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神様は信じてないけど付喪神は信じるやついるよな

作者の名前からリンクできてない事に気付きました。


大変申し訳なかったです。m(_ _)m

多分リンクできたと思いますが、できてなかったらメッセージなり感想なりで連絡お願いします。

 

 そして俺は一度組合によって東京に行く事を伝える。理由は知人に会いに行くって名目だ。偶にはダンジョンにも足を伸ばすだろうから一応連絡しておく。まあ既にムニン率いるカラスたちによってダンジョンは制覇済みなので散歩感覚でも行けるだろう。

 その後、飛行機に乗って東京に行く。株の調査をしていたらあっという間に着いた。ちなみにちゃんと組合が作る予定のカードの支払いは終わらせている。いや〜本当にお金を移動させるってのは直ぐにできてしまうので怖い。




「タクミ殿はお酒が好きなのですか?」

「ん?なんでだ?」

「いえ、真っ昼間から徳利を持っていたら誰でも聞きたくなりますよ」

「これか?これは飲んでると魔力とかが回復するんだよ。それ以上はよくわからないけど」

「それが噂の魔道具ですか?」

「ノーだね。魔道具には魔石が必要、一方でこの魔法道具と呼ばれる物は保有者の魔力そのものを動力源としてるんだよ」

「魔法道具ですか」


 俺たちは東京と言っても大部分の人間が想像する都会らしい場所てでは無く、むしろ山奥と言った方が分かり易い木々が雄々しく茂る場所に来ていた。そんな俺の格好は専用のダンジョンに入る時のガチ装備だ。ああ夢見は巫女装束だ。

 そして左手には「命」と書かれた徳利を持ち、右手には煙管を持っているのでどう見ても遊び人にしか見えない。まあそのどちらも虹の宝箱から出た神話級アイテムなのだが。

 前を歩いている夢見は何故か神社の入り口のすぐ側に止まり、紙を見せると何やら転移門の様な物が現れた。


「ここです」

「すげえな。全く気付かなかった」

「そうでしょう?なんでもおババ様が作った様なのよ」

「転移でもするのか?」

「ええと、まあ百聞は一見にしかずって言うじゃない?行きましょう」

「それもそうだな」


 そして転移門らしきものに触れると一瞬で違う景色が見えた。オンボロな神社があったはずの場所には綺麗で由緒ありそうな雰囲気の建物が多くあった。そして感知できた人数はおよそ百、それも全員が変な感覚を覚えるものを感じる。


「これは…幻影だったのか?いや規模が、儀式魔法…なるほど!」

「何か分かったのかい?」

「ここに来るまでの道、定めたルートを通らないとここには辿り着けない。それを儀式としている上に、おそらくここを正確に知ってる事でここまで大きな幻覚を引き起こす。そういう術じゃないか?陰邸様」

「おや、気づかれちまったかね?」

「いつからかはわからないけどね。ただし何か偽れれているのと、謎の存在感を感じる。婆ちゃんが意図的に消してた雰囲気に似てる」

「見事。それでこそ、あの者たちが溺愛していた者たり得る」


 今まで夢見がいた場所には未だ腰を曲げず、九十歳どころか三十だと言われても納得できる姿の女性が立っていた。そして身に纏うは、さっきから感じている中でも濃密なのに薄いという矛盾したナニカ。だがこの感じには覚えがある。それが婆ちゃんから感じたナニカだ。


「結局見当がつかないままですがね」

「それはそうだろうねえ。もし気づかれてたらショックで寝込んじまうんじゃないかねえ」

「婆ちゃんが?それは是非とも見たかったですね」

「ふぇふぇふぇ。(あたし)も見たいねえ」


 どうにも陰邸様も婆ちゃんがショックを受けるところを見たかったようだ。この人は言っては悪いが常識人。婆ちゃんをビックリさせれた事は無いそうだ。


「ん?ああそうだったねえ、着いてきなさい。ジジイどもに教えて貰ってたんだろう?なら耐えられる」

「あはは、まあ仙爺さんはマシだったと言える時点でおかしいとは思ってますよ。特に最近は」

「ダンジョン、とか言ったねえ。あるよ」

「そうです。それに、ってある?」

「そう、ここの敷地内に突然できたんで遂に見つかったかと思ったよ」

「陰邸様は攻略なされたので?」

「いんや。途中で面倒になってやめたよ」


 目的地に向かう道中、話を聞くとまあ「らしい」お話だった。十層までは鮮鋭達が潜り中断、そして陰邸様が十五層で火魔法を獲得して調査したところ特に問題無しと判断してやめたそうだ。感想は「いい運動にはなる」だそうだ。初期の俺でもギリギリだろうからこの人(?)達なら余裕だろうね。

