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?????

 

 電征がいる。それを伝える為にレールガンの例えを出したのは、電征が至近距離で使う技として有名なのが理由だ。国から独立した自治区を持つ際に、当然だが国はこれを反対して軍を差し向けた。まあまだその時は――現在も取れているとは言い難いが――軍の統率が取れていなかったのも、彼が勝った大きい要因と言える。

 しかしまあ、それでも軍は強力だった。なんせ種族進化と固有スキルをしっかりと使える者が百人近く存在したのだから。だが電征はこれ等を圧倒して、数人を生かして国に突き返した。その際に有名となったのは近代兵器の完全無効化と、周囲から金属製の物を射出する力、そして近づくと認識不可能な速さの即死攻撃(レールガン)だった。


「電征のもう一つの異名は、アンチウェポン。でしたっけ」

「まあ最近に限らず、武器って言ったら電気や磁気に反応する素材ばっかりだしな」

「先輩は違いますよね?」

「はあ、お前もか。俺は武器を大量に保持しているだけで、魔力で造ってる訳じゃねえよ」

「へえ〜」

「興味なさげだな」

「ええ、まあ」


 はあ。まあ確かに魔力で武器は作成できるが、非常に非効率だ。俺は使わない。昔それを得意としたやつは知ってるが、ソイツみたいに強度や能力やらをコピーはできん。できるがやらない方がいいんだよ。無手の方が強いしな。


「さて、()()()()()()()()()()()、一応の対策だ」

「先輩が戦いたくないって、相当ですね」

「どうしてなのだ?主人。強さでは主人の方が上ではないですか」

「何となくだ。大した理由なんて無いから、何となく。ただまあ、強いて言えば懐かしいから、かね」


 電征の話を聞いても何も思わなかったが、チラリと電征を見て思ったのだ。戦いたくないと。シルヴィアが言う通り勝てる勝てない、殺せる殺せないなどの勝負ならまず勝てるし殺せる。が、なんとなく懐かしさを感じるので、できればそんな事にはなりたくない。

 そんな俺の戸惑いを感じとったのか、はたまた別のことを思ったのか分からないがカレンが率直な意見を述べる。


「具体的にどうすれば良いんです?魔法くらいしか効果無さそうじゃないですか。反磁性の武器なんて知りませんよ、私」

「私の武器のミスリル合金はハンジセイ?を持っていると言われました」

「へえ。……何製って?」

「ミスリル合金です」

「うん、参考にならないわ」

「俺は何製かは分からんが、磁性は帯びてないな。帯電性も無い」

「私は練成鉄ね。まあほぼ鉄と同じって言われてるわね」


 三人、いや二人でどうするか考える。なお普通に戦えるが、電気などの性質には未だ詳しくないシルヴィアは戦力外だ。雑魚相手に無双できる力があるだけ良しとしよう。レールガンの射程は短いし、雷程度なら避けながら無双できるしな。

 そしてカレンは…結構厳しいな。元々が回復担当で戦闘を軸としたものではない。のだが、なんとコイツ、訓練と称してソロでダンジョン攻略をしていたのだ。戦い方は即死攻撃を避け、他は常時回復魔法を使い倒すというアホみたいな方法らしい。


「いやお前馬鹿かよ」

「でも実際有効ですよ?特に相手が知性を持ってると」

「いつか痛みでショック死しても知らねえぞ」

「その為のコレです」


 そう言って見せたのは刻印だった。両腕に黒い文字が書かれて、変則的な魔法陣を形成していた。この効果は、


「弱点を頭部に指定して、それ以外の破壊では即死しない術式。……コレって禁呪じゃねえか?」

「そうなんですか?」

「いや考えてもみろ。オートで部位欠損を治す装備を着けるかすれば、まず死ぬ事は老衰と頭部消滅以外に無くなるんだぞ」

「まあその前提条件がキツいからバランス取れてるんじゃないですか?」

「……まあそうだが」


 そう言ってなんとも言えない空気の中思う。


(いやお前その装備品持ってるじゃねえか!)


 その装備品はダンジョンの深層部の宝箱、さらにいえば確率は一パーセント程度と、そんな尋常じゃないレベルの強運が無ければ手に入らない代物だ。ただまあ、それ故に知られていないので俺が突っ込める筈もない。鑑定不可の装備解除不可だからな。体当たりで実験する他、知る術は限られる。


 茂みに隠れて電征のいる場所を双眼鏡で見る。まあこの双眼鏡は特別な魔法道具だ。そしてまじまじと電征を見て、改めて思う。懐かしいと。











 ???視点


 タクミが隠れているのを知り頃合いかと見定めるべく思考を巡らせる。


「そろそろ、そろそろなのかしら?……実力は良し。周囲の魂は回収した。後は、然るべき場。うーん……時間が必要ね」


 その者は()()()()()()()どこか愉しげそうな感じでそう結論つける。その言葉の意味は、タクミに言ったとてわからないだろう。だが、時に縛られない存在は一人では無い。


「タクミにちょっかいをかけるのは止して欲しいわね」

「あら、概念精霊が話しかけてくるだなんて、珍しいこともあったわね」

「貴女のしたい事はタクミの記憶から大凡検討がつくわ」

「止めろ、とは言わないわよね?レーツェルさん」

「ええ」


 そこに居たのは精神の概念精霊、そしてタクミらが地獄を過ごした時代に初めて契約したレーツェルだった。

 そんな存在に対してどこか面倒くさそうな雰囲気で話しかける女性は、先ほどまでの愉しげな雰囲気を無くしている。どうにも好き勝手できると思っていたのを中止させられた子どもの様な雰囲気だ。

 そんな雰囲気を察してレーツェルは此処に来た意図を教える。


「貴女の邪魔をしたい訳じゃ無いのよ。ただの確認」

「何かな?」

「先ずは確認。あの子(タクミ)の青春とも言える時が良いのかしら?」

「青春、ねえ。私は「少年」だと思っていたけれど、まあそうね」

「そこに私は居るのかしら?」

「………アッハハハハハ!まさか!概念精霊の口からそんな事を聞けるだなんて、思ってもいなかったよ」


 心底面白そうに笑う女に、少し照れてるのか拗ねてるのかわからないが、乙女チックな表情をするレーツェル。だがその口から否定の言葉が出ないのは、自分でも相手の立場ならばそう思うからだろう。


「ぷっ、ふっ……ダメだ。アハハハハ」

「それで、返事は?」

「………ふぅ〜。ま、答えから言えば居るよ。主要メンバーは()()()ね」

「そう、なら良いわ。それで、次かしら?」

「そこなのよね〜。まあ多分、あと一、二回かしら?」

「そう、なら楽しみに待ってるわ。姐さん?」


 そんな会話を最後に、そこは()()()()()


はい、次回はしっかりと最後まで書くと思います。まだ書いてる最中なので追いつけず残念ですが、またいつかお会いしましょう。


読んでもらいありがとうございます。

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