登場人物紹介:第二章(四十七話分まで)
二十三話から四十七話までに登場した人物(主に妃嬪)についての紹介
妃嬪
○李 香陽 (り かよう) 22歳
殿舎:栄寧殿
『両妃』の一人。李妃。貴族の筆頭、左大臣李恒念の娘。
ゆるふわ髪型やや派手系容姿の美妃だが、下がり気味の目尻が柔らかい印象を与える。
妃嬪の筆頭格であることを自覚してそう振る舞っているが、一方でその振る舞いは生来のお嬢さま育ちそのものであり、洪妃や天香のような庶民層の出身者を刺激することには思い至っていない。
『箱入り娘』で、『青元の妃』ではなく『帝の妃』であることを重視している、と洪妃に断じられるが、青元をまったく慕っていないわけでもなさそうな様子も見せる。
○洪 昭華 (こう しょうか) 19歳
殿舎:桃清殿
『両妃』の一人。洪妃。軍部の有力者・洪将軍の娘。
パチリとしたつり目が目を惹く顔立ち。ただし茶会時の化粧はやや濃かった。
洪将軍が将軍ではないときに生まれたので生粋のお嬢さま育ちではなく、後宮入りに際してかなり厳しい教育を受けたものの、それでも気が昂ぶると言葉遣いが乱れ、一人称が「あたし」になってしまうなど元々の性格が端々に垣間見えている。父が軍部ということもあり武術を嗜んでいる。
一方、青元をはっきりと慕っており、その妃を目指すとも公言した。李妃に対しては一方的にライバル心を抱いているが、李妃の性格から空回り気味。
天香を話し相手に望んだが、真意は謎。
○陸 明鳳 (りく めいほう) 24歳
殿舎:明梅舎
嬪の一人。陸嬪。ただし本人は鳳嬪と呼ばれたがっている(※:後述)。鷲京城下の商人の娘。
美々しい顔立ち。茶会の噂を聞きつけ、一番に銘茶を献上しにやってくる。郭嬪によれば「焦ってる」。
茶会では鮮やかな橙の衣装を選ぶが、本人との取り合わせという意味では郭嬪の後手を踏む。
明梅舎は天香の茶飲み友達・福玉の勤め先。
○郭 秀芳 (かく しゅうほう) 22歳
殿舎:皓月舎
郭嬪。
琳国の南部、浅州の大商人の娘。
最高級茶葉の金針鳳華を献上して、自分ではなく実家を売り込む。その言葉通り茶会でも商談をまとめていた。
南部人らしく華やかな顔立ちで、それによく似合う派手な衣装を好む。茶会では緑地に大胆な深紅の花という意匠で目を引いた。
○劉 蒼姫 (りゅう そうき) 25歳
殿舎:雪花舎
劉嬪。
北部の威州を拠点とする貴族の出身。威州は大陸行路の拠点でもあり胡人と総称される異国人や遊牧民の往来も多い。劉嬪はそんな胡人の血を色濃く引いており、明るい栗色の髪と灰色がかった瞳、彫りの深い顔立ちの持ち主。
妃嬪の中で最年長だが陸嬪のような焦りなどは感じていない様子。茶会では牛酪を所望する。
身分の上下に分け隔てなく接する人物。故郷でも遊牧民と交流を持っていたらしい。
○徐 碧桃 (じょ へきとう) 19歳
殿舎:寿楽舎
徐嬪。尤州・藍柴の有力者の娘。
光絢と同郷で顔見知り。その伝手を辿って蓮泉殿の情報を得ようとするが天香に撃退される。
洪妃いわく李妃の取り巻きの一人であり、李妃の覚えをめでたくしようと動き回っていたと天香は理解した。
○陳 淑英 (ちん しゅくえい) 17歳
殿舎:秋薫舎
陳嬪。今年に入ってから後宮に入った最後発組で現在最年少。第一章では侍女たちが事件を起こしてしまう。
