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現代にダンジョンが出現しました!(要素:武力)  作者: 武匠
とりあえず準備編
16/43

ダンジョン攻略〜竜種を添えて〜

 

 ダンジョン第九十二層は山脈フィールドだ。山の麓の景色は見えるが、実際に行っても行き止まりだ。

 話は唐突だが皆さんはゲーム、それもフィールドに出て遭遇したモンスターと戦うゲームをした事があるだろうか?RPGというやつだ。そしてランダムエンカウント型と固定エンカウント型の二種類があることも知ってるだろうか?

 この第九十二層はどうもその両方が合体したタイプの様で、山脈のどこかに竜の巣が存在して、偶に巣から出てるドラゴンがいれば巣に居るドラゴンもいる。前者がランダムエンカの敵で後者が固定エンカの敵と思っても構わない。

 でだ。何が言いたいか。それはランダムエンカウントの敵に遭遇して逃げた先に、固定エンカウントの敵がいた場合どうするか?という疑問だ。何故今そう考えるかは予想できるだろうが、一応言っておく。


「なんで逃げて逃げて逃げての先に最上位ドラゴンが居るんだよ。しかも結果的にトレインしただけだし。はあ、まったく嫌になる」


 ただ今俺はピンチである。


「グオオォォォオオ!!!」


 その声と共に「竜牙の大剣」を取り出して振るう。そして思うのは、なんでこんな事になったのかという事だ。



「ここがダンジョン第九十二層か。山脈フィールド、うーん辛そう」


 このダンジョンは親切設計なのか転移した直後に襲われることはボス部屋以外ではない。なので今のうちに宝箱をインゴットとすると共に、中身を見ていこうと思う。

 先ずは銀の宝箱七個。


 ・鉱石探知のスキルオーブ(希少)

 大まかにどこに何があるのか、地中限定で分かるスキル。鉱石の近くに行けばより詳しく、何の鉱石がどのくらいあるか分かる。


 ・大剣用の帯(幻想)

 大剣の鍔に固定すると背中に非実体化状態で引っ付く。重さも感じず、身長も要らない。所有者以外が柄に触れることもできない。戦闘には一切支障は無いが、実体でも無いので装着中に盾代わりにはできない。


 ・採掘のツルハシ(希少)

 採掘に非常に適したピッケル。よく取れるし非常に丈夫だが無計画に掘り続けると崩壊の危険性が高くなるので注意。


 ・帯電の腕輪(希少)

 装着すると雷を自在に操れる。1キロ先にある的にでも当たるが威力はスタンガン程度。例え避雷針があろうとも関係無く操れる。威力と出せる雷の数が一本だけという事に目を瞑れば中々いい一品。


 ・鍛治の知識書(伝説)

 伝説レベルまでの素材の金属を加工する術が書かれている知識書。入門編から上級者編までみっちりしっかりと書いてある。スキルオーブでは無いのでスキル獲得を直ぐにできる訳では無いが、全部読み実行すれば確実にスキルを入手できる。


 ・飛翔の魔剣(伝説)

 剣を振るわずとも魔剣に込めた魔力の質と量に比例して飛翔時間が伸びる。結界の様に常に敵の周りを一定距離に収めておく事も可能。しかし思念操作を失敗すれば自分にも攻撃が入るので要注意。


 ・不死のスキルオーブ(幻想)

 死んだとしても復活可能。どんな姿形になるかは死亡時のステータスとスキルの種類によって変わる。場合によっては不死者の種族に変化する事もある。



 ーパリンッ

『鉱石探知のスキルを獲得しました』


 不死のスキルオーブは買い取り行きだな。怖すぎる。大剣用の帯は竜牙の大剣に使ってっと、うん完成。


「おお!?」


 思わず声が出てしまうが仕方ないだろう。重量を全く感じなくなったのだから。でも抜刀術とかには使えそうな雰囲気だし、家に帰ったら練習してみよう。

 さて次、金の宝箱五個。


 ・心理戦のスキルオーブ(空想)

 心を読むことができるが、深層心理までは不可能。だが心理を読んだとしてもそれを踏まえて活用できるかは別問題。戦いや交渉の経験を積み重ねていくと次第に自分がどう動くべきなのか分かる。ポーカーフェイスができないと意味がない。


 ・笑いの仮面(空想)

