7話:エロフを狩る(?!)者達…もしくは…。
今回下ネタだらけ~っと各所より二つ名持ちの方のお名前をお借りしております。
最近事後ばかりで申し訳ございません(平伏)
そして、削った割りに何時もより長めです…全てはエロフが悪いんです。
ノーコンの島船着場
「美味いぞ~~~!!」
片手に巨大な蟹爪を持ち武士の<特技>“電光石火”を発動して稲妻のエフェクトを身体から発し仁王立ちになり天を仰ぎ見て叫ぶ八郎。
それを横目に一心不乱に、これまた巨大な蟹の身を貪るランエボ。
「お義姉ちゃん、もぐもぐ…多分…もぐもぐ、元ネタが…もぐもぐ…在るんだろう…もぐもぐ…けど…もぐもぐ…私…もぐもぐ…判らないから…もぐもぐ…ツッコミは…もぐもぐ…入れないから…もぐもぐ……あと、ネタの為にMPの……無駄遣いは…もぐもぐ…やめといた方がいいと思うな。」
どっちもどっちなくらいハシタナい食べ方だが、約9日振りの『味』のする食事だ、しかも念願の蟹尽くし…っといっても、巨大カニを塩茹でしただけの物だが。
「あ~ランエボちゃん、先生のやってるネタは『ミスター味っ子』ってアニメnブベラッ
!」
何処から調達したかも判らないドラム缶で巨大カニを茹でていた黒ずくめのエルフに蟹爪が直撃する。
「鎌吉!こういうネタは判る奴だけ“クスッ”と笑えばいいの!一々解説しない!」
「先生…さほどダメージは受けませんけど…痛いですって…暗殺者は紙装甲なんですから…。」
頭に刺さった蟹爪を抜きながら2匹目の茹で加減を見るエルフ、頭には“流血”のBSが表示され徐々にHPが削られている…、本人の云うように大した事は無いのだが、見た目に痛々しい(何せ、傷口から血が流れ噴水のように吹き出て居るのだから…。)
「鎌吉くん、<霊薬>飲んだ方がいいよ…こっちの食欲が減退するから。」
サクッ!
「痛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
にべも無い言葉と共に<霊薬>を的確に傷口に投げつけるランエボ、見事にHITしてのたうち回る“鎌吉”と呼ばれる黒ずくめのエルフ…。
「先生もランエボちゃんも非道い…。」
少し話を遡ってみよう…。
~ハットリバー川岸で黒ずくめのエロフの鼻っ面と喉元に武器を突き立てる義姉妹。~
「お…おねぇーさんも、ちっぱいちゃんも落ち着きましょう…話せば判ると犬養首相も云ってたじゃないですか…。」
エロフの方に戦意は無いが義姉妹は殺る気まんまんである。
「「ねぇ?その台詞吐いた、犬養首相の末路知ってる?」」
「………勿論、…知ってますよ??」
義姉妹を底冷えしそうな、それは、それは、冷たい笑みを浮かべ武器を持つ手に力を込める…。
「「じゃあ…さようなら…また、何処かで遭ったら他人の振り…」」
「ちょっっっ!あ…“味のする料理”食べたくないっすか!“チープスリルジャンキー”の伊庭八郎さんに!妹さんのエボリューションさん!」
完全にお脳の茹だった2人は一瞬、何を云っているのか“理解”出来なかった…否!“理解”が追い付かなかったが、この場合正しいだろう…。
理解が追い付くまで阿呆の子のような馬鹿面になっていた義姉妹(鏡が手近に在れば見せてやりたいほどの形容し難い表情…。)その表情をさも面白げに覗き込むエロフの顔を見て、我に返る義姉妹。
