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妖精との出会い。或いは翻弄される愚者の話

 

 報告したい事を報告したら、何故もっと早く言わなかったと怒られた悲しんでるタクミです。

 報告の内容は先のアフリカ大陸でのミッション報酬で言語理解のスキルオーブをゲット&使用した事。言語理解の範囲がクラウスさんのそれよりも多く、未だに限界が見えない事。

 言語理解のスキルオーブだけでは無く、なんか呪いの物品が出て呪い――少なくとも解除不可――にかかった事を報告した。とりあえずは体には問題無いので多分大丈夫だけど、まあ鑑定は保持報告してるが鑑定は弾かれましたって報告だけ。


『はあ、これで報告は終了?』

「あ、あと渋谷の攻略した物品はどうすれば良いすっかね?」

『オークションに出せれる様な物があったかしら?』

「伝説級物品鑑定のスキルオーブ、希少級ポーション五個、飛来物無効のカバン、火精霊のフルートかな。鑑定書付きだよ」

『…はぁ〜。了解したわ。帰ってきたら私に渡して。手配は済ませておくわ』

「おう、ありがとう」


 希少級ポーションと聞くと大したことないかと思われるかもしれんが、その効果は変に治った複雑骨折が綺麗に治り、傷ついた直ぐなら腕や足が有れば千切れていても引っ付く。先天性の欠損には効果が無いのが欠点だな。




 そしてそんな事を思ったのが昨日のこと。目の前にずらっと並べられた唐辛子スプレーのみが大量に入った収納系アイテムとガスマスクを見て思うのは、この作戦はやる側の負担をあんまり考えてなかったなって事。

 実際に「え、これやるの?」って顔をしているクラウスさんと、「唐辛子スプレー使うなよ」って顔をしてるベルーゼが実に嫌そうな顔をしているのを見て実感した。とりあえず二人には風向き考えて使えとしか言えんな。


「よし、じゃあ行くわ。お先に失礼します!」

「あ!おい待て!」

「発案者君だよね!?」


 非難がましいというか実際に非難してるだろう二人を置いてダッシュでその場を去る。もちろん支給されたスプレーとガスマスクは装備している。シュコーと呼吸音を立てながら森に突撃して行った。



 森に入ればすぐにモンスターと遭遇する。というか森に入る前からゴブリンならいた。顔面にスプレーをかけて放っておく。後で誰かが殺すだろ。


「ん?いやいやいや。……ええ〜、弱っ」


 ゴブリン十体にかけたところ、もがき苦しんで死んだ。フレンドリーファイアが怖いからそんなに強力な唐辛子系を使ってる訳では無いだろうし、単純にゴブリンが弱いだけなんだろうけどさ。まさか死ぬとは思わんよな。専用のダンジョンじゃ死ななかったし。

 一応後で報告する為にメモしておこう。今後はゴブリン見つけたら顔面噴射だな。




 森にレッツゴー!と意気込み進む。ガスマスクは視界を制限するが、高レベルのダンジョン攻略者には大したことはない。理由は視界でも聴覚でも無く感知系スキルでダンジョンを進めて行くから。ダンジョンでは視界が悪い事も、音を立てないで動く敵も、そもそも実体を持たない敵も存在する。そんな中で五感に頼る人物はそうそう居ない。

 だが、皮膚がチリチリとする様に、感覚的に感知するのもアリっちゃアリだ。何故そんな話をするのか?それは今俺が幻覚を受けてるのでは無いか?と疑問に思う事態に直面しているからだ。それは、


「火の妖精?」


 妖精が居たからだ。別に妖精自体は珍しい程度で済む。ダンジョンで見つけた時は驚いたが。だが妖精というのは精霊とは違い、その属性を持つ「環境」に居ないと力を維持できないのだ。精霊は「環境」を好んでいるだけで、別に存在を維持するのには必須では無い。しかし妖精は違う。必須なのだ。

 また、


 ―ボンッ

「チッ、攻撃性も高い!?」


 ダンジョンでは妖精はモンスターとして、倒すべき敵として出てこない。何を思ったのか倒した攻略者が居たのだが、称号に【妖精殺し】がついて攻略どころでは無くなったそうだ。ちなみに俺は妖精には既に出会った事があったので、ダンジョンで会っても攻撃する事はしなかった。爺ちゃんありがとう!

