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ノスタルジックメモリア  作者: 千成いなせ
8/9

月夜に笑う兎7

その空間には兎型のグリムが待ち構えるように立っていた。


「君が明美さんを狙っていた本当のグリムだろ?」

「なんだ。気づいていたのか」

ワタルの問い掛けに頭をかきながら答える兎型グリムだが明美の方を見た途端、にんまりとした笑みを浮かべ攻撃を繰り出す。


「危ない」

ワタルはそう言って明美の頭を押さえて下げさせる。

その直後、二人の頭上すれすれを風圧と共にぶんっと言う音が通り過ぎていった。

どうやら兎型グリムは爪で切り裂こうとしたらしい。

兎型グリムは畳み掛けるように二撃目の爪を振るう。

だがワタルは、二撃目の爪が振るわれる前に、すかさず剣を横なぎに払う。

兎型グリムは攻撃が当たらないと判断し、剣から逃れる為に大きく後ろに後退していた。


「なかなかやるな人間。躱されるどころか反撃をくらうとは」

「反撃と言っても、少し掠った程度だけどね」


軽口を言い合いながらもそれぞれが次の行動に移る。

ワタルは近づいて切りかかろうとするが兎型グリムはあっさりと攻撃を躱し、持ち前の脚力を生かし、ワタリの周りを縦横無尽に走り回る。

走り回りながらも隙をついて攻撃を仕掛ける兎型グリムに対しワタルは防御の態勢で応戦する。


ワタルの剣と兎型グリムの爪が激突し激しい金属音を奏でる。

剣と爪が何度目かの交差をした時、ワタルの剣が砕けた。

それを好機と見た兎型グリムは追撃をかけようとワタルに鋭い蹴りを放つ。

ワタルは砕けた剣を即座に作り直しそれを楯がわりにする。

蹴りを防がれた兎型のグリムは、そのまま剣を踏み台のように蹴り、その勢いを利用して明美の方向へ飛んで行く。

獰猛な笑みを浮かべながら明美に迫る兎型グリム。


「危ないニャ」


強靭な爪から守ろうとペボが飛び出すが

「邪魔だ」

言葉が言い終わる頃には弾き飛ばされていた。


明美の前に立ち、その爪を振るう。


ずぶりと腹部へ突き刺さる音が響いた。


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