「…あのさぁ、もう引退して2年にもなるのに、なんで私の“二つ名”知ってるのよ…このエロフ…じゃなくて“キティ・ホーク”君?」
「…それと…“味のする料理”って、素材アイテム以外って事かな?“キティ・ホーク”くん?」
先程とは打って変わって、異常なほどの警戒心を露骨に現す義姉妹…八郎からすれば、自分のように一度引退した人間は過去の遺物でしかなく、ステータスに表示されているLVや装備しているアイテムから察するに、自分の引退後から<エルダー・テイル>を始めたであろう人間から懐かしい“二つ名”を聴くとは思いもしなかった。更に云えば今だに現役の黒剣や狂戦士や突貫黒巫女や死霊使いや歌う軍師や狐将軍や御前と比べれば、自分などは格がど~んと下がる有象無象の“自称二つ名”だと認識していたので、余計に驚く。
ランエボもやはり警戒せざるを得ないモノを感じていた…、自分が『お義姉ちゃん』と呼ぶので八郎の『妹』(義理か血縁かは別として)である事は誰でも判る。(“姉妹設定”というロールプレイの延長と思っている冒険者も居るかもしれないが)が、翌々考えてみるとこのエロフ…キティ・ホークは“冒険者の身体能力に順応している。”でなければ、あんなに器用に岩を避けながら泳いで川岸まで辿り着けない筈だ。
そして、もっとも義姉妹を警戒させたのが『味のする料理』と云う“キーワード”…この9日間、実は何度か料理に挑戦はした(ヴィシャスの情報を信用していなかった訳ではないが。)だが!焼けば謎の村雨城…もとい、ゲル状の物体。刃物で切ってもコンボイの謎…もとい、瞬く間にゲル状の物体になり、料理を作ると云うよりも懐かしの玩具『スライム』製造機械に成り下がってしまい、この異世界では手作りでかつ、味のする料理は製作不能だと認識していたからだ。
だが、目の前に居る下心が暗殺者の皮を被って皮余りしているような“エロフ”…キティ・ホークは彼女達に“味のする料理”を食べたくないか?と聞いて来た…っと云う事はこの“エロフ”キティ・ホークは“味のする料理”の製造方法を何らかの理由で発見したと見るべきか…。
「いやだなぁ~♪本当に先程のお礼ですって!騙そうとかそういうの無いですよ~。嘘だったら、その時は大神殿送りでも、簀巻きでも好きにしてください!…でも…。」
急にモジモジして言葉を濁すキティ・ホーク。
「「でも?」」
武器も収め、キティ・ホークを川から引っ張り上げて小首を傾げる義姉妹。
「…僕がちゃんと“味のする料理”用意出来たらですね…。」
更に身悶えするようにモジモジして八郎の胸をロックオンするキティ・ホーク……。
「…なんか、次の台詞判った気がする……。」
「…お義姉ちゃんも?私も判った気がする……。」
義姉妹はジト眼で“エロフ”キティー・ホークを見る(寧ろ、汚物を観るような濁りきった瞳だ…。)そんな視線もなんのその、海老のように腰を曲げて、遂に口を開く!
「「「((次にお前はこう云う!))伊庭八郎さんの“おっぱい”揉ませて下さい!」」」
世界が止まる……。
「そんなに“おっぱい”が好きなら<外観再決定ポーション>で女にしてやるから、自分のおっぱいでも揉め~!!」
カッキーン!!!
