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髪長姫のパロ(2018/10/17)

#私の絵柄で見てみたい童話の登場人物っていますか




というタグからKさんより「マーサ(ラプンツェル)、アラン(王子)」のお題をいただきました。


原作の方で!ということでしたので調べてみたら大人な感じでしたw

特に初版の方はw


お月様にしようか悩みましたが、こちらでさくっと♡

原作踏まえつつ、いっぱいオリジナルを交えてますw

挿絵(By みてみん)




 とある家に今日食べるものもないほど貧しい夫婦が暮らしておりました。

 ある日、魔女ハーネイスがやってきてとある提案を持ちかけました。


「女の子が産まれたら私に譲りなさい。そう約束するのであれば、この庭を実り豊かな畑に変えてあげよう」


 夫婦の庭は土に栄養のない枯れたものでした。

 食べ物に困っていたその夫婦は、ハーネイスと契約を結びました。




 ◇


 やがて夫婦の間に、可愛らしい女の子が産まれます。

 どこから聞き付けたのか、ハーネイスはあっという間に赤ちゃんを連れて行きました。


「お前の名はマーサ。そして、今日からここがお前の家だ」


 案内したは森の奥深くに築かれた高い塔でした。

 ハーネイスはマーサが逃げないように塔の一番上に閉じ込めました。




 ◇


 月日は流れ、マーサはとても美しい女の子に成長しました。


「やはり私の見立てた通りだ。その美しさは私の美しさを保つ為に必要なのだよ。少しチクリと痛みはあるが、心配することはない」


 ハーネイスはマーサの首に唇を寄せました。


「ん……」


 飲むのは一口程度。

 ハーネイスはマーサの血を体内に取り込みました。

 こうして若さと美しさを保っているのです。


 そして、ハーネイスは定期的にマーサの生血を吸いにやって来ます。

 それ以外はマーサはいつも一人ぼっちでした。


 やることといえば、本を読むこと。絵を描くこと。歌うこと。


 今日もいつものように鳥たちと一緒に歌を歌います。




 ◇


 森の中で狩りをしていたアラン王子が美しい歌声を耳にしました。

 