 心理系の一切のスキルや魔法を無効化する。顔に装着しても視界や呼吸には一切支障は無いが、盾の代わりは果たせない。仮面自体は所有者のステータスの耐久値(上昇幅含める)を参照しているため非常に丈夫。盾にならないのは威力はそのまま伝わるから。所有者固定。


 ・夢幻の霧(幻想)

 衝撃を与える事でその場にいる自身を除く全ての存在に夢幻状態を付与する道具。効果は半径五十メートル、精神系の結界に囚われてその場を結界から抜けようとウロウロし続ける。敵のMPを奪えるが、精神系に耐性を持っていたら無効化されてしまう。精神保護系の伝説以下の防御では防げない


 ・冷静沈着のスキルオーブ(幻想)

 常に冷静沈着にいられるスキル。正確には戦闘が終了したにもかかわらず興奮が収まらない場合や、急な攻撃に対しても冷静に考えて最善手を打てる様になる。必要な時に自動で発動してくれるので意識しないでも大丈夫。


 ・アイテム登録召喚のベルト(神話)

 十個までなら瞬時に使用可能になるアイテム。事前に登録する必要があるが、瞬時に使用可能で、万が一壊したり、無くしたりすると自動で再生召喚してくれる。戦闘には邪魔にならず、破壊も理論上不可能では無い程度。時空間魔法で保護されているため盾にもできる。条件をキツくしているので大幅に時空間魔法の効果が底上げされてる。保持者固定。


 ーパリンッパリンッ

『心理戦のスキルを獲得しました。

 冷静沈着のスキルを獲得しました』


 早速アイテム登録召喚ベルトの登録に笑いの仮面を登録する。これからダンジョン関連である程度表舞台に出るだろうからな、その時に丁度いい。夢幻の霧は確か自分で作った物の方が性能がいいのでそっちにする。

 ラスト!虹の宝箱二個。


 ・弱点看破のスキルオーブ(???)

 神眼でも敵の弱点を発見するまでに一分くらい視認し続ける必要があるものを一瞬で終わらせることが可能。副次効果として最も強い部分、生命器官、効きやすい魔法などなど色々が一瞬で分かる。情報処理能力が高く無いと情報量を捌ききれずショートする。


 ・名もなき魔導書(???)

 過去、現在にわたる全ての魔法に関する情報が載っている。中には文字が違い読めない事もあるので注意。また禁呪や錬金術の曖昧な部分が載っていたりする。


 ーパリンッ

『弱点看破のスキルを獲得しました』


 目にズキっとした痛みが走るが大した事は無い。名もなき魔導書と鍛治の知識書を本の指輪に入れて出発!

 その前に早速鉱石探知を行う。……うん、やっぱり。竜がいっぱい居るってことは感知できていた。なので取れない鉱石がたくさんあっても不思議では無い。そして今俺の手には採掘のツルハシがある。つまりは、


「採掘すべし!」


 そうして鉱石感知でカンカンと鉱石を見つけては掘り見つけては掘り、ドラゴンに見つかったら弱かったら瞬殺、瞬殺出来なさそうだったら夢幻の霧で逃走していたのだ。

 だが、鉱石を取ることで初めてトラップが完成するトラップに引っかかって転移。固定エンカの強いドラゴンに出会ったという訳だ。無論すぐに夢幻の霧を使ったが一瞬で無効化された。

 しかもこのドラゴン、この階層のドラゴンよりも強そうだ。そう思い長時間戦ったのだが、勝ちの寸前で危機感知が猛烈に反応してその場を離れたのだ。俺がトドメをさす瞬間に居た場所にはブレスが通り過ぎていった。そしてそのブレスの音でわんさか集まって、


「現在に至る訳、だ!」


 しかも俺が夢幻の霧を使って撒いた筈のドラゴンまでも召喚されて居た。何故その個体かとわかったか?は未だにブレスで霧を払おうと必死になっているからだ。効果時間長いな。まあ、


「隙だらけじゃ、ボケえぇ!!!」


 そいつらは優先して倒すに限る。流石はドラゴン、ドロップ品がウハウハだと思いながらも振るう大剣は止めない。何故なら大剣の方が俺より重いので、止まったら中々動き出せないのだ。まあそのおかげで抜刀術じみた事が可能だと分かったので良しとしよう。

