食欲に負けるやつは多い。俺もそうだし
ポーション風呂に入った時は金かかるだろうなぁ。と思っていたのだが、世界ダンジョン組合の保険が下りて負担が九割減したのだ。まあそれでも数百万取られたので恐ろしいが。やっぱり札束の風呂だったのだと思った。
そして腕にギブスをつけるぞとなった時、左手に激痛が走り大騒ぎとなった。ポーションが効果無かったのかと。何となく覚えのある痛みだったためステータスを見れば痕傷スキルを得ていた。
効果は一部傷を痕として残す代わりに傷を癒せる。といったスキルだった。傷痕は左手の甲にある傷で、そのおかげで他の傷はすっかり治った。
そしてそんな俺は今、
「貴方がタクミで良いですね?」
「うーん、じゃあ君にはこんな言葉を送ろう。『人のことを聞く前に、まず自分の紹介をしろ』と」
ピシッと音が聞こえた気がする。さて、ここは世界ダンジョン組合の本部、日本とロシアの間にある北海道の札幌駅近くだ。そしてこの組合の建物を駅と挟んで存在するのは、世界最大のダンジョン。そしてダンジョン攻略の最前線でもある。そんな場所に俺はいた。
つい数時間前までは飛行機でぐーすか寝ていたが強制的に叩き起こされ、医療従事者に耳にタコができるくらい長い説教を受けた。主にカレンに。後輩がしっかり者なので嬉しいのだが、その所為で怒られるというのは微妙な気分だ。
そしてその際に手にギブスを改めて付けようとして来たが、完治済みだと伝えたのだが、これを無視。そのまま包帯と巻き付けられたのだが、爆散した。手が治ったので手袋認定されたのか分からないが、完全に着け終わってからなのは悪意がある気がしてならない。呪いを受けてるからと言ってその場を誤魔化した。まあ本当なのだが。
そして手相占いが出来そうにない感じの左手を見たカレンが、時魔法を扱える様になります!と言う意味のない言葉と共に空港でさよならをした。先に帰るらしい。ごめん、実際には時魔法でも治せないんだよ。そして寂しく一人で空港内にいると組合職員の人が来た。
苦笑いしながらありがとうと言えた俺を誰か褒めて欲しい。だってこの後幹部会議に出席させられる側からすれば来ないで欲しかったのを呑み込んで着いて行ったのだから。理由はそれだけ俺が実力者だと皆に認識されてしまったから。多分見た目的に本当に強いの?ってなるだろうし…。
まあ遅かれ早かれ気づかれていただろうし大した違いでも無いと思うのでよしと思う事にする。
そして組合の本部(未完成)に着いて直ぐにエレベーターで高層にやって来て連れられた先には、ご覧の通り約二十人は座れる会議室だった。そこにはクラウスさんとペンドラゴンを初めとして組合の幹部達が殆どいた。そして入って正面に威圧感のある女性が居た。
ソフィア・イヴァノヴァ、三十歳女性。綺麗な癖の無いプラチナブロンドの髪の毛に整った顔立ち、肌は病的とは言わないギリギリまでの綺麗な白色だ。眼の色は綺麗な青。格好は何故か和服だ。一応着物では無い。
まさしく(格好を除けば)理想的な女上司だろう。そんな者に今俺は座る事も許可せず立たされていたので少しイライラしていた。
「……それもそうですね。私はソフィア・イヴァノヴァ。世界ダンジョン組合の長です。以後よろしく」
「ご丁寧に日本語で話してくれてありがとう。俺はつい先日の戦闘で疲れ切ってるところを強制的に呼び出しを受けて、嫌々やってきたタクミ、ムラマサ。成人済みの男性だ。ああ名前がタクミだな」
嫌味たっぷりに話す。するとピシッとなっていた空気がと事なく「え、喧嘩売ってる?」みたいな感じになった。お前ら馬鹿かよ。こっちは結構ガチで疲れ切ってるんだよ。怪我人を労われ愚図ども。
「それは申し訳ありませんね。では、今回疲れてる貴方を呼んだ理由は知っていますね?」
「知りません。知りたくないです。知らないままに返して下さい」
口早く英語で言ったが、
「理由は先のアフリカ大陸でのスタンピードとそれに伴うキメラ討伐の件です」
無視された。
「キメラっすか〜。アイツそんな名前なんすねえ。知らんかったよ、全く博識にございますねえ第一位サマは」
挑発しても、
「観てましたから。急遽あの個体に名称をつけました」
全く動じない。
もしかしてコイツは言葉に含んだ意味を読み取れない馬鹿なのだろうかと思うが、生憎と目の前にいるイヴァノヴァの目はしっかりと伝えてくる。「知ってるぞ」と。
「左様で。だから敵意も何も無い透明な鳥がずっと第五前線に存在していたんですか?」
「少し違います。第五前線以外全てに飛ばしていましたよ」
「そしてキメラの戦いも観ていたと。高みの見物っすねえ?」
「そう取れるかもしれませんね」
