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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第1章【シャッフル・オールスターズ編】

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第12話③~己の魂を磨け!~

 耳をつんざく超音波が鼓膜を貫き、もがき苦しむ剣。全神経に電流が迸るほどの痛撃に、もはやフリーセルどころではなかった。




「手を休めるな、そのまま続けろ!」


 槍一郎がヘッドフォンの副音声から剣に指示する。




(じ、冗談じゃねぇ……頭が割れそうな音波の中でやれるってのかよ、クソッッ!)




 開始から3分後、剣は悶絶を通り越して意識が遠のきそうになりながらも、必死にカードを動かし続ける。少しずつだが音波にも慣れてきたようで、冷静に盤面を捌けるようになってきた。




「よし、ペースも上がってきている。次行くぞ、フェイズ2!」


 槍一郎はコンポを通して音声スイッチを切り替える。痛撃の超音波から一転、大会の臨場感を再現した歓声と実況が入り混じる喧騒へと変わった。




(成る程、これが大会会場の環境って奴か。やかましいのは癪に障るが、慣れれば何とかなる!)

 剣はさらに集中力を高め、開始から4分で中盤まで漕ぎ着けた。




(一応、大会でのプレッシャーを剣がどう感じるか見たかったんだが……その心配は無さそうだ)


 槍一郎はそう思うと、特訓の次の準備に入った。




「剣、ここから後半はフリーセルが終わるまでこの音声でいくから、絶対に気を抜くなよ。――フェイズ3!!」


 槍一郎の号令と共に、ヘッドホンから次の音声に切り替わった――!!




『――何をもたついたプレイしてんだ、なまくら刀!!』




(!?)


 いきなり剣の耳元に届いた暴言に反応し、フリーセルの動きが止まった!




「フェイズ3は、剣にとって耐性のない罵詈雑言に耐えてもらう。剣が本気でゲームに挑む為には、これが一番の壁となるだろう。これを越えなきゃその先へは進めないぞ……!!」




 ヘッドホン越しに響く槍一郎の言葉に、剣が応えたかは定かではない。だが、止まっていた手が再びカードを操作し始めた。




(手は動いてはいるが、プレイが不安定だ。相当心が乱されている。自分自身に迷いがある限り、この壁は立ち塞がり続けるぞ。―――剣、踏ん張れッッ!!)




 槍一郎が無言で願うなか、剣は罵詈雑言を受けて手はまた止まった。そしてあることを考えていた。






(……俺、寂しかったんかな。みのり達に会う前は友達も庇う相手も居ない中で、ただ自分の弱さと向き合わず、逃げていただけだった。気障な言い訳にしかならねェが、アイツに裏切られてから金輪際友達なんか作るまい、ゲームなんざしまいとまで思っていた。だがそうじゃなかった。

 結局その行為は全部、テメーの弱さからチンタラ逃げ回っていただけに過ぎんかったんや。




 ―――でも、今は違うッ!!)






「剣の動きが変わった――!?」

 槍一郎は、その指先の変化に即座に気づいた。


 先程までの躊躇いが嘘のように、鮮やかなカード捌きを魅せていく。




 これこそが桐山剣の矜持(プライド)、そして自分自身が変わろうとする覚悟の証であった。




(みのりと出会って、槍ちゃんにも、レミにも、豪樹さんにも会って。俺の周りにまた『仲間』という存在が出来た! 俺の弱さを受け止めてくれた、それも含めて俺を最強へと導いてくれると約束してくれた!!)




 仲間との出会いをひしひしと噛み締めて、剣のプレイのペースが更に早くなった。そして、フリーセルもラストスパートへ。




(仲間に報いる為にも、俺自身が『剣』を持って、銃司や更に強いプレイヤーに立ち向かう為にも! もう俺は過去には立ち止まらない!!


  ここで歯を食いしばって強くならなきゃッッ…………)








 ―――ダチとして、面目が立たねぇだろォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!






 親友に捧げるこの咆哮は、未来から最強の座を貫く事を誓う灼熱の矛なのか!!


 思いの丈をぶつけた桐山剣、今ここにフリーセルのフィニッシュを告げた!!!




 ◇◇◇




 精神を使い果たしゲームを終えた剣は、疲労困憊でテーブルから床へと倒れ伏した。今でも超音波が耳元にこびりついているようで、ノイズをかき消さんと耳を押さえている。




「良く乗り越えたな、剣」と、力尽きた剣に労いの声を掛ける槍一郎。


「……いや、俺ぁまだまだ未熟や。槍ちゃんや仲間の皆に認められる強さになるまで、絶対に期待に応えてみせるわ」


 満身創痍ながらも剣は槍一郎に笑顔で返した。




 フリーセルのタイムは7分13秒。平均的なタイムだが、配牌によっては1、2分で攻略が可能なこのゲーム。

 強者を目指す剣にとっては大幅なタイムロスと言える。しかし、彼にとっては特別な意味を持つ、大きな一歩となった。




 ◇◇◇




 かくして、初回トレーニングを終え、個室を離れて仲間の元に戻った剣たち二人。『ビッグウェーブ』の控え室には、丁度他の三人もトレーニングを終えた所だった。




「あ、剣くんたち戻ってきた!」


 レミがいち早く、遠くの剣達に気づいた。


「剣くん、どんなトレーニングしてたの?」


 後からみのりが剣に尋ねる。




「せやな、言うなれば『魂の特訓』や! 槍ちゃんにみっちりしごかれたわ。

 ―――いや~、こんな素晴らしい親友を持てて、俺は幸せもんやなぁ!!」



 あれだけ渋っていたトレーニング前から一変して、明るくなった剣に、みのり達はきょとんとしていた。




「ハハハハ! 何か知らんが、剣も吹っ切れた感じがするな。こりゃ『シャッフル』も幸先えぇ感じがするで!」


 豪樹も豪快に笑うなかで、剣の本心をみのりだけが察していた。




(迷いはもう無さそうね、剣くん……!)




 今はただ、己の魂を磨くのみ……!!


『G−1グランプリ関西予選』開催まで、あと一ヶ月。ただひたすらに、特訓・特訓・また特訓!






 ―――ゲーム戦士たちよ、闘いに備えよッッ!!

次回は第13話。


剣がテロリストプレイヤー集団『ブラックヘロン』に急接近!?


お楽しみに!!

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