第20話①~哀しみの夜空~
既にプレイヤー達はテロリストに敗北してしまったのか!?
魂を悪魔に売ったプレイヤーを倒すには、魂でぶつかるしか方法は無い!!
勝機は必ず正しい者にやってくる!!その真意はプレイヤーの潜在能力、【プレイヤーの魂】に隠されていた!!!
第20話、オープン・ザ・ゲート!!!!
――ゲームワールドにも夜がある。
予選での激闘、そして精魂尽き果てたプレイヤーの傷を癒すための夜がある。
そんな常闇とネオンで覆われたゲームワールドのエリア。
デュエルフィールドはテロリスト集団『ブラックヘロン』に完膚無く占領され、更には現実世界へ転送も出来ない。
最早、籠の鳥のようにプレイヤーが捕らわれつつあった。
――そしてここはデュエルフィールドから少し離れた救急病棟。
ゲームの電脳世界とはいえ、現実と同じでダメージに妥協しない。
不慮のアクシデントや、事故での怪我の為に各エリアに救急の施設が存在する。
その中では先程爆破テロの犠牲になったシャッフル・オールスターズ、河井みのりが手当てを受けていた。
「……どうなんですか?」
立ち合いに桐山剣が医者に問いかけた。
「何とか、九死に一生を得た感じですね。ただ暫くは安静にしていないと」
あの爆破に巻き込まれた時、剣の問いかけで急所から外れ、大事に至らなかったようだ。
「良かった……ホント良かった――!!」
剣も安堵の表情に戻った。
「でもこの怪我じゃ予選は厳しいぞ……?」
「……それは本人が一番分かってることだろ」
不安を仰ぐ槍一郎達に、剣も「皆まで言うな」と言わんばかりに話を遮った。
「さて、これから先どうするか考えんとなぁ。ゲームワールドから逃げられへんし、どのみち闘うより方法はあらへんが……」
豪樹がこの先の事を考えている最中、突然――!!
バァンッ!!!
「!?」
ブラックヘロンの一員が強引にみのりのいる病室に侵入してきた。
「見つけたぞ、剣!!大人しくその寝込んでるお嬢さん渡してお縄に――――」
――ドスッッ!!!!
剣は一員に思い切り腹パンを繰り出した。
「――今お取り込み中だ。とっとと消え失せな!!!」
腹パンに続いて剣は蹴りつけた所でメンバー一同、寝込んでるみのりをベッドごと持ち帰りその場を立ち去った。
「悪ぃな先生!みのりは預かります!!お世話様でした!!」
そしてメンバー一目散に病棟を後にした。
「……あぁ、お大事に。――後でちゃんとベッド返してね!!」
◇◇◇
ブラックヘロンの一員から逃れ、デュエルフィールドから一先離れた『プレイヤーバザール』まで徒歩で逃げていったシャッフルオールスターズ。
「ハァハァ、ここまで来れば大丈夫だろう」
「う、うーん…………」
あれだけ騒いでいた為か、寝込んでいたみのりがここで意識を取り戻した。
「あ!みのりちゃん気が付いたみたい!!」
「何!?ホントか!!?」
剣は直ぐ様みのりのベッドの元へ駆け寄る。
「しっかりしろ!俺のこと分かるか?みのり」
「…………剣君?あれ、私どうしちゃったんだろ?」
みのりのいつもの呑気さが戻り、剣達も心の底から安堵した。
「ったくよぉ……!!心配させんなよホントによぉッッ!!!」
ここで一番安心したのは剣であった。今にも剣の目が涙で潤みそうである。
「……そっか、あの時爆発に巻き込まれて――ゴメンね皆、心配かけちゃって」
「みのりちゃんは何も悪くないよ。剣は必死に君を救おうしてたんだ、責めることなんか1つもない」
「そうや、悪いのは爆弾仕掛けたブラックヘロンの方や」
みのり自身はそれでも責任を感じていたが、剣が自分を本気で救おうとしたことは少し嬉しかった。そして、あることに気付く。
「――――そうだわ!!ねぇ、私の予選どうなったの?皆のは!?」
みのりは自分の事とメンバーの予選の前半戦の結果を聞き始めた。
この事は剣が思い切って説明した。
「………良く聞いてくれみのり、G-1グランプリは中止になった。
ブラックヘロンの奴等が、参加プレイヤーと主催のWGCの役員達を人質に取って、完全にゲームワールドを乗っ取りやがったんだ!!!」
「……嘘でしょ――?!」
先程の救急病棟での襲撃であったように、会場の『デュエルフィールド』を中心に、『プレイヤーバザール』や『パズルファクトリー』等の周辺エリアは既にブラックヘロンによって占領。
もはやG-1グランプリ処の話では無くなり、ゲームワールドはテロリストの巣箱同然と化してしまったのだ……
「私達のやってきた事は無駄だったって事なの……??」
勿論みのりや剣達は納得はしていない。だが緊急時には致し方ない決断だった。
みのりの出した言葉から悔しさが滲み出ていた。
「……みのり、悔しい気持ちは分かるが――」
「悔しいもん!でも大会でダメだったからとかじゃない!!」
剣の同情を遮り、みのりは思いの丈をぶつけた。
「――私ゲーム強くないし、いつも剣君達のゲーム見ててカッコいいな、羨ましいなとかあんな風に上手くなりたいって思ってた。
でもどんなことをしてでも勝とうとする悪いプレイヤーが好き勝手やってるのは強さとは違う、間違ってると思う。
そんな私にはそれを証明する力がない!!何も出来ない!!!
強さとか暴力で大切なものを踏みにじられて、それをただ見ていることしか出来ないのが私は一番、悔しい―――ッッ!!!!!」
みのりはこの時初めて、大粒の涙を剣達の前で見せた。
ゲームの実力が無い自分がどれほど無力か、剣達に迷惑をかけてしまったか、それがみのりは一番悔しかった。
「――――――?」
そんな泣いているみのりの手を握りしめて、剣は更に寄り添った。
「そうだよな、悔しいよな。俺達みたいな正直者が泣きを見せるほど悔しすぎるもんな……!!
みのりをこんなに泣かせて、仲間を傷つけられて結局あいつらを仕留められねぇ。
ホントに非力って罪だよな、何も出来ないって……ムカつくぜ――!!!!」
剣も今にも泣きそうになるくらい声を震えながら膝をおろした。ただただ無念としか言い様の無い空気がメンバー全員に漂った。