 さて、認めたくは無い事実だが俺は小柄で軽い。大剣と比べればすっごく軽い。なので必然か移動は遠心力を使った、ほぼ常に大剣を振り回して移動しながらの攻撃にせざるを得ないのだ。そして嬉しいと言えるのだが若干の哀しさを感じる事実で、大剣で戦うと当てた敵を中心として自分が浮く。つまりは大剣を振り回して攻撃している今は常に空中で戦っている状態なのだ。


「ギャオオォォ!」

「グルルルゥゥゥ、ゴウッ!!」


 首を大剣でへし折り着地すること無く、首に叩き込み自分を浮かせ、顔を叩いて横に移動して攻撃を躱し、滞空時間を伸ばすため大剣をしまい、落下して大剣をブッ刺し、抜く勢いで抜刀術モドキをして倒す。全てスキル弱点攻撃時確殺の効果で殺せてる。

 自分が滞空するために次々とドラゴンを殺して進む。かれこれ二百は倒しただろう。そして今、ブレスを(まとい)・魔力で破壊(・・)しながら進み、最初に居たトドメをさしきれなかったドラゴンの頭を砕いた。


『secret mission clear!!

 発生条件:手段問わずに裏ボスと遭遇する。

 条件:裏ボスのステレスドラゴン(上位)を討伐。

 報酬:DRポイント50、偽装のスキルオーブ』

『secret mission clear!!!!!

 発生条件:九十二階層のコンヴィーンドラゴンと遭遇する。

 条件:招集された九十二階層のボス以外のドラゴン全てを倒す事。

 報酬:DRポイント500、銀の宝箱、竜の瞳』

「ん?竜の瞳ってなn!?」

『神眼と破爆の魔眼と弱点看破と竜の瞳が統廃合されます。

 スキル「万能眼」を習得しました。

 スキル「勝利の道筋」を獲得・統合されました』


 情報が多くて処理するのに時間がかかったのだ。そして体感では一時間ほど悶えた末に「万能眼」のスキルがわかった。


 ーーーーー

 万能眼

 神眼の完全上位互換。あらゆることがスムーズに視え、目に関する能力は獲得後にこのスキルに統合される。情報処理が難しく、情報処理スキルだけでは追いつかない。スキルの習得条件も分かる。

 破爆の魔眼・竜の瞳(威圧の魔眼・解析・心眼・萎縮)

 ーーーーー


 まあざっとこんな感じか。もっと詳しくは色々あったけど、神眼と同じく能力の量が半端無かったので途中で諦めた。


「うん、なんかもう疲れたから採掘はやめだ。さっさと次行こう」


 そんな訳でボスがいる場所に直行。次の休息ポイントは100層だから何かありそうな予感がする。嫌な予感だ。なので99層まで行ってから休む。存分に休む。そして100層に突入だな、決定。



「そういう訳で俺は休みたい。だから安心して死ね」


 進化の刀で首を切り落として即終了。一応敵はヒールドラゴン、つまり常時回復効果のある生存力に特化した中位の竜種だ。再生(ダブりの)スキルだったので無意味なのがまた嫌な事だ。



 次の階層、というかステージは転移陣で風景だと思っていた山の麓にある森だ。若干驚きながら万能眼でボスを見つけてそれに向かってゆっくりと採取しながら進む。ゆっくりの理由は弱点看破のお陰で敵と遭遇瞬殺で終わってるからと、落ち着く時間が欲しいからだ。

 いくら冷静沈着を持っていようとも時間は欲しいのだ。ついでに偽装のスキルオーブも使って検証中だ。どの程度のスキルなのかは使わないと分かりにくいからな。



「あーあ、もう着いちゃったよ」

「ギャオオォォオオオ」

「…はい、終了。お疲れ様でした〜」

『mission clear!

 ダンジョン第九十三層クリアおめでとうございます。

 条件:最上位土竜の討伐。

 報酬:第九十四への転移陣の使用許可、第九十四層への転移陣の間への鍵、金剛体(常時)スキルを入手しました』



 はい、またもや森林ステージ。そろそろ早めに突破して行きますか。

 通常の敵はドラゴンの下位〜中位種。弱点は首か頭部か心臓部の魔力器官。なので刺すか斬るかをしてマップを埋めつつ進む。ボスはクリスタルドラゴン。飛べないタイプだったので硬さに全振りだろうステータス。縦に真っ二つにして終了。

 戦利品は薬草各上位種とボス撃破の重撃スキル。


 九十五層、山脈ステージ。鉱石探知のスキルには反応無し。いやあったけど竜の巣だった。回収してドラゴンを倒すと、巣の中にあった宝まで回収できたので倒す事に集中した。というか九十一層で知ってた事なので少し恥ずかしかった。ボスはデスドラゴン。死霊術が得意だが一切魔法を使わせず瞬殺。

