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精霊との出会い。精霊の必死の営業とも言う

 

 前回のあらすじ。過ぎたるは及ばざるが如しという言葉を実感する事になった。ルーザーめ!…いや違うな、さすがに操られてるのを分かってて責めるのは間違いだ。てな訳で、師匠め!!ゆるさまじ!


「はあ、ったく面倒な事この上無い」


 血散遼刃で倒した触手目玉の次は木々の擬態祭りだった。それも俺がなるべく通常の木を傷つけないと知ってのことなのか、通常の木に紛れている上にタフだ。とんかちではなく大きめのハンマーなり斧なりで攻撃したいが、木々の隙間が絶妙に狭い。そのせいで上手くいかない。

 そうして溜まりに溜まったストレスを発散すべく、デカい木に到着。木の枝や根を伸ばして攻撃する巨木を滅多斬りにしてストレスを解消していく。そしてラストは輪切りにしてフィニッシュ。


「はぁ〜〜。生き返るって感じだな」


 何となく縛りプレーの一環として使わなかった煙管を使い、精神の安定を図る。それがどれほど凄いかと言うと、霧が立ち込む中襲いかかる妖精がブラック企業に勤める友人のような顔をするくらいだ。善性妖精は効かないのですぐに分かる。

 そしてスイスイと勘で進むこと十分。そこには池、いや湖か?が広がっていた。今度はドラゴンだろうかと思っていれば、何も起きなかった。いやマジで。何も起きない。暇なので木に寄りかかって煙管を吹かしていれば人型のナニカが出てきた。


「あなたの落とした物はこの聖剣ですか?それともこの見窄らしい剣ですか?」

「どっちも違うな。というかその「見窄らしい剣」とやらは聖剣よりも良い物に見えるが、何かの引っかけか?まあそもそも剣を落としていないんだが」

「正直者の貴方にはこの聖剣を「要らない」…この聖剣を「要らんって言ってるだろ」」

「そもそも俺は剣を使わない。使える、或いはちゃんと使おうって気概のあるやつに渡せよ。宝の持ち腐れになるだろ」


 そう言って俺は水の上にいるヴィヴィアンさんそっくりの精霊に告げる。この手の物語は飽きた。展開が読めてつまらない。そう言う思いがどんどん湧いてくるので一服すると、目の前の女性の精霊が泣き始めた。


「うう、だってこう言えば姉さんは良いって言ってたもん」

「女を虐める趣味はないが、忠告として言わせてもらえばその姉さんは信用し過ぎるなよ。多分お前をいじって遊んでるタイプだ」

「そんな!だって髪をすいてこうやって綺麗にしてくれるよ!美味しいクッキーをこんなにくれるよ!家を綺麗にしたら褒めてお茶だって淹れてくれるもの!!」


 そう言ってリボン結びやら花を飾るために捻ったりしている髪の毛を見せて来て、美味しいクッキーと言ってどう見てもカントリ◯マアムを見せてくる残念な水の精霊さん。


「なあ、家ってお前の普段住んでる場所から離れているのか?」

「そうね。だいたい片道10時間程度かしら」

「また微妙に永遠を生きる精霊らしい、無駄に贅沢で良いのか悪いのかが分からん時間だな!」

「良いのよ!」

「良いのかあ」


 現実を言った方がいいのだろうか?髪の毛は遊ばれていて、決して人前で見せるような髪の毛では無いですよって。美味しいクッキーとやらは市販の少し高い程度の品で他人に自慢できるレベルでは無いですよって。家を綺麗にするために人を呼ぶのは間違っていますよって。

 真実とは残酷だよなぁと思いながら伝える事にした。だってもう見てられないだろう?しかも人前に出てきて誇らしげに言うのはちょっとね。まあカン◯リーマアムは人によりけりだけど。


「いいか?その髪の毛は遊ばれているって言うんだよ。人前でしていい格好じゃ無いよ」

「え」

「そしてクッキー。これはカント◯ーマアムと言って庶民が結構簡単に手に入る物で、他人に見せても羨ましがられないよ。むしろ贅沢だって思ってたら残念な人って思われかねないよ」

