第50話②~立ちはだかる者と戦う者~
――かつて、大阪で剣が銃司に喧嘩を売ったことから、全てが始まった。
シューティングゲームに大敗し、自分を見つめ直した剣は親友のみのりと共に仲間を作り、ゲームを通じて心身共に強くなった。
そしてG-1グランプリ予選にて、剣のPASは覚醒。その無限大の威力に魅了した銃司は、自ら剣を好敵手として認め、今か今かとこの紅蓮城バスター・キャッスルに剣が出向くことを待ちわびていた。
そして今……彼らは再び対峙する!!!!
◇◇◇
「……よぉ銃司、久々やな。最後に会ったのが投稿から換算して半年くらい前か」
だからメタいっつの。
「――では銃司様。私はこれで失礼致します」
「あぁ、ご苦労だった。桜……」
剣の案内の役目を終えて、桜は城主に一礼してこの場を去ろうとする。
「………………」
だが銃司は部屋を出ようとする桜を何か気掛かりに思っていた。
「――桜!!」
「……はい、何で御座いましょうか?」
咄嗟に桜も銃司に振り向く。
「あー、その……何だ。つまり………」
何ですか、言いたいことがあるならはっきり言いなさい銃司さん!
「――――良いゲームだった」
…………成る程。掛ける言葉はストレートだが、労いの言葉、その裏で仲間に対するありったけの愛情が詰まっていた。
「………はい、ありがとうございます――!」
桜は敬愛なる城主に深々と最敬礼のお辞儀を交わし、改めて扉を閉めて退室した。
「……桜に俺達の戦いを見届けさせたりはしねぇのか?」
「この城の仕組みは彼女から聞いたはずだろう? それに桜にはまだやるべきことが残っている。挑戦者が貴様だけでない以上は拘束させる必要は無い。さて……」
倦怠な態度で玉座に座っていた銃司が自ら立ち上がった。
「まず貴様には感謝せねばならん、桐山剣。桜の全力を真剣に受け止め、敵同士である事も構わず、彼女の心を守ってくれた。
――立海遊戯戦団のリーダーとして、心から感謝する」
何というカリスマ……! 自ら好敵手と認めた剣に対し、仲間を守ったことに最大の敬意を払っている。
「所詮俺は、桜の気持ちを上部だけで知ったつもりでいただけに過ぎない。屈辱だが……、俺が主として未熟だった為に彼女の心に亀裂を生ませてしまった。
そんな桜の心を救ったのは間違いなく、貴様に他ならない――!!」
そして剣も、この対応には態度を改めるしかなかった。
「……お前の事、情の無い冷徹な城主だって俺が勝手に決めたのがバカみたいやんか」
炎と氷の相対的な魂を持つ二人とはいえ、仲間を第一に思うリーダーとしての気質は互いに同じであった。
「でもまぁ、桜を助けてやったんだ。お礼ついでにG-パーツ返しても良いんじゃねぇのか?」
「断る。それとこれとは話が別だ」
そこは譲りませんよね、当たり前ですが。
「ったく……遊戯貴族やら優雅な連中が派手に遺産略奪しやがって、あんまし調子乗ってると俺みたいな一般人から痛い目見るぜ!」
「調子に乗ってるのは貴様の方だ、平民。俺と貴様とはゲームの実力など天地の差があることを知っての言動か」
おぉう……とてつもない威圧、オーラが銃司の周囲に蓄積されているのを感じる!
「ここは強者のみが集う紅蓮城だ。弱者一人の私情で事が覆せると思うな。――我が城の報酬は実力で勝ち取り、取り返すことだな!! 見よ、紅蓮の天を仰ぐ大いなる遺産の姿を!!!」
銃司が力強く天を見上げながら、上を指差す。
玉座の間の天井、エネルギー蓄積装置によって宙を舞うように封印されたG-パーツ、『G-トランプ』がそこにはあった!!
剣も天を見上げて、G-パーツの強大な波動に目を逸らしながらもその実態を確かめた。
「G-パーツ……!! まさに城に隠された大いなる財宝ってか!?」
「そうだ、この遺産の力は偉大だ。こいつのお陰で我々の電脳世界制覇への道の実行を格段に進められた。
この人類が作り上げたゲームワールドに突如出現し、データにも存在しない幻の神器・G-パーツ。別名【神の遊戯道具】によってな……!!!」
銃司の冷淡な顔に隠された、紅蓮の如く巨大な野望。立海の誇りを引っ提げて、長年の願いが叶おうとしているその眼がギラギラと輝いていた。
「――どーやら生半可な気持ちでこんな大胆な事を企んだ訳じゃねぇな銃司。危ねぇ所だったぜ。
こいつは死ぬ気で止めないと……そして、お前にリベンジする為にも――!!!」
銃司の眼を見るや否や、剣も右手から烈火のPASの波動を徐々に迸らせていく。
「フフフ……そうだ、その闘志だ剣。俺はその真っ直ぐな貴様の眼を潰すために、この時をずっと待っていたんだッッ!!!!」
そして銃司も、右手拳に真紅色のPASの波動を溜めた!!