 戦利品は色々な中でもダマスカス鋼とドラゴンのフンの混合物(ドラマス鉱石)、ボス撃破の死霊魔法。


 九十六層、山脈ステージの地下水洞。泳いで進むか、結界で進むかみたいな感じだった。偶に竜水晶が頭上に、水中には水竜の積糞(ドラゴタイト)があったので採取しながら進んだ。めっちゃ広かった。水竜(トビウオっぽいやつ)が雑魚敵で積極的に攻撃してきたので真っ二つに。ボスは水洞の底から出ようとしない水龍(蛇っぽいやつ)で結界で持ち込んだ風を使って風魔法で撃破。

 戦利品はドラゴタイトと魔力水(大量)と竜水晶、ボス撃破の水中戦闘。


 九十七層、またしても地下水洞だが、今度は水中戦闘強制。クリア報酬で水中活動と無呼吸活動のスキルを獲得しているので問題無い。…違和感はあるが。そして下位〜中位の水龍が雑魚敵として出てくるが、採取できる物が一切ない。つまりはドロップ品のみ、悲しいね。ボスは水龍(最上位)で刀で瞬殺した。濡れた服を直ぐに乾かしたい。

 戦利品は中位水龍の全身素材×3、ボス撃破の海魔法と戦闘で覚えた圧力耐性。あとボスの全身素材。


 九十八層、再び山脈ステージだが、高度が高くなっている。鉱石は無いが、とにかく化石がモンスターとして襲ってくる。スケルトンドラゴン(下位)が犯人で死霊魔法でキャンセルしたら止まった。雑魚敵はスケルトンドラゴンの中位でとにかく再生する。まあ燃やしながら魔石を取れば勝てたが。ボスは心臓部には三重の骨で守られて居たデススケルトンドラゴン(最上位)。再生スピードが半端無いので全身を真っ二つにした。

 戦利品は全種類の中位ドラゴンの全身の骨、ボス撃破の蓄積荷圧(かあつ)



 九十九層に来た。続けて山脈ステージで、九十八層よりも山脈の中でも最も高い場所に近くなっている。試しに万能眼で覗こうとしたらキャンセルされた。時空間魔法の転移と似た感じだったので不正は無しなのだろう。まあ俺もハナから覗けるとは思っていない。ネタバレはしない主義なのだ。

 この階層に来て嫌な予感がとってもしてきた。レイの時以来、は言い過ぎか。だが確実に自分よりも格上だろう。これまた勘だが、眼に頼ってもダメだろう。スキルは基本的に積み重ねの証。なので完全にスキルに振り回される様では0点。スキルを利用するのでも30点、スキルを活用でようやく60点、スキルのレベルアップで満点だろう。

 ってな訳で「魔力待機」と「重撃」と「蓄積荷圧」そして「万能眼」を常に発動させて戦う。まあ実は魔力待機は九十三層からずっとやってる。待機→凝縮→待機→凝縮→待機といった具合に。なので百層のボスにぶっ放してやろうと思っている。まあどのくらい強いかの試金石にはなるだろう。決して倒せないだろうが。


「んー、にしてもさっきから一体もいない。どうなってんだ?この階層」


 そう、この階層に来てから全く敵と出会わないのだ。既に敵一体だけなら見つけている。だが他がいない。…仕方ないな、万能眼で探すか。


「っておいおい、マジで居ねえ。つまりは一体だけの階層か、倒したら次の敵が出るのかだろうな」


 どっちなのかは倒すまで分からない。大人しく一体だけいる場所に向かい、敵を視認した。場所はカルデラ盆地で、しかも、底が活火山なのかマグマだ。

 敵は…あー、何というべきか……うん、モン◯ンに出てくる砕◯というかブラキ◯ィオスの粘液部分が赤いバージョンだ。とはいえこちらは粘液部分は粘液っぽく無いし、尻尾はもうちょっと長い。実際にブラ◯ディオスと会った事がないので正確な長さは不明だが。


「いつからここはモ◯ハンの世界になったんだ。…まあいいか。いいか?うん、よしとしよう!いざ、一狩り行くぜ!」


 結界で地面を作り尻尾を斬りに行く。しかし半回転されて呆気なく回避される。だが違和感を感じるな。本来ならここで雄叫びをあげてくれるのだが、未だに接敵していないかの様だ。今まで一刀両断できてた技で斬るも、


