第52話④~紙一重のレスポンス~
【アメイジングゲーム状況】
・桐山剣 HP1500:手札2枚 EG①
フォロワー:【時空の使者―クロノス―】(タイムリミット)
【未来からの報酬】(タイムリミット)
・大森穂香 HP2000:手札4枚 EG④
フォロワー:【プラントウォール】
――桐山剣から繰り出す仲間やライバルに託されたカード。
百戦錬磨のパニッシャー・プレイヤーの肩書きを持つ大森穂香を翻弄させるには絆の力で立ち向かうしかないと感じた剣が出した答えが、このフィールドに明かされた。
(『アメイジング』は時間と共にゲームが進むシステム。それをフルに活用させた桜の[タイムリミット]カードの2枚は、穂香の場合は有利なカードとなる。
穂香の戦術は過去三度の戦歴から見ても、序盤は低コストのカードを多使用しての戦線補佐から始まっている。
そして剣はそれを火力で潰した事でテンポが崩れた所での[タイムリミット]は発動までのカウントダウンの尺稼ぎとなった!
恐らくこのゲームで長期戦になれば、時間経過で2枚とも攻守の役割を果たせる。桜の奴、良いカードを渡してくれたものだな―――!!)
…………長々で熱い解説、ありがとうございます銃司さん。
カードを3枚引ける≪未来からの報酬≫は1分、そして≪クロノス≫は最低3分掛かるが相手のカード発動で10秒減少する計算で考えても2分弱で発動される。
果たしてそれまで穂香はどんな戦略を企んでいるのか――!?
「私はEGを③消費して、このユニットを出します」
『ユニットカード、【アクアステルス・ハンター】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎ユニットカード◎
【アクアステルス・ハンター】EG:③
AP:100 DP:100 AS:10
属性 緑/青 ユニット/ビースト/マーマン
・効果:[ステルス]
このカードがプレイヤーにダメージを
与えたとき、100ダメージにつき1枚ずつ
自分はカードを引いてもよい。
◎――――――――――――――――――◎
「……何や? 獣なのか魚人なのか良く分からん奴が嫌ーな匂い醸し出してるぜ?」
正確に言えば『獣と魚人のハーフ』。《アクアステルス・ハンター》は緑と青の2色の属性を持つ【マルチカラーユニット】。
更にユニットの特殊効果[ステルス]は、プレイヤーの攻撃も通らず、ユニット・マテリアルにブロックされない常在型能力。生半可な戦略ではこの能力は越えられない。
「更にもう一つ、このユニットは貴方に戦闘ダメージを与えた数値100につき1枚、カードを引くことが出来ます」
攻撃・ブロック不可、100ダメージでカードドロー。カードゲームをやる者にとっては本気で吐き気のするユニットだ。
だが剣はこれに直ぐ様対処せず、EGの蓄積や[タイムリミット]の尺稼ぎに時間を費やすのみ。
「ユニットの攻撃コマンド、≪アクアステルス・ハンター≫で攻撃!」
ブレスのタッチパネルにユニットの攻撃指令が下された。フィールドの地下を潜るハンターの奇襲攻撃が剣を襲う!!
穂香はそれに追撃するカードを出さず、そのまま剣にゼロ距離まで迫った、その時!
『カウンター・レスポンス発動』
出た、剣のカウンター・レスポンス! 反撃の手は既に用意されていた!!
「穂香にゃ悪いが、そんなキモいカードは通すわけには行かねぇな!」
『アクションカード、【逆巻く風】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【逆巻く風】属性:青/EG:①
・効果:フィールド上のユニット・
マテリアルを1枚持ち主の手札に戻す。
◎――――――――――――――――――◎
「≪アクアステルス・ハンター≫を手札に!」
「ッ……やはり来ましたか! そうはさせません!!」
『アクションカード、【カラーガード】!!』
穂香、カウンター・レスポンスに更にカウンターを掛けた!!