「N゛O゛~~~~~~~~!!!!」
八郎、渾身の蹴りがエロフの股関にスマッシュヒット!アメリカの青い猫のような悲鳴を上げ、大空高く舞い上がるエロフ…。
数分後、なんとか状態異常から脱したエロフ…(もうこんな奴エロフでいいよ…。)
「…ごめんなさい、冗談です。もう云いません…、だから玉は止めて下さい…<外観再決定ポーション>の無駄遣いも止めて下さい…無条件で“味のする料理”を提供させて頂きます…。」
土中深く額を埋め土下座するエロフ…。
「最初からそう云えば、良かったのに~♪」
的が自分で無かっただけに軽い調子のランエボ(的にされるだけのおっぱいは最初から持ち合わせては居ない。)、今だに警戒して鎧の上から更に両腕で胸を覆い隠す八郎…。
顔面泥塗れでショボクレたエロフは(よほど、Fカップを揉みたかったらしい…)魚籠を腰に引っ掛け、<ダザネックの魔法の鞄>から長い独特な意匠の煙管を取り出した。
「??もしかしてソレ“煙羅煙羅の煙管”??」
取り出した煙管を食い入るように覗き込むランエボ、逆にその煙管が何なのか解らない八郎は怪訝な顔になる…、ランエボの反応に嬉しさを隠さず笑顔を見せるエロフ。
「あっ!解ります?エボリューションさん!唯一僕の持つアイテムで秘宝級なんですよこれ!人に手助けしてもらってなんとか入手したんですよ!」
嬉々として話ながら、煙管を咥え思いっ切り息を吹き込むと雁首からモクモクと煙を吹き出し徐々に妖艶な女性の姿へと変貌する煙…。
「これって“煙羅煙羅”を召喚する為のアイテムだったの!?私の引退してた間に面白いアイテムが出たもんだ……。」
ヴィシャスかレオ丸法師が欲しがりそうなアイテムだなぁ、っと内心思う八郎とヘルメス辺りが観たら地団駄踏んで羨ましがるだろうなっと思うランエボ。(だいたいこの二人の感想は間違って無いと思う。)
「煙羅煙羅、このお二方と僕を例の場所まで運んでおくれ。」
エロフ@キティー・ホークがそう指示を出すと煙羅煙羅は『コクコク』と頷き女性の姿からさながら“金斗雲”のような形に姿を変え3人を包み込み空中に浮き上がると、エロフの云う“例の場所”へと飛んで行った。
到着までの短い間、エロフが昭和ライダー8番目のOPを口ずさんでいたのをサラリと作品タイトル、主演などを言い当て2人を驚かせる八郎。(因みに駆け出しの頃、散々ヴィシャスのライダー講義を聞かされ覚えてしまったのだが…。)
そうこうしている内に着いたのはアクノス跡地最上階(現実対応:アクロス福岡)、そこにはキャンプ用のテントや簡易の調理場が在った。
「ようこそ、僕の寝蔵へ~!!」
そういってにこやかにテントの前に立ち、お出迎えの姿勢を示すエロフと先ほどの妖艶な女性の姿に形を変えペコリとお辞儀をする煙羅煙羅。
「で?こんな処まで連れて来て、本当に“味のする料理”食べられるの?」
今だに胸を覆い隠し警戒する八郎、と逆に警戒を解いて辺りを見回してるランエボ。
「あの場でも調理は出来たんですけど、色々と後の面倒を考えるとコッチで調理した方が安全牌なんで僕の寝蔵に来て頂きました、少し待って下さいね~。」
エロフはそう云うと煙管に煙羅煙羅を戻し、羽織っていたフード付きのマントを脱ぎ、<ダザネックの魔法の鞄>から色々と調理道具のようなモノを取り出し準備をする。準備が終わると簡易で造られた釜戸のような場所に薪をくべ火を起こす。
「ちょっと時間掛かるんで適度にくつろいでてくださいね♪お二人さん、テントの中に本とかあるんでご自由にどぞ。」
「いんや~興味深いんで見学させてよ、エロ…キティー・ホーク君。」
「以下同文~♪」
義姉妹は“味のする料理”の秘密を探る気満々でエロフの一挙手一投足を観察する、エロフは苦笑しながら、先程、釣った魚を魚籠から取り出し調理を始める。
ナイフで魚の腹を裂き、腑を取り出し串に刺す…作業工程は全くもって普通なのだ…。
「「え?どうして!?」」
義姉妹は戸惑いを隠せない、自分達が同じ事をすれば、魚はナイフを入れた時点でゲル状になるはずだが、エロフは義姉妹の事などお構いなしに作業を進める。
取り立てて何の変哲も無いナイフに何か特殊効果があるのか?はたまた、<ノウアスフィアの開墾>から実装された新たな何かなのか…2人は観察しながらお脳をフル回転させる。
