第50話①~剣VS銃・序章~
今禁断の扉を開けて、運命に導かれるままに戦場に降り立った、2020年の戦士達よ!!
混沌の世を貫く熱き魂を胸に、己が望む未来の血路を切り開け!!!!
桐山剣VS立海銃司、再び好敵手は戦いに挑む!!!
第50話、オープン・ザ・ゲートッッ!!!!!
――紅蓮城バスター・キャッスル、指令本部。
アメイジングウォーズ・4th STAGE、天野槍一郎VS大森穂香との激戦の終わりを告げる報告が飛び交った。
「――――史也様、やりましたよ! 穂香さんが槍一郎さんに勝利したそうです!!」
心なしか嬉しそうに報告する奈々子、その反面敵チームであるシャッフル・オールスターズ達は……
(槍くんが負けた――!?)
トップクラスの実力を持つ槍一郎の敗退は、みのりはおろか、レミもびっくり、豪樹……は寝てるけどもとにかく並みならぬ衝撃を与えた。
「……そうか、だがこっちは悪いニュースが来た。桐山剣と戦った桜がリタイアしたようだ」
「え、そんな……!? あの桜さんが!!?」
しかし、オールスターズにとっては吉報。
小耳に挟んだみのりとレミはガッツポーズ、豪樹は――
「Zzz………」
はい、やっぱし寝てます。
「だが我々にはまだ銃司がいる。特に厄介な槍一郎は潰したんだ、まだ勝機は十二分にある。――もう一人のジョーカーが何かしでかさない内はな」
ジョーカー……即ちGNAの遺伝子を持つプレイヤー、大森穂香がこの戦争の鍵を握ると睨んだ大門史也。
「あ、でも……槍一郎さんはどうしますか? 取っ捕まえてみのりさん達と観戦させますか――?」
「放っておけ。PASを最大限に使った挙げ句、理性のフィルターである眼鏡を外して果てたんだ。当分は動けないだろう」
(槍くん………)
みのりの残念そうな目線の先には、管理モニターに尾羽うち枯らした槍一郎のいる部屋を写している。
良く見るとカードを握りながら槍一郎は無念な顔をしていた。
「――引き続き穂香と賢士朗の監視を怠るな。……それと倭刀もな。あの喧嘩早さには同胞達に危害を与えかねん」
「はぁ……、了解しました」
少し不安な顔を見せながらも奈々子は一礼し、任務遂行の為に部屋を出た。
そして史也もモニターを操作し、人気の無さそうな広い空間に映像を変換させた。
「……さて、シャッフル・オールスターズの諸君にも退屈させて申し訳ない。だが次に見せるものは退屈をも忘れさせるほど良いものだと保証するが……観てみるか?」
「……それは何ですか?」
槍一郎の件もあって、仲間のやられる所は歯を食い縛って観ていたみのり。どんな結果でも仲間の勝負には最後まで見守る覚悟だ。
「お前達のチームのリーダーと、我が戦団の城主……頂上決戦だ――!」
(剣くんと、銃司くん――――!!!)
みのりに衝撃が走った。剣にとってはゲームに対する闘志の再燃。銃司にとってはゲームに対する倦怠の打破。
それらが織り成して互いに認めた好敵手の宿命を生み出したのだ――!!
「私の予想だが、この対戦カードはさっきまでの勝負よりも本気であること。そしてその反面激しさもひとしおだ。――それでも君は、その激闘を見届ける覚悟はあるか……!?」
史也も人が悪く、みのりに脅しをかけるが、そんなものは彼女には通用しなかった。
「――――見届けさせてください! 剣くんは銃司くんともう一度戦う為にこのシャッフル・オールスターズを作り、仲間と共にここまで強くなってきました……!!
私も剣くんの親友として、その形跡の証明となります――!!!」
「………良い覚悟だ!! ならばその勇姿を刮目して観ておくんだな」
長い戦いを経て好敵手の元に立とうとする剣、野望の為に突き進む銃司。
彼らの激突は想像を絶する戦いになるだろう。その証人となるべく、みのりと史也はモニターの前で、今か今かとその瞬間を待つことになった――!!
◇◇◇
一方ここは、SASU◯Eのエリアが入り雑じる混沌とした空間。ここに確か倭刀とメイドプレイヤー達が戦っていた筈なんだが………
「―――ホンッットに桜様ってばお掃除に厳しくってさぁ!!」
「うん……」
「一応立海メイドってシフト制なんだけど、昼ご飯中に呼び出す事ないと思うのよね。で、仕事終わって弁当覗いたら大好きなイチゴ誰かに食べられちゃうし!!」
「あぁ、そら辛いわなぁ……」
「腰痛い」
「整骨院行け」
――って、おぃぃぃいいいい!!!!!
