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①ハイヒールと時間移動

①ハイヒールと時間移動


「マジで?バンプのnewシングル?」

「そうそう」

「やったね!発売日に買お。じゃあね、太一、郷田君」

「じゃあなユウト」

「じゃあな!あと、呼び捨てでいいかんな!!」


「おい・・財布出せ」

「でも・・・」

バンプの新しいCDが買えなくなってしまう。

「さっさとしろ!」

「はい・・・・」

「五千円、ちょうどもらってくぜ」

「・・・」

不良は去って行く。

少し声をかけられたと思ったら一瞬だった。

「クソぅ。俺が強ければなぁ」

嘆いた後に、デパートの方からすごい足音が聞こえた。

女装した男だ。ハイヒールを履いている。

ツカツカとこっちに来たと思うと、思い切り小指をヒールで踏まれた。

「痛ェェェ!」

目の前が光で溢れた。


「マジで?バンプのnewシングル?」

「そうそう」

「え?」

「どうした?」

咄嗟に時計をみた。

「戻ってる!!!」

「ん?なにが??」

「なっ…なんでもない」

「なんだよお前!まあいいやじゃーな!」

きたきたきたきたきたカツアゲから逃げられる!

そう、ユウトの人生はここから、カツアゲから逃げたこの時から、良くも悪くも狂い始めたのだ。


「いや、昨日さ、やばかったんだよ」

「んだよ急に」

「いや、あのさ、オカマにハイヒールで小指踏まれたら、タイムスリップしてたの!」

「………それ、本当か?」

「本当本当!」

「今日の放課後、理科室に来てくれ。」

タイチは自分の席に向かって行った。

何か様子がへんだった。


一日の授業を終え、理科室に向かった。

「おお、来たか。」

「なんなの?なんか変だぜ」

「ついてきてくれ。」

タイチは黒板横の、人体模型の入っている箱を開けた。

そして人体模型の目部分に親指を当てた。すると箱の右側が扉のように開き、タイチはそこに足をかけた。

「来てくれ。」

ユウトも恐る恐る入った。

ユウトが入ると扉がしまった。

「ようこそ。SAAへ。」

「SAA?」

「特殊能力者を集めた機関だ。何の略かわかるか?」

「special ability agency」

「残念。Subtle ability agency。微妙 能力 機関」

「は?微妙?」

「へんな特殊能力とか、何かの条件を満たさないと使えない能力とか。そんな人間を数多く集める機関だ。」

「…」

「お前はハイヒールで足を踏まれると時間を移動できるというハンディキャップをもったSAAメンバーだ!」

「んだよ急に。」

「SAAは公安とも繋がっている。大きな事件や事故などを解決する役割にある。そして銃などの武器、体術なども教える。」

「はぁ?なんでそんなあぶねぇ場所に俺が入んだよ。」

「ハンディキャップ」

タイチはそうつぶやくと口紅を塗った。

すると靴がハイヒールに変わった。

そしてユウトの足を思い切り踏んだ。

「アウチ!」


気が付くと昼だった。

「お、来たようだね。」

タイチが笑みを浮かべている。

「ぼくは君の足をハイヒールで踏んだ。そうだね?」

「?」

「ぼくはほんの5分前まで君といた。急に君がここに出現した。」

「さっき、いや、未来か。のお前の行動は計算し尽くされたものだったってことか?」

「まあ、そうなるね。俺はそうしたんだろう。君は君の能力が分かった。はいれ。SAAに。」

「入るわけねぇだろ。」

ユウトは鞄を持って教室を出た。

「あ、まだ授業終わってなかった。」


帰り、バスに乗り込んだ。

乗客はユウトの他に七名。

若い母親と子供。

女子高生二人組。お、可愛い。

ハゲヅラのおじさん。

キャリアウーマン的パンツスーツの女性。

この人の隣に座った。

フードをかぶった様子のおかしい若い男。

「次は、高様橋。」

そのバス停には乗る人も降りる人もおらず、通りすぎたその時、フードをかぶった若い男が子供の腕を引っ張り抱き寄せ、喉元にナイフを当てた。

「おらぁ!静かにしろぉ!」

男は逃亡を続け、ニュースで騒がれている通り魔だ。

「うえぇーん!」

「のぶちゃん!」

母と子の泣き叫ぶ姿が目に入る。

「すいません、」

隣の女性に声を掛ける。

「なんですか?」

「そのヒールでぼくの足、踏んでもらえません?」

「え?」

女性が拒絶の目を向ける。

「早く!」

女性がユウトの足を踏んだ。

「ぐはぁ!」


気が付くと校門の前にいた。

時間はあの二十分前。

携帯を取り出す。

「警察ですか?仁栄道バスの仁栄道車庫のバス停にあの、通り魔だと思う男がいるんですけど…」


気持ちがスッキリしていた。

人の命を救ったのだ。嫌な気持ちなはずがない。

「こりゃ、やる価値あるかもな。」

そうつぶやくより早く、足は理科室に向かっていた。


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