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三匹が!!!  作者: 佐竹三郎
~2章仲間集めをしよう!~
17/26

10話:ダンジョンの出入り口で出会いを求めるのは危険だろうか?その2

現在のペースだと月一がやっとです。

今回も平常運転で独自解釈が御座います。空いた時間を使って書いてるので前後の文脈がおかしな事になってそうなので後々修正入ります。


オヒョウ様作:『私家版 エルダー・テイルの歩き方 -ウェストランデ編-』より

http://trackback.syosetu.com/send/novel/ncode/493951/

設定をお借りしております。



毎度の事ながら一部キャラの不適切発言やキャラの事実誤認などがございます。オヒョウ様、表現などに問題やご指摘、在らぬ誤解御座いましたらご一報下さい。

<テンジンダンジョン>出入り口:W3b


 現実世界での福岡市中央区福岡パルコ付近、県道602号線と明治通りの交差する大通り前。


 ダンジョンから出てきた八郎達一行の目の前には大量の<冒険者>から成る人垣が出来ていた。

 彼らは異口同音に交差点中央に向けて罵声とも怒号とも雄叫びともつかない叫び声を挙げ殺気立っていた。


 その異様な光景を目の当たりにし、慌ててダンジョン出入り口へ戻り身を潜める八郎とランエボ、因みに両手両足を縛り上げられていた鎌吉は

<冒険者>達の叫び声に驚いた義姉妹がうっかり手を離してしまい『蒲田行進曲』の“池田屋階段落ち”もびっくりな勢いでダンジョンへと転がり落ちて行った…。


「何よ?これ?ホ○クスの優勝パレードってこの時期だっけ?」


 状況の掴めない八郎は素っ頓狂な事を口走るがランエボは呆れたように義姉のボケを丁重に拾う。


「…お義姉ちゃん、この時期だとペナントレース序盤じゃない?それと弧状列島ヤマト(こっち)にセ・リーグもパ・リーグも…ましてやプロ野球も無いから!」


「プロが無いならアマの草野球は在るの?」


「そもそも、“野球”自体ないから!」


 ボケ倒す義姉に悉くツッコミを入れるランエボ。

 

 余談ではあるが、神聖皇国ウェストランデにて口八丁手八丁でミナミを纏め、西へ行く人を慕い東へ~っと云う訳では無いが東へと遁走した“死霊術師ネクロマンサー”が約1ヵ月後ナゴヤ闘技場を舞台に<弧状列島ヤマト>有史以来初の野球試合を開催するとはこの時、夢にも思わなかっただろうし、その事を知るのはかなり先の話である。


「…冗談よ、でも!なんか穏やかじゃないわね。何事!?」


 ミニマップでも在れば全体を確認出来るのだが異世界転移…俗にいう<大災害>と呼ばれる日以降ミニマップが使用出来ない為、高所にでも登らないと何事か騒ぎが在っても全体を把握する事は難しい。


「パレードではないだろうけど、揉め事が起こってる?起こりそう?なのは確かかな?…お義姉ちゃん、鷲獅子グリフォン召喚して上から覗くってのはどう?」


「…ランエボぉ~!鷲獅子グリフォンなんて召喚したら悪目立ちするじゃない!?今ここに!隠れる意味が無いでしょ!?それにあんた!鷲獅子グリフォンの召喚笛が日本サーバーでどれだけ稀少だと思ってるの?馬鹿なの?阿呆なの?」


 義妹ランエボが半ばおふざけで云ってる事は分かっては居るがそれもで聞き流せずに苦情を申し立てる義姉(八郎)


「じゃあさっこんな時じゃなければ何時、鷲獅子グリフォンなんて召喚するのよ?」


「…云っとくけど、ノリで既にカビが生えて蜘蛛の巣も張ってるような、懐かしいフレーズは使わないからね!同業の先輩ではあるけど、会社違うし。」


 ちょっとなに云ってるのか分からない義姉妹のやり取りは放置したいのだが、こんな時に限って話の軌道修正要員“鎌吉”は傍に居ないので困ったものだ。



 ~交差点ほぼ中央~


 100人近く集まっているであろう冒険者達のど真ん中にポッカリと穴が空いたように空間が開いておりその中心には5人の冒険者と1人の冒険者が対峙していた…。


 1人は<NKS24鬼衆>のギルドタグを付けた。某ガンダムに出てくるの人間離れした武術“流派○方○敗”の遣い手のような紫の道着?に、これまた“流派東○不○”遣い手を師匠と崇める馬鹿で阿呆な弟子のような赤い鉢巻に赤いマント、腕組みした左右の腕には赤と黒左右色違いの篭手ガントレットという何とも残念極まりない出で立ちの人間ヒューマンの<武闘家モンク怒門 雷ZO(ドモン らいぞう)