 ーキンッ


 弾かれた。それも結界か何かに弾かれたかの様な感覚だ。うーむ、もしかして……進化の刀をしまい両手を構える。すると、


「グオオォォン!!!」

「..ああ゛ー!!高級耳栓が必要ですってか!!!」


 一瞬体が硬直したが気合いで直す。頭の飛び出てる部分を地面に刺して、これ爆破モーション?頭を一気に上げた。すると地面からマグマが立ち上がる。うん爆破モーションだわ。って事はヤバい!

 その場を大きく横に避けた瞬間、


 ードドドドォォン


 マグマが破裂した。結界で飛んできたマグマを防ぎながら再びアタック。重撃と蓄積荷圧を使いながら腕を殴る。


 ードゴォン


 爆破した。衝撃で吹き飛びながらも結界魔法で頭部を攻撃すると、


 ードゴォン


 …ええ〜、もしかして赤い部分を攻撃すると爆破するの?なんつー強引な防御とカウンター。まさしく砕く竜だな。水が効くと聞いたが…うへえ、キャンセルされた。火は可能、水は不可、風は不可、土も不可、海魔法も不可…時空間と火以外は使えない。火は明らかに相手のバフになるだろうから無し。


「いいねえ」

「グオオォォオオ!!」

「いいねえ、いいねえ!燃えてきた!!」


 インファイト上等。氣と魔力を体に纏い、近づく。魔法は足場のみ!


 ードドゴォンッ


 振われる腕を避け、背中から爆風を感じながらもう一発。


 ードゴォン


 背中に熱い感覚を受けながら、殴る。殴る殴る殴る殴る殴る。そしてそっと拳を当てて、


 ードゴオォォン

「グオオンッ」


 吹き飛ばす。重撃と蓄積荷圧のコンボで吹き飛ばした。そして立ち上がる砕竜モドキの目には、怯えではなくただただ闘志が宿っていた。


「行くぜ!…発勁」


 一瞬で距離を詰めて立ち上がる敵の足に手のひらを押し込む。コツは氣と同時に敵の中に入れるイメージを持つことだ。…感触は、あった。


「グオォォオオン!?!?」

「足を折られたのは初めてか!ってぐっ!?」

 ードゴォン

「かはっ!?」


 一瞬気を緩めたのがダメだったのだろう。吹き飛ばした時に手を地面に刺してマグマを塗り、俺が足の骨を折ったのを喜んだ瞬間、殴られた。空中でもう一度爆破を受けてさらに吹っ飛ぶ。このままではマグマに突っ込むだろうから!結界!!


「グッ!?…はあ、はあ、はあ」

「グオオォォン!!」

「チッ、尻尾振り!?」

 ードドドドドォォンッ


 尻尾にマグマをつけて振りながら撒き散らす→範囲が広い空中で爆破か。なんとか避けれたが…何故あんなにも早く立ち上がっている。折っていなかったか?いやだが足を折った感覚はあった。つまりは、


「透視、やっぱりか。足はちゃんと折れてて、魔力を支えにしてやがる。その隙に再生している。魔力の量も擬装か?隠してたのは間違い無いな、段違いに魔力が跳ね上がってる」

「グオオン。グオォォオオ!!!」

「光り始めて、やっべえ!!」


 仕方ないので火魔法を相対結界を張った自分に向けて放つ。衝撃で吹き飛び、地面から離れる。そして空中から見えたのは光ってる魔法陣と共に自身の腕をマグマの中に突っ込んでいる砕竜モドキの姿。そして空中から落ち始める時に結界で攻撃するが、


