第38話⑤~第2の切り札!!~
――現在のアメイジングの様子は、
〔桐山剣 HP1150 EG2 手札6〕
〔池谷倭刀 HP1100 EG1 手札1〕
そしてフィールドには倭刀の切り札 《ダークフォース・ドラゴン》が召喚され、がら空き状態の剣に獲物として標的が定められていた。
(……これはかなりマズイ展開だ、倭刀の《ダークフォース・ドラゴン》は自分のHPを削ることで最大600のAPで攻撃が出来る。剣が何も反撃できないままじゃ2発食らって終わりだ――!!)
槍一郎は難しい顔をしながら二人のバトルを見守っている。
だが勝負というものは諦めない者に運は味方する。剣がカスタマイズしたデッキにはまだ可能性が残っているのか?
(今はどうしようにもEGを溜めない事には動けねぇ、あのドラゴンが攻撃が出来るまでの10秒間だけでも稼がねぇと……)
剣の心情から焦りが滲み出る。一方の倭刀は……?
(この状況、最高の展開じゃねぇか――!)
もう既に勝ちを確信したのか、笑みを浮かべて先のビジョンを見据えていた。
「じゃ行くぜ!!《ダークフォース・ドラゴン》でプレイヤーにダイレクトアタック!!!」
倭刀のドラゴンが耳をつんざく咆哮を立てて、口から闇のエネルギーを蓄積している!! 剣よ、今の時点で策は考えているのか!?
「……そのまま受けるぜ!!!」
何も仕掛けてこない!! まだEGを貯めるつもりなのか!?
「だったら特大の攻撃をお見舞いしてやる!!
――『ダークフォース・ドラゴン』の効果発動! 自分のHPを削る事でドラゴンにその力を捧げる!!!」
倭刀は300ポイントHPを削り、その数値分ダークフォース・ドラゴンのAPに加算させた!!
〔倭刀 HP1100→800〕
倭刀のHPが初めて減りHPは800、しかしその分ドラゴンのAPは600に倍増された!!
「受けてみやがれ、ダークフォース・ドラゴンの攻撃!! 『闇絆破砕砲』ッッ!!!!!」
ドラゴンの口から最大級の闇エネルギー砲が発射された! そのまま剣に直撃!!
「ぐわああああああああッッ!!!!!!」
〔桐山剣 HP1150→550〕
闇のパワーをまともに受けた剣はとてつもないダメージで悶絶した。HPは一気に減り550に。
「……何を仕掛けてるか知らねぇが、1発でもドラゴンの攻撃を受けたら終わりだぜあんた。カード出させる前に仕留めてやる」
剣、アメイジングの『チェック(王手)』状態に入った。確かに次の攻撃で何かカードを出さないと剣の負けは決定打になってしまう。更に……
(しかも俺の手札1枚にはこいつがある。何を出してこようともこのカードで充分チェックメイトを飾れる! ――これであいつの【サラ・チャンドレイユ】も姉ちゃんに……!!)
おっと? 倭刀がフラグを立て始めた! ここでもう一度だけ確認しよう。
カードゲームの法則は、フラグを立てたプレイヤーは逆転されやすい!
その証明にドラゴンの攻撃を受けた剣が依然として不敵に笑っている!!
「……何だ、何だその笑みは!? 何が可笑しいんだよ!!?」
笑う剣に倭刀が逆上しながら返す。
「へへっ気にすんなよ、俺の思い過ごしかも知れねぇが……《ダークフォース・ドラゴン》を出してから、妙にお前が楽しそうにゲームしてるように見えてさ!!」
「!? 何をこんな時に……」
「戦ってみて分かったんだよ。以前戦った服部みたいなチンピラとは違って、お前は正々堂々と本気で戦ってらぁ! 俺の一番好きなタイプだぜ!!」
ここに来て剣が倭刀に良い意味で評価をした。決して媚びてる訳ではない、剣が肌で感じた本音である。
「だからどうしてもお前の事を小悪党に思えなくなっちまった!! もう一度聞くぜ、お前本心でなく訳ありでシャークトレードしてんだろ!?」
「しつこい!! んなもん無いつってんだろ!!!」
「良いから黙って聞け! 今すぐにでも『ブルーバード』をみのりに返して謝ってこい!! お前が悪に走るなんざ惜しいことこの上無しだぜ!!!」
「ふっ……ふざけんな!!!! この場で説教出来る立場か!? 負けそうだからっていい加減な事ぬかしてんじゃねぇ!!!!!」
説得に走る剣だったが、逆に倭刀を怒らせる事になった。
「だったら……勝てば文句は言えねぇよな!!?」
次の瞬間、剣はカードスキャンの体制に入る!! 使うEGは……8!!!
(!!?――しまった、話しているうちにEGが……!!)
迂闊だった倭刀、そして膨大なEG消費に倭刀は気付いた。
「消費EGが8……おい、まさか!?」
「みのり、お前の力を貸してくれ!!! EGを8消費してユニット召喚!!!!」
剣、カードスキャン!!
『ユニットカード……【ビッグマウンテン・ゴーレム】!!!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎ユニットカード◎
【ビッグマウンテン・ゴーレム】EG:⑧
AP:700(MAX) DP:600(MAX) AS:20
属性 赤 ユニット/ジャイアント
・能力:なし
◎――――――――――――――――――◎
で……出たぁぁぁぁ!!? シャークトレードの《ビッグマウンテン・ゴーレム》がまさか剣のデッキに入ってたぁぁぁぁ!!!!!
「あ、あんた……こんな雑魚カードマジでデッキに入れてたのか!!!?」
倭刀も予想外の展開に動揺が隠せない。
「バーカ、確かにこの1枚じゃ効率悪い巨人だが……これはみのりがくれた最高のカードだ! カードの心意気も伊達じゃ無いぜ!!」
カードの心意気はいまいち良く分からないが、親友から授かったカードにはとてつもないパワーがあるようだ。
「だ……だが、俺のドラゴンは[フライヤー]という飛行能力もあるんだぜ?飛べもしない木偶の坊に何が――」
『カスタムアタックカード、【天昇の翼】!!』
倭刀の屁理屈を遮り、剣が補充されたEGを1消費でカードスキャン!
◎――――――――――――――――――◎
◎カスタムアタックカード◎
【天昇の翼】属性:青 EG:①
・効果…装備:自分のユニット1体
①装備させたユニットは[フライヤー]能力を持つ。
◎――――――――――――――――――◎
「俺はこのカードを《ビッグマウンテン・ゴーレム》に装備!! フライヤー能力を得る!!!」
「な!? 木偶の坊に翼が……!??」
これもカードの組み合わせが成せる技、一つカードの能力を加える事で強力ユニットに化けるのだ!
「お前が言ってたじゃねぇか、『カードはコンボで繋げてナンボ』ってさ!!」
「ちっくしょう……あんた何なんだよ!!? 俺を許さねぇから倒しに来たとか良いながら、説教云々ばっかしやがって!!!!」
倭刀はうんざりした様子で怒鳴り散らすが、それでも剣は冷静に倭刀に話す。
「さっきまではな。みのりの事もあってまだ怒りもあるんだが、それじゃ駄目だって気付いたんだよ」
剣の心は既に決めていた意志があった……!!
「切り札騎士は剣で悪をぶった斬るんだが、俺の片手には『盾』もある!! その盾が………
――『あいつも一緒に守ってやれ』って、呟いてんだよ!!」
ついに、5,000ユニーク突破!!
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