 片やゲーム時代から<ナカスの街>の片隅、他所のタウンから流れて来た訳在りプレイヤーや<ナカスの街>の厄介者が集まりコミュニティーを形成した一角、通称“無法街”に居を構える生産系ギルド<侠刃>の戦闘班、道仁どうじん雪崩なだれ兎原華院トバルカイン拾壱子よいちこ迅華じんかの5人。


「おい!なんで貴様きさぁん達がここにるとやぁ?俺が呼んだんは、貴様きさぁん達の大将と“凶神マガツカミ”ぞ?話が違かろうが!」


 先に口撃を始めたのは雷ZOの方であるが、その云いようが癇に触ったらしく珍しい事に拾壱子が誰よりも先に反撃を始める。


「あらあら~??最初の話じゃ皮被りの皮余り“股関がマスクマン”!雷ZOさんと後ろに控えてる夜もソロプレイヤー!泣く子にまで無かった事にされる“御子息も引き籠もり”の戌威神いぬいがみさんのお二方とうちの親分ギルマス隊長バカボンの4人で待ち合わせじゃありませんでした?おっかしいなぁ~<NKS24鬼衆>の残り2人以外にも有象無象の素人童貞さん達が集まって…何?うちの親分ギルマス隊長バカボンの尻でもこの人数で掘るつもりだった?」


 下方面に罵声を紡ぎ相手をこき下ろす拾壱子の言動に道仁、雪崩は顔色を変えず仁王立ちのまま小刻みに身体を震わせ(雪崩に関してヘルムを被っているので顔色は分からない。)兎原華院は目に涙を貯め必死で口元を押さえ、迅華は顔を真っ赤にしてその場に座り込み両耳を塞いで「あ~あ~聞こえない」を連呼している。


 小馬鹿にされ下方面にこき下ろされた怒門雷ZOは怒りを押し殺し拾壱子を睨み付け、周りで人垣を形成している冒険者達は失笑するもの、憤慨して罵声を浴びせるもの、近くに居る冒険者とお互いの顔を見合わせ凹むモノ様々だ。


「…おいおい、ネェチャンなんを勘違いしとるとや?戌威神ガミ以外は俺らを心配して(・・・・・・)付いて来とったい。」


 顔を引き吊らせつつ平静を装い『俺達人望があるんだぜ?』アピールをする怒門だか、何処の誰が見聞きしても“(怒門)”の言い分は『嘘』で『その場しのぎ』も甚だしい言い訳にしか聞こえないだろうし、状況的にも『心配して』などというレベルでは無い。

 そんな怒門を指差し嘲笑する拾壱子。


「あ~♪ゲーム時代から『正義の味方』気取りで“無駄”にうっす~~~い人望は在ったからね~“Mr.股関がマスクマン”さんは~♪んでも生き返る世界ちぇかいなのにワザワザ心配ちんぱいしてあちゅまってくれるお友達思いが周りに沢山たくちゃんいて羨まちぃでちゅうね~♪だ・け・ど・~“御子息も引き籠もり”は<NKS24鬼衆>以外は敵だってSNSやら掲示板やらで公言してなかった?何考えてるか知らないけど、この手の工作はあんたら2人より、お姫様と騎士ナイト様のお家芸よね?いい加減、皮の中に閉じこもって無いで薄汚い本性かお出したら?…って皮に擦れただけで1R終了かぁ~♪いや失敬♪失敬♪」


挿絵(By みてみん)

青・・・<侠刃>戦闘班

赤●・・・怒門 雷ZO(ドモン らいぞう)