どこか小動物的な雰囲気を纏った少女。実家は貴族であるが、他の妃嬪の実家よりも小身。
○楊 迦鈴 (よう かりん) 17歳
殿舎:逍霞舎
楊嬪。天香とは公主院時代からの友人。陳嬪と並ぶ後宮最年少。
良家の出で、親戚からの強い押しに負けて後宮入りした。青元にもそれは伝えてあり、(偶然にも)青元もそれを良しとしたために後宮では怠惰に過ごしている。
○寧 文琴 (ねい ぶんきん)
寧嬪。洪妃いわく、李妃の取り巻き。
茶会では李妃と劉嬪の間で霞んでいた。その上まるで李妃の侍女のように振る舞っていた。
李妃への忠誠のほうを優先する。
○采 祥雲 (さい しょううん)
殿舎:玉楼舎
采嬪。洪妃いわく、李妃の取り巻き。
実は本編では最初に登場した妃嬪(第三話)。
好奇心が強く新し物好き。
他、本編未登場の嬪:残り2名
※:妃嬪の呼び名について
基本的には姓+妃/嬪(地位)で呼ばれるが、法・令等で決まったものではなく、当人の強い希望があればそれ以外の名で呼ばれることもある。また上位の妃嬪と同姓だった場合、呼び名が被った場合、欧陽蘭のような複姓(二文字以上の姓)の場合も名から一字を取って呼ばれる。ただし畏まった間柄では「姓+妃嬪」となる。
妃嬪以外
○朱 光絢 (しゅ こうけん) 15歳
天香を慕う少女。天香が麗瑛と別れてから再会するまでの間に親の仕事の関係で親しくなった。
当時の出来事から天香を慕うようになるが、天香本人はその出来事を憶えていなかった。
公主院に入るために再び鷲京にやって来るが、天香の後宮入りを知って追いかけるように後宮に勤める。
自己紹介の通り、尤州青牧郡の郡守の娘。希望すれば侍女や女官として勤めることも可能だったが、公主院入りを蹴って勝手に決めたことに父親が怒り、下女として司厨職に勤めていた。のち蓮泉殿の侍女に転じる。
天香の愛人を目指す、と宣言したため、天香と麗瑛の仲を何度も見せ付けられることに。
○絡 月勝 (らく げっしょう) 38歳
宰相。国帝・江青元がもっとも信頼を置く人物。青元が皇子の一人だったころからの腹心。
いつもしかめ面で眉間に深いしわを刻んでいる。娘が一人いるが後宮には絶対に入れないと決意している。
女官長とも連絡を取り合い、天香のことも把握済みの様子。
月勝を宰相とするために青元は恒念と取引し、恒念の娘香陽を李妃として後宮に迎えることになった。
○李 恒念 (り こうねん)
左大臣。月勝とは反りが合わない。厚い肉付きの体だが不潔感はない。
青元の即位に貴族の中でいち早く支持を表明し、その功で大臣の位を手に入れた人物。
李妃・香陽の父親で、茶会の補佐役に我が娘を推挙する。しかし素気無く断られた模様。
○洪妃筆頭侍女
間章に出てきた「妃嬪の侍女」。
洪妃相手でも遠慮なく物を言う人間。洪妃にも信頼されている様子が窺える。
圭寿 (けいじゅ) 瑯璃 (ろうり)
洪妃の侍女。名前のみ登場。
洪妃に言われて断れずに衣装の帯をきつく締めたらしい。
○李夫人
司厨の職長。下町の食堂のおかみさんといった風貌。しかしその腕と舌と知識は確かで、繊細な宮廷料理から市中風の駄菓子まで一手に作れる人物。
気づけば初回投稿から1年過ぎていました。
途中で折れるかもと思っていましたが書き続けられています。ありがとうございます。
予定よりゆっくりですが何とか書き続けたいと思います。




