登場人物紹介:第三章(六十九話分まで)
○:初登場の登場人物
□:以前の紹介で登場済みの人物の追加情報
●妃嬪と関係者
○李 海霞 (り かいか)
殿舎:雨華舎
海嬪 (かいひん)。二十一歳。
李妃と名字が被るので名前から取って海嬪と呼ばれる。
同じ名字だが李妃との血縁的な繋がりはなく、洪妃派に身を置いている。
後宮の中では地味で控えめな顔立ちと性格で影が薄いタイプ。
雨華舎の様子から、青元の足は少し遠ざかっているのではないか、と麗瑛は推測した。
○丹慧 (たんけい)
海嬪の侍女。少々強気そうな顔立ち。
恋人と逢引していたことを隠すために幽霊話をでっち上げて言いふらすが、やり過ぎてばれてしまい麗瑛に叱責される。
ただし麗瑛と海嬪の取引によって正式な罰は免れたので、雨華舎で勤めを続けている。
○近衛の男
丹慧の恋人。燕圭とは同期。
性格も頭も軽く顔立ちは悪くはないが性根が透けて見える(燕圭さん談)。
何人も女性を泣かせていたらしく、同期ゆえに色々見聞きしたりしたので燕圭には全く信用されていない。
フォローするなら丹慧への気持ちは本物……のはず。
○欧陽 蘭 (おうよう らん)
殿舎:碧翔舎
蘭嬪 (らんひん)。年齢は十八歳。
複姓(二文字の姓)のため、欧陽嬪ではなく蘭嬪と呼ばれる。
名前だけは二章で会話の中に登場済みでした。
ふたつ結びにした髪に強情そうな顔立ち。洪妃とは親戚同士でどことなく似た顔立ちで、洪妃を姉と呼んで慕う。
洪妃によれば何かというと自分の真似をしたがる、とのこと。
ただし洪妃と違って『蓮泉殿の御方』には敵対心に近い不満・憤懣を持っており、たまたま行き会った蓮泉殿の侍女(天香)に詰め寄ったほど。
洪妃に輪をかけてお転婆(よく言えば快活)というイメージ。齢よりも子供っぽい性格?
□洪妃
天香を呼びつけて『蓮泉殿の御方』の懐妊疑惑を問いただす。
妃嬪らしからぬことに、体を動かす(しかも武技方面で)のが好きな様子。
蓮泉殿の御方に関しては『知らないから怒りも嫌いも出来ない』という立ち位置で、それよりも李妃への対抗心のほうが上回っている。
□陸嬪
茶会以来の登場。今回は蘭嬪と組み、口では蘭嬪を諌めつつ天香を問い詰める。
芝居がかった大きな身振り手振りで話す。
座っていても(売り込みに)うるさかったが立っていてもうるさい。
□陳嬪
本名は陳 淑英 (ちん しゅくえい)。年齢は十七歳。
現在後宮で迦鈴と並んで最年少の嬪。
一・二章では中立的な立ち位置だったが、三章では洪妃派に入った模様。
引っ込み思案というよりもまだ宮中の付き合いに慣れない様子で蘭嬪・陸嬪にも控え目。
実家は貴族だが、小身貴族のため李妃派には馴染めなかったのかもしれない。
□徐嬪
性懲りもなく光絢から『蓮泉殿の御方』の情報を引き出そうとする。
が、逆に李妃派の中で交わされていた噂の中身を聞き出されただけに終わる。
李妃派の妃嬪の出番が少ないのは天香自身にあまり接点がないため。
蓮泉殿の侍女たち(今回の出番分)
□光絢
攻めているつもりが天香たちを手助けしたり空回ったり。彼女の言葉が天香の背中を押すことに。
天香を想う者同士、麗瑛と通じ合うものを持つ。
□英彩
幽霊・怪談の類が好きだと発覚。幽霊事件ではずっと先頭に立っていた。
□則耀
本編では明言しなかったが実は怪談苦手。自分では『好きじゃないだけ』と言うが。
□燕圭
幽霊は『武器が通じないので』苦手。そういう問題か。でも本人は大真面目。
今回犯行を押さえられたのは彼女の杖さばきが大きい。
同期の男が幽霊騒ぎの片棒を担いでいたことを知ってひとり気炎を上げる。
●官吏
三大人
女官長の丁淑玉、内官長の遼宇、宰相の絡月勝
以上の三人を指す言葉。宮廷と後宮を実務面で事実上取り仕切っている三人。
○遼 宇 (りょう う)
殿中監。内官長と呼ばれるほうが多い。敬称は大夫。
帝の身の回りの諸事と城の維持管理を掌る内官の長。帝の家令といえる存在。
福福しい見かけでにこやかな表情を崩さない好々爺一歩手前の初老。しかし仕事になると能力は高く青元の信頼も篤い。
天香と麗瑛たちのことを承知していたうちの一人。
○司洗所の下女
後宮で出た洗い物を洗濯する司洗所に勤める下女。
帝を名乗る男と情を交わし子を成すが、その帝は偽者だった。
その事実を公衆の面前で本物の青元本人から告げられ、その御前で気を失う。
その後後宮を辞して実家へと帰る。
□絡 月勝
宰相様。下女の事件では強硬策を主張する。
実は天香と会っていたことがあるらしいが、天香には覚えられていなかった。
●皇族
○江 柳宗 (こう りゅうそう)
湘王に封じられている、青元・麗瑛兄妹の親戚。親戚とはいえ何代も前に分かれた分家の主で血の繋がりは薄いが、幼い頃は都暮らしで帝兄妹とはそのころに親しくなった。今も半年に一度くらい宮中に滞在している。
複雑な経緯で宮中にやってきた兄妹に対して分け隔てなく接してくれた少数派のひとり。
青元とは『柳』『青』と砕けて呼び合う仲で、麗瑛からも『湘の兄上』と慕われている。
容姿はまさに端麗典雅な美青年で、女官や侍女たちからの人気も高い。幼い頃から体が弱かったこともあり、今も体の線は細いが、それが名前のように柳のようなしなやかさを感じさせる。男女の別を感じさせない顔つき。
ニコリと微笑めばバタリと(女性が)倒れる。
風流に優れて書や楽器にも精通している。性格も爽やかで身分を問わず心配りを忘れない完璧人。
青元とは年も近いがまだ結婚しておらず、それも女性陣からの人気の高さの元らしい。
○先代湘王
皇族でありながら個人の武技に優れ、部隊を率いらせても一流の将器を持っていた。知名度も高く、天香でさえその名を知っていたほど。まさに武人然とした容姿だったという。
本編の数年前に没し、湘王は息子の柳宗が引き継いだ。
○太子
『先の難』で弟とともに命を落とした。この事件がきっかけとなって青元が帝につく。
青元・麗瑛の異母兄。
●貴族
○鄭姫 (ていき)
李妃の実家と並ぶほどの権門、鄭家の現当主。
『先の難』で父と兄を失ったために当主を継いだが、屋敷から外出せずその姿を見せないことで『蓮泉殿の御方』の噂の引き合いに出される。
難がなければ後宮入りしていたかもしれない年頃という以外詳細は不明。
鄭姫という呼び名も『鄭家の姫(若い女性)』という意味でしかない。
次回より第四章。
月内に始めたいなあと思っています。




