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ノスタルジックメモリア  作者: 千成いなせ
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月夜に笑う兎4

今までいた空間の主である化け物が消失した事により明美は元の世界に戻って来れた。

明美は事情を聞く為、落ち着ける場所まで移動した。


「とりあえず自己紹介でもしましょうか。僕はワタルと言います。それでこっちの猫はペボです」

「さっきはありがとう。本当に助かったよ。私は明美。それであれは何?何だったの?」

「ちゃんと説明しますから落ち着いて下さい」

少年は、深呼吸を促し、明美が落ち着いたのを見計らって話を切り出した。


「ここ数日で体の何処かに捕まれたような痣が出来ませんでしたか?」

「何で知ってるの?もしかしてストーカー?」

「ち、違いますよ。」

身構える明美に少年が慌てて訂正する。


「その痣は化け物に狙われてる印みたいなものです」

「化け物ってさっき見たやつの事?」

「その通りです。先ほど見た化け物はグリムと呼ばれています。そして、現在起きている神隠し元凶でもあります」

「どうしてそんな事が分かるの?」

「グリムは元々異界に住んでいるのですが何らかの目的があって現世に顕現しようとしているのです」

「あの空間が異界なの?随分こっちと似ているけど」

「あれは現世と異界を繋げた疑似的空間です。グリム達は疑似的空間に人を招きいれているんです」

「招き入れる理由って?」

「人々からエナジーを奪い現世に顕現する為です。エナジーを奪われすぎれば文字通り消滅してしまいますが」

「そんな事って……」

「安心して下さい。僕らはグリムの脅威から人々を守る為に存在していますから」


一通り説明を聴いた明美を自宅まで送り届けた後、その場を去ろうとするが相棒のペボが怪訝な顔をしていた。

「おかしいニャ」

考えこむペボに話しかける。

「どうしたのペボ?」

「グリムの反応がまだ消えてないニャ」

「消滅してなかったとか?」

「消滅は確認出来てるニャ」

「ってことは!」

「今回の任務はまだ終わってないニャ」


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