赤1・・・ギルド<Dirlewangerディルレヴァンガー>他

赤2・・・ギルド<ファンタスティックブルータスいちばん>他

赤3・・・ギルド<麒麟DEATH>他

赤4・・・ギルド<青空隊>他

赤5・・・ギルド<NKS24鬼衆><九尾ナインテイル骸骨スケルトン>他

赤6・・・ギルド<外角低め(アウト・ロー)>他

赤7・・・ギルド<烏枢沙摩ウスサマ>他

赤8・・・ギルド<龍狩り団>他

緑★・・・伊庭八郎、エボリューション義姉妹



 …とことん下にこき下ろす…、とうとう我慢出来なくなった道仁どうじん雪崩なだれ兎原華院トバルカインの3人は“股関がマス…もとい雷ZOを指差し大笑いしながらその場に崩れ落ち、人垣を形成している冒険者達の中でも堪えきれず下を向いてその場で打ち震える者、目で合図を送りつつコソコソ笑う者…一部を除いて拾壱子が連呼するキーワードに反応して笑い出す…この手の下ネタ発言で笑える処が男と云う生き物が『幾つになっても子供』と云われる所以だろう…。

 だが名指しでこき下ろされる者は笑ってはくれない、奥に控えていたもう一人の名指しでこき下ろされた男、某異世界国盗り漫画の主役のような出で立ちの…強いて云うならカラーリング違い(某首置いてけは『朱』だが此方は『青黒い』)狼牙族の<武士サムライ>“御子息も引き籠もり”…戌威神いぬいがみが無言で目の前の冒険者達を斬り伏せながら中央へと歩を進める。


 その兇状に慌てて『モーゼの十戒』の如く人垣が彼を避けるように裂け中央、6人の居る場所まで道が出来る。そんな事は気にも留めず雷ZOの傍らまで歩を進めると雷ZOの襟首を掴み後ろへ引き倒し大喝する。


貴様きさん!雷ZO!こげまで云われてなん黙っとうとや!<侠刃こいつら>ん大将とあのキチガイ神祇官カンナギらん時点で俺んらの作戦は破綻しとんやぞ?この腐れ○○と残りを終まやかして“無法街”のゴミ屑どもの見せしめにしゃーよかろうが!」


 後方へと引き倒されみっともない姿で地を舐める雷ZOは周りを気にしつつ何事も無かったように立ち上がり戌威神いぬいがみに噛み付く。


戌威神ガミ貴様きさぁんは沸点が低きぃーったい!何ば“仲間”ば攻撃しようとや!これから、こん小癪らしいずんだれ女ば終まやかして二度と人ん舐めた口聞けんごと…ブベッ!!」


 雷ZOが最後まで云い終わる前に彼の喉笛に“ハートの2”のカードが刺さる。


「おい!こら方言丸出しの田舎者いなかもん!<侠刃うち>の大切なお嬢さん(レイディー)に何をするって?事と次第によっちゃぁお前さん…泣かすぜ?」


 白のレザーハットに白レザー三つ揃えスーツに褐色肌、口元にはダンディーな髭を蓄えた気障キザな男<盗剣士スワッシュバックラー兎原華院トバルカインがこれまた気障な格好ポーズを決め怒門 雷ZO(ドモン らいぞう)に睨みを利かせる。

 喉笛にカードが刺さりマーキングされた雷ZOは突然の事で喉を押さえ呻き声とも付かない言葉を発している、恐らく罵声だろう。そんな彼に二撃を飛ばそうと構えた兎原華院に特技<一騎駆け>で間合いを詰めようと向かってくる戌威神の眼前を竜鱗を纏った大男が立ちはだかる。


「おはん、ゲームの頃と変わらんな。」


 口数少なく雪崩は<一騎駆け>で前傾姿勢になっている戌威神の首筋に大上段から“蛮刀”[虎殺し]の柄を叩きつけ彼を地面に撃墜する。


「ガッ…グゲ…(ラ…<百舌の早贄ラニアス・キャプチャー>か…)?!」


 勢い良く顎辺りから地面に叩きつけられ『言葉』すらまとも発する事も出来ない戌威神の云う通り(?)雪崩は変則的に<百舌の早贄ラニアス・キャプチャー>を発動していた為に戌威神は『言葉』を発する事が出来ない。

 僅かな時間での出来事に<侠刃>戦闘班以外のその場に居た冒険者達は一瞬何が目の前で起こったのか理解が追い付かなかった。

 


 ここで少しゲーム時代と、所謂いわゆる<大災害>後の“無法街”(<侠刃>など)や<NKS24鬼衆>を中心に集まっているであろう九州及び山口県在住ないし出身で<ナカス>を本拠地に活動する冒険者について触れておこう。


 “無法街”とは、現実対応では“中洲”に当たる場所で何時の頃からか、日本サーバーの訳ありプレイヤーが集まりいつの間にか“そう”呼ばれるようになったが、別に無法者が無法の限りを尽くしている訳ではない。