十分に炎と煙を上げる釜戸のような場所に、塩を適度に振った魚を3本ほど刺し火で炙る、暫くするとシュウシュウと音を立て脂が串を伝って零れ落ち、焼き魚の旨そうな匂いが辺りに立ち込める。
「「??美味しそうな匂いが・・・?!」」
義姉妹の口から同じ言葉と涎が垂れ流される。(端から見るとハシタナイ事この上なしである…。)
~数分後~
涙を流しならが魚の串焼きを貪るように食べる2人と、それを嬉しそうに眺めつつ食べているエロ…キティー・ホーク、何故彼だけが“味のする料理”を作れるのか?よりも久し振りに食べる素材アイテム以外の“味のする料理”を堪能する事を最優先する義姉妹…。
「なんて名前の魚だか判らないけど美味しいよ~!!」
「ただ、塩振ってるだけなのになんでこんなに美味しいのよ?!この魚!!」
「…お2人とも、そんなに焦らずにゆっくり食べません?まだ、一人1匹づつは在りますから…。」
この台詞で我に返った?八郎は手持ちの魚を綺麗にたいらげ、次の串に手を伸ばし火に翳そうとすると慌ててエロフ@キティー・ホークが止めに入る。
「あぁ~駄目ですよ!!そんな…・・・・、あぁ~あ・・・。」
「「え?なんで??」」
時既に遅く、八郎が火に翳した魚はあっと云う間に焼け焦げたゲル状のヤバ気なモノになってしまった。
「アイエェェェェェェェェ!ワッザ?!ナンデ?ゲル=ジョウ??イヤー!!!ブッダシット!!」
完全に半狂乱の八郎はしめやかに…んな訳は無いが妻子を失ったフジ○ド=サンの様に慟哭。
「お義姉ちゃん!!お…落ち着いて!!取り乱すのは判るけど…ナンデ、ニンジャ?」
取敢えず、あんたら義姉妹は忍○ごっこヤメナサイ…。
兎に角、エロフ@キティー・ホークに出来て自分に何故、同じことが出来ないのか判らず混乱する義姉とそれを鎮めようとする義妹…(ランエボもエロフ@キティー・ホークには調理出来て、義姉が同じことをすると何故?ゲル状になったのか?理由も理屈も解らず半ば混乱している。)
「まぁ!まぁ!!2人とも落ち着いて今から説明しますから落ち着いて~!!!」
ムニュ!モミモミ・・・・。
…どさくさ紛れで八郎を後ろから押さえ込むフリをして鎧の隙間から手を差し込み胸を揉みしだくエロフ@キティー・ホーク…。
………この後の惨劇はご想像にお任せします………
「ごめんなさい…もう…シマセン…在る意味、悔いは無いですが反省します…だから…去勢は…去勢だけは…。」
仰向けのエロフ@キティー・ホークに跨りHPがREDゾーンに入るまで殴り続けた八郎、そして彼の股間を近くにあった廃材で何度も殴打したランエボ…、流石に生き返るとは云え、こんなモノを殺すのが最初の殺人ではアホらしいと思い直し、ギリギリのラインで手を止める。
そして、冷静になった八郎は泣きながらその場から走り去りゾーン端で小さくなって泣き出す。
「…あぁ~あ…お義姉ちゃんショックで凹んじゃったじゃない!どうしてくれるのよ?!このエロフ!!」
普段、平然と下ネタを云うような義姉のこんな姿は初めて見たであろう義妹はエロフの襟首を掴み絞め上げる・・・ヤバイ水域までHPが減っている事を自覚しているエロフ@キティー・ホークの口から苦し紛れなのか真意の掴めない言葉が出る…。
「料理の秘密を教えますし…専属の料理人になりますから…どうか…助けてください…生き返るって…判っていても…それに伴う…デメリットが…判らないんじゃ…怖くて…死にたくないです…。」
最後の『デメリットが判らないから死にたくない。』に反応したランエボは慌てて締め上げた手を緩め体力回復の<霊薬>をエロフ@キティー・ホークの口の中に捻り込む、ハットリバーでの身のこなしといい、料理の件といい、“死”に絡む事に対する認識といい、この男はただのおっぱい星人では無い事だけは判った。
ゾーンの隅でしめやかに泣く義姉を慰め説得し落ち着かせる義妹、端から見るとどちらが姉か判ったモノではない…、取敢えずなんとかショックから立ち直った八郎は泣きじゃくって腫れた眼で エロフ@キティー・ホークを見下ろす。
「あんた!本当に料理の秘密、私達に教えるの?」
「はい…。」
