表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編 「秘密基地」

作者: みそラーメン


子供の頃あそこで遊んだことがある。

いつからか訪れなくなったその神社は広大な森の入り口にあった。

確か横に小さな抜け道があってその先には御神体とは別の不思議な祠があったんだっけ、昔は友達と秘密基地にして遊んだんだ。次の日もその道を通った、黒く塗り剥げている鳥居に呼ばれた気がするからだ。入ってみると何者かの気配を感じたが誰も居ない、しかし抜け道は健在であり何か足跡のようなものも見える。またあの場所に行ってみたくなり成長した自分の体とは不釣り合いなその抜け道に入ってみた、木葉が体に触れて少しくすぐったい。


「こんなに遠かったっけ…?」


そんな独り言を言ってしまうほど延々と道が続く。道を間違えたのかそこはもう自分が知る場所では無かった、辿り着いた先には何やら木造の土台に工具のような物が置いてある。


「これは…」


そう呟いた時、入り口の方からガサゴソと草を掻き分けるような音が聞こえてきた。


「おじさん何してるの?」


後ろを振り向くと一人の少年が立っていた。


「お、おじさん…?あのな俺はまだ20代だぞ…!」


違う、俺はそんなことを言いたいんじゃない。


「ふーん、まあいーや」


少年はそう言うとそそくさと工具箱から少し錆び付いた金槌と買ったばかりなのか小綺麗な釘を取り出した。


「それは…?」


「買った、金槌はここで拾った」


「じゃあ何を作ってるんだ?」


そんなこと聞かなくても大体察しは付くのだが…。


「秘密基地」


少年はそう答えた、秘密基地…懐かしい響きだ。

それに少年の使っている金槌にも見覚えがあった。


「少年、ちょっとその金槌を見せてくれ」


「なんで?」


「いいから」


そう言うと少年は金槌を手渡してきた。柄の部分を念入りに凝視すると名前が彫ってあった。『国山博信』俺の名だった。数十年の時を経てこの場所は引き継がれていく、そこにはかつて遊んだ証がある。

次の世代にもさらに未来にも…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 昔俺が使ってたものだって、恐らく彼は言わないんだろうと
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