人の規格
「ではルーク魔眼をやってみなさい。」
「はい」
今日は自分の身体を理解するために身体測定やら魔力、能力検査をします。昨日は怒りで戦っていたようなものなのでだいぶボロボロになりながら戦っていましたから、実際自分がどれくらい全ての能力が向上したのか楽しみで…
パンッ!!
あ。目のまえが真っ暗です。なんかデジャ「今度は目玉が弾け飛んだか。」
…うぇ?
え?は?失明の次は目玉の喪失!?何かを得るにはそれ相応の対価が…ってまさか目玉失うとは思いませんでしたよ、あと私の常識!目玉弾け飛んで滅茶苦茶痛いのに冷静にツッコんでる脈拍血圧共に正常な自分が怖いです。
「ほれこれで見えるようになったじゃろ。魔力回路どころか眼球まで弾けるとは…こりゃ元の魔力が多いこともあってコントロールが難しそうじゃな。成長期や訓練で魔力も増えるじゃろうし…」
「ありがとうございます。では回復魔法どころか魔法を習得するのもまだまだ先になりますね。そういえば私の自然回復力ってどれくらいなんでしょうか?」
今更ですが私の着ている服は一々浄化魔法をかけて驚きの白さにしていません。どうせすぐに赤く染まるので修行が終わるまで血に染まったブラッドルクレツィアちゃんでいきます。
今師匠に眼球を再生してもらいましたが、戦った時は多分骨が何本か折れたり打撲や切り傷ができてもすぐに治っていた気がします。もうだいぶ感覚が麻痺しちゃってますけど人間ってそんな再生能力ありましたか?
「そうじゃな。先に試してみようかのぅ」
まず手のひらに「えいっ!」とナイフを貫通させます。もう自傷に抵抗がない神経に戦慄する暇はないです!すると…
「うわぁ…気持ち悪さを嘆くべきか人の規格から外れたことを嘆くべきか…」
「これはすごい再生力じゃな…S級の魔物並みの回復力じゃぞ」
このクソ爺…人を辞めたことを気にしている乙女の横で堂々と魔物と同列だなんて言いやがった…。思わず瞳孔かっぴらいて見つめちゃいました。
「魔力はどれ位減っておるか分かるか?」
「ほとんど…というか小量すぎて減った感覚がないですね。」
そしてナイフが貫通してぱっくり開いた傷口はじわじわと血管や肉が繋がり結局10秒もせずに塞がっちゃいました。傷跡は全くなく元の真っ白なモチモチおててです!
予想以上のポテンシャルに若干引きながら次は腕を切り落としてみます。もう何の躊躇もありません。魚肉ソーセージを切る感覚でストンと切り落とします。
「ひゃー…ゆっくりですが細胞、血管、骨と再生していますね。でもさっきより遅いですし魔力も分かる程度には減っています。」
「ふむ…ちょっと意識して魔力を集めてみなさ…うおっ!これは驚いた…」
ギュンッと音がしたんじゃないかと思うほど勢いよく腕が生えてきました。漫画とかでよく見てましたが実際自分がこうなるとあの苦行も報われ感慨深い…てなるわけなく普通に怖いし気持ち悪いです!これ確実に人間やめちゃってますよ!?あとそこの爺「SSS級か」とかボソッと魔物のランク上げんじゃねぇ反抗期迎えんぞコラ…です!
その後もいろいろ実験をして、一から再生するより切り落とした体とくっ付けた方が早く魔力消費も少ないということが分かりました。あと私全身ミンチになっても魔力さえあれば再生しますし、何なら細胞一欠片からでも元通りになるようです。
いやぁ怖かった…エキサイトした師匠がどんどん細切れにしたり、灰にしてくるので一瞬死を覚悟しました。まぁそのお陰で生きたいという《意志》が重要だと分かったんですけどね。だからって殺されかけたことは許しませんよ師匠?
ゴルバチョフはルクレツィアの怖い笑顔に顔を引きつらせ、急いで話題を変えた。
「つ…次は身体能力と五感について調べるとしようかの!」
前世の身体測定の要領で持久力や跳躍力、視力や聴力などを測ります。結果は…
「は…半端ないです。」
「いや…これは予想以上じゃな…。ワシもこの若さで細胞の魔力侵食率100%に達した者を見た事がなかったから知らんかったが、どれもワシが身体強化をかけた時並の数値じゃよこれは。これに身体強化をかけたら…末恐ろしいのぉ。今のままでもデコピンで獣人倒せるぞ。まぁ……ボロボロに自滅しとるけどな」
実は集中を欠くと足に力が入りすぎて地面が抉れたり足がハマったり、埋まったりして今の私は実戦には向いてはいません。敵意を持った相手には確実に負けちゃいます。自然回復で身体は何ともなってはいませんが地面と服が真っ赤で絵面がヤバめです。
「そうじゃルーク。身体を魔力にすることは出来んか?とりあえず指だけやってみなさい。」
「身体を…ですか?んー」
指先が霧になるイメージで…え…あ、これ不味いやつです。全身魔力になってしまってます。うわこれどうすればいいんです!?でも不思議な事に感覚はいつも通りですね…。そして人はパニックを極めると冷静になるんですね。
「えっと…身体が魔力に…でも感覚はいつも通りです。」
「これは血液を操れる吸血鬼の固有能力なんじゃが、身体の全ての魔力を操れると出来るようになるんじゃよ。……そういえばこれ戻せるか?」
「えぇ…と、やってみます。」
小さな竜巻のように大気中の魔力…魔素が巻き起こり、ルクレツィアが現れた。
あぁ前世の記憶…サブカルチャーありがとう…このイメージのお陰で私は今大地を踏み立っています。そして戻るかもわかんない事をさせないでください師匠。
そうして私の人外生活は幕を開けたのでした。
その日の夜ルクレツィアは力の調節を誤りコップや床、ドアノブなどおを壊しまくっていた。
「気になったら元には戻れない…まるで恋のようですね!」
「やかましいわ!」