うぜえ、そして気に食わねえ。何が気に食わないかと言えば、完全に俺がフールだと分かって行動している事だ。つまりはダンジョン攻略ランキング一位だと分かっている。その上でのこの態度はイライラを加速させる。
うざいところは自分はしっかり者ですってアピールが激しいのと、サラッと嘘をついた事だ。キメラに関してはコイツなら確実に行っただろう六十層のボスとして出てくる。八十二層では雑魚敵として少し弱い個体が出てくるので知っている方が自然だろう。
「それで?一体何でその件で呼び出しを強制したんですか?」
「先ずはこの場に居る者たちに貴方という強者が居ると知らせるため。次に貴方に対する報酬を決めかねていたので本人に聞こうかと。そして最後に幹部へのお誘いです」
「一つ目のお目通しは終了しましたね。二つ目の報酬は後で言いますから今は保留で。三つ目は断ります。では失礼しました」
そう口早に言って椅子に座る事を勧められずに立っていた俺は踵を返す。そして、
「ファイ「死にたかったら先に言え」」
先ほどから試す気満々だった幹部の男の首に手を添える。どうもとんでもなく驚愕してる様だが、理由は検討がつく。俺がこの男に近づくまでの行動だろう。
試す気満々の連中はおそらく手を組んでいた。コイツにたどり着くまでにレイピアと槍で攻撃、トラップが仕掛けられていたからだ。それに対して俺がやった事は至極単純、全て最小限の動きで避けたのだ。もし魔法の類いがそれらに仕掛けられていたら、こうも上手く行かなかっただろう。
「すり抜けた?」
「速くは、無い…のか?」
何やら信じられない様子の幹部(笑)たち。それを無視して話しかける。
「で、コイツは殺しても構わんか?組合長サマ」
「そう怒らないで欲しいですね。もし攻撃を受けそうになったら守る予定だったのですから」
「はあ。貸し一つだ。それで手を引いてやる」
「良いでしょう」
「あーあ。最初っから引っかけに来たのに、貸し一つとか採算合わねえ」
何が起きたのか理解が追いつかない状態の男の首から手を離し、ポーチから煙管とライターを出して火を付ける。キザったらしいが、これは立派な魔法道具。煙を吸う事で精神を安定させるのだ。ちなみに、
「ファイアー」
ーボンッ
「…ふーん、なるほどね。近くの魔法を身代わりに受ける効果か。便利だねえ」
魔法触媒でもある。魔法が出てくる漫画などでいう杖のような物だ。煙にも効果を載せれるし、直接攻撃の効果補正もある優れものだ。レア度は神話級なので、滅茶苦茶強い逸品。
そんな煙管を吹かしながら組合長をもう一度見る。
「では別途で報酬を渡しましょう」
「金は要らんぞ?」
「でしょうね。ですのでランクを0とした上で、家もあげましょう」
「要らん。他に候補はねえのか」
「ランクに関しては今回の件で強制ですよ?他の者に示しがつかないので」
「チッ、テメエらの事情じゃねえか。報酬にもなってねえどころか、迷惑だとも取れるぞ」
「ではアイテムはどうでしょう。鑑定済みの最低でも伝説級のアイテムを差し出せれますが」
なんかこう、最初っから出来レースに乗せられた気分だ。大抵のやつはこれで納得するし、俺も精神を安定させて無かったら苛立ったまま乗っただろう。真面目に煙管様様だな。
ではやられっぱなしは性に合わないので、一手打つとしよう。
「ふぅ〜。ん〜、じゃあ禁書を……って噂は本当だったのかよ」
「どこで、それを?」
「殺気が漏れてるぞ。ああ答えんよ、貴重な情報だろう?お互いに」
「……分かりました。ではそれで手を打ちましょう」
「それはこの男の命か?それとも第五前線に居た全員の命か?」
「後者です。そこの者は厳重注意と貸し一つで」
「なら文句なしだ。しばらくはここのダンジョンに居てやるから、用事や依頼があったら言ってくれ。じゃあな」
そう言って直ぐに会議室を出て行く。そしてエレベーターに乗って下に降りる。自分に何も付いてない事を愚者の瞳で確認して、無いな。よっしゃ!と、密かに拳を握って喜ぶ。
実はこの煙管には使用者の精神安定と逆の効果を発揮できるのだ。その効果は使用者の精神を安定させた分だけ、他者の心を乱し思い通りに事を運べるっていう凶悪なものだ。例えば自分が通常時の三割増で苛立ったなら自分は通常時に戻り、他人には三割増で心を乱す事ができる。
本来なら「禁書」の言葉を聞いたところで、惚ける事もできただろう。しかし心を強制的に乱され、自身の秘密の一つたる「禁書」を聞いて動揺した。後は注意が逸れた状況下で自分に精神を乱す魔法を更にかけて、煙管の効果で戻す。すると出すつもりの無かったOKを出してしまう。
完璧に決まった。その興奮を鎮めて世界ダンジョン組合から出て行く。ホテルと言うか、しばらくの間の拠点をとるためだ。多少は奮発しよう!