 訳ありと云っても、他のプレイヤーが見向きもしないビルドを極めてギルドなどからお呼びも掛からないキワモノプレイヤー。

 所属ギルドの主要メンバーと折り合いが合わず、ギルドから摘み出されたり、出て行くように仕向けられたプレイヤー。

 不人気サブ職やニッチなサブ職を極めた職人気質で偏屈で大多数を占めるマジョリティーに迎合出来なかったボッチプレイヤー。

 他人が受け入れ難いロールプレイをむねとしそのプレイスタイルを崩さなかったが為に迫害を受けいつの間にか居着いたプレイヤー。

 男女関係クラッシャーで方々に敵を作って最終的に住み着いたはた迷惑なプレイヤーなどなど。

 そんな一癖も二癖もあるプレイヤーがコミュニティーを形成したものだから“自称”一般プレイヤーには近付き難い場所となり気が付けば“無法街”などと揶揄されるようになったようだ。

 その“無法街”で一際異彩を放ち、街の“顔役”として一部で有名なのが<武士><神祇官>専用装備や和装をメインで取り扱う生産系ギルド<侠刃>である。構成メンバー30人と中小ギルドでは在るが取り扱うアイテムは和装好きやメイン職が<武士><神祇官>のプレイヤーからすれば垂涎のレアアイテムばかり。しかし、ギルマスを筆頭に偏屈者の集まりで“気に入った客”にしか売らないという困った連中で更に“気に入らない客”を追い出したり素材やレシピを集める為に結成された“戦闘班”がこれまた曲者揃い。

 大規模戦闘レイドからPVPまでこなす戦闘特化集団で、ナカスや他の本拠地タウン、果ては海外サーバーのプレイヤーと諍いの絶えない連中である。


 後に<大災害>と呼ばれる異世界転移で“無法街”の住人達、<侠刃>は30人揃ってログイン。他プレイヤーも疎らではあるが矢張りログインしており“無法街”だけでも<侠刃>を含め約50人程が<大災害>に巻き込まれて居る。

 <侠刃>戦闘班宜しく、この世界の戦闘に順応しようとナカスを飛び出し“武”に磨きを掛ける者。この世界を知る為に積極的に“NPC”大地人とコンタクトを取る者。“何が出来て”“何が出来ないか”を研究する者。取り敢えず、置かれた状況で腐る事も取り乱す事も無く“己自身”を通す事を最優先している辺り、どこかの螺子が飛んでいるのかもしれない。



 片や<NKS24鬼衆>などの地元民を中心に形成されたギルド…っというより<NKS24鬼衆>やその周辺について語らねば成るまい。


 <NKS24鬼衆>…何処ぞの直ぐに会いに行けるアイドルグループと黒田家家臣団を足してアレンジしたようなギルド名の集団はナカスでは良くも悪くも“一部”では有名なギルドである。

 結成は2014年辺り9番目の拡張パック<サンドリヨンの遺産>が実装された頃、丁度大河ドラマでのブームに乗っかった形で命名された。“自称”初心者に向けてマナー啓蒙活動及びサポートをメイン活動とするよろずギルドで当時はギルド名が現すように24名で結成されたのだが人間関係のイザコザで結成当時のメンバーはギルマスの怒門雷ZO、<盗剣士>ちゃん・鈴木、<妖術師>黛琉マユルだけしか残って居ない。


 ゲーム時代は自称するように『初心者に向けてマナー啓蒙活動及びサポート』を主としていたがこれが良くも悪くも“一部”では有名になった理由の1つである。“何故?!”良くも悪くもなのか?それは『望まない者への強引なお座り(パワー・レべリング)』が問題視され事とその見返りに<EXPポット>を要求したのが主な原因で数度初心者とトラブルを起こしたからである。

 事例としては短期間での強引なパワレベの為にレベルに対しての<特技>習熟度が釣り合わなくなる事や、ドロップアイテムや金貨の分配がなされずレベルに対しての所持金不足、そこから発生する装備品とレベルとの隔たり、レベルに対して釣り合わない戦闘などの経験不足で泣く泣くキャラデリをせざるを得なかったなどの弊害。(<EXPポット>を見返りに要求していたのは彼らが拡張パックでレベル上限が上がった時の早期レベル上げの為の備蓄が目的。)

