第32話③~命知らずのギャンブリングステージ!!~
さて、ここで今のアメイジングの現在のゲーム状況を見てみよう。
開始から1分50秒経過。
・桐山剣 HP650 EG0 手札3
・服部詫摩 HP800 EG2 手札1
桐山剣の巧みなカード戦略で群がる服部詫摩のユニット集団を一掃し、形勢逆転していった。
「さぁ…覚悟は良いな、服部ッッ!!!」
剣のフィールドには『ブレードタイガー(AP:150 DP:50)』と『太陽の騎士(AP:250 DP:200)』の強力ユニットがいる。
「2体で一斉にダイレクトアタック!!」
剣の指令で2体のユニットが服部目掛け攻撃を仕掛けた!!
それに対し、服部は……
「ちぃッ!!仕方ねぇ!!」
『アクションカード、【シルバーナイフ】!!』
服部はEG2で無属性のアクションカードをスキャン!!効果は『攻撃を仕掛けた相手のユニットまたはプレイヤーに100のダメージ』である。
「対象は『ブレードタイガー』だ!!」
遠くから銀の鋭利なナイフが飛び交い、ブレードタイガーに命中!そのまま致死ダメージで消滅した。
「じゃ、もう片方の『太陽の騎士』は受けてもらうぜ!!――必殺、太陽斬り!!!」
斜めに服部の身体を太陽の騎士がぶった斬った!!
「うぐぉぉぉああああ!!!!」
強烈なダメージが服部を襲う!HPは800→550に消費した。
「よし!これでHPはリードだッッ!!」
現在互いにEGは0。カードも出せない状況だが剣の場にある『太陽の騎士』の存在が大きい。
また服部はさっきのアクションカード発動で手札も0。暫くは一方的な剣の攻撃を受けねばならなかった。
(あの『太陽の騎士』が厄介だ……!除去でもユニットでもいい、カードが引けるうちに何とかしなければ――!!)
流石の服部も焦りの顔が見え映えてきた。
そして、2分経過!ドロータイム!!!
「カードドロー!!」
服部が威勢良くカードを引く!!しかし……
「――ッ!?くそぉぉぉぉ……」
どうやら服部の手応えは無かったようだ。
「あっるぇ~??どうした、何か引いたんか?てか早く俺をボコボコにして下せぇよーそしたらすぐ帰れよー消えろよー」
戦況に余裕が出てきた剣は全身全霊で服部を煽り立てた。
「こんぉぬぉクソガキ……好き勝手言いやがって――!!!!」
「ま、このまま押しきってやるぜ!!
――『太陽の騎士』のASは20!丁度20秒経ったから……もいっちょ攻撃!!」
容赦ないというか、何と言うか……
剣の『太陽の騎士』の2度目の攻撃が炸裂!
これで服部のHPは300、あとそろそろ危なくなってきた所まできた。
「ヴァカな……!この俺様が2度もこいつにしてやられるってのか!?こんな無様な事があるってのか!!?あり得ないぃぃぃぃぃ……!!!!」
服部もこの展開には目を疑い、背けたくなるほど追い詰められていた。
前回よりも剣は幾多のゲームを通じ、日々強くなっていった。
その途切れぬ成長を見せる彼の底力を見抜けなかった服部には厳しい現実でもあるのだ。
「……凄い!勝ってる!!穂香ちゃん、剣君勝ってるよ!!!凄ーい!!!!」
外野でのみのりも剣の健闘に興奮しぱなしであった。
「……形勢逆転からの完全なゲーム掌握、このまま行けば勝てるかも知れませんね!」
穂香も嬉しそうに様子を伺った。
――だが、そんなに早く決着付けて良いものかな……?
(バカめ、ボスの実力はこの程度と思ってやがる)
(私の勘が正しければ、そろそろか……?)
服部の部下のA太とB太郎が何やらひそひそ話し掛けている。
……私、何かヤバい予感がするんだが。
◇◇◇
ゲーム続行、2分30秒経過でドロータイムへ。
「……ドロー――!!」
絶望しかけている服部にカードが1枚引かれた。すると――!?
(――!!!!!)
カードを引いた途端に服部の目が目玉焼き並に見開いた。まさか――?
「……フッ……フフフへへハハハァァァ…!!!!
――良くここまで健闘したなと誉めてやるよ剣ぃ」
絶望から一転、不気味な笑い声を響かせる服部。怖い。
「引いたな」
「えぇ…これで服部さんの勝利は確実、余計な心配だったわね」
B太郎とC奈が呟く、これはマズイ。
「……何引いたか知らねぇが、俺の『太陽の騎士』に勝てるユニットでも引いたのか?」
「ユニットじゃねぇんだよなぁ……!!
――EG4でこのカードを発動する!!!」
服部が発動させるカードとは――!?
『フィールドカード――』
「その前に『太陽の騎士』で攻撃してやるぜッッ!!」
発動させる前に剣は『太陽の騎士』で攻撃指示を出す!!
『――【ギャンブリングステージ】!!!!』
50マスのフィールドが一瞬にしてカジノのルーレットのような赤黒の柄に変わった!!
『太陽の騎士』が服部の前のマスにたどり着いた、その時!!
――ボカァァァァァン!!!!
「!!!?」
強烈な爆破音と共に『太陽の騎士』が消滅してしまった!
「え……な、何が起こった!?」
これは……テキストで説明せねばなるまい!
◎フィールドカード◎
【ギャンブリングステージ】EG:④
属性 黒 フィールド全体
・効果:全フィールドに『特定のマスを触れると300のダメージ』と『特定のマスに触れると300の回復』の付属効果を50マスの中からランダムで得る。
「さっき貴様の『太陽の騎士』が俺様に攻撃した時、手前のマスでダメージを受ける効果を受け消滅した。って事だ!!」
「何だって……!?じゃ迂闊にユニットで攻撃も出来ないし動けねぇじゃねぇか!!」
一歩マスを間違えれば、一瞬にして立場が逆転する。
命知らずのフィールドカードをまさか服部が持っていたとは……
「ん、そしたら俺は動かないでユニットだけ行動させれば……」
「いや、意地でも動かしてやる――!!」
その時、まだEG0の服部にカードが発動された。
「え?EG0で発動出来るカード!?」
「あれは……まさか!!」
みのり、穂香が各々反応を示すなかで……
『アクションカード【ゴーイング・ロード】!!』
「うわっ、何だ!!?」
服部が発動した『ゴーイング・ロード』(EG0 無属性)が5マス遠方の剣を強制的に最前列へ寄せていった!!そして――
ボカァァァァァンッッ!!!!
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!」
前列のハズレマスに剣、撃沈!!一気にHPが350へ減少した。
「ぐっ……うぅ――!!」
強力なダメージに悶絶する剣、しかし衝撃はまだ終わっていなかった。
「剣君、アイツのHPが――!!」
みのりの呼び掛けに反応した剣は驚愕した。
服部が少し移動しただけで、HPが350から650に回復していた。
「俺様に運が恵まれたみたいだな……!
まさに『天国と地獄』!!貴様にはこのギャンブルのフィールドで思う存分地獄を味わわせてやるぜ!!
――クハハハハハハハァァァッッ!!!!!」
逆転に逆転を連ねる予測不可能の激闘!
剣よ、この驚天動地の修羅場を乗り切ることが出来るのか!?