復讐屋 0人目 プロローグ(後半)
「ここは?」
少年が眼を覚ますと見慣れない建物の中だった
「お、起きたか」
「身体の調子はどうかの?ちょいと荒治療をしたんじゃが」
「だい・・・じょうぶ?」
少年が自分の手を見て驚いた。
「右手が黒くなってる!?」
「ああ、説明せにゃいかんか」
「お主には、いわゆる私の眷属になってもらった。種族名は・・・そうじゃな、”ドッペルゲンガー”と言ったところかの」
「ドッペルゲンガー?」
「そうじゃ、上位の方の魔物じゃな。影を移動し、影を操る。他人になりすますこともできるぞ!どうじゃ素晴らしいじゃろ?じゃろ?」
なにが起きたか分からない。何故こうなったのかも思い出せない。それ以前に”眷属”?一体この少女は・・・
「いいか?わしはな、いわゆる吸血鬼と言うものじゃ」
吸血鬼、それは他者の血を吸う悪魔の一種だ。そして不死の存在の代名詞とも言える。しかしその存在は大昔に滅ぼされたはずだった。
「吸血鬼?大昔に滅ぼされたんじゃ・・・?」
「んなこたどうでもいいんじゃ。なんでわしがお主を拾ったと思っとる?」
なんで?僕は記憶を掘り返す。貴様らは大罪人だと兵を引き連れ、踏ん反り返る貴族の顔。自分を隠し兵に抵抗するが叶うはずもなく兵にいたぶられ、無残に殺される父母。全てが頭に浮かぶ。
「そうだ、その眼だ!お主は本当に”綺麗な眼”をしておる!あの男と同じ眼じゃ。あぁ・・・本当に美しい!」
少女の顔が歪み、しかし美しい顔になる。
「もしお主が復讐を望むならわしが手伝おう!なぁに気にするな、なんせここは復讐屋じゃからな!さぁ!するのか?しないのか!」
僕は心に、眼にあるドス黒い感情を爆発させる。
「殺すんだ、奴を殺せるのなら他になにもいらない。復讐する!父さんと母さんが受けたことをそのまま返してやる」
「いいじゃろう!」