「ええ」

「そして最後に家を綺麗にするために人を呼ぶのは間違っている。まあ一概にはそう言えないけど、ちょっと精霊がそうだと皆んながガッカリするから自慢するのは引けるね」

「えええ!?」


 総評、残念美人な変な髪の毛をしている湖の精霊に見えます。まあ口には出さないけど、実際俺にはそう見える。だって他の人の前でorzの体勢をしてる奴なんて漫画やアニメでしか見たこと無いよ。


「それで、遅くなりましたが何か用なんですか?」

「…シクシクシク。……ふえ?ああ実はですね、契約をして欲しかったんですよ」

「無理ですね」

「そんな!?」

「知ってるか分かんないですけど、自分ヴィヴィアンさんに他の湖の精霊とは契約しちゃダメよ〜って言われてますんで」

「ヴィヴィアンお姉様に!?…本当だ。じゃ、じゃあ紹介するから少し待ってて!!」


 ザブンと再び湖の中に入って行く名も知らぬ残念美人な精霊さん。そして聖剣と謎の見窄らしい剣を置いていった事に若干の驚きを感じている。普通こんな大事そうな物は置いていかないよな?……試しに手に取ってみれば聖剣は点滅し始めた。もう片方は、風が集まってきた。

 何か意思があるようにも感じる二振りの剣。俺って剣士じゃなくて侍なんだよなぁ。と思いながら力を込めて聖剣を振り抜いてみた。


 ―ズドドドドドオォォン

「…うそん。なんか出たよ」


 光の波が出て湖の上に光が立った。物凄い轟音と共に。すると右手に持っていた見窄らしい剣が自己主張(?)をし始めた。風が渦巻き始め、「使って?ほら、ほら!」みたいな感じの雰囲気になってきた。

 仕方ないので使おう。未だに立ってる光の柱を吹き飛ばすイメージで剣を縦に振るえば、


 ―キイィィイイイイン

「うわー、凄いなー(棒)」


 光の柱が吹き飛び湖ごと真っ二つにした。あ、残念美人な精霊さんが誰かと共に唖然としてこっちを見てる。手を振ってにっこりしてみる。顔を引き攣らせUターンをしてどこかに消えていった。うーん、こう自分に非があるのは分かってても、美人に逃げられると心にダメージがあるな。

 見窄らしい剣の方がドヤっている気がする。ただまあ、俺は刀あるんで浮気はちょっと。そう言ったその瞬間まるで何事もなかったかのように反応が薄くなった。なんかイメージとしたらチラッチラッとこっちを見てくる感じだな。


「ふむ、じゃあ相棒の力見ればいいさ」


 ドスッと地面にふた振りの剣を突き刺し刀を構える。竜巻となっている湖の上に目標を定めて、


「竟刃」


 再び湖ごと真っ二つにした。今度は何か大きな斬った感覚と障壁を斬った感覚があったので、もしかしたらと思い湖の中を見れば残念美人な精霊さんと、見知らぬ格の高そうな精霊さんが信じられない!といった顔でこちらを見ていた。あ、障壁はあの知らない精霊さんのものか。

 にっこりと笑顔になって手を振ってみれば二人が一瞬で消えた。うむ、知らない精霊さんも中々美人なのでショックが二倍だな。一日のうちに二度も急激にUターンされるって経験中々無いんじゃない?


 刀を仕舞えば二振りの剣からは「使って!」という感じが無くなり、代わりに「是非お供に!」的な雰囲気になり始めた。うーむ、武器には好かれるが精霊には逃げられるか。悲しい!