次の日は高級なベットから起き、高級ホテルらしい朝食を食べてダンジョン組合の建物に入る。お土産でも買って帰るべきかと考えながら、昨日も来たがスルーしていた受付に行く。すると受付嬢は少し驚いた様子だった。
「ようこそ、タクミ様ですね?」
「ん?あー、上から通達でも来たか?」
「はい、二つ名は調査の後に決め、ランクを顔写真や性格などと共に全世界に発信します。それと、今回の件はありがとうございました」
「まあ仕事は成功とは言い難いがな。ともあれだ、何か仕事は無いか?」
「でしたらオーク肉の納品やスパイラルラビットランの肉などはどうでしょう?数は無制限です」
「肉ばっかりだな。じゃあそれで。期間は三日以内で頼む。後は、まあ一応聞いておくよ、ダンジョンの情報は二十層までは一緒でいいんだよな?」
「ええ」
「よし、じゃあもう行くわ。お仕事頑張れよ〜」
そして気配を消して歩き始める。ここからダンジョンまで徒歩で十分ほどだ。まあ土地の交渉に大いに揉めたともっぱらのの噂だ。今となったらどうでもいい事だが。そんなこの土地にまつわるWDUとの噂話は多々あるので、それらを思い出しながら歩いていればダンジョンに着いた。
そしてふと意識を向けられた。ああこの感じは、
「そこの君、ここから先にはダンジョンしか無いよ」
「あー、やっぱりガキに見える?俺って」
「え?ああ男の子か」
「子って年齢じゃねえんだが…あー、そうそうコレ見てくれ」
「ん?…なんだいコレは」
「はあ、しっかりと資料に目を通せよ。コレはWDUが発行する身分証だ」
「そんな物あったっけ。うーん、ああ!あれか。いや〜すまんすまん。つい格好がね」
「分かってくれれば良いんだ。この背格好は、もうある程度諦めた」
そして身分証を返してもらいダンジョンの中に入る。するとそこは住んでいる場所と同じく洞窟だった。とりあえずは同じ構造なのか不明(敢えて聞かなかった)なので地元と同じように進んでみる。装備はアダマンタイトの短刀六式だ。
まあ、
「十五層までは雑魚どもは全無視だな」
ストップウォッチでタイムアタックだ。
ロー・ゴブリン無視、そしてボス部屋前には数人居るが無視して入る。現実のダンジョンのいいところは三分でリポップするところと、ボス部屋に誰かがいると誰も入れなくなる点だ。中から外は可能だが、外から中へは入れない。
そして透視はできる。リポップした瞬間に透過してボス部屋に入り首を切って終了。
後はこの繰り返し。何気にダンジョンの構造がどこも一緒だったので師匠に手抜きだと言いたくなった程度だ。
今更この程度の敵に負ける事はない。速度重視で駆け抜ける。十層まで来るとボス部屋の前で屯する者が増える。理由は未だに発電の魔道具作成の刻印が高価で買い取りを行なっているからだ。と言っても、最近ではこの先で雑魚を多く倒す方が効率が良い。
さて、つまりは実力の低い人数の多い奴らは順番待ちの様な事はしない。純粋に速さ勝負だ。ボス部屋の前には大きな円形のセーフゾーンが存在する。そしてそのセーフゾーンからボス部屋までは複数のモンスターがポップするので、多くが足止め役と突入組に別れて入る。
まあだが俺は気配を消してボス部屋の扉の前で座る。偶に来るコボルトは瞬殺する。そしてボスが復活した時に瞬間移動でもできない限りは俺が一番なわけだ。
「十層クリア。さて次行きますか!」
ここから先にはボス部屋前で屯している者はほぼ居ない。唯一魔法使いになりたい故に十五層のボス部屋で何周もするパーティーがいる程度。数は少ないと思うが、居るだろうな。ボス部屋以外にも十五層は人気な層だ。オーク肉という美味い上に栄養バランスが摂れる素晴らしい物だからな。
そして件の十五層に到着してみれば、人が大勢いた。住んでいる場所のダンジョンと比べても多いな。何故かこの階層にいる全員が周囲を慎重に厳重に見渡して、蟻の一匹も通さんとばかりにピリピリとしている。
これは一体なんだ?手っ取り早く近くのお兄さんに聞いてみる。
「あの〜」
「ん?なんだ、見つけたのか?」
「いや、何をそんなに探しているのかなぁと」
「ああ?そりゃオークに決まってるだろ。高く売れるからな、クランをあげて十日に一回こうして探して倒しているんだよ」
「へえ〜。地元じゃ無かったからさ、気になったんだよ。オーク肉以外で欲しい物ある?情報量の代わりにあげるよ?」
