第41話⑧~親友への“詰み”~
それぞれのPASがフルスロットルで発動されるアメイジングバトル。
互いが全力を出すという事は……もうお分かりであろう。
このゲームもここで決着が着く!! もうこれ以上長引かせねぇぞ尺の関係上!!!!
「真剣な状況でメタいこと言わないでくれる?」
……剣さん、ごめんなさい。
「……もう進めて良いですか?」
「悪いね地の文のアホが……気にせずどうぞ」
「では……参ります!!!!!」
この時点で穂香のEGは①、そこで加速するかのように穂香が動いた!
「――まずはフィールドの『ブルーバード』の効果! 攻撃の代わりにEGを②追加します。さらに手札のアクションカードを発動!!」
ブルーバードによってEGが③まで溜まった穂香に、追撃の如くカードスキャン!
『アクションカード、【オーバーチャージ】!』
「穂香も《オーバーチャージ》を使うのか!?」
《オーバーチャージ》はEG①消費で5秒間EG③追加されるアクションカード。これで穂香のEGは⑤まで溜まった所で、更にカードスキャン!
「2枚目の【オーク・インカネーション】召喚!!」
要のユニットカードとはいえ、当然3枚積みされているオーク。2枚目の召喚である。
「やっぱり2枚目もあったか……だがカード消費しすぎたな,穂香の手札は2枚! AP/DPが200じゃ恐れるに足りねぇぜ!」
剣も負けじとカードをスキャンする。溜まったEGは③!
『ユニットカード、【ロイヤルシールダー】!!』
剣が出した新ユニット、大きな盾を持った衛兵の登場だ!
◎――――――――――――――――――◎
◎ユニットカード◎
【ロイヤルシールダー】EG:③
AP:150 DP:500 AS:10
属性 黄 ユニット/ナイト
・能力:このユニットは攻撃することが出来ない。
◎――――――――――――――――――◎
攻撃は出来ないが鉄壁のブロック力を誇るロイヤルシールダーで迎え撃つ剣。これならある程度攻撃が防げる。
「……ならば私はブルーバードの効果を発動させます」
またしても青い鳥にエネルギーを施された穂香のEGは③に、そして穂香のカード発動。
『アクションカード、【精神集中】!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【精神集中】属性:青 EG:③
・効果…自分の手札を3枚ドローする。
◎――――――――――――――――――◎
「私はカードを3枚引き、30秒経過でもう1枚引く。これで5枚、よってオークのステータスは……500!」
「チッ……またオークのパワーが……!」
これでは剣のロイヤルシールダーも致死量のダメージで破壊される。しかし剣にはドローした1枚と手札2枚に希望があった。
(丁度俺のEGは②、そこに俺の『オーバーチャージ』でEG③増幅させて《エネルギードレイン》で穂香のEGを③奪って吸収させる。
――そこで丁度EG⑥の【サラ・チャンドレイユ】を出せば……行ける!!)
余りにも欲張った戦法だが、剣の切り札【サラ・チャンドレイユ】を出せば穂香のユニットを一掃させ形勢逆転も可能性があると見た剣……だが。
剣は気づいていなかった。
既に穂香の手札には詰みの一手が隠されていたことを――!!
「では、私の《オーク・インカネーション]で攻撃します!」
「しゃーねぇ、《ロイヤルシールダー》でブロック!」
このまま攻撃を通したら剣は負ける。やむを得ずロイヤルシールダーでブロックし、そのまま破壊。これで剣のユニットはがら空きとなった。
「……私はブルーバードの効果で再びEGを②追加させます」
これで穂香のEGが⑤になった所へ剣がカードを出そうとした。
(よし、ここで《エネルギードレイン》を……)
しかし……それよりも先に動いたのは――
『アクションカード…………』
――穂香のカードスキャンだッッ!!!!
『―――【マインドクラッシュ】!!!!!』
「マインドクラッシュの効果………剣さんの手札全てを墓地に送ります」
「……………………は???」
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【マインドクラッシュ】属性:黒 EG:⑤
・効果…プレイヤーを一人対象に選び、
持ち主の手札を全て墓地に送る。
◎――――――――――――――――――◎
つまりこれによって剣が計画したサラ召喚への手口はおろか、切り札ごと丸ごと捨てられてしまうのだ。更に《エネルギードレイン》での相手のEG吸収も0の為不可能。
これが最後の詰みと化した。
「そんなの、ありかよ……!!?」
ユニットも手札も消え、途方に暮れた剣はただ呆然としていた。
「これで……何があっても覆せません、剣さん。私はこれ以上貴方を傷つけたくありません。どうか【サレンダー】を――!」
アメイジングではゲーム途中でも降参やギブアップの意を表す為に【サレンダー】というルールも設置されている。カードゲームではお馴染みの事だ。
だが負けず嫌いの剣は、その要求に当然ながら答えることは出来なかった。
「お前ふざけてんのか! 自分で親友を助ける奴が戦いに背中見せられるかッ!! ――俺はまだ終わってねぇッッッ!!!!!」
「……ならば仕方ありません。――《オーク・インカネーション》で攻撃!!」
しかし偶然にも攻撃宣言時に30秒経過のカードドローで剣はその早速カードをスキャンした!
『アクションカード、【ホーリーバリア】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ホーリーバリア】属性:黄 EG:①
・効果…10秒間自分へのダメージを
0にさせるバリアを張る。
◎――――――――――――――――――◎
「これで俺のダメージを…………」
『カウンター・レスポンス発動』
その音声アナウンスが、非情にも剣の希望を打ち消した。
穂香が無言で出したアクションカード……
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【カード・ネゲーション】属性:青 EG:②
・効果:直前に出したカードの発動を打ち消す。
◎――――――――――――――――――◎
「打ち消し……カード…………」
「オークの攻撃!! 『深緑のフォレスト・ナックル』ッッ!!!!」
巨大なオークの拳が剣めがけて振りかぶった! 万事休すッッ!!
「認めたくねぇが……完敗と感じたのは穂香で3人目だよ、こんちくしょうめ――!!!!!」
最期に剣は穂香に不満げな捨て台詞を吐いて、その拳を全身で受けた。
「ぐがッッッ…………!!」
脳をも揺らす強烈な一撃にそのまま剣は倒れた。桐山剣……敗北を期す。
〔桐山剣 HP400→0 KNOCKOUT!〕
戦いが終わり、アメイジングのフィールドから解放された二人。
現実では肌寒い木枯らしと共に草原の草が横なびきに揺らぐだけ。
「…………………………」
穂香は倒れた剣を悲しそうな眼で見つめる。その後剣の手元にアメイジングのカードを1枚置いたまま、上空の戦闘機のロープに捕まり去っていった……
「さようなら剣さん……もう、貴方に合わせる顔がありません。――本当に、ごめんなさい…………ッッ!!!!」
空中にたなびいた穂香の一滴の涙が剣の頭に落ちた。
そして剣も薄れ行く意識の中で悔しさの念が溢れていた。
(ちくしょう…………チクショウ、畜生ッッ!!!! ――――穂香の大馬鹿野郎ッッ!!!!!!!)
左手で草を握りしめ、ただ倒れながら無念の意を露にする剣。
―――そして、右手に触れているアメイジングカードには【ブルーバード】が…………