 にしても相棒は意思がこの二振りの様には無いのか?いや強力な意思が無いのか?こう、何々したい!みたいな欲求というものを感じない。強いて言えば強い芯だけがある気がする。


「む?」

「知りたいかしら?」

「知りたいっちゃ知りたいが、急いては事をし損じるとも聞く。ゆっくりと対話して行けばいい。ところでどなた様でしょう?俺は村正タクミです」

「良い子ね。私は概念精霊という類いのものよ。名前は無いから名乗れずにごめんなさいね」


 俺が気づいたらそこに居た、という恐ろしい程の実力者。それはチャイナ服の様なものを着た自称精霊だ。感じる圧力は生半可なものでは無い。正しく、バケモノ。これほどの高位の精霊は過去世にでも四度ほどしか会ったことの無いレベルだ。一度はヴィヴィアンさん、おそらく武器の概念精霊。二度はいつだったか数えるのも億劫になるほど前に出会っただけの時空間の概念精霊。三度は「世界」を旅した時に話した森の概念精霊。そして四度は地獄時代に何故だか契約を果たせた精神の概念精霊。

 概念精霊とは話すだけで、約束するだけで力を得られる。しかしそれだけで自分の行動に制限がかかる強力極まりない存在だ。事実俺は森の概念精霊と「無闇に木々を傷付けない」と約束して転生した今でもその約束は続いている。契約したらなおのことだ。


「概念精霊はたしか『世界』が設定した、しかし『世界』からの束縛を離れたにも関わらず管理をしてくれている物好きって認識であってるか?」

「ええ。貴方が『世界』を超える力を持つのに、復讐する権利があるのにそれを行使しないのと同じよ。モノ好き同士ね」

「チッ。それで、何用だよ?」

「ふふふ、ここは精霊の祠。精霊と契約するための窓口なのだけど、貴方は既に精神の概念精霊と契約しちゃってるから下手に誰も契約できないのよ。そこで私よ」


 精神の概念精霊とは契約して、その契約は今も変わらず続いている。そして俺が概念精霊と同格に達した故にその契約は破棄される筈が、この精霊曰く契約しちゃってる、つまりは知らぬ間に更新されてるって事。そしてそれを知ってるのは、


「お前ってそんな感じだっけ?もっとこう少女っぽかったよな?」

「あらやっと気づいてくれた?」

「いやまあ、あー違うな。気付くのが遅れてすまん」

「ええ許しましょう。それで姿よね?これは貴方の精神が成長した証よ」

「…言うのが遅れたな。久しぶり、レーツェル」

「ええ、久しぶりね。タクミ」


 名前を呼んで抱きついた瞬間、レーツェルとニノ太刀要らずの刀が光り、レーツェルの纏う衣服が綺麗な着物に、紋様の無かった鞘には梅の花が彩られた紺色の物に変化した。


「私は今、貴方の刀が依代になったわ。これからもよろしくね」

「ああよろしく」


 精霊との契約はいくつか種類がある。一つは対価、或いは供物を差し出し力を借りる。二つ目は試練などで選別したり色々して気に入られる事で力を借りる。この場合は相手が飽きたら――あんまりこの心配はしなくて良い――力を得られなくなる。

 三つ目は口頭で約束をして、こちらがそれを守ってる限りは力を得られる。相手との格差にもよるが、最悪の場合は力を失うどころではなく魂が死ぬ。まあ簡単に言えば消滅する。俺はこれを森の概念精霊と行い、自然の中では感覚が鋭敏になり、成長速度も大幅に上がる効果をもらった。

 四つ目が何か依代に宿ってもらいそれを利用することで力を得る。この場合はまず力を失うことは心配せずともよく、代わりに他の精霊との契約が難しくなる。よっぽど気に入られるなどして、長い契約――精霊側の感覚なので非常に長い――をするとこの契約方法に移行する事がある。大抵強大な力を得られる。


「それで、一体契約はどうなったんだ?」

「ええとね。精神系の魔法などの術のあらゆる効果が上がる、精霊系の攻撃は一切無効化する、他の人の心の色で気持ちなどが分かるの三つの効果を得られるわ。代わりに私以外の精霊との契約は試練を超える事でしか不可能、この依代は絶対に出したまま携帯する事、私に構う(・・)事よ」

「ラストの意味ってそういう事?」

「女から言わせるつもり?別にスタイル良いしいいでしょう?」

「まあそうだな。その…お手柔らかに」


 にっこりと笑うレーツェルの頬は少し赤く、俺もまた顔が真っ赤になってるのを自覚した。




 ナニがあったかは聞かないでくれ。

 冷静になった頭で、そういえば聖剣と謎の見窄らしい剣や湖の精霊はどうなったのかと疑問に思って見回せば、一本の槍が紙と地面を突き刺して立っていた。立って紙の内容を見てみる。