 そしてそんな話を聞きながら階段を登り、曲がった先にある屋敷に着いた。巨大な門がありその両脇には夢見以上の強さ、一部の幹部以下といったレベルの人物が立っていた。いや強すぎん?


「ここが私の家だよ」

「あー、ここから先だよね?」

「そうだよ」

「あの木?って何?」

「おや見えるのかい。じゃあ一つ飛ばして修行をつけても良さそうだねえ」

「(地雷でも踏んだかね。嫌な予感がし始めた)」


 そんな事を感じながら陰邸様が門を押し開けているのを見る。門に手は触れておらず、ナニカで、というか夢見の言葉を聞くにおそらく霊力なるもので押し開けているのだろう。漫画にこのワンシーンを描くならばゴゴゴゴと擬音が書かれていそうな雰囲気だ。

 そうして陰邸様が開いた門を通ったので着いて行く。そして門を潜って目を開ければ真剣が突きつけられそうになっていた。


 いきなりの戦闘ですか。そうですか。などと思いながら煙管を仕舞い真剣の持ち手に近づき剣を奪う。切っても良いのか謎だったのでとりあえず鳩尾を柄尻で突いて気絶させる。飛んできた矢を気絶させた者にも当たらないように一つは徳利で弾き、一つは掴む。

 どうしたものかと考えながら追加でやってくる無手の者たちで遊ぶ。剣や掴んだ矢は使わない。そして全方位をワザと囲ませて矢を容易に撃たせ無いようにして乱取り稽古を()()()()()。時にはワザと矢を撃たせ当てようとさせる。


 そして五分後、俺を囲んでいた連中はへばっていた。ニコニコとしながらこちらを見る陰邸様を尻目に言うべきことを言う。


「はぁ、飽きた。お前たちは弱いっつうか、なんだろな。見えてる情報に惑わされすぎる。見える情報は最低限、残りは実戦での勘だ。じゃあな」


 息切れしてるのを見てアドバイスをしてから陰邸様の方向に向かう。何というか、乱取りになると癖なのだ。こうして自分が上ならアドバイス、相手が上ならアドバイスを貰う。爺ちゃんの知り合いに修行をつけられた時の名残りというより癖。

 それを知ってか知らずか、いや確実に知ってるだろうな。若い者たちを俺にけしかけた陰邸様に話しかける。


「見ての通り死んじゃいない。ただ、弱すぎんか?」

「ふぇふぇふぇ、そう言ってくれるな。それにしても流石は典仁(てんじん)殿の修行を生きて終えただけの事はあるねえ」

「そりゃこの程度で根をあげてたら再教育っすからね。必死になって修行は怠って無いですよ」

「そうか。……それでは今度はしかと犬鳴の小娘と修行を課してやろう」

「おお〜待ってました!」


 そうして陰邸様に着いて行く。玄関に入って額縁の中に一つ何かの反応があった。そちらに顔を向けずに視れば何か古い字で封印と書いてある。無視するのが吉だな。



 そして実に十もの封印された者たちを感じながらも歩いてたどり着いた先には、机の前で正座をして齧り付かんばかりに書物を見ている犬鳴夢見がいた。そして本当に最後とばかりに入って右手奥に二体の封印があった。何なのか、十二神将を象っているのだろうか?

