第23話①~PAS・可能性とリスク~
PASの凄まじい威力とその力に伴う負担。
決して負けられない勝負にオールスターズのプレッシャーも並みならぬものへとなる中……畠田レミが敢然と立ち上がった!!
だが……この意気込み、強がっていないだろうか――?
第23話、オープン・ザ・ゲート!!
ゲームワールド・総本部室にて――
「何たる様だ!!我が軍勢にかけて何故一人も討伐出来んのだ!!!」
ブラックヘロンのボス、大鷲は憤怒していた。たった4人の無名プレイヤー、シャッフル・オールスターズに歯が立たない故である。
「……そう急かす必要もないでしょ?」
「何――?」
大鷲の小言に横入りしたのは、ブラックヘロンのエースプレイヤー、烏田泰宏だ。
「仮にもあんたは復讐の為に集めたプレイヤー達のボス、ここで感情的になるのはお門違いってもんだ。
何のために工作班が、トランスホールのセキュリティ解除に時間を稼いでるか考えるべきでしょう?」
烏田は冷徹に大鷲に対し言い諭した。
その表情は無感情そのもの、そして、不満も混じるような面だ。
「それに奴ら4人も昨日の疲れが残っている。ここは長期戦に持ち込んでいずれ来る限界を突いて徹底的に叩き潰す。
どっちにしても終わるのは奴らだ。ボスはただここで立ってればいいんですよ」
「何か――言いたげだな、烏田」
大鷲は烏田の言動に不満があった事を感じ取っていたようだった。
「……別に何も。俺は早くこんな茶番を終わらせたいだけですよ」
そう言うと烏田は総本部室を立ち去った。
(あの時代遅れのボスなど知ったことじゃない……俺はこの勝負で『剣』を潰す、それだけだ――!!!)
◇◇◇
一方、舞台変わってデュエルフィールド控え室。そこには剣達がゲームを終えた槍一郎の帰りを待っていた。
「……あ、槍ちゃん!!」
剣は控え室入り口から戻ってきた槍一郎に声を掛けた。槍一郎は足取りが覚束無い様子だった。
「ハァ、ハァ……剣か」
近づくにつれて槍一郎がかなり疲れはてていることに剣は気が付いた。そして今にも倒れそうな槍一郎に肩を貸した。
「お、おい槍ちゃんどうしたんだよ!?」
「……やっぱり諸刃だったな、PASが思うように使えないとこうなる――!」
「PASが……!?」
プレイヤーの持つ極限能力『PAS』は決して万能ではない。強力な能力程それに伴うリスクも存在する。
『PAS』を使う時にはプレイヤーの体力や精神力を著しく消費する。
その為その力を酷使してしまうと、生命力の低下やPASの力が抑えきれず、自らの精神を暴走してしまう恐れがある。
槍一郎のPAS『ランサー』は、その強力な力ゆえに急激に体力を消耗してしまったのだ。
(PASを使うだけで槍ちゃんがこんなになるなんて……)
剣は驚きを隠せなかった。
『PAS』に無限の可能性がある反面、そのリスクがこれほどのものかと思い知らされたのだから。
◇◇◇
そんな中、デュエルフィールド会場が次のゲームの準備にかかっていた。
そこに現れたのは、長方形の巨大フィールド。まるで卓球コートのような出で立ちであった。
そして直ぐ様、実況アナウンスが会場に鳴り響いた――!
『――小粋なステップ、クールなターン!リズムで動く玉を絶対音感で打ち返せ!!
決してずらすな、勝利のエイトビート!!!
7th STAGE、【ミュージック・ラリー】!!!!』
―――――――――――――――――――――
PLAY GAME No.16
★G-1グランプリ予選 7th STAGE★
【MUSIC RALLY ―ミュージック・ラリー―】
・ジャンル『ミュージックゲーム』
・プレイヤーレベル:33
ルール
長方形の卓球型LEDフィールドに設置された電子のパドルを屈折するボールを打ち返しながらラリーをする。
しかしここで特筆すべきはボールの動きがBGMのテンポに合わせてスピードが変わること。
即ち、ゲーム中に流れるBGMの音感に合わせながらボールを打ち返す音感ラリーゲームなのだ。
プレイヤーは2vs2のタッグ戦で行い、前衛と後衛で分けてそれぞれのパドルをモーションセンサーに従い左右移動で体感操作する。
3マッチ、2点先取したチームが勝利となる。
―――――――――――――――――――――
7thSTAGEは音感をメインとしたテーブルテニス。
槍一郎が満身創痍で迎え、狼狽えるオールスターズにただ1人このゲームに絶対的な自信を持つプレイヤーがいた――!!
「――大丈夫!!このゲームもあたしにまっかせなさ~い!!!」




