母親の無気味な来訪
俺は・・ほぼ女性姿が多くなり部屋に籠ることが多くなった、
さすがにこのままだと生活そのものが困るので深く考え込んでいた、
そうして・・辿りついた答えは男女の両性生活を送ることだった。
・・・
念の為お伝えするが・・
カエルのような生活・・は無理なので女性姿でも働くことにしたのだ。
こうなるとこの地で暮らすのは難しい、男姿で過ごしていたので近所は顔馴染、
一応女姿は妹や従兄妹などと言って誤魔化していたが・・もう限界だ、
ちょうど大学が閉校になることもあるのでこの際引っ越すことにした。
「あら引っ越すの~~寂しくなるわね」
「すみません、お世話になりました!」
大家さん達からは惜しまれていたが・・今の俺はとにかく逃げるしかない、
この異常体質がバレたら瞬く間に広がり俺はどこかに連行されるだろう・・
そしてその先にあるのは人体実験の標本扱い・・恐怖しかなかった。
なので・・
貴重な男姿に戻った時の俺は即座にあいさつ回り、大学の閉校を理由にした、
もう少し学びたいので専門校に通うので引っ越しを決意したと周りに話す、
それなら仕方ないわね・・となぜか野菜を山ほど貰い見送ってくれた。
ちなみに次に引っ越し先に選んだのは・・広島県広島市内。
理由は・・
あまり大きすぎず・・だが街の規模が小さすぎると専門校が限られる、
家賃の問題もありあまり大都会・・東京や大阪だと家賃が高すぎる、
それと中国地方は穏やかで製造業関連が多いのが決め手となった。
というのも・・
この地域では自動車部品などの製造関連工場が多く機械相手の作業が多い、
俺としては人と接するのは最小限にしたいのでこの地を選びアパートを探す、
市内からは少し離れるが1kで3万円台のアパートが見つかりそこに住んだ。
それと広島には知り合いがいない、完全に知らない地域だからだ。
だが・・
住みだした途端俺は女性姿で完全固定、何度くしゃみをしても戻らなかった、
入口の鏡で自分の顔を見る俺・・どう見ても侯爵令嬢のような美しい顔だった、
さらにプロポーションまでモデル並み、完全に女性姿となっていたのだ!
・・・
仕方がないので・・
俺は専門校を諦め退学届けを出す、翌日母親から電話がかかってきた!
俺は女性姿のまま電話を出る、だが声まで変わっていたの忘れていた!
「もしもし!!」
「あら?あなた絋じゃないわね?誰なの?」
「えっ・・ああ・・絋さんは今トイレに行ってまして・・」
「ふ~~ん?じゃあなたは誰なの?」
この時俺は・・前に住民票でみた紗由美と言う名前を思い出した。
「わ・・私は紗由美と申します、絋さんの友人です」
「えっ?恋人じゃないの?」
「そ・・それは・・まだそこまででは・・」
「ふ~~ん・・まあいいわ、絋は今広島にいるんでしょ?」
「えっ?ええ・・専門校に行くとか言ってましたが・・」
「その専門校から電話があったのよ!息子さんが退学届を送ってきたって!
一体どういうつもりなの?合格した大学やめて田舎に引っ越し今度は広島?
そこもすぐやめたんでしょ?何訳の分からない行動してるのよ!!!」
「そ・・それは・・」
「まあいいわ、貴方には関係のない話ですものね、ごめんなさいね、
絋が戻ったら伝えといて、私今仕事で岡山にいるから明日広島に伺うわ、
その時にアパートで話がしたいと言っといて!昼前にまた電話するわ!」
こう言って母親は電話を切る、俺は電話を切り急ぎ部屋を片付ける、
というのも・・女性姿が多くなったので服も下着も女性の方が多いからだ、
急ぎ片付けして適当に男性服を干し男の部屋のように切り替えた。
だが・・
肝心の本体は女性のまま、いったいどうしたらいいのだろう・・
・・・
俺は徹夜で・・
考えられるあらゆる手を試したが・・
・・・
翌朝になっても女性姿のままだった。