「で?私達の専属料理人になるって?」
「はい…。」
「料理の秘密はこれからゆっくり聞くとして!!あんた!他にも料理出来るんでしょうね?」
「それは、勿論…!ただ、現実世界と違って調味料が限られてますから、今の段階ではレパートリー少ないですが…。」
「そうか…まぁ、他にもアンタには聞きたいことがあるし!当面、私達に付き合ってもらうよ?」
「…数々の非礼がありますので、従います…ごめんなさい…。」
「よし!じゃぁアンタの呼び名は今日から“鎌吉”だ!!いいね? 」
「…それって『鳥八十』の“鎌吉”ですか??先生? 」
「お?判る?何?歴史小説好き?」
「そりゃ、“伊庭八郎”で“鎌吉”ったらそれしか無いじゃないですか? 」
「うん!!さっきのは水に流してやる!ありがたく思え鎌吉!!」
「ありがとうございます!!先生!!」
一人、話に付いていけないランエボを他所に、さっきの騒動は何処へやら…、何時の間にやら呼び名が決定したキティー・ホークは満更でもない様子である。
「ねぇねぇ…、私一人置いてけぼりなんですけど?何よ“鎌吉“と”先生”って??」
ぼっち状態で拗ねる義妹を鼻で笑い『池波正太郎先生の作品読め!』と云う義姉…。
「…先生?こっちの世界に存在するかも判らない作品を読めって云うのはランエボちゃんが可哀想ですよ?」
助け舟を出したつもりが返ってランエボの怒りを買い『馴れ馴れしく“ランエボ”って呼ぶな!!』と思いっきり脛に重い蹴りを喰らい、またアメリカの青い猫のように大空高く舞い上がる鎌吉。
それを指差してゲラゲラ笑う義姉妹、鎌吉の状態異常が解除されると2人は鎌吉を連れ“アクノス跡地”を後にナカスの街へと戻り船着場から“ノーコンの島”へと向かう。
「・・・あの~先生?ランエボちゃん?ノーコンの島なんかに行って何するんです?お2人ともあの島のモンスターくらい楽勝でしょ?」
なかば、強制連行気味に往復船へとぶち込まれた鎌吉が怪訝そうに2人に質問する。
「私達はあの島に遣り残した事がある!!これは鎌吉!!お前にしか出来ないであろうクエストだ!!」
「…僕にしか出来ない…?クエスト??お2人ですら達成出来ないクエストがあの島に在ったって云うんですか???」
「「そうだ!」」
なんだかノリが軍隊調になってきたが、鎌吉は『ゴクリッ』と喉を鳴らし真剣な眼差しだ、LV90…しかも、この異世界での戦闘にそれなりに順応していると思われる2人が達成出来なかったクエストをLV87の自分が達成出来るのか?そもそも初心者向けの狩場にそんな難易度の高いクエストが実装されたのか?色々と謎だらけで島が近づくに連れ、えも云えぬ不可解な不安感に襲われる鎌吉…。
「安心しろ!!鎌吉!このクエストは料理が出来るお前にしか出来ないクエストだ!!」
「へ?どういう事でしょう?」
イキナリ拍子抜けになる鎌吉なぞ、お構い無しに今度はランエボが話しを続ける。
「私達、義姉妹が達成出来なかったクエストはただ1つ!!!巨大カニを調理して蟹尽くしのフルコースを堪能する事よ!!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?????」
「“料理を作る事が出来る”原理はまだ聞いてないから判らないけど!巨大カニの調理くらい、あんたなら造作もないでしょ?鎌吉??」
これでもか!と云わんばかりの満面の笑みを浮かべる義姉妹…本気で巨大カニによる蟹尽くしを諦めてはいなかったようだ…、焼き魚1匹程度ではお腹は満たされなかったらしい…確かにモンスターとは云え、巨大カニはただのデカイ蟹だ。調理しようと思えば出来るだろう、少し考えて口を開く鎌吉。
「判りました、やってみましょう!でも今、手持ちの道具なんかで出来るのは焼くか茹でるかの2択ですが…よろしいですか?先生?ランエボちゃん?」
「蟹が食べれるなら、鎌吉!あんたに一任する!」
「私も~♪」
…蟹さえ食べられればそれで良いらしい義姉妹、倒せば消えて金貨に化けるモンスターを如何に調理するかを考える鎌吉、そうこうしている内にノーコンの島へ3人の乗船した船は到着する。
(レベル差在りすぎて、ほぼ一撃で倒せるモンスターを如何に調理するか…、そいぎんた~倒さず調理するか?)
