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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第2章【G-1グランプリ予選】編
89/310

第20話①~哀しみの夜空~

既にプレイヤー達はテロリストに敗北してしまったのか!?


魂を悪魔に売ったプレイヤーを倒すには、魂でぶつかるしか方法は無い!!


勝機は必ず正しい者にやってくる!!その真意はプレイヤーの潜在能力、【プレイヤーの魂】に隠されていた!!!


第20話、オープン・ザ・ゲート!!!!

 ――ゲームワールドにも夜がある。


 予選での激闘、そして精魂尽き果てたプレイヤーの傷を癒すための夜がある。


 そんな常闇とネオンで覆われたゲームワールドのエリア。

デュエルフィールドはテロリスト集団『ブラックヘロン』に完膚無く占領され、更には現実世界へ転送も出来ない。


 最早、籠の鳥のようにプレイヤーが捕らわれつつあった。



 ――そしてここはデュエルフィールドから少し離れた救急病棟。


 ゲームの電脳世界とはいえ、現実と同じでダメージに妥協しない。

不慮のアクシデントや、事故での怪我の為に各エリアに救急の施設が存在する。


 その中では先程爆破テロの犠牲になったシャッフル・オールスターズ、河井みのりが手当てを受けていた。


「……どうなんですか?」

 立ち合いに桐山剣が医者に問いかけた。


「何とか、九死に一生を得た感じですね。ただ暫くは安静にしていないと」


 あの爆破に巻き込まれた時、剣の問いかけで急所から外れ、大事に至らなかったようだ。


「良かった……ホント良かった――!!」

 剣も安堵の表情に戻った。


「でもこの怪我じゃ予選は厳しいぞ……?」


「……それは本人が一番分かってることだろ」


 不安を仰ぐ槍一郎達に、剣も「皆まで言うな」と言わんばかりに話を遮った。


「さて、これから先どうするか考えんとなぁ。ゲームワールドから逃げられへんし、どのみち闘うより方法はあらへんが……」


 豪樹がこの先の事を考えている最中、突然――!!


 バァンッ!!!


「!?」

 ブラックヘロンの一員が強引にみのりのいる病室に侵入してきた。


「見つけたぞ、剣!!大人しくその寝込んでるお嬢さん渡してお縄に――――」


 ――ドスッッ!!!!


 剣は一員に思い切り腹パンを繰り出した。


「――今お取り込み中だ。とっとと消え失せな!!!」


 腹パンに続いて剣は蹴りつけた所でメンバー一同、寝込んでるみのりをベッドごと持ち帰りその場を立ち去った。


「悪ぃな先生!みのりは預かります!!お世話様でした!!」

 そしてメンバー一目散に病棟を後にした。


「……あぁ、お大事に。――後でちゃんとベッド返してね!!」


◇◇◇


 ブラックヘロンの一員から逃れ、デュエルフィールドから一先離れた『プレイヤーバザール』まで徒歩で逃げていったシャッフルオールスターズ。


「ハァハァ、ここまで来れば大丈夫だろう」


「う、うーん…………」


 あれだけ騒いでいた為か、寝込んでいたみのりがここで意識を取り戻した。


「あ!みのりちゃん気が付いたみたい!!」


「何!?ホントか!!?」

 剣は直ぐ様みのりのベッドの元へ駆け寄る。


「しっかりしろ!俺のこと分かるか?みのり」


「…………剣君?あれ、私どうしちゃったんだろ?」

 みのりのいつもの呑気さが戻り、剣達も心の底から安堵した。


「ったくよぉ……!!心配させんなよホントによぉッッ!!!」


 ここで一番安心したのは剣であった。今にも剣の目が涙で潤みそうである。


「……そっか、あの時爆発に巻き込まれて――ゴメンね皆、心配かけちゃって」


「みのりちゃんは何も悪くないよ。剣は必死に君を救おうしてたんだ、責めることなんか1つもない」


「そうや、悪いのは爆弾仕掛けたブラックヘロンの方や」


 みのり自身はそれでも責任を感じていたが、剣が自分を本気で救おうとしたことは少し嬉しかった。そして、あることに気付く。


「――――そうだわ!!ねぇ、私の予選どうなったの?皆のは!?」


 みのりは自分の事とメンバーの予選の前半戦の結果を聞き始めた。


 この事は剣が思い切って説明した。


「………良く聞いてくれみのり、G-1グランプリは()()になった。

 ブラックヘロンの奴等が、参加プレイヤーと主催のWGCの役員達を人質に取って、完全にゲームワールドを乗っ取りやがったんだ!!!」


「……嘘でしょ――?!」


 先程の救急病棟での襲撃であったように、会場の『デュエルフィールド』を中心に、『プレイヤーバザール』や『パズルファクトリー』等の周辺エリアは既にブラックヘロンによって占領。



 もはやG-1グランプリ処の話では無くなり、ゲームワールドはテロリストの巣箱同然と化してしまったのだ……


「私達のやってきた事は()()()()()って事なの……??」


 勿論みのりや剣達は納得はしていない。だが緊急時には致し方ない決断だった。

 みのりの出した言葉から悔しさが滲み出ていた。


「……みのり、悔しい気持ちは分かるが――」


「悔しいもん!でも大会でダメだったからとかじゃない!!」


 剣の同情を遮り、みのりは思いの丈をぶつけた。


「――私ゲーム強くないし、いつも剣君達のゲーム見ててカッコいいな、羨ましいなとかあんな風に上手くなりたいって思ってた。

 でもどんなことをしてでも勝とうとする悪いプレイヤーが好き勝手やってるのは強さとは違う、間違ってると思う。


 そんな私にはそれを証明する力がない!!何も出来ない!!!

 強さとか暴力で大切なものを踏みにじられて、それをただ見ていることしか出来ないのが私は一番、悔しい―――ッッ!!!!!」


 みのりはこの時初めて、大粒の涙を剣達の前で見せた。


 ゲームの実力が無い自分がどれほど無力か、剣達に迷惑をかけてしまったか、それがみのりは一番悔しかった。


「――――――?」

 そんな泣いているみのりの手を握りしめて、剣は更に寄り添った。



「そうだよな、悔しいよな。俺達みたいな正直者が泣きを見せるほど悔しすぎるもんな……!!

 みのりをこんなに泣かせて、仲間を傷つけられて結局あいつらを仕留められねぇ。

 ホントに非力って罪だよな、何も出来ないって……ムカつくぜ――!!!!」


 剣も今にも泣きそうになるくらい声を震えながら膝をおろした。ただただ無念としか言い様の無い空気がメンバー全員に漂った。

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