「グオォォオオオ!!!」

「チッ、弾かれた!ってかおいおいあの魔法陣って、「熱」「強化」「吸い込み」…つまりマグマを吸い込んで強化するのかよ!?」

「ガアァァァアアア!!!」


 そして俺の予想通り着地する時には地面にはマグマが無くなり、代わりに強化された全身を炎で包まれてる砕竜モドキ…否、炎化砕竜ともいうべき竜がいた。

 そしてその強さを視た俺は、


「ク、ククッ、クハハッ!いいねえ、本気だ。本気でステゴロで戦ってやるよ」

「ガアァァァアアアアア!!!」


 笑いながら距離を詰める。当然のように反応して殴りかかる炎化砕竜の拳は、俺の手のひらで止められた。


「続きだ。ただし十分(じゅっぷん)粘りな」


 左手で止めた腕を殴りつけへし折る。


「できたら全力で戦ってやるよ」


 熱で触れた部分が焼けるが問題無い。再生をしながら折った炎化砕竜の腕に乗り顔面に蹴りを入れる。


「グルアァアア!?」


 近づくだけで火中活動のスキルの効果を抜けて、なお俺を焼きつける炎の中俺はただ拳を振るう。


「ガアァァァアアア!!」

「四発目だ」


 両手を握りハンマーのように叩きつけて、怒り狂う炎化砕竜を見上げながら言う。バキッと骨が折れる音が聞こえる。俺の両手と炎化砕竜の頭蓋骨からだ。再生し終わったのか再び同じ拳を振るう炎化砕竜に、()()()()()()()左手の裏拳で対応する。


 ードパンッ

「脆いな」


 結果は俺の裏拳が勝ち、炎化砕竜の肩から先が吹き飛んだ。炎化砕竜は感覚が急に無くなった事に気づき、叫ぶ。


「グルアァアアァァァァ!?!?」

「うるせえ。ほらアッパーだ、このままだと死ぬぞ」


 あまりにも至近距離で叫ぶので耳なりが酷い。口を閉じさせるためにアッパーを決めて、そのまま顎を掴んで左右に動く勢いが大きくなった時に手を離して炎化砕竜の頭に乗って、


「はあ、チェックメイトだ」


 頭を殴る。一気にスキルを解放して頭を吹き飛ばした。


「はあ、次のボスは全力で戦うだろう事が唯一の救いだな」

『mission clear!

 ダンジョン第九十九層クリアおめでとうございます。

 条件:爆砕竜の拳での討伐。

 報酬:第百層への転移陣の使用許可、第百層への転移陣の間への鍵、熱吸収のスキルを入手しました』

『special mission clear!!!!!

 発生条件:ダンジョン攻略三ヶ月以内に九十九層まで到達すること。

 条件:爆砕竜→炎上爆砕鋼竜の討伐。

 報酬:DRポイント500、虹の宝箱一個、金の宝箱一個、銀の宝箱三個、爆砕鋼竜の全身素材、筋力倍化、敏捷倍化』

「うん?倍化って頭悪そうなのは何だyうおっ!?」


 宝箱が出現&回収される瞬間に体が軽くなった。って事はまさか?


「ステータスが倍になった?んなアホみたいな…試すか」


 試しに走ってみると、めっちゃ速かった。地面を殴ってみれば、陥没した。結論、本当に倍になってる。


「いや〜、ありがたいな。休憩がてら試運転しよう」


 ブ◯キディオス改めて爆砕竜を終盤圧倒したと見てる人がいたら思っただろうが、実際には圧倒というほどでは無かった。

 単に振り下ろし攻撃は受け流しただけ。地面がめっちゃ凹んでるし。次に腕をへし折ったのは人間で言う手首を抜いただけに相当する。だから悲鳴もあげてなかったしな。関節を外したら痛いには痛いのだが、ある程度痛みに耐性があるやつなら悲鳴をあげないのと同じだ。

 そして顔を、正確には歯の根元を蹴ったことで歯が折れた。だから悲鳴をあげたのだ。そして両手で殴った時は重撃と浸透頸を使い頭蓋骨を破壊、反動で両手が砕けたんだ。

 裏拳の時は俺に当たるタイミングの少し後に、つまりは腕が伸び切った後に殴った衝撃を浸透させて腕の内部を魔力で通して爆破。コブを作るように敵の腕の中に魔力を浸透させたのが大きい。

 そしてアッパーはさっき折った歯の部分を殴って、奴の上の歯が下の歯茎に当たるようにしたら上に登って今まで蓄積荷圧で攻撃。さらに重撃と氣、魔力に呪力をぶっ放して、


「フィニッシュ。うん、意識と感覚が追いついた。休憩にもなったし次行くか」


 今回の爆砕鋼竜は技でどうにかなったパワーファイターだった。敵の頑丈な体、筋の綺麗に入った理想的な筋肉、人間と大きく変わらない関節の位置、そしてどこに骨があるのかを知っていた点。だからこそ、ステータスが大きく劣っていても何とか勝てたのだ。

 次の百層は…果たして俺の技がどれだけ通じるのかね。

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