 そして妖精は知恵もある程度持つ。なのでそう簡単には攻撃してこない。はずなのだが、


「なんで攻撃する!?」


 分かっただろうか?この説明の時点で既に二つ、おかしな部分が存在する。一つは周りには火に関するもの――具体的には活火山など――が存在せず、もう一つは問答無用で攻撃をする筈がないのだ。そしてタチの悪い事にこちらからは攻撃不可ときた。とりあえずダッシュで逃げる。…追いかけてくる!?

 どうする?どうするどうするどうする!?…あ!


 ―プシューー

「あ、落っこちた。死んで無いよね?」


 唐辛子スプレーをぶっかけたら泡を吹いて落っこちた。死んでは…無さそうだ。水魔法で体を洗って放置する事にした。


「ごめんな。俺にはやる事があるんだ。なんでこんな危険地帯にいるのか分からんから、とりあえず結界の中で休んでくれ。しばらく動けんだろうけど」


 固定結界を張って保護しておく。今日はここを拠点としようと決め、ここら辺に大きめな結界を張る。強度は高くないが攻撃された時には結界内に居るものが固まる特殊な結界を張ってその場を去った。






 スパッと斬る。ズドンと押しつぶす。ブシャッと貫く。ひたすらそれを最適化させる。全て唐辛子スプレーをかけた後で。もうね。何も特筆すべき事が無い。だって出てくるのはゴブリン、コボルト、オーク、スニークスネーク、ブラッドバッドの五種類だけ。ゴブリンとコボルトは頭を射って、スニークスネークとブラッドバッドはハンマーで叩き落として、オークは槍で心臓を一突き。

 これのどこに言うことがあると言うのか。単なる作業プレーでざっと二時間で千体倒し終わった事か?出てくる量が多い事か?唐辛子スプレーをかけるのが面倒だという事か?


「あ゛あ゛あ゛あー、もっと奥に行きたい!冒険したい!作業は辛い!得る物がショボい!」


 もうね、弓矢は陰陽術で百発百中。武器を操る練度は手で扱う技量と同じくらいになったし、武器を創り上げる速度も精度も文句なしになってきたし…あとはもうスプレーをかけるタイミングが合えば完璧ってレベルまできてるんだよ!

 自分でとりあえず三時間。って決めてなかったらとっくの昔に拠点にした場所に戻ってるわ!なんか過去の自分に負けた気分になるから続けてるけど正直もうやだ。時間まであと…10分!!頑張れる!筈!



「終わった〜。もうやだわ。奥に行けるのは明日からだけど、スプレーも残り三本だし休もう」


 ふらふら〜っと拠点に向かうと、おや?光が結界の中にいっぱいある。他の妖精が集まったのか?

 結界の中に入れば案の定妖精がいっぱいいた。っていうかこんなにこの森に集まっていいのか?まだ浅い場所だからと言ってもモンスターうじゃうじゃいるぞ?


「ん?んん!?」

「やほー。タクミくんだったよね〜?」

「……ルーザーだっけ?」

「おお、覚えていたのかい?嬉しいなあ」

「いやまあ、印象的だったからな」

「そうかい?」

「そうだ、と思う」


 そこに居たのは婆ちゃんの自称友達のルーザーという名の妖精?だった。身長は三十センチほどと普通の(?)妖精よりも一回り大きいが、妖精の様に属性が目に見える訳では無く小人と表現した方が分かりやすいだろう。だが俺が?をつける理由は違う。コイツ大きくなれるのだ。



 コイツと出会ったのは爺ちゃんの知り合いのヴィヴィアンさんに会った時に、爺ちゃんではなく婆ちゃんに連れられて出会った。場所は何処か知らない森。姿は単なる人間にしか見えなかった。会って早々に蹴られそうになり避けたところから戦闘に発展した。

