなら邪魔にもならないし、店番のお供にしてくれるわ。

 せっかく初めて来た店で可愛いのを見つけたんだから、買わないと後悔しそうだしね。

 こういうのは次に来た時には無くなってるんだ、私知ってる。雑貨屋の店主だから詳しいんだ。

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