第52話⑥~その手で運命を勝ち取れ!!~
【アメイジングゲーム状況】
・桐山剣 HP700:手札2枚 EG①
ユニット:【時空の使者―クロノス―】【ブルーバード】
マテリアル:【ボンドストーン】
・大森穂香 HP2000:手札3枚 EG①
マテリアル:【プラントウォール】【アイスエイジストーン】
ユニット:【オーク・インカネーション】
桐山剣の窮地に駆け付けた幸せの青い鳥≪ブルーバード≫を前に、大森穂香の闘志が篝火のように揺らぎ始める。
「私はカードをドローします……」
穂香の現在の手札は4枚。手札の数で強さが変動すら≪オーク・インカネーション≫は、剣の≪時の使者―クロノス―≫と互角になった。
「「………………」」
互いに相手の出所と、決定打となる決め手を作るために一時のインターバル。しかしカードが出せない中でも、攻撃やフェイントをせず、警戒を示す構えを解く気配も無い。
(……二人がインターバルを取った理由は二つある。
まず穂香の≪アイスエイジストーン≫によって30秒間に①しかEGが回復しないことでカードを展開するスピードが停滞したこと。
もうひとつは剣が《ブルーバード》を必死に守備する中で、穂香がそれを打破する為の攻撃が備わっていないことを表す。
――やはりあの青い鳥が出たことで、穂香の攻撃プランの波長がズレ始めていると見た)
銃司の解説は正にその通りであった。
更に痛恨となっているのは、剣の≪ブルーバード≫と≪ボンドストーン≫によってEG回復力が穂香よりも上回っていること。つまり……
「ブルーバードの効果! 攻撃コマンドを繰り出す瞬間、攻撃の代わりにEGを②増やす! ――そしてそのままカード発動!!」
EG③に蓄積された剣が咄嗟にカードスキャン!!
『ツールカード、【プロテクションバリア】!!』
「≪ブルーバード≫を対象にバリアを張るぜ!」
◎――――――――――――――――――◎
◎ツールカード◎
【プロテクションバリア】
属性:黄/EG:③
・効果:プレイヤーまたはユニット1体を
対象にDP500のバリアを張る。
それが0になったときバリアは剥がれる。
◎――――――――――――――――――◎
(ここで防御を取られた……!!)
結果的にEGの蓄積が遅い穂香にとって、ここでいち早くカードを展開しないと逆転される恐れが出てきているのだ。ドロータイムで引いた1枚のカードを見つめている。それは……
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ビーティングショット】
属性:赤 EG:②
効果:プレイヤーまたはフォロワー1体を
対象にAP100+墓地のこのカードの
枚数×100のダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
(これなら早いうちにブルーバードも破壊できる……)
一瞬そのカードの発動を躊躇う。剣の手札や現時点の状況を見計らい、穂香が出した決断は……
(――――必要……無いわ。他のカードで早く押し切ってみせる――!!)
穂香のEGは③、一分経って手札枚数は5枚。そして動き始めた!!
「私はEG③全て消費して、ツールカードを発動します!!」
『ツールカード……【コピー・サモナー】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎ツールカード◎
【コピー・サモナー】
属性:青/EG:③
・効果:自分フィールドのEG⑤以下の
ユニットを対象にする。対象にした同じ
名前のユニットをデッキから出せる数だけ
フィールドに出すことが出来る。
◎――――――――――――――――――◎
「EG⑤以下のユニット? ――――まさか!!!」
剣はカードの内容を把握したと同時に恐ろしい事に気づいてしまった。穂香の≪オーク・インカネーション≫のEGはちょうど⑤、という事は……!?
「私の≪オーク・インカネーション≫、残り2体をデッキから召喚します!!」
デッキでは同名のカードは3枚まで入れられるルールがある。
穂香はエースカードの≪オーク・インカネーション≫を3枚最大限に入れたために、デッキの底に眠る同名カードを即座に3体フィールドに出していったのだ!
「やっべぇ――――!!!!」
この時穂香の手札は4枚。よって≪オーク・インカネーション≫のAPDPは400、それが3体というのだからこんなキツい盤面は無い!!
「3体のオーク・インカネーションで、剣さんに総攻撃です!!!!」
大樹の化身×3が剣目掛けて襲いかかる! このままやられるのか!!?
「させるかッ! ≪時の使者―クロノス―≫、≪ブルーバード≫でブロック!! 残りは受けるぜ!!!」
咄嗟の判断でついにユニットにブロック宣言を下した剣。桜から譲り受けたクロノスは大破し、ブルーバードは≪プロテクションバリア≫で長い鳥の首の皮を繋げて生き残り、剣は残りの1体のオークのダメージを受けた!!!
〔剣 HP700→300〕
「……よし、耐えたッッッ!!!」
ギリギリの展開、それ故に剣の心臓の鼓動が8ビートを越えるハイテンポ、それが喉元まで木霊していた。
(……焦りすぎだ穂香、仕留め損なったな。とはいえ剣も残り300のHP、劣勢に変わりない状況でどう乗り越える? この俺に何を魅せてくれるのだ――!!)
銃司も心の底から、剣の逆転劇を今か今かと待ち構えている様子だ。そして、穂香は……!?
