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魔法は危険極まりないです

「魔力コントロールを教えておらんかったワシが悪いんじゃよな…あぁそうじゃそうじゃ、すっとぼけた弟子が魔人となり魔力回路が以前と違う事を忘れ、魔力を暴発させるなんて事を予測しておらんかったワシ(師匠)が悪いんじゃよなぁ。」


『『「すみませんでしたぁぁぁぁ!!!!!!」』』







ルクレツィアが魔力を暴発させ亜空間一体を吹き飛ばした瞬間、ゴルバチョフは一瞬で転移しルクレツィアと《エクスカリバー》を回収していた。安全な場所から亜空間に戻ると、その惨状にルクレツィアと《エクスカリバー》は身を震わせた。


幸い亜空間自体には問題はなく空間を破壊し、空間の狭間に取り残されるという面倒な自体は防ぐことが出来た。ルクレツィアが魔人となり訓練を行うため、予め亜空間の耐久力を高めていたことが幸をそうしたようだった。ただ空間内の木や岩は消滅し、地面は抉れこの世の終末を彷彿とさせる被害だった。


ゴルバチョフは弟子のやらかした規模の大きさに遠い目をし、虚ろな目でルクレツィアと《エクスカリバー》に謝ったのだった。







ルクレツィアが土下座し《エクスカリバー》が全力で身体を震わせ反省し救われた事を感謝した後、二人と一振りは昇る朝日に照らされ朝を迎えた。



「うっわぁ……私人類の敵とか言われないです?ちょっと魔力込めただけで森が不毛の地になるなんて……ははっ雑草除去する必要のない住宅地作れますね。」


「いやお前全く反省しとらんだろ。」


「うぎゃぁぁああ!頭骨が!顔が潰れます!」



真顔のゴルバチョフにアイアンクローされ顔面を潰されかけたルクレツィアは、ジタバタと暴れ謝罪しまくり何とか腕から抜け出した。腰にぶら下がっていた《エクスカリバー》はその様子をみて肩を…刀身を震わせていた。



「ぐぉぉぉ…師匠容赦ないです、ちょっと冗談言っただけで人の頭をりんごのように握りつぶそうとするなんて酷いです!あんまりです!人でなし!

あとそこの鈍ら笑ってんじゃねぇですよ、今すぐ火口にぶん投げてやりましょうかコラ。ほんとっリアクション出来るなら早くしやがれですよ。貴方が何も反応をしてくれないか、ちょっ!殴らないでください!」



文句を言うルクレツィアに腹を立てた《エクスカリバー》はガスガスと彼女の背中を突いた。この惨状が自分一人のせいだとなりゴルバチョフにお説教されたくないため、ルクレツィアは必死に《エクスカリバー》にも責任があることを訴えた。



「だって口もついてない剣や鞘が喋りだすとか普通信じれないじゃないですか!?だから自我のある前提で話しかけていた私は立派だと思うのですよぉ!だから反応してくれないからいろいろ考えた末にこの結果に落ち着いたのです。お陰で亜空間が滅茶苦茶になっちゃいましたよ、ほら私だけの責任じゃないですから!」


『魔力が足りなかったのだ。あとあれだけの魔力を無理やり流された僕らは被害者だ、その軽い頭を地面に擦り付けて詫びろ馬鹿者。』


『初対面で馴れ馴れしくするのが悪いのです。今話してやるだけでも泣いて喜べなのですポンコツチビ。』



ルクレツィアは据わった目で口元だけ笑い、《エクスカリバー》を横に両手で掴んだ。ミシミシと音を立て物凄い強さで折り曲げられそうになっている剣と鞘はカタカタと震えていた。



「うふふふ、今の私魔力をコントロール出来ないんですよね。そんな(魔人)が身体強化かけたらどうなるんですかね興味があります。師匠でも傷をつけられなかった鞘ってどれ程硬いのでしょうか?傷ついても再生するから傍目では絶対防御なんて思われているんでしょう?なら問題ないですね、よし折っちゃいましょう。」


『『すみません許してください、悪いと思ってます。あ、ちょっ折らないでっ!』』



初期の頑なな態度はどこへ行ったのか、《エクスカリバー》はブルブルと震え念話で許しを乞うていた。この声は持ち主のルクレツィアしか聞こえず、ゴルバチョフはそんな弟子と弟子の相棒の仲が深まった(?)様子を片目に、荒地と果てた亜空間を再生していた。

轟音を立て木や岩が地面から生えてくると、その振動に驚きルクレツィアと《エクスカリバー》は会話をやめた。



『破壊神ルクレツィア』


『創造神ゴルバチョフ』


「どうも破壊神ルクレツィアです。余程折られたいようですね?粉々にしてやりますよ。」


『『口が滑った』』


「はい有罪(ギルティ)



バキャッ!



