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ガサツっ子ルクレツィア

「ァァア!!…グッ…ウゥ…」




どうも今日も元気にハンバーグやってるルクレツィア2歳です。この地獄のような痛みを繰り返し約1年…だいぶ痛みに慣れ今では普通に日常生活を遅れています。そして毎朝の読書を終え、お昼からの修行は専ら細胞破壊と耐性スキルのレベル上げです。


と言ってもこの世界には具体的にステータスプレートとかで、誰にでも目に見えるスキルというものはありません。能力も感覚で今どれくらいの強さだなーってわかる程度のものです。【絶対記憶】などの固有能力の有無は本人か【鑑定】の魔法をかけた術者しか分からないそうです。


自分の耐性レベルを知るのに1番確実なのは、髪の毛がどれくらい対象に耐えられるかですね。

髪と体はほぼ同じなので今私の髪を魔術で燃やしてもビクともしません。これでウィッグを作ったらゾウが踏んでも大丈夫って宣伝します。


そうそう今は細胞の魔力侵食率が100%になると自由に身体を変化させることができるそうなのでそれを目標にしています。ですがそれがなかなか難しく今もこうしてミンチになっているというのが現状です。


もともと高かった浸食率も90%になったのですがそこからがなかなか厳しく、時間を有効活用しようという師匠のアイディアにより手合わせと同時並行で行っています。


ですがこの師匠



「ふんっ!」


「ガッ……ハッ!」



手も足も出ないほど強いです。師匠の肘が顔面に直撃し、あ目玉飛んだ…。初日以降私の忍耐力と覚悟の強さを改めて確認した師匠は「次からは覚悟を決めた弟子に恥じぬよう、ワシも全力で相手をする!」とのことで、めちゃくちゃ張り切ってミンチ作り…じゃなくて手合せをしてくださっています。


いや正直舐めてました…耐性系スキルはすべて獲得しましたし、地竜のお腹から出てこれたんで―私丈夫になったんだ!―て過信していたんだと思います。


師匠強すぎますよ!!初回より魔法の威力アホみたいに上がってますし、体の動きなんて全く見えないです。気が付いたら激痛と吹っ飛んだ体と回復され元通りになった体を同時に見てます。


私がこれほど過激な修行を可能にしているのは生まれつき魔力が多く浸食率が高いために、生命力がずば抜けて高いからだそうです。前世では考えられない急所への重い一発を受けてもなぜか生きてます…それどころか頭弾け飛んでも一瞬記憶がないだけで何の障がいもなくピンピンしています。


師匠の回復魔法が凄いのか私の回復力が凄いのかその両方か…そう考えている間にも普通なら38回死んでますね。



「ふう…今日はこれでお終いじゃ。よく耐えたのう、まだまだ手も足も出ておらん状態じゃがこれから共に頑張っていこう。」

「ぐ…ぅ…ぁあい!」



最後に受けたお腹への攻撃により吐きそうになりながらもなんとか答えます。ぬあぁ…さっきまで師匠の腕が貫通していたところが痛いし気持ち悪いです。一応抵抗は試みたんでけど出した手足は弾け、激痛で意識をシャットアウトしていないと気が狂いそうなので魔法が使えないです。

散乱した元私の肉体を魔法を燃やしていると師匠から声をかけられました。



「やはり痛みの中じゃまだ魔法は難しいかのぉ、まぁこれからじゃな。ゆくゆくは使えるようにならんといけんが、何度も言うように痛覚は残しとくんじゃぞ。」


「そう言えばいつも組手の前にも言っていましたけど、どうしてですか?魔法にも集中出来ますし、痛くないに越したことはないんじゃ…」


「感覚というのは戦ううえで相手の攻撃を察知するために重要なんじゃよ。もし痛覚を遮断した状態で戦っているとして、ほんの小さな傷から毒や血液を使う呪術を仕掛けられるかもしれん。その時すぐに対処せんとまずいものや原因がわからず解呪出来んものがあるから痛覚を無効にするのは止めたほうがいいぞ。」


「なるほど…では腕を吹っ飛ばされた時『何かありましたか?あなたの攻撃なんてこれっぽちも効いてないんですからね。フンっ』ってドヤ顔して回復すればいいわけですね!さすが師匠、相手への精神攻撃も忘れないなんて…これからもアドバイスお願いします!」


「ふぉっふぉっふぉ、いやぁワシが言おうとしとったこと言われてしもうたわ。じゃがな物事を円滑に進めるには自分のすべてを理解し有効活用せねばならん。そしてルークよお前は…」



ゴクリッ…師匠のいつになく真剣な雰囲気に緊張で唾液を飲む音まで聞こえます。いったい何を言われるのでしょうか?




「弟子びいき抜きでも可愛い…もの凄くかわいいんじゃ。」




「うぇ?」と間の抜けた反応になっちゃたのは仕方ないです。何言ってるんですかねこの人。



「日の光を受けキラキラと輝く髪。おまけに絹のようにサラサラで潤いと光沢のある手触り。くりくりと愛くるしく宝石のように澄み輝く紫の瞳とそれを縁取る長い睫毛。白く「も、もう分かりましたから!わ…私は可愛いです!」



ぬぁぁぁぁあ恥ずかしい!も―なんなんです!なんで自分で可愛いと言わないといけないのですか!?耳まで真っ赤ですよこれ。ふぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!



「そうかそうかならルークよその可愛さを理解した上で相手にどう接する?」


「う…ぇ…あええっと可愛い子ぶる?とかですかね?腕とか飛ばされても可愛く泣く…とか?」



いやもう訳が分かりません。正直可愛らしくお願いして値引きするとかしか思いつきません。師匠は何を言いたいのでしょうか?



「それも手かもしれんがな…一番は高低差(ギャップ)じゃよ!」



本格的に何を言ってるかわかんないです。私のミンチを作りすぎてとうとうボケたのでしょうか?これは早く回復魔法を覚えたほうがいいかもしれません…



「つまりは可愛い時とそうじゃない時を使い分けるんじゃ。まぁ人によるが先ほどルークは腕を吹っ飛ばされた時ドヤ顔をすると言っておったな。じゃがそれではただ愛らしい子供が強がっているようにしか見えん。だから嘲笑するんじゃ。」



師匠…真剣な顔で何言ってんですか?なんだか幼女趣味の危ないお爺さんみたいです。でも少し納得です。確かにドヤより嘲笑や鼻で笑ったほうが相手の動揺を誘えそうですね…



「分かりました!可愛い時は可愛く、相手を煽る時は徹底的にですね!」


「そうじゃ!今もの凄くいい顔(・・・)しとるからその調子じゃ!」




なるほど純粋なままでは生きていけない世界のようですね!












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