 まあ十数秒格闘戦をしてヒートアップする時に二発サスプレッサー付きの銃で足元を撃たれて急停止、犯人は婆ちゃんで結構怒ってたっぽい。即ヤバいパターンだわと思って即座に正座したら、小さくなったコイツが横で正座をしていたのだ。

 目をパチクリさせてみれば先ほどの妖精だとのたまう。ただまあ、怒ってた婆ちゃんの前なので嘘は言わんだろうと思い信用したのだ。そして婆ちゃんが、


『よくも(うち)の可愛い孫に、手を出そうと思うたな。ええ?…今はなんと言ってるんだい?』

『ルーザーです』

『……そうかいルーザー。じゃあ、説教はまた後じゃ。匠、戻るよ』


 といった感じでヴィヴィアンさんの所に戻ったという非常に短い邂逅だったのだ。ちなみにヴィヴィアンさんがかの有名ば湖の精霊だと言ってビックリ仰天した方がインパクトが強くて中々思い出せなかった。正直言ってちょっとインパクトに欠けるので、印象的と表現した。



「…うん、やっぱり印象的だったわ」

「そうなの?君がそう言うなら良いけどね」

「それで何用だよ。っていうか英国に居なかったっけ、お前って」

「国なんてどうでも良いじゃない。それよりも此処はウザったらしい奴が居るから来ない様に言ってたんだけど、来た子が案の定暴れちゃってね。その内の1人が」

「この火の妖精か。だから喋らんかったのか」

「そうなの」


 妖精は喋る。場合によってはダンジョン内でも協力してくれたりするし、事実組合はモンスターだと認定していない。とある研究者が近寄ろうと捕獲の依頼を出そうとしても、組合は全て却下している。それでも捕獲を試みた場合は発覚し次第賞金首になるので割りに合わない仕事として知られてる。

 というか殆どのダンジョン攻略者は一度はお世話になる。それが悪戯か、命の救済か、はたまた助言をしてもらうかして。そんな訳でダンジョン攻略者の間では会話できるってのは割と良く知られてる事だ。

 ちなみにダンジョン攻略者が出会った妖精は殆どの場合が土の妖精だ。他の妖精に出会うのは珍しいだろう。まあ俺は火も風も水も土も知ってるが。あと闇の妖精も。


「それで?そのウザったらしい奴とは誰だ?」

「何、興味あるの?」

「こうして知り合いが困ってるんだ。助ければ恩を売れる上に同じモンスターはウンザリしてた所でな、ちょっと殺してくる」

「頼もしいわね〜。流石はツボネの孫!」

「いいから。何処居て、どんな容姿なんだ?」

「ここから北に真っ直ぐ行けば会えるわよ。紫色で目玉と触手が浮いてるの」


 詳しく聞いたら、見た目はゲ◯ザーっぽい。距離は走って一時間くらいなので往復30分有れば大丈夫だろう。火の妖精にかけてた捕獲用の結界を解除して走る。これ以上アイツと一緒にいると嫌な予感がしたので逃げる様に走って向かう。

 ここは別に樹海の様に磁気がおかしくなっていないので方位磁石は使える。ただ100%信用はできないから困るんだがな。



「みっけ。本当に目ん玉が浮いてるし、触手が出てる。気持ち悪いな」


 近づきたく無いので目ん玉を中心に走って、弓矢でざっと十発撃った。うち一発は試しに魔力を分かりやすくして込め、もう一発は呪力を分かりやすくして込めた。

 すると魔力を込めた矢と呪力を込めた矢に反応して触手を伸ばす。止めれるとは思えないが触手に触れる瞬間二つを爆破させて加速させた。すると爆破の熱は触手を伝い本体にダメージを与え、矢は障壁によって防がれた。

他の矢は障壁に突き刺さってる。これは、


「物理無効化?なら、チェンジ・炎矢(えんし)


 突き刺さってる矢を炎に変換して向かわせた瞬間、全ての炎が新たに増えた障壁に当たってかき消された。


「今度は魔法無効化か?いや、最初の物理無効化した障壁は残ってるから。両方とも対策を取られたって事か?」


 分からん。その言葉を飲み込み、待機させてた槍で突いた。すると簡単に障壁を破壊して突き進んでグシャッと突き刺さった。しかし動じた様子は無く目線をこちらに向けられそうになった瞬間、その場をできる限り離れた。