 『初心者に向けてマナー啓蒙活動』などという割りに彼ら独自のマイルールの押し付けなどもあり、一部では好評で?彼らを慕うプレイヤーも居るのだが、押し付けれらたマイルールに不信感を募らせ敬遠する者も少なくなかった。


 ギルマスの怒門雷ZOは所謂いわゆる『兄貴肌』で慕う者も少なく無いが、我儘で気分屋で姫様気質な黛琉マユルの言動と咎めない、ギルド外の者や初心者を不必要に見下す言動が目立ち、騎士ナイト気取りで黛琉マユルを擁護するちゃん・鈴木を咎めない、実生活でも親交のあるプレイヤーを贔屓するなど身内には甘過ぎる(・・・・・・・・・・)点が有り、本人は否定するが彼と反目しているプレイヤーや彼の人となりに触れ違和感を感じる者からは『兄貴肌な俺』を演じているロールプレイヤー。正義の味方被れ。などと罵詈雑言を浴びせられている。

  <侠刃>とはアイテム購入で一悶着在り、それ以来一方的に<NKS24鬼衆>やそのシンパが敵視している。(尚、敵視されている<侠刃>の方は歯牙にも掛けていない。)


 そして実生活でも怒門雷ZOと親交のある戌威神、彼は感情の浮き沈みが激しく機嫌の良い時はフレンドリーなキャラクターなのだが一度落ち込むと戦闘行為禁止区域の場所も問わなければ面識の有る無しもお構いなしにPKプレイヤーキルを働く事から<ナカス>では“殺刃鬼さつじんき”と呼ばれ忌み嫌われているサブ職<百人斬り>の<武士サムライ>である。(<NKS24鬼衆>の面々とは交流が有るがギルドには未加入。)



 <大災害>後は九州及び、山口県出身者に呼びかけコソコソと糾合し水面下で何事かを画策しているようであるが、“無法街”の住人達の様に良くも悪くも建設的な動きは見せておらず。もっぱら低~中レベルプレイヤーを『飴と鞭』で動かしその日暮らしをしているようである。

 現在、<NKS24鬼衆>に賛同して行動を共にするギルドは<九尾ナインテイル・骸骨スケルトン><外角低め(アウト・ロー)><青空隊><F・B・I><麒麟DEATH><龍狩り団><烏枢沙摩ウスサマ><Dirlewangerディルレヴァンガー>の8ギルドと怒門と親交のあるソロプレイヤー総勢70余名



 一瞬の攻防で地を舐めさせられ怒り心頭の戌威神や、やっと事態を飲み込み殺気立つ<NKS24鬼衆>を始めとする面々。

 散々、拾壱子にこき下ろされ油断していたとは言え喉元に投擲武器を叩き込まれ怒りのリミッターは既に解除された怒門雷ZOがこの場での<侠刃>リーダー格:道仁を睨みながら右手を高々と挙げ叫ぶ。


ちゃんマユお嬢!もう小細工は無しや!この数でコイツラなぶり殺しにして“無法街”の入口に図他袋にでも入れて晒し者にして勢いで奴ら殲滅すんぞ!」


 雷ZOの台詞に続いて地鳴りのような怒号が飛び交う。


「キッキッキ、始めっからそう云えよ英雄ヒーロー被れ!おい!テメェら!<大災害(こうなって)>初の対人戦だ!相手のレベルなんて気にするな!<侠刃うち>の怖さ思い出させてやれ!」


 雷ZOの台詞を嘲笑うかのように怒号を発し戦闘体制をとる、道仁以下<侠刃>戦闘班一同。


 約70数人vs.5人の戦闘の火蓋が今落とされる。


 ~パルコ屋上 ~


 オペラグラスで下の状況を観る、ランエボと鎌吉。そして、1人その手の望遠レンズを遣わず下の状況をニヤニヤと眺める八郎。


「お義姉ちゃん![妖精軟膏フェアリー・パーム]みたいな便利な物を持ってるんだから、私達にも貸してよ!」


「そうですよ![妖精軟膏フェアリー・パーム]なんて便利な物を持ってるなら貸してくれたって…。」


「あのね、“タダほど高い物は無い!”っていうでしょ?私だって楽して手に入れた訳じゃない希少品をホイホイ貸せるか!自分達の怠慢を恨め!」


 不服を申し立てる義妹と子分の申し立てを軽く一蹴する八郎。ダンジョン出入口で出会した冒険者のむれが何故集まっているのかが気になり、ダンジョンに落下していった。(正しくは落としてしまった。)鎌吉を義姉妹で回収に行き、彼が持つ召喚アイテム[煙羅煙羅の煙管]で<煙羅煙羅>を召喚しパルコ屋上まで移動し、事の成り行きを傍観していた。