 夢見はこれらに気づいていないのか?それとも単に気づいた上で無視しているのか?好奇心に負けて本を読んでいるのか?まあいずれにせよ聞く雰囲気じゃないな。


「さて、先ずは私から教える事は基礎だよ。陰陽術のね」

「陰陽術、ね。それは面白そうだ」

「そいつは良かった。では、陰陽術とはー」


 そして立たされたままメモする事も出来ない状態で語られたのは陰陽術とは?とその陰陽術の役目と歴史、そして何故必要が今でもあるのかの説明だった。


 陰陽術の定義は霊力を使い、術を編み、自然現象の増幅や操作と決まった術を発動させるもの、そして生まれ持った術式を使う固有術を指す。では霊力を単に操り攻撃に転じるのは陰陽術では無いのかといえばそうでも無いらしい。術式を編み発動する事をできれば誰でもできるので陰陽術の定義は広いのだ。

 霊力を糸状にして術式を再現する、予め術を描いた札に霊力を込めて発動させる、単に自分に霊力を漲らせ強化する、固有の術を発動させる。これらは全て陰陽術だそう。練度によっては自己強化は術を編み出すよりも強い事がある。


 霊力とは自分の中にある信仰心のようなもので、当然持っている量は人それぞれ。信心深い者は質も量も増えるらしいが、そこまで初期値の倍までは増えた者は存在しないそうだ。そして霊力は弾く力の性質故に三つのパターンでしか使えない。

 一つは既に霊力を持つものが霊力をぶつけて反発した感覚を覚えて使う方法。二つ目が特殊な道具か環境下で暮らす事。すると自然に弾く力が少なくなり瞑想して出せれる様になる。そして三つ目が死にかけるなり何なりして覚醒する事。最も簡単なのは二番目、自然に起き得る可能性は三番目、死ぬ確率が高いが手っ取り早いのが一番目だ。

 死ぬ確率が高い理由は自分の霊力が反発した時に自分の体が耐えられずに死ぬからだそうだ。一定以上の強さ、つまりは典仁爺さんの修行を耐えてクリアした時点でもう大丈夫だそうだ。だからこそこの方法を選ぶとも。


 そして役目は霊怪と呼ばれる存在を倒す、或いは無害化する事。霊怪とは死後に怨みなどの負の感情を持った魂が形を成した者で、完全物理無効化なのだそう。非陰陽師以外にも見える者も多いが普段は普通の人間と変わらず、感情の昂りなどから怪物の様に変化するらしい。

 そして最近ではダンジョンの影響なのか霊怪が強く、多くなり気づかれずに祓うことができなくなり始めた。まあダンジョン内での出来事が多いので、モンスターと勘違いされているから特に問題は無いらしい。

 ヤバい霊怪を封印する事も仕事のうち。ヤバい霊怪の基準は存在するだけで人に害をなす。一般的なものには害意を持って行動すれば他者に害を与えれるが、ただ存在するだけでは害を与える事はできない。何というか毒を垂れ流しにしても消えない存在がヤバい霊怪なのだそう。


 最後に歴史。これは呪術(呪術って言った) と間違えられるのだが平安時代から存在するそうだ。安倍晴明が開祖だと伝わっているが確かな事は不明、ただ言えるのは伝説とされる鬼退治や金時の都仕えの御話は本当だったとの事。証拠として残る物があるそうだ。

 歴史ついでに俺が見えたでっかい木は霊樹という代物で、一定以上の実力を持つ存在は見えるらしい。そして霊樹の近くでは霊力が回復しやすく、霊力の性質たる弾く力を中和させる効果があるらしい。樹齢は千年とも言われているが実際のところは不明。


「ーと、まあこんな感じだねえ」

「質問」

「何かな?」

「霊樹って他の場所にもあるんですよね?見た事ないんですが」

「あるよ?しかしまあ戦争で減ったんだよねえ。見事なまでに」

「だから場所は此処みたいに隠してあると。次に霊力の信仰心についてですが」

「ああ神は信じていないのかい?なら信念、或いは愛着の湧いた物を信じるだけでもいい」

「それは?」

「そうさねえ」


 要するに「神」などという存在があやふやなものを信じれる者ほど少ないのだ。というか全能の神なんて信じていても霊力は獲得できないし、よしんば獲得しても上昇するレベルだとそれは最早妄想どころではなく病気らしい。