 何か分からんが、ともかく目線を向けられたらゲームセットだろう。想像するに見た対象を狂騒化させる類いか?まあロクな事にはならんだろうな。視線上には入らなければ、先ほどの謎の悪寒は無視できる。木の上で息を整えて弓を射れば、グチャッと突き刺さる。

 うーん、いまいちダメージを与えている印象を受けないな。悲鳴も、血も、何にも動じない。って事は考えれるのは2パターン。

 アレは本体じゃ無くて実は何処からか本体が操ってる。

 アレには痛覚も血も存在しない。死ぬと動かなくなるので漸く分かるアンデットみたいなタイプ。


 試すべきか。矢に魔力を多く込めた物と霊力を多く込めた物に呪力を多く込めた物、そして今まで使わなかった氣を多く込めた物に分けてそれぞれが同時に着弾するように撃つ!


 ―ズドォンッ

「ビンゴ」


 氣を込めた矢は障壁を全て吹き飛ばし目ん玉に大きな風穴を開けた。魔力を込めた矢は二枚目の障壁を破壊して止まり、霊力を込めた矢は今まで無かった三枚目の障壁で止められ、呪力を込めた矢は二枚目の障壁に突き刺さっていた。槍が一本おしゃかになったが終了かね?


『normal mission clear!(一部公開)

 条件:ダンジョン樹海2-D-1のボス、フロウアイを倒した。

 報酬:DRポイント25、従属無効(所持済)、侵食ステージの開放、虹の宝箱一個』

『secret mission clear!!!

 発生条件:妖精からフロウアイの情報を得る。

 条件:従属された妖精を保護して、フロウアイを討伐する事。

 報酬:DRポイント100、妖精の友のスキル(所持済)、自在武器のスキル』

『Forced event!!!

 条件:妖精に会って妖精の試練を受けよ。

 報酬:???』

「また珍妙な。はあ戻ろ」


 そしてドロップ品を回収してさっと帰る。今日はもう眠い。疲れた。






 と思ったのに!


『じゃあ、早速で悪いけど試練を受けてもらうわよ!』

『何故?』

『必要だからよ』


 何故!?こうなった!!俺は心の中で悔やみながら経緯を思い出す……。



 拠点に帰ったら大歓迎された。いやそもそもここ俺が決めたベース基地。まあいいけど。そう思って感謝を伝えてきた妖精たちをとご飯を食べてさあ寝るか!となった時にルーザーから感謝をされた。


「ありがとうね」

「ん、もういいだろ。俺にも得はあった、それで十分だ。これ以上は毒だ」

「それでもよ。それ程に奴は厄介でウザったらしかったの。それに本来妖精は自由でいるのが生きる意味、なのに奴ときたら束縛状態にするからそれは生きる意味を無くすのと同然なのよ」


 妖精には生きる意味があるのか。そんな下らない事を考えながら焚き火の前で微睡み始める。ここは南も南、南極に近いというレベルだ。焚き火の暖かさが丁度いい。だからだろうか、いつもより警戒心が低かった。


「そうかい」

「そうなの。だからお礼をしないと」

「だからいいって。過ぎたるは及ばざるが如しだよ」

「じゃあ、早速で悪いけど試練を受けてもらうわよ!」



 そうしてなんの脈絡も無く始まった試練。眠く程よく微睡んでいた気分が吹っ飛び、なんの空間かさっぱりな場所に飛ばされた。飛ばされた瞬間見えたのは目が虚ろなルーザーの顔。あの顔には覚えがある。師匠が遊びで操った対象はああなるのだ。本気だとそんな表情はしないのだが、まあいい。ともかく、


(状況把握は完了した。あとは此処がどんな場所か)


 森フィールドで今俺は一歩も歩いていない。持ち物は全部持っているが、ニノ太刀要らずの刀のみが出せれる。つまりはいつも通り、戦闘時には特には関係無し。木々の間隔は少し狭い。周囲は完全に木のみ。空は暗い。