倭刀さんや何してんの!!?
槍一郎や剣が戦ってる間に何をメイド達とお悩みカウンセリングしてるんザマス……え? あら私に倭刀が耳打ちひそひそと……
『いや、これには訳があるんよ。俺もさっきまでコイツらと戦い続けたんだが、感じたんや。らち空かないって。そんでさっき降参したんだ』
降参!? 一体どうして……
『なに大した理由じゃないさ、今の状況で俺が出来る最善の方法を思い付いただけ。――ちょっとコイツらと取り引きをな……!』
取り引き……それでメイドプレイヤーのカウンセリングを頼まれたって事でしょうか?
「……倭刀さん、あたし達の悩み聞いてくれてありがとうございます!!」
「いやいや、お役に立てて光栄だぜ。あとは配備を見直せば皆のニーズも改善出来るだろうぜ」
相当鬱憤が溜まってたのかメイドプレイヤー達もスッキリした様子だった。
それにしてもSASUKEのエリアが並ぶ部屋でお悩み相談とは……端から見てもカオスですねぇ。
「それで……私達から倭刀さんからの要望とは何ですか?」
「なぁに簡単な事よ。カウンセリング以上にお前らにとっても美味しい話だぜ――!!」
能あるプレイヤーは牙を隠す。
倭刀のトレードで鍛え上げた交渉テクニックが、戦争にどう影響を及ぼすのか――!?
◇◇◇
―――薄暗い白夜のような外から、目映い光が差し出していく程に暗く赤い、音一つ聞こえない一直線の廊下。
そこに二人のプレイヤーがコツコツと足音を立てながら先へ進んでいく。
桐山剣と時実桜だ――!
「……何や、途中までアスレチックみたいな迷路だったのにここだけ妙にシンプルな廊下だな。直線で何もありゃしねぇ」
「これが本来の紅蓮城の広さです。私のPASによる空間操作能力で複雑にさせたのですから」
構造のギャップに呆気に取られる剣と、それを淡々と答える桜が、城主の部屋へと誘っていく。
「ゲームワールドのエリアと称されているこの紅蓮城ですが、それは挑戦者を歓迎させる為の仮の姿。私達立海の同胞が、生活を送る住処であることには変わりはありませんわ」
「でも戦うとなると立派なバトルフィールドになるんやろ?」
「当然ですわ。これこそ私のPASが最も役立てる時なのです。一切の妥協も無いですし、それにSASUKEのアスレチックは銃司様の趣向故になのです」
あ、そうだったんですか。意外や意外。
「まぁ桜の能力があれば、銃司も退屈しないだろうな。なんか羨ましいぜ!」
剣のさりげないフォローに心なしか桜も嬉しそうに少しだけ笑みを浮かべた。そして直ぐ様切り替えた。
「……少しお話が過ぎました。勝負は敗退しましたが依然私達は敵同士。銃司様の所へお連れしたのはゲームでのルールに従うと同時に、銃司様の勝利の為。そして――」
「俺との約束を守れ、だろ?」
「……結構ですわ」
相変わらずツンツンしちゃって! しかし戦いを通じて確実に桜の心が変わったのが確かだ。
それは何故か、という問いは伏せておこう。
これは読者の皆さんと私が言うには余りにも野暮だからである。
「――着きましたわ。ここがバスター・キャッスル城主、立海銃司様の間になります」
「ここが……!!」
天井にまで到達しそうな程に巨大な扉。この先に銃司がいると思うと、剣は胸の鼓動の高鳴りが徐々に早くなっていく。
「―――ん?」
しかしその巨大な扉の横に、同じ大きさの自画像のような絵が並んでいた。
左が当代城主の立海銃司。
そして右が……先代城主の立海丈だ。
「…………」
何を思ったか、剣は丈の自画像を観るなり自然と身震いを立てた。剣のPASが強烈に反応した印であろうか――?
桜は巨大な扉の前で叩く。
マナーとして3回ノックするのが常識だ。
「――銃司様、失礼致します。切り札騎士・桐山剣をお連れして参りました」
『――今すぐ通せ!!』
扉の奥で銃司の声が、今か今かと剣達を呼び掛ける。
――そして、大きな音を立てて扉が開いた!
ギィィィイイイイ……!!
「ようこそ、切り札騎士・桐山剣! 俺が紅蓮城バスター・キャッスルの城主、立海銃司だ!!」
黒と黄金をベースにした貴族の衣装が紅蓮城の暗い赤をマッチさせる。
――桐山剣と立海銃司、今ここに宿命の好敵手が再び相対する!!!!!
次回の更新は4月2日(木)を予定しています!
お楽しみに!!
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