『これ以上は不敬なので紙で伝えさせて貰います。』

 聖剣と嵐の(つるぎ)はしっかりと回収させてもらいました。この子たちにはしっかりと言い聞かせておきますので安心して下さい。

 また精霊契約に関しましてはノンスタンダード級精神の精霊様と契約なされたと判断しました。この世界からの出方は精神の精霊様にお聞きくださいます様お願いします。

 ご迷惑をお掛けしたお詫びに特級精霊の方々が一から創り上げた槍をお送りします。銘は無空です。どうぞお納めください。大変申し訳ない事に、聖剣などと同様意思を持つ武器になっています。しかしその効果は絶大ですのでどうぞよろしくお願いします。

 精霊を代表して名もなき湖の少女より


 うーむ、受け取らないといけないのは文面的になんとなく分かる。何というか、悲壮感というか、上司に言われてやりました感が半端ない。特に最後の方は泣きながら書いたのだろう、多分涙だと思われるものがぽたぽたと落ちて若干滲んでいる。

 しかしまあ、


「レーツェルと相談しないとな」

「あら、良いわよ。その子はいい子だから」

「そうなのか?」

「ええ。んっ、まあ浮気にはならないわよ。それにタクミの戦い方にもぴったりだからね」

「それはありがたいが、大丈夫か?」

「もう、激し過ぎよ」

「す、すまん」

「いいのよ。それじゃあ手に取って、ここを去りましょうか」

「そうだな。じゃあ無空よ、旅に出よう」

「私じゃないの?嫉妬しちゃうわ」

「お前は相棒だからな。置いて行って欲しいと言われても連れて行くさ」


 自分でもよくこんなセリフ言えるなと感心しながら無空を抜けた。その瞬間、光で満ち溢れ、俺たちはそこの世界から消えた。




「あら、起きた?」

「ん〜、ん?ルーザーか?」

「ええそうよ。妖精の試練クリアおめでとう!」


 そう言ってキラキラと魔法を使ってCongratulations!と書くルーザー。一体全体どういう事なのか説明を促す。


「妖精の試練はその人物を精霊の祠へと向かい入れる技のようなものなの。そして私が今回使っちゃった精霊の祠でも特別な場所に送る魔法は、失敗したら死ぬ危険もある本来なら妖精の試練としては使わない場所よ」

「でも使ったと。まあ結果的には良かったんだが」

「それについては弁解の余地はないわ。だからこそお詫びも込めて、貴方お付きの妖精になりました!」

「……は?」

「貴方お付きの妖精になりました!」


 状況を一つずつ整理しよう。先ず妖精の試練とは精霊の祠へと向かい入れる技で、その途中に師匠からの介入があった。その際に本来なら通常の精霊の祠へと向かう筈が、何故か使えた操作されてたルーザーの手によって「特別な」精霊の祠へと向かわされた。

 そしてまあストレスを溜めることの連続の試練を超えてなんとか精霊と出会った。そして精霊の必死のセールスに根負けして…じゃなくて、必死の契約者を探した末にレーツェルと出会った。まあそこで色々あって、無空という銘の槍をゲット帰還した。

 そして今、実はそのストレスを溜めることの連続の試練というのは間違いだと知らされた。しかしクリアしたのは事実で、試練を与えてしまったのもまた事実。なのでお詫びをしないといけない。