鎌吉は鎌吉なりに答えを出したようで、船着場から離れた巨大カニの生息ゾーンギリギリの処に<ダザネックの魔法の鞄>から薪とドラム缶を取り出し、先ず砂浜に穴を掘り簡易釜戸を作り焚き火を始める、そして取り出したドラム缶に七分から八分ほどの海水を入れて戻り簡易釜戸に設置する、流石に冒険者の身体能力は高く普通の人間なら一人で持ち運びなど到底無理な重さのドラム缶を軽々と運べる。
ドラム缶の海水が一煮立ちした処で巨大カニの生息ゾーンに入り、手近な巨大カニに素手で軽く一撃喰らわせて戦闘不能状態にし、抱えてドラム缶を設置したゾーンに戻りドラム缶に巨大カニを丸ごと投入、そのまま暫く放置してそこらに落ちていた流木でお湯をゆっくり撹拌し頃合いを見計らって予め、傍に敷いた耐火耐水の大きな敷物の上に茹で上がった蟹を乗せ、全力疾走で波打ち際まで行き腕を冷やす。(これで済むのだから冒険者の身体はやはり頑丈だ…。)
暫く冷ましてから、先ず鎌吉が足を一本引き抜き殻をチョップで叩き割り身を引きずり出し一口食べる…、もう一口食べる…、その様子を傍で眺める義姉妹。
「ねぇ?大丈夫?鎌吉?」
少し不安になり食べられるか否かを尋ねる八郎…、口の中の身を食べ終わった鎌吉は義姉妹に向かってサムズアップ!
「大丈夫です!!美味です!!食べれます!!」
「「やったー!!!」」
浜辺に義姉妹の歓声が轟く!しかし、鎌吉は一旦2人にストップを掛け茹で上がった蟹を黙々と解体し、殻を叩き割り全ての食べられる部位を食べられる状態にまで小分けしてもう一度、義姉妹にサムズアップ!
「お待たせしました!料理と云える代物ではありませんがどうぞ召し上がれ。」
「「いただきます!!!」」
餓えた野獣の如く解体された茹で巨大カニに襲い掛かる義姉妹、一口食べてボロボロと涙を流しながら2人して鎌吉にサムズアップ!それに応え鎌吉もサムズアップ!3人の心が一体となった瞬間である!!
…こうして冒頭に戻る訳だが、目標を定め約1週間で当初の目標を全て達成した事になる、次なる目標『アキバの街に帰る為の仲間集め』果たして必要最低限のメンバーは揃うのか?そして何時になったらアキバに帰還出来るのか?そして、鎌吉ことエロフことキティー・ホークはこのまま、仲間になってくれるのか?そもそもコイツを仲間とカウントしているのか?凸凹(主に胸と身長が)義姉妹のこの先の運命や烏賊に…否!如何に!!!
次回予告
ども!皆さんお久し振りです!!元気いっぱい!朝右衛門=Yです!先輩たちは僕のこと、『朝ちゃん』って呼ぶんで皆さんもそう呼んでください!!え?サツキさん?自己紹介は要らないって?!そんな~、僕は前作から引きつづk…
パタッ…
ご無沙汰しておりますサツキです。次回は7.5話らしいですわ?7.5ってどういう事か?ん~?私は存じ上げません。
それでは皆さん次回をお楽しみにしていてください。(ペコリ)