「俺とやるなら覚悟して挑むんだな。先程お前の同胞である天野槍一郎と、池谷倭刀が同時にリタイアしたようだ。残るは貴様ただ一人……これで破れれば、この戦争は我々の勝利だ」
(槍ちゃんも、倭刀も破れた――!?)
つまり、このアメイジングウォーズはチーム戦での戦況から見ても、残すは剣と銃司のみ。
途中で散った仲間達の思いを込めた、正真正銘の大将戦である。
「……そうだよな。槍ちゃんや倭刀だけじゃない。みのりや皆も! 俺をここまで辿り着かせる為に頑張って来たんだもんな!!
――だったら尚更、負けるわけにはいかねぇじゃねぇか!!!」
更にPASの勢いをヒートアップさせて、己を鼓舞する剣!
「この絶望の中でも揺るぎないか――!! 剣の名の如く、真っ直ぐで素晴らしい魂だ。よくぞここまで強くなってくれた好敵手よ!!!」
「ったりめぇだ!! 初めてお前に出会った時のやさぐれていたなまくら刀の俺とは違う!!
今度こそお前を越えて……大事な仲間を、大森穂香を取り戻すッッ!!!!!」
「フン……俺を越えるのは勝手だが、そのお目当ての姫君は仲間だと断言出来るのか? 俺からは悪魔をも凌駕する邪悪の従者にも見えるが――――」
「お前に俺の仲間を語るな!! あいつの拭えない涙を拭く為に、俺達はこの城で魂掛けて戦ってるんだろ!!!!」
「………あぁ、その通りだ。そして俺はその希望を叩き潰す為に貴様の前に立つ。――ならば話は早いな。このゲームで俺に勝ったらG-パーツを手放し、穂香を差し出してやろう。ただし彼女がそれを拒めばその限りでは無し。これが俺のアンティだが、どうだ?」
無論アンティに関する厳しいルールの元では小細工は無し。順当な賭け分だ。
「……構わねぇぜ。じゃあお前が勝ったら、俺の命を差し出せってか?」
「いや、ゲームに本気で挑み、桜の恩人である貴様に無益な殺生などするものか。俺が望むものはただ一つ……
――――俺を楽しませろ。報酬はそれで十分だ!!!」
銃司は即座に右腕にアメイジングの『カードスキャンブレス』を装着、それに反応するように剣もブレスを装着し臨戦体制に入った。
「「『決闘の境界』展開ッッ!!!!!」」
ブレスの光が辺り一面を多い尽くす、無機質かつクリアーなVRフィールドを作り出し、紅蓮城の薄暗い赤がそのフィールドを禍々しく彩った!!
★★★
――アメイジング・ウォーズ FINALSTAGE/桐山剣VS立海銃司――
☆超次元カードゲーム『AMAZING』のルール。
①50枚以上のデッキと事前にカスタマイズした自分の装備を使い、半径500メートルまでのVRフィールドで戦う。
②デッキのカードを、用意されているEGを消費し使うことで、味方になる『ユニット』や強力な攻撃を使える。
③カードや自分の装備、プレイヤースキルと、『PAS』を駆使して相手のHPをゼロにするかデッキを切らせば勝利!
④何度も言いますが、後は読者の皆様のノリで楽しんで読んでください。
★★★
「さて……、前の『ラピッドファイア・スター』のようなチャチなシューティングからどれだけ成長したか、お手並み拝見だな」
「それはこっちのセリフだ。この切り札騎士の底力を舐めんなよ!」
「その言葉、鉛と共に打ち返してやる」
「はぁー? 鉛なんか要らねぇよ、郵送で返したるわ」
「切手料金不足だ。今時郵送で贈る奴があるか馬鹿者」
「じゃ今度からSNSだな。揚げ足取ってばっかいたらマジでシバくかんなお前」
「シバくならゲームでシバけ!!! この世界ではゲームに制するものが強者だ!!!!」
「上等や、本気で行くぜッッッ!!!!!」
こいつらの長話に付き合って頂いた読者の皆様、誠にありがとうございました。
それではお待ちかね……!!
――――準備は出来たかッッ!!?
「「アメイジングバトル!READY!!」」
『――――START UP!!!!』
さぁ、始まっ……
「――――ッッ!?!?」
スタートコールから数刻も満たない刹那の時、剣はその先の光景に目を疑った。
既に銃司がEGを⑤消費させて、大型ユニットを既に召喚させていた!!!
その名も―――『闇魔界の貴公子・ベリアルロード』!!!!
開始早々の急展開、一体このフィールドに何が起こったのか――!!?
次回の更新は4月14日(火)を予定しています!
お楽しみに!!
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