《エクスカリバー》の絶叫は勢いよく生え成長する草木や岩、山や川が出来る轟音にかき消された。ゴルバチョフは妻から託された子供ともいえる《エクスカリバー》と、ルクレツィアの仲が深まったことを喜んでいた。が、それとこれとは別で未熟な魔力操作で辺り、一面を焦土と化した弟子とその相棒に説教することは確定されていたのだった。









「ふはー…こんな幼い少女に6時間正座したままお説教とか鬼畜です!鬼畜魔人!」


『お前が寝るからだ』


『何度も一から怒られたのはお前のせいなのですぅ』


「えぇ!絶対2人だってほとんど聞いてなかったじゃないですか!表情が出ないからって全部私のせいにしないで欲しいです。多分師匠鋭いから気付いてましたよ!不自然に声のボリューム上がってましたし。そのせいで私の鼓膜が何度も犠牲になったのは忘れませんからね」



ルクレツィアと《エクスカリバー》は昼食後、いつも通り午後の訓練を行うため亜空間に来ていた。ルクレツィアはゴルバチョフ以外とこうやって話す事は初めてで、こんな言い争いでもかなりエキサイトしていた。


ガシッ


「あ……ししょ…」


「ワシがあれだけ説教したにもかかわらず随分元気そうじゃな。これなら多少厳しい訓練でも大丈夫そうじゃな」



後ろからゴルバチョフに頭を掴まれ浮いているルクレツィアは、チラリと師の顔を見て後悔した。顔が青ざめ汗が止まらずプルプルと震え、何とか頭を鷲掴む手から抜け出そうと試みたがそれは無理だろう。


ゴルバチョフは一睡もせず大量の魔力を消費し6時間お説教を食らった弟子を、多少なりとも身体に配慮した魔力コントロールの修行にしようとしていたのだろう。しかし全く反省する気のない馬鹿弟子を目の当たりにし、その気持ちは消え去った。



「実践の中で魔力コントロールを覚えていけばいいんじゃよ。人は危機的状況の中でこそ成長出来るからの」


「ゑ…は、ちょっま!待ってっくだ、いぎゃぁぁぁ!」



頭を鷲掴みされていたルクレツィアは、腰にぶら下げていた《エクスカリバー》と共にそのまま遠くに投げ飛ばされた。






ルクレツィアは空中で体制を整え空を飛びながらゴルバチョフへの愚痴を言いまくっていた。


「うわぁ酷い!ハゲるかと思いました、師匠は私の髪にどんな恨みがあるんですかね。くそぉ脱毛クリームないですかね?師匠の後頭部に塗りたくってやります!」


『そんな事より来るぞ!』


「何がって、ひぎゃっ!?」



愚痴に夢中だったルクレツィアの真横に向け、巨大な火の玉が通り過ぎて行った。驚いている間に森の近くの地面が近づき着地すると、ほぼ同時に【氷の矢】がルクレツィアを襲った。はっと気づくと自分を投げ飛ばしたゴルバチョフが物凄い速さで向かっていた。ルクレツィアは飛び退き近くの森に逃げ込むと、全力で木々の間を駆けて行った。



「ヤバいですヤバいです師匠、絶対私の悪口聞こえてました地獄耳です。見つかったら確実に殺られます。」


『魔力コントロールの訓練しないとなのですよ』


「無茶言わないでください、こういうのは地道にコツコツ練習するのがセオリーなんですよ!実戦でいきなり出来たら苦労しませんし、そういうのは覚醒シーンとかで用いられるやつです。今ここで魔法使ったら確実に自滅します。だから《エクスカリバー》付きで投げ飛ばされたということは武器を使っても大丈夫なんだと思うんです!いやまぁ師匠に接近戦とかそれこそ自殺行為なんですけどね!」


『お前は意気地無しか。僕達に認められたければ当たって砕けろ』


「いやだ砕けたくないです!一応聞きますけど《エクスカリバー》って魔法切れたりします?」


『それはもちろん、下級魔法から極大魔法まで何の問題もない』


「それじゃ『ただし持ち手の技量による』全く意味ないじゃないですか!?昨日初めて剣を持ったばかりですよ私!」


『だから当たって砕けろと言ったんだアホ』


「なんてこった!うわっ来たぁぁぁ!」



魔人であるルクレツィアと魔人であり【身体強化】を使って追いかけてくるゴルバチョフとでは、追いかけっこにもならずあっという間に追いつかれてしまった。



「【火竜の息吹】」


「ぐっ!もうどうにでもなれ!」



森で火系の上級魔術を放たれ周囲を炎に巻かれたルクレツィアは、魔法で辺り一面を凍らせ消火した。

コントロールが出来ない状態で放った魔法は、亜空間の全て(・・)を凍りつくした。



―まずい…非常にまずいです私まで凍っちゃいましたー



氷の世界にいるルクレツィアとゴルバチョフは彫刻のように固まり(・・・)、互いに見つめあっていた。


が、氷に覆われているはずのゴルバチョフが薄らと微笑んだように見えた瞬間、ルクレツィアはゾッとした。ピキピキとヒビが生える音がしたと思えば、一瞬にしてゴルバチョフを纏っていた氷が砕け散りキラキラと光っていた。



「さぁ馬鹿弟子(ルーク)訓練を続けようかのぉ」



ルクレツィアは氷漬けにされ動けないはずの体が震えているのを感じた。
















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