「ここまで来れたって事は、十層の魔道具作成の刻印をくれるか?」
「うーん、情報をもっとくれたらあげるよ」
「ほお、見た目と違って随分と剛毅だな。いいぜ、例えばなー」
そうして語られたのは面白い情報だった。十層で屯ってる奴らは同じくクラン。魔道具作成の刻印を集めるために、三日に一回は一日中張っているそうだ。実力は大して無い。そして十一層にはスライムジェルを目的とするクランがいる。ここは特定の会社から要請というか、名指しでの依頼(指名依頼とは違う)を受けてやってくるのでいつ来るかは不明。
十三、十四層は研究チームの護衛が来る事とドロップ品の剣などの武器類を狙っているクランがいるらしい。両クランは仲が悪い訳では無いのだが、クライアント同士が仲が悪いので基本的に関わり合いが無いそうだ。ペースは不定期で、偶に出会うと一般の攻略者は無視するのが基本らしい。
そしてここ十五層は自分たち美食クランが十日に一度挑んでいるそうだ。これ以降の階層だと一番強いクランが二十五層でスパイラルラビットランを狩る食事研究会というクランがいるそうだ。ちなみに一番進んでいるのはパーティーのミスリルの四十九階層までだそう。
「ーって感じだな」
「うんうん、ここまで良い情報を得られたらもう一つ魔道具作成の刻印をあげるよ」
「え!?マジか。ありがとうな、坊主」
「ちなみに俺は二十五歳だぞ?」
「は??ええ〜、それってつまり…ギルガメッシュ?」
「何その過労死しそうな奴」
「アフリカ大陸の第五前線で戦ったんだろう?」
「ああそうだけど?」
「刀使って殺しまくったけど血を浴びなかったって言うけど本当か?」
「まあ、そうだな」
「じゃあ色々な武器をモンスターにぶっ刺して殺しまくったんだろう?」
「まあ、そうだな」
「的確に指示しながら空飛ぶモンスターと戦ったんだろう?」
「まあ、そうだな」
「じゃあそうじゃねえか」
「何故に?」
「完璧な容姿、あらゆる武器を使い、少年の死に涙を流した。完全にギルガメッシュ叙事詩の主人公じゃ無いか!」
「いや一部抜粋して誇張事実にしてるだけじゃねえか。はあ、まあいい。じゃあな」
そう言って直ぐにその場から気配を消して移動する。良い情報を聞けたが馬鹿な話も聞けたな。流石は情報社会とでも言うべきか、俺のした事が全て筒抜けで驚いた。特に少年の死に涙を流した、と言っていた事に驚きを隠せない。実はかなりの情報通だったのでは?と思うがまあどうでもいいか。
向かう先は誰もいない一画。ここまで人が多くいるとは思っていなかったが、この階層はオーク肉のおかげで人気な場所だ。それを知った俺はバレる可能性を感じたが、秘密の部屋に入った。結論から言えばバレることはなかったが。
そこは所謂モンスターハウス、それも超極悪なタイプだ。理由はシンプルに量が多いから。メグミから貰った地図を片っ端から埋めてたある時に感知…いや勘が働いた。そして辿り着いたのは、壁。感知でよ〜く調べてみれば僅かに反応があった。
そして透視を元にして見てみれば鍵穴が別の角度からしか見えない様になっていた。これは期待できると思い縦横無尽の糸で開けたら転移し、そしてその先には戻るための魔法陣が発動不可な状態であったのだ。
「っと。ここも同じ…やっぱり無限湧きか!」
そしてその転移陣を発動させるには千体もの敵を倒す事。更に言えば魔法陣を真似しても発動は一切しない。要するにその階層で出てくるはずのモンスターを千体倒さないと一生出られない部屋だ。
「出てきたか」
オークが出現して来た。そして戦いは、否、蹂躙が始まった。
「手始めだ。血散遼刃」
俺は刀を出現させて、結構本気で技を放ち始めた。
発電の魔道具作成の刻印は買い取り額は高いけど、その代わりに組合のランクには関係しないです。雑魚が大勢高ランクになられると困るので、組合設立時には決めてあります。あと組合に入る時にも説明されます。こういうシステムがあるよ〜って。
クランは一つの目的を持ったパーティーが複数集まった集団の事で、勝手に会員側が作った制度。決してダンジョンからは恩恵はない。会社をクライアントにして活動する者たちもいるので、こちらは既に人間社会ではかなり浸透している。一方で単純に一つの事をするためのクランも存在するが、お世辞にも質が良いとは言い難い。