「ねぇ、鎌吉くん?囲まれてる5人って<侠刃>戦闘班さんだよね?」


「あ~、間違い無いですね。莫迦の<狂剣>が見当たりませんが<侠刃>戦闘班ですね。」


「?囲まれてる連中ってアンタらの知り合い?」


 ランエボと鎌吉は囲まれてる5人とは面識があるらしいが全く面識も情報も無い八郎は怪訝な顔をして2人に訪ねる。


「うん、シドさんの従者契約クエストで一緒に北欧と西欧サーバー回った事あるから私は面識あるよ?」


「僕は<侠刃あそこ>の戦闘隊長とはちょっとあるので一応、あそこの男性陣とはゲーム内での面識はありますよ。」


 ランエボはヴィシャスが音頭を取って攻略した海外サーバーでの従者契約クエスト<不死王ノーライフキングの挙兵>で一緒に攻略に参加した仲であり、義盛か他の3人娘との付き合いでゲーム時代からそれなりに親しい間柄でもある。

 鎌吉の方は不在の<侠刃>戦闘隊長と何やら因縁浅からぬ仲のようだ。

(へぇ~大介さんがクエストの助っ人頼むって事は、・・は確かみたいだねぇ~。ランエボが“さん”付けで呼ぶ辺り中身・・・はまともそうだね、でも…。)

 如何せん、戦力差が10倍以上、中レベルモンスターの相手ならなんとかなるかも知れないが相手は曲がりなりにも冒険者の集団である、まともに(・・・・)に衝突すれば<侠刃>戦闘班に勝ち目は無い。


「ねぇランエボ、鎌吉?あんたらは<侠刃>戦闘班ってトコが勝てると思う?」


 このメンバーで<エルダー・テイル>プレイ歴のもっとも長く『アキバ五大戦闘系ギルド』の一角に所属していた八郎の中では結論は決しているのだが…、<侠刃>戦闘班の実力を測りかねている為、その実力を知っているであろう2人に質問する。


「…ん~…単純に数で考えれば、“無理”に決まってるよ?でもね?<侠刃>戦闘班さんがゲームの頃と変わらないんだったらぁ~もしかして、もしかするかも?…でも肝心なバンドウくん居ないみたいだし…どうだろう??」


 ランエボの回答は曖昧だ…、そして鎌吉は八郎の質問に答えず、一点集中でオペラグラス越しに或る人物を見つめる…。


「…デカイ…!先生よりデカイぞ!」


「「は?」」


 鎌吉の発言に唖然とする2人…。


「鎌吉!あんた何処観てんのよ?」


 呆れた八郎が分かりきった質問をする。


「先生!オッパイに決まってるじゃないですか!観て下さいよ!あのオネェさん!!」


「?あの水着に毛が生えたような布面積の少ない巫女装束のエルフの娘?アレだったら私の方が若干大きくない?」


 …そこ、話題に乗っかる処か?呆れつつ拾壱子の胸をマジマジと見てみるがやはり八郎の云う通り2サイズばかり八郎の方が大きいようだが、鎌吉から意外な答えが…。


「何を云ってるんですか!エルフのお姉さんはDカップ!先生の方が大きいです!!僕の云ってるのは金髪で狐尾族のオネェさん!!あれは正しk…ギャッ!!」


 鎌吉が最後まで云い終わる前に彼の眉間に1本の矢が突き刺さりそのまま後ろに倒れる…義姉妹はただ呆然と目の前で倒れる鎌吉を見つめるだけだった…。


 なんの前触れも無くいきなりパルコ屋上方面に矢を放つ拾壱子に<侠刃>戦闘班が驚く。


「おい…イチコ?いきなりどうした?伏兵でも見えたか?」


 余りに急な行動に道仁が質問すると予想だにしなかった答えが返って来た。


「いんやぁ~私の姦…いやいや、“感”が確かなら…あの辺りで華ちゃんのオッパイを!!私のオッパイ無視してガン観していた奴がいた!!否!居る!!」


「「「「は?」」」」


「は?っじゃ無いわよ!!私のこのオッパイ無視して華ちゃんの潰れ巨乳ガン観してたのよ?大問題じゃない!!」


「いっちゃん…馬鹿やないと?」

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