律子さんの孫への想い
私はお局さん・・名前は如月律子さんと言うそうですが・・
・・・
私はホテルを出て律子さんの家に強制居候という形をとらされました、
何でも旦那さんは去年他界され家に1人だけだと寂しいからと・・
さらにほとんどホテルにいるのなら大して変わらないと言われまして・・
・・・
なら晴翔さんや沙綾香さんの方がいいと思うのですが・・・
・・・
私にメリットは・・
「心配しなさんな!手伝いしてくれたら三食付きで無料で住ませるよ!」
!!!
これは思わぬ朗報!お金を稼ぎたい私としては渡りに船です、というのも・・
監禁ホテル生活は意外と嵩み毎月20万近く出費しているからです、なので・・
これらを貯金できるとなると・・かなり貯まるのではないでしょうか?
でも・・・
手伝いというのが気になります、もしかして・・夜の肉体労働?
「んな訳ないだろ!庭の花の手入れと掃除洗濯だよ!」
失礼いたしました!
翌日・・・
私はホテルを出て律子さんのお迎えの車で移動し家に入ります、
私の部屋は二階の南側、誰も使ってなかった部屋らしく何も無し、
ここに律子さんがホームセンターで買ってきたベッド等を置いていきます。
二時間ほどしたら準備完了、8畳ほどの部屋に机などが備わります、
なんか久々の自分の部屋、私は嬉しくてベッドに寝転がります、
あと猫たちがいたらいいのに・・それは却下されました。
「あんたに子猫与えたら年中部屋に引き籠もるでしょうが~~~!」
仰る通りです!
その日の夕方・・
買い物に行くと律子さんが言うので私はお供、一応変装していきます、
近くのスーパーでお買い物、今日の献立は鮪の刺身と茶碗蒸しです、
あまり話さない律子さんらしいのですが・・
「晴翔は小さい頃よく遊びに来ていてね~~!!!」
「沙綾香はいつも晴翔を追いかけていてね~~!!!」
と・・・
何だかんだと私に語りかけます、私は営業用スマイルで頷きながら聞きます、
私は聞き役に徹してあまり自分からは話しません、それが功を奏したのかな?
律子さんは笑顔で話す事が増えて私を大切にしてくれます。
一週間後・・・
私は昼は舞台、夜は家に戻り律子さんと一緒に夕食をとる日々が続きます、
遠征以外はこの生活を繰り返し・・すっかり私は律子さんの娘と化しました、
舞台にも見に来ていただいて・・私は気合い入れて舞台に挑んでいます。
そうして・・
舞台は無事終了、特に問題も無く最終幕が終わり私は律子さんと過ごします、
もうじき冬、律子さんとこたつの中でミカンを食べながら過ごしていきます、
こんな風に過ごす時間は・・ほんと久々です。
そんなある日・・・
律子さんが話があるからと呼ばれます、私は疑いも無く居間に移動します、
そうして律子さんの対面に座り・・何やら深刻な顔の律子さん、そして・・
私の顔を見て・・
・・・
「あんた、晴翔の事をどう思っているのかい?」
「えっ?ど・・どういうことですか?」
「前にも言っただろ?あたしとしては沙綾香と晴翔を結ばせたいんだよ、
だけど晴翔はあんたに夢中だから見ていて切なくてね、だから・・
あなたを晴翔から離したくてあんたを家に呼んだんだよ」
「そうですか・・それはありがとうございます!」
「はい?なんだって?どういうことだい?」
「えっ?私の正体をご存じ無いのですか?」
「なんのことだい?・・そういえばあんた相当な訳ありと言っていたね、
それはどういうこと?よくわからないけど・・説明してくれるかね?」
「は・・はい私は実は・・男なんです!」
「はあ???」
「信じられないかもしれませんが・・私は本名は篠崎紘という男です、
父親が製薬会社に勤めていて私に試作のサプリを飲ませたのです、
当初は男と女が入れ乱れていたのですがしばらくして・・」
「そんな馬鹿な話信じられるかい!」
「仰る通りです、だけどこのことは愛華先輩や晴翔さん達は知っています、
実際私が登場してから篠崎紘はこの世にはいません、私がその紘だからです、
お疑いならお調べください、私は身体は女ですが心は男なのです!!」
・・・
「ふう・・・」
「心臓に悪いこと言うね~!あんたが男?その美貌で?」
こう言って律子さんは愛華先輩に電話して詳細を尋ねています、
そうして・・
・・・
顔色が変わり・・・
・・・
電話を切り・・私に向かって尋ねます。
「どうやら本当のようだね、それで?あんたは今後どうしたいんだね?」
「は・・はい私としては人目が無いところで静かに暮らしたいのです、
この身体は目立つのと・・両性となった私は性欲がほとんどありません、
なので出来れば人目の無い山奥などで過ごしたいのですが・・」
「それは無理だね」
「えっ?どうしてですか?」
「今の話を聞いたらね・・ますます愛華達と働いて貰いたいからだよ、
その美貌で性欲がほとんど無ければ女優としては便利な存在なんだよ、
浮気や男遊びが無いからね、これで晴翔の気持ちがわかったよ」
「ど・・どういうことですか?」
この後の律子さんの言葉を聞いた私は・・・
・・・
寒気が止まりませんでした。