 なので陰陽師のほとんどは霊樹や家宝といった物を信じる。ただしこれには明確な弱点として壊れたり、折れてしまったりすると霊力が半分程度になってしまうそうだ。全損にならないのは付喪神がある程度自分を依代にしてしまっているからだそう。

 ……付喪神っているんだな。


「じゃあ陰邸様は?」

(あたし)は自分の身体そのものさ」

「……ん?つまりは死ぬ時=霊力が消える時って事?」

「そうだよ。ただまあ欠点は死ぬ時に自爆ができない、自死が禁じられてる、霊力の成長が止まるの三つあるけどねえ」

「そりゃデカイっすね」

「そうさ。それでも最後の手段としてはとっておくのは悪くは無いと思うがね」


 陰邸様の様子を見るに火事場の馬鹿力としては使えるって事だろう。陰邸様を見る限りメリットは他にもありそうだな。不老は流石に術かなんかだろうが、聞きたい。けど十中八九答えてもらえずになんか怪しい事に参加させられる気がする。…勘を大事にしよう。


「ん〜、俺は無しですね。自分の、この刀(ニノ太刀要らずの刀)にします」

「ほう?」

「まだ『選別』ができない未熟者なんで、そういう意味も込めて刀です」

「そりゃそうさねえ。『選別』は佐々木村正が実現させた幻の技。それをこの短期間でものにしていたら化け物だよ」

(じん)爺さんも駄目でしたか?」

「そうさねえ。少なくとも私が知る限りは佐々木殿しか使えなかったはずだよ」

「ですか。いや〜道は長いっすね!」


 仁爺さんは俺に短剣を使った体術を教えてくれた人で元傭兵だったらしい。俺が知る限りでは武器の扱いに関しては最高の人物で、『選別』にたどり着いてもおかしくない人物だ。まあ爺ちゃんの方が強いし、爺ちゃんは刀での一点突破型だから爺ちゃんがたどり着けなかったので自然に仁爺さんはダメなのだろうが。

 そして彼らは寿命という死神から逃げられなかった。もし爺ちゃんたちが生きてる内にダンジョンができていたのなら、確実に寿命などというものには負けなかっただろう。まあ陰邸様と同じく「面倒になった」と言う可能性も高いだろうが。


「ああ、やっぱりタクミは佐々木家の血を引いてるねえ。そっくりだよ」

「だとしたら、嬉しいな」

「………それじゃあ先のステップに進もうか。背中を向けな」

「お、いよいよですか」


 背中を向けて身体から力を抜く。そして待っていれば陰邸様から感じるナニカ、いや霊力が跳ね上がった。そして手を背中に当てられた瞬間、ドクンと鳩尾辺りから感じた。痛みはないし、心臓じゃないのかと思う余裕もある。そして、隠蔽擬装の効果が少し無くなった。


『霊力操作を習得しました。

 霊視を習得しました。

 愚者の瞳に統合されます』


 そんな音が聞こえ、身体中から湧き出る力を漏れ出ない様に制御する。呼吸を整え、霊力を知覚し、弾く力という性質を理解する。

 そして数十秒、ようやく落ち着いた霊力を身体中に巡り回す。手を握って開く。……うん。


「まあまあか。面白いな、これが弾く性質。……クククッ。ああ楽しいな」


 指先に霊力を多く纏わせたり、全身を巡らせピタリと止めたり、夢見がやっていた編む事をしようとしては失敗して遊ぶ。弾く性質、これは中々に厄介で楽しい要因だ。手に霊力を纏わせ合わせようとすれば当たらない。足に纏わせても地面と反発して浮く事がない。

 霊力をどうすればあやとりの様に糸状にできるのか。手と手をゆっくり近づけても反発する。勢いよく合わせとうとすれば先ほどよりも大きく反発した。霊力を手から無くして手を合わせれば普通にくっつく。ならば少しずつ霊力を纏わせて、


 ーパンッ


 一定以下だと何の反応も無かったが、一定以上に達した瞬間小さな音と共に弾かれた。ならばと弾かれない程度霊力を込めた糸を作れば……できた。ただし夢見がやっていた様に糸を浮かせる事はできない。浮かせるならば……