 心に余裕が出てきたので動く事にする。地面に切り傷をつけて、刺突短剣やとんかちを自分の周囲に生成して待機させる。眼は全力稼働させて歩き始める。四歩目、敵性妖精が複数現れた。即座に待機させてた刺突短剣ととんかちで殺す。モヤのように消えた。


「ふむ、氣以外は無効化されてるな。精神世界か。いや実体はある、精霊界とか言うやつでも無い。なんだ?」


 愚者の瞳がこの世界についての悉くを「不明」という結論を出している。そして俺の経験では、昔にあったような感覚なのだが…忘れて久しいからか中々思い出せていない。


(にしても数が多い。毎秒十体くらい出現していないか?)


 少しずつ削られてきてる感覚。そして肌がひりつくような強敵の気配がする。刀は抜かずに慎重に、そして肌がヒリヒリする感覚を頼りに進む。ちなみに敵性妖精と判断したのは、名前がどいつもこいつも「遊びに来た(殺しに来た)妖精」「戯れたい(首を切り落としたい)妖精」などと殺意増し増しの名前だからだ。

 っと、危ねっ。今あんまり考えずに殺そうとした個体が「遊びに来た(仲良くなりたい)妖精」だった。殺さずに接近を許しても嫌な感覚はせず、俺に触れたらにっこり笑って消えていった。中々にハードになってきたな。敵性妖精と善性妖精の差は勘と眼が頼りだ。疲れてきたが頑張る他ないだろう。



 そして歩く事一時間。漸くモブが消えて俺の精神が確実に擦れてきた感覚と共に、ヒリヒリと強い殺気を感じる。ここまで来てようやく敵の正確な強さが分かった。強いが、苦戦は許されないレベルか。縛りプレーでも問題ない。

 そして開けた場所に一人の大柄な男性(多分)が斧を持って立っていた。抜刀術だな。…構えて、


 ―キエェェェエエ!!

「一刃」


 斬る。そして仕舞えば首がスパッと斬れた。うん、まあまあ良しとしようかね。

 先の音は聴覚器官が反応することなく、不快な声(?)だけが聞こえた。精神攻撃なのか、はたまた別の原理なのか分からんが、擦り減った気がする精神にはダメージがあると思う。なんとなく勘だが。追加で何かが来ることも無いので開けた場所の中央に座る。

 精神的に疲労している時は寝るのが一番だが、寝る訳にはいかない場合は楽しい事を想像する。訳じゃ無い。余計に楽しい事に対して貪欲になって短期決戦向きに精神が変わるだけだからだ。まあ誰もがそうだとは限らないが。

 俺の場合は何もしない。ただぼけーっとして過ごすのが一番良い。さてと、休むぞ!




 しばらくして眼を開くと、瞑想をする前より気持ち周りが暗くなった気がする。立ち上がり体を動かしてストレッチをしていく。


「ん〜、よし!体が軽い。精神も安定して回復した気がする。行くか」


 そして今度は完全に感覚ではなく勘で進む方向を決めて進む。一応地面に矢印を切って書いておいた。まあ意味ないだろうが。

 進むにつれて段々とピンッとした雰囲気になってきた。出てくる敵性妖精も音を鳴らしてからしばらくして出てくるなどと、実に小賢しい方法になってきた。物量攻めじゃないならば、サーチ&デストロイだ。しっかりと攻撃する前に鑑定して敵かどうかを調べて攻撃する。


 ………どうも此処の世界の作成者は心底意地が悪いらしい。俺は対策を立てたら全員が静かになった。さながらアサシンのようだ。これが敵性妖精だけじゃなく善性妖精までも同じなので嫌になる。精神が削られていくのが分かりながら進む。

 む?開けた場所ではなくデッカイ木の洞がある。その大きさはフロウアイなる目ん玉がすっぽりと入るサイズ、そして木の洞には木の色に似たフロウアイもどきがいた。木の枝が伸びてきたのを感知して、


血散(けっさん)遼刃(りょうじん)


 刀を抜いて技を放つ。一瞬で周囲一帯が細切れになり木の株しかない空間ができた。

 …やり過ぎただろうか?

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