(大丈夫、大丈夫な筈よ……この4枚の手札と≪オーク・インカネーション≫3体、対して剣さんのEGはブルーバードの効果を使ったとしても⑤。それまでオークの攻撃を繰り出す15秒間で覆す事は出来ない筈よ、どうか……お願い――!!!)
その揺らぎきった心の迷いが、このゲームの行方を大きく左右する――!!!
「…………勝ち筋見えてる奴がビクビクと、弱気な事で神に祈ってんじゃねぇッッッ!!!!!!」
剣、魂の咆哮炸裂!!
「ブルーバードの攻撃コマンド! これにより攻撃の代わりにEG②追加!! そのままカード発動だ!!!」
これで剣のEGは⑤、起死回生へ……カードスキャン!!!
『アクションカード、【勝利への宝札】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【勝利への宝札】属性:黄 EG:④
効果:自分はコインをトスする。
表が出た場合、相手は手札を全て捨てて、
自分は7枚カードをドローする。
裏が出た場合、自分が手札を全て捨てて、
相手は7枚カードをドローする。
◎――――――――――――――――――◎
何と、コインの裏表で効果を決定させるギャンブルカード!! それも手札を大きく左右させる命がけの臨時ボーナスだ!!!
ギャンブルカードが発動された場合、そのギャンブルに使うためのコインがVRフィールドの空中から降って、剣の元に手渡される。
「まさか……この窮地を賭けで決めるおつもりなのですか!?」
想定外の展開に穂香もプレッシャーからの反動で思わず呆気に取られた。
(幾ら剣が切り札を呼び起こす力があるとはいえ、気紛れな運に頼るなど剣らしくもない…………待てよ?)
しかし銃司はその後の展開に何か感づいたようであった。
「……確かに、こんなギャンブルで危機を逃れようなんて馬鹿げてるよな。俺もそう思うぜ。こんなコインでお前を救うくらいなら――」
――ブンッ!
剣は銃司のいる後ろを振り向き、握ったコインを大きく振りかぶって思い切り銃司に投げつけた。
――パシッ!!
銃司、ナイスキャッチ。
「これは倭刀から授けられたもうひとつのパワーだ!! 俺はカードの力で、宝札を掴み取ってやる!!!!!」
『カウンター・レスポンス発動。――――アクションカード……【テイク・ア・チャンス】!!』
「ッッ!!?【テイク・ア・チャンス】……!!!?」
(これで剣さんを阻むユニットはブルーバードのみ、そして私の手札には……)
穂香が見つめる1枚のカード、それは……
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【テイク・ア・チャンス】
属性:青 EG:①
効果:プレイヤーまたは自分が使用したコインやサイコロで効果を決めるカードの効果をゲーム内で1度だけ選択することが出来る。
◎――――――――――――――――――◎
これにより≪勝利への宝札≫のコイン裏表の効果を自分で決める事が可能になった剣、勿論その選択は――
「――『表』!! これで宝札は俺のものだァァァァァァッッ!!!!!」
悪党の捨て台詞みたいな言い方は止めなさい。
「何て奴だ……大森穂香相手に運任せのギャンブル効果を強引に捩じ伏せやがった――!!!」
銃司もこの破天荒なカードコンボには舌を巻いた。ゲーム貴族には出来ない平民の剣だから出来た底意地悪い一撃必殺、炸裂ッッ!!!!
「あ、ああぁぁぁ……そんな……ッッ!!」
おぉ、何と言うことだ……穂香の4枚の手札があっという間に断捨離の如く捨て去られていく!!
その手札には剣のHPやブルーバードを破壊する為の≪ビーディング・ショット≫もあったと言うのに……
思えば残り10秒の差でオークの攻撃が通るか、カードコンボ発動前に≪ビーディング・ショット≫でブルーバードを焼けば、穂香の勝利は決まった、筈だった……!
たった数秒のカードの流れと、一つの心の傲りが引き起こした大逆転劇。
結局ゲームは、魂の強いプレイヤーが勝つ定めなのか――!?
「宝札の効果によってカードを7枚ドロー、よって俺の手札は……10枚!!!
そして穂香の手札が0になった途端に、≪オーク・インカネーション≫のステータスが全て0となる!!!!」
〔《オーク・インカネーション》×3 DP0 破壊!!〕
「ぅ……あ…………ッッ!!!」
オーク・インカネーション、3体纏めて全滅!!
手札も、フィールドも、何もかもひっくり返したあああああああ!!!!!
「……倭刀からカード借りたときに言ってたぜ、『大事なもん取り返すためなら勝利の女神んとこ猫ババしても運を奪ってやる』って」
「…………?」
「俺もそいつにゃ同感だぜ。自分の運命は誰かの言いなりで通すんじゃねぇ。
――――己の力で越えて、勝ち取るもんやッッ!!!!!!」
――絆の力が剣の運命を変え、10枚の宝札へと変えた。
穂香の残りHP2000の鉄壁と、剣の300のHPで、果たしてどのような戦況を別つのだろうか……?
――アメイジング・ウォーズ EX・FINALSTAGE/桐山剣VS大森穂香。後半戦へ続く……!!
次回、第53話。
桐山剣VS大森穂香、後半戦へ!
穂香の真のPASパワーが明らかに、そして剣に残された最後の【絆】とは……!?
もう、この勢いは止まらない。
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