 その歌声に誘われるように馬を走らせると、三階建て位の高さの小さな塔を見つけました。

 歌はそこから聞こえているようです。

 入り口を探してみましたが、どこにも見当たりません。


 仕方なく、アラン王子は毎日その歌を聞きに塔へやってきました。

 ある日、人の気配がしたのでアランは物陰に隠れました。


 現れたのは黒衣をまとった美しい姿をした女、ハーネイス。


「マーサ、お前の美しい髪を垂らしておくれ!」


 ハーネイスが塔の上に向かって声をかけると、亜麻色のはしごが垂らされました。

 長い髪をはしご代わりに窓から入るのです。


「マーサ、こちらに」

「はい、ハーネイス様」


 マーサは従順です。

 言われるがままに、ハーネイスの隣に座り首を差し出します。


 ハーネイスは妖艶な笑みを浮かべ、マーサの首に吸い付きました。


 効果を得られるのは美しい十代の娘。

 マーサは十九才。

 そろそろ用済みです。


「ありがとう、マーサ。また一週間後に来るわね」

「はい、お待ちしております」


 ハーネイスは用が済むと直ぐに立ち去りました。


 その様子を下からずっと見ていたアラン王子は考えます。


 今まで人の出入りをしたのは一人だけ。

 中にいるのは恐らく歌を歌っている一人だけ。

 入り口のない塔は牢代わりなのだろうか。


 塔に上る方法も分かったため、アラン王子は調査をすることにしました。


 アラン王子はハーネイスと同じように塔の上に向かって声をかけました。


「マーサ、お前の美しい髪を垂らしておくれ!」


 少し間が空いたものの、同じように亜麻色のはしごが垂らされました。

 アラン王子はゆっくりとそのはしごを上り、窓から入ります。


「あ、あなたはどなたですか?」


 突然現れた見知らぬ人に脅えるマーサに、アランは目を奪われます。

 マーサは今まで見たどの女性よりも美しかったからです。


「私はこの国の王子、アランと申します。あなたの美しい歌声に惹かれ、この塔の謎を解きに参りました。突然の訪問、お許し下さい」

「王子様……」


 マーサは本で王子がどういう者か知っていました。

 王子様の言うことは絶対。

 そう、ご主人様であるハーネイスよりも。


「何が謎なのか私に分かることでしたら何なりとお聞きください」


 素直で従順なマーサは警戒心をなくし、笑みを浮かべました。

 アラン王子は胸が高鳴るのを感じましたが、それが何であるか分かりません。


 ゆっくり時間をかけてマーサの話を聞いていくと、ハーネイスは美しさを保つ為だけにマーサを塔に監禁していることが分かりました。


「マーサ、あなたはここにいてはいけない。私が助けてあげます」

「助ける? 私は何か困っているのでしょうか?」


 何も知らないマーサは首を傾げました。

 そんなマーサを見て、自分が必要なのだとアラン王子は感じました。


「私を信じてついてきて欲しい。必ず幸せにします。いいですか、もしハーネイスが来ても私が来たことを言ってはいけません」

「はい、アラン様」


 あまりにも無垢な態度に、アラン王子は思わずマーサの唇を奪いました。

 自分でもどうしてそうしてしまったのか分かりません。


「……んっ……ア、アラン様?」

「……約束の印です」


 アラン王子はそのままマーサを求めました。

 マーサは初めてのことに驚いたものの、言われるがままに全てを受け入れます。


 それは、長い長い夜でした。




 ◇


 アラン王子は城に戻ると兵を集め、ハーネイスを捕らえるための準備をしました。


 その間、マーサの元にハーネイスがやって来ました。

 いつものように血を啜ります。


「……味が変わった。思っていたより早く時を終えてしまったようだ。まぁ、良い。マーサ、お前はもう必要ない。ここには新しい子供を迎えるため出て行くがよい」


 ハーネイスはマーサが乙女ではなくなったことには気が付きませんでした。

 それはただ、二十才手前、少し早くに効果がなくなっただけだと思ったからです。


 ハーネイスはマーサの髪を切り落とし、遠い遠い、荒野へ連れて行きました。


「お前は自由だ。死ぬのも生きるのもお前次第」


 そう言い残し、ハーネイスは消えました。




 ◇


 何も知らないアラン王子はハーネイスを待ち伏せします。


 そして、ハーネイスが産まれたばかりの女の子を連れて来たときでした。


「ハーネイス! お前の悪行は全て知っているぞ!」


 アラン王子と兵士がハーネイスを取囲みます。


「ほぅ。だからどうだと言うのだ? 私の子をどうしようと勝手」

「人を監禁し、道具のように扱うなど親がすることではない! その子をどうするつもりだ? マーサのように監禁するつもりか!」

「……お前が何故マーサを知っている?」


 ハーネイスはじっと探るようにアラン王子を見つめました。


「そうか……お前、マーサと交わったな……。何も知らないあの子を言いくるめたのか……。くっくっくっ。お前も対して変わらぬのではないか? 欲望のまま動いているのは同じ」

「違う! お前と一緒にするな!」

「ほぅ? 愛があるとでも?」


 アラン王子にはそれが愛であるかわからなかった。

 ただ、マーサを守りたいと思い、欲しいと思った……。


「そんなことはお前には関係ない! さぁ、ハーネイスを捕らえるのだ!」


 兵士達はハーネイスに向かっていきました。

 しかし、ハーネイスの魔法で意図も簡単にやられてしまいました。


「な……」


 アラン王子は驚き、立ち尽くします。


「くっくっくっ。どうした、王子よ。手も足も出ぬようだな。なら一つ提案をしよう。マーサは今、ここにはいない。遠い異国の地に捨ててきた。お前が一年以内にマーサと再び出会うことが出来れば、私がこの地から立ち去ろう。しかし、見つけられなければ私を妃にするのだ」


 このまま一人で戦っても勝ち目はありません。


「……分かった。約束をしよう」

「契約だ!」


 ハーネイスが杖を振るうと、アランの視界が闇に包まれました。


「視力は消し去った。では一年後に!」

「そんなことは聞いていない!」


 アランは叫んだが、既にハーネイスはその場から居なくなっていました。


「くそっ……」


 既に契約を交わしてしまったため、目が見えなくなったままの状態で探さなくてはなりません。


 アランはこの日からマーサを求め、さ迷い続けました。




 ◇


 間もなく一年が経とうとする頃でした。


 盲目のまま森をさまよっていたアラン王子は、美しい歌声を耳にします。


「マーサ……。マーサ! マーサ!」


 アランは声を張り上げて名前を呼びます。

 ずっと追い求めているうちに、マーサへの愛しさが募っていました。


「アラン様? ああ、アラン様!」


 マーサもまた、初めて会った時のことを忘れてはいませんでした。


「いつか会えるものと……会いに来てくださると信じておりました」


 マーサは泣きながらアラン王子に抱きつきました。

 あまりにも勢いよく抱きついたため、二人は土の上に倒れてしまいました。


「会いたかった……。愛している……」

「はい……私も愛しております」


 しかし、上に乗っているマーサの姿は見えません。

 手探りでマーサの顔を触りました。


「アラン様……もしかして目が……? どうしてしまったのですか……?」


 アランは全てを話しました。


「ああ、なんと言うことでしょう。私なんかのために!」


 マーサが涙を流すと、その涙がアラン王子の目に落ちました。

 すると、アランの視界が開けてきます。


「マーサ……。見える……マーサの姿が見える!」


 なんと、マーサの涙で視力が回復したのです。


「ああ、良かった……。あ、アラン様。実は家に……」


 マーサが住んでいるという小さくて馬小屋のような家に行くと、老婆が赤ちゃんを抱いてあやしていました。


「もしかしてこの子は……」

「はい……アラン様の子です。そしてこの方が私を助けてくださいました」


 アランはその老婆から赤ちゃんを受け取ると、老婆がニヤリと笑いました。


「真実の愛だったようだな」


 老婆はみるみると美しい女に変わりました。


「ハーネイス様!」

「約束通り私は二度とお前の国には行かぬ」

「待て! お前の目的は美しさを保つだけなのだろう? 契約をしないか。今後は私が用意する。だからお前は我が国のために働かないか」

「お前が? 子供を奪ってくるというのか?」

「違う、協力してもらうだけだ。その者には報酬も与えよう。十代の美しい少女であれば良いのだろう?」

「……上手いことを考えたな。わかった。契約だ」


 アラン王子はマーサと産まれたばかりの子供、そしてハーネイスを国に連れて帰りました。


 約束通りアラン王子は美しい少女の血をハーネイスに与え、ハーネイスは国のために働きました。

 また、マーサを妃として迎え、幸せに暮らしましたとさ。




 おしまい。


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