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【カラーガード】属性:無 EG:②
・効果:自分フィールドでコントロールする
ユニットを対象に選んだ属性に対する
[セーフガード]を得る。
◎――――――――――――――――――◎
DPの防御以上の鉄壁効果を付与する[セーフガード]、それを≪逆巻く風≫の青属性を選んでハンターに付ける。これでカウンターも防がれた……が!
「そう来ると思っていたぜ!!!」
『カウンター・レスポンス』
更に畳み掛けるように2枚目、カウンターカードスキャン!
『アクションカード、【火の玉】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【火の玉】属性:赤 EG:②
・効果…プレイヤー・ユニット・
カードを対象に200のダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
キター! 定番火力カードの≪火の玉≫だ!!
「これなら≪カラーガード≫の[セーフガード]付与も無効! このまま焼かれちまえ!!」
火の玉の燃え盛る音を立ててハンターに迫る!!!
――――ガキンッッ!!
「………………へ??」
火の玉を弾き返すほどの鈍い音に剣は腑抜けた声を漏らす。
「私は≪火の玉≫に更にカウンターでカードを発動」
『…………【ビルドアップ】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ビルドアップ】属性:緑 EG:③
・効果:ユニット1体を対象に、
30秒間AP/DPを300アップする。
◎――――――――――――――――――◎
「……これは一本やられたな、剣――!!」
実はこの逆転劇、かなり洒落にならない程ヤバい展開に突入していた。
まず≪ビルドアップ≫によりステータス強化されたハンターは≪火の玉≫のダメージを耐え、
更にその前に発動した≪カラーガード≫によって[セーフガード]を得た事で≪逆巻く風≫をも耐えた事により改めて剣にファーストダメージが入った。
「ぐっ……!!」
HPはこれで残り1100、つまり400のAPを得たハンターによるダメージをプレイヤーに与えた事により……
――400÷100=4……!!
「カード4枚、ドローします」
(最悪や――――ッッ!!!)
冷淡に4枚のカードをドローしていく穂香を血走った目と思い切り噛み締める唇が無念の情を物語った。
カウンター合戦によって消費した手札が1枚の所を一気に5枚に増加させ、剣へのアドバンテージを大きく引き離していった。
(……こればかりは剣のカード消費への欲による失敗、と呼ぶよりも穂香のタクティクスが完璧だった。
1枚目に[セーフガード]による属性を縛った防御からの、2枚目のステータス強化による防衛の二段構え。
まるで剣が二重カウンターを仕掛けるのを見据えたかのような動き、そしてそれぞれのカードのメリットを最大限に活かしていった!
――――紙一重の決断でこれ程の差を切り開くとは……!! 傍観するだけでもその熱気が伝わってくるようだ!!!)
観客謙解説の銃司でさえ、腕を組ながらもその手に無意識に握り締め、武者震いが止まらなくなった。
配られたカード1枚1枚を完璧に使いこなすプレイヤーのタクティクスは、観る者も無論戦う者も圧倒していくのだ。
そしてEGが⑤溜まった穂香は追い討ちを掛けるように、剣を更に残酷なプレッシャーを与えさせることとなった。
「今一度、私に勝利をもたらすために……芽吹きなさい!!!」
『ユニットカード……【オーク・インカネーション】!!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎ユニットカード◎
【オーク・インカネーション】EG:⑤
AP:? DP:? AS:15
属性 緑 ユニット/エレメンタル
・効果:このカードのAP/DPは自分の手札の
枚数×100として計算する。
◎――――――――――――――――――◎
遂に出てしまった。剣や槍一郎でさえも制圧させる巨大なる壁、≪オーク・インカネーション≫。4枚の手札により、ステータスはAP/DP共に400。
「やっべぇかなぁ……倭刀、お前だったらこの展開どんな感じで越えられるんか? 近くに居たら聞いてみたいぜ……」
剣は迫り来る重圧感をひけらかして誤魔化すように苦笑いをする。
悪夢再びか、或いはその壁を越えるカードが剣のデッキに存在するのだろうか――!?
「何度立ち向かおうとも……二度目も勝たせて頂きます。――――剣さん……どうか御覚悟を――!!!」
次回の更新は5月19日(火)を予定しています!
お楽しみに!!
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