「…それでお前がお付きになったと?」

「イエース!その通りです」

「何かメリットは?」

「ふっふっふっふ。聞いて驚け!私は実はノンスタンダード級に片足突っ込んでる高次元の存在なのだ!」

「へえ〜」

「え、何その薄い反応。もっとこう「な、なんだってー!?」みたいになってもいいじゃないか!」


 そうしてピーチクパーチク煩い。すると腰に装備していたニノ太刀要らずの刀がひとりでに立ってルーザーを叩き落とした。ええ〜、実力行使っすか。


「痛っ!?何よ!この刀…は?」

「精霊の祠とやらで出会い、契約したノンスタンダード級の精神の概念精霊のレーツェルです」

「はい?……本当じゃん。負けた…」


 ずーんとなってるルーザー、勝ち誇る姿が幻影で見えるニノ太刀要らずの刀(レーツェル)。実に仲がよろしい様で何よりだ。だがまだ聞きたい事が多い。


「それで、お前とは契約か?それとも単なるお付きか?」

「契約だよ〜!」

「復活早いな。はあ、じゃあどんな奴なのか聞いていくぞ?」

「オーケー!」

「ふぅ〜」

「ゲホッゲホッ。ちょ、酷くない!?」

「煩い。自業自得だ」


 煙管を吹かして煙をルーザーに当て遊ぶ。

 妖精との契約は精霊ほど堅苦しいものではない。正確に言えばデメリットが少ない。要は契約を破った時のダメージが少ないのだ。だがそれは、普通の(・・・)妖精の場合だ。コイツは試練を特別なものに変えれる実力と他の妖精を纏めるだけの格がある。普通とは言えないだろう。


「じゃあまどろっこしいのは無し。お前はなんだ?」

「はあ〜。可愛くなくなっちゃって、悲しいよ。…良いよ、答えてあげる。私は、いやボクは半精霊。精霊のなり損ないさ」


 曰く、精霊とは世に溢れている概念に対する思いの結晶なのだと。まあ知ってたけど、空気を読んで言わない。

 そして精霊には階級が存在して、階級によって知識量や自由度が変わるそうだ。まあ知ってたけど、空気を読んで以下略。

 半精霊とは概念に対する思いの結晶化をする際に、別の概念の思いや知識が入る事で生まれる存在。自由度は高く知識量も多いが、その存在が複合的なものなので階級が無いそうだ。まあ知ってたけど、空気を以下略。

 階級が存在しないとステータスアップも難しく、しかし生まれ方は簡単なので多く存在する。ただし複合の組み合わせが悪ければ即消える&ステータスが低くても即消える。まあ知ってたけど、以下略。

 努力を積み重ね無いと消える(死ぬ)という性質上様々な生物に攻撃を仕掛ける故に邪精霊などとも言われてしまうそうだ。まあ知ってた以下略。


「――そうしてなんとか努力していた時に出会ったのが、君の祖父母だよ。あと少しで存在が安定できるラインまで行く時だからね。殺すつもりで攻撃したけど羽虫の様にあしらわれた」


 だろうな。爺ちゃんと婆ちゃんに挑むとか蛮勇以外の何者でも無い。あ、良かったな。「まあ知ってたけど、空気を読んで言わない」が全部以下略にならずに済んだよ!

 そんな事を思ってるとはつゆ知らず、話を続けるルーザー。…なんかごめん。


「そして事情を聞かれたんだよ。なんでこんな事してるんだ〜って。素直に答えたよ、死んだなって思ったから。事情を話したら訓練相手になるなら許すって言われてね。君のお婆さんと戦ったのさ」

「え!?爺ちゃんじゃねえのかよ!」

「?何を言ってるのさ。君のお婆さんは、お爺さんよりもずっと好戦的だったよ」

「衝撃の事実!!」


 最後まで聞こうと思ってたら婆ちゃんの方が好戦的だったという衝撃の事実に、思わず声を上げてしまった。


「まあ歳をとって変わったからね、彼女。それでも彼女と戦う事でボクは確実に強く、存在を安定できるラインなんて知らんってレベルまで強くなったのさ。君に契約を結んで欲しいのは、恩返しの一環だよ。彼女たちは凄く喜んでたからね「才能豊かな孫ができたのよ!」って」

「そして挨拶回りの時に、昔の癖で襲いかかったと?」

「その通りだと思う。ボクもあんまり分からないうちに攻撃していたんだよ。興奮がおさまらなかったんじゃ無いかな?」


 そうして婆ちゃんの昔話をツマミに、夜をふかしていった。とても暖かかった。

世界と「世界」と『世界』の違いについてはスケールが大きすぎるに書いてあります。そこを読んで下さい。正直言って作者も覚えていない設定が多いので(笑)

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