 空気中に弾かれる量の霊力を漂わせれば良い。そして糸は少ししか動かせないが、先端を変えて方向を指定することは可能だ。まずすべきは、空気中に弾かれる量の霊力を漂わせる事。魔力を放出する様に出して、一定範囲内に留める。そして、


「これ!」

「痛っ!?」

「まったく、夢中になるのは良いが話を聞け」

「あー、すいません」

「うむ、では先ずは霊力の質と量だ。まあこれは七師族当主も比にならないほど多いと言っておくかねえ。そして才能も十分、努力できる才能も十分。ただし!」

「笑う事。『余裕を持てば笑える様になる。逆もまた然り』ですよね?」

「なら良し。まだ時間はある。視野を広げて修行すること!」

「うっす。先ずは空気中に弾かれる量の霊力を漂わせる事で良いですよね?」

「そうだよ。とんでもなく早いが段階としてはそこまで進んでいるからねえ」


 その言葉を聞いてゆっくりと再度霊力を一定範囲内に張る。しかし一本の糸が通れる隙間を開ける様にして、霊力で作った糸を挿し込む。


 ーパスッ

「へ?障子に飛んで貫いて行ったよ……ああなるほど!そりゃそうだな!あははは!納得だ」


 簡単な話だ。両側が勢いよく回転するロールに糸を挿し込めばどうなるのか?それは糸が勢いよく吹っ飛ぶ。じゃあ円状に輪っかを作ればいい。そして一分か、十分か、経過したところようやくできた。しかし気を抜いてはいけない。口角を上げながら作業スタートだ。

 糸を通せば円状に回った。成功。そして糸に込める霊力を増やせば、回転が速くなる。そしてここで疑問。さっきの失敗から霊力は物質的に威力のあるものだと分かった。なら何故この方法をしないのか?簡単だろう。効率的じゃないから。

 糸を大きくしてそのまま引っ叩いた方が余程効率的なのだろう。ではどうやって夢見は術を編んでいたのか?簡単な話だ。俺は魔法陣を描く時どうする?基礎は手を使って描いた後に中を描く。つまりはそういう事なのだろう。


「先ずは指先から糸が出るイメージ、そして円を描く。その上で効果をイメージしながら五芒星を描けば……成功だ。効果も、紙をやれば、うん成功」


 陣の中に入ったら空気中の熱を与える術式を描いた。そして陣の中に紙という燃えやすい物を入れれば、簡単に燃えた。


「はあ」

「ん?どうしたんですか、陰邸様」

「いやなに、天は二物を与えずと言うのは嘘だったと実感したところでね」

「左様ですか?にしても、いや〜、陰陽術っぽい事をしたいですが、いかんせんイメージが湧かないので魔法と同じようにしてしまいました」

「ああ火魔法とやらかい?」

「ええ。術式についてはどうすれば良いんですか?」

「自分で考えるのだ。皆そうしている」

「夢見は?」

「私の術式を一部教えている」

「ああなるほど。だからか」


 陰陽術師のトップが築き上げた術式を見れる。その価値は計り知れない。いずれ陰邸様も死ぬから予めある程度弟子に術式を教えているだろうが、当然秘匿されてるものだろう。そして今回の機会はそれを横から見れるのだ。次回の七師族選考は有利なのは間違いないだろう。


 にしても、術式は自分で考えるか。陰陽師と言って想像できるのは結界や式神だろう。式神については呪術の範囲なのでパスだが、結界は試す価値ありだな。動かすことや形を変えることはできたが、それ以上がどうしてもできない。魔力そのものに性質付与したら結界ができないからな。

 とりあえずは結界を作る。そして時空間魔法と同じレベルまで持っていき……うん?ここってたしか。


「陰邸様」

「なにさ?」

「ここって結界を張ってるのですか?それとも幻影を張ってるのですか?」

「良い事に気づいたねえ。後者だよ」

「なるほど。ふむ、では失礼します。また今度、近いうちに来て成果をお見せしましょう」

「ふぇふぇふぇ。楽しみだねえ。良いよ、帰りな」

「それでは」


 そして早速ダッシュで出入口まで行く。道中、何!?みたいな顔をされたが、無視だ無視。向かう先はダンジョン。修行だな。

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