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師匠とクッキング!

ガシャンッ!


パンッ!


バンッ!



あれからルクレツィアは破壊と再生を繰り返し、あらゆる物を破壊していた。



「いい加減にせんか!まったく繊細さの欠けらも無いじゃじゃ馬娘じゃのう!もっと大人しく出来んのかこの馬鹿弟子!」


「う…うるさいです!この料理下手くそ爺!なんなんですかあの死ぬほど不味い緑色のヘドロは!?それに自分だって生活力皆無の繊細さの欠けらも無い、引くほど大雑把な家事じゃないですか!」



カチンときたルクレツィアは真っ赤な顔で反論した。それを聞き黙っていられるゴルバチョフでもなく…



「いいじゃろう!繊細さと器用さの求められる料理で勝負じゃ!」


「ふんっ!いいですけど師匠ちゃんと料理してくださいよ?お肉焼くだけが料理じゃないんですからね。」



こうしてクラッシャールクレツィアと適当人間ゴルバチョフのお料理対決の火蓋が切って落とされた。


両者謎の自信をもって。





















二人はキッチンに移動した。そこは二人がそれぞれ作業しても十分な広さがあり、ゴルバチョフが亜空間から出した食材を台に置いた。


「この食材を使って好きに昼食を作るんじゃ。そしてお互い作ったものを食べてどちらが美味いか決めるぞ。」

「分かりまし『バキャッ』」


ルクレツィアは分ったと言いながら登った踏み台の一段目の階段を踏み抜いた。



「「…………」」



二人は顔を見合わせ頷いた。そしてゴルバチョフはルクレツィアを浮かせ、事前に(・・・)作っていたエプロンを着せた



「本当はお前と二人で料理をしようと思っていたんじゃよ。お前が大変な思いをしてやっと成長できるようになったのにあんなこと言ってすまんな。今まで出来ていたことが難しくなって一番辛いのはお前なのにな…」



ゴルバチョフの悲しそうな微笑みにルクレツィアは申し訳なさそうな顔で彼の手を取った。



「師匠…私こそ酷いこと言ってすみません。つい日頃の愚痴をこぼしちゃって…師匠の料理が不味いとか、部屋の掃除私が言わないとしないとか、紙のゴミを部屋で燃やして出た灰を放置したり…」


「お?喧嘩売っておるのか?おん?」 


「でも一緒に料理できて嬉しいです!それに私と師匠が手を組んだら頬っぺたが落ちちゃうくらいのお昼ごはんが出来るかもしれません!頑張りましょうね師匠。」


ルクレツィアのキラキラの笑顔に上手く誤魔化されたゴルバチョフは、ヤレヤレと後ろに回りルクレツィアの服の裾をまくった。



「さぁ師匠お料理殺りますよぉぉぉ!」


「なんだか気合が入りすぎて『やる』の意味が変わっている気がするぞ…」



ゴルバチョフのツッコミを無視してルクレツィアは殺る気満々に肉とまな板(・・・)を真っ二つにした。



「おっ!だいぶ調節上手くなったんじゃないですか?犠牲はまな板と包丁だけです!」


「そうじゃのぉ。ってなるわけあるか!!馬鹿なのか?馬鹿なんじゃな?肉を切るだけで何故にまな板と包丁の柄と刃をボロボロにいちゃってんの?お爺ちゃんビックリじゃよ!?そもそも何作る予定なのかワシ聞いてないんじゃが。」



喜ぶルクレツィアの横でゴルバチョフはあらぶっていた。そして同時に不安になった「これワシがやったほうが被害が少ないんじゃ…」しかし彼はそれを口に出すことはしなかった。横で張り切っている可愛い弟子を止めるのが忍びなかった…というわけでなく止めるのが只々面倒臭かったからだ。



「その為に師匠(魔法)がいるんですよ!ほら修復お願いします。これからチャーハン作るんですから!」



「これを直して本当にいいのか?」ゴルバチョフはルクレツィアに破壊された数々の家財道具を思い出しながらも、まな板と包丁を魔法で元に戻した。そしてこれが後に悲劇を生む。







「あぁもう!野菜刻んでたらまな板まで切っちゃいました。師匠ぉぉぉ!」


ゴルバチョフはまな板を修復し、包丁の刃を研いだ。



「はぐぅぅ!フライパンの取っ手が潰れました。師匠ぉぉ!」


ゴルバチョフはフライパンを修復しさらに丈夫な素材のものに変えた。



「師匠ぉおおお!卵が…卵が掴めません!」


ゴルバチョフはルクレツィアの代わりに卵を割りボールに入れ混ぜた。こそっと砂糖も入れた。



「昔『分量とレシピを守れない人間が美味い飯を作れると思うなよ』って言われたのでちゃんと秤を『バキャ』……oh。」


ゴルバチョフは真顔で秤を直し弟子の言葉に心を痛めた。『隠し味はダメだったのか…』



「クシュンッ…クシュンッし…ししょ…クシュンッ!胡椒…クシュン」


ゴルバチョフはクシャミをしながら自身とルクレツィア、空気を浄化した。胡椒は摘まんで入れることにした。「調味料は高いとこから入れないとダメなんですよ!」とほざく弟子を無視してその後も味を調えていった。もちろん隠し味は入れずに。



「チャーハン作る時こうやってフライパンを『パンッ!』ふぁ!?」


ルクレツィアはフライパンで炒めていたチャーハンを宙にフライさせた。隣で見守(監視)っていた師匠ゴルバチョフは魔法でそれを回収し、炎で炒め皿に乗せた。終始真顔で。







「わぁ出来ましたぁ!パチパチパチパチ」


「いや殆どワシの手柄じゃぞ」









二人は顔を見合わせた。ルクレツィアはニコッと笑いその言葉を無視することにした。


「さぁ~食べましょう!あっ美味し…ってわけじゃないみたいです…」









午後からの訓練はいつもより二割増しで厳しかったという。














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