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三匹が!!!  作者: 佐竹三郎
~2章仲間集めをしよう!~
16/26

9話:ダンジョンの出入り口で出会いを求めるのは危険だろうか?その1

…かなり久し振りに本編再開です。纏まった執筆時間が取れず、時々のノリ任せで書いている部分が多々在りまして…話の整合性が何時も以上にオカシイのは仕様と思っていただけると幸い。(堂々と言い訳!)

そして例の如く…。


読んでるだけの人様作:『ある毒使いの死』より設定などをお借りしております。http://trackback.syosetu.com/send/novel/ncode/533931/


或未品様作:『続・取扱説明書 製品名:ユストゥス・ブラウファル【危険物指定】』より設定などをお借りしております。

http://trackback.syosetu.com/send/novel/ncode/581301/


緒方 征羅様作:『黒剣騎士団の主婦盗剣士』より設定などをお借りしております。

http://trackback.syosetu.com/send/novel/ncode/569756/


毎度の事ながら一部キャラの不適切発言やキャラの事実誤認などがございます。或未品様、読んでるだけの人様、緒方 征羅様、表現などに問題やご指摘、在らぬ誤解御座いましたらご一報下さい。

 <テンジン地下ダンジョン>


 現実世界での天神地下街及び福岡市内地下鉄や博多駅地下街がソレに該当する。


 アキバの街、<アキバ下水道>やミナミの街、<ウメシンダンジョン>と違い単純明快で複雑な造りでは無いが中~高レベルのモンスターやクエストのボスクラスのモンスターが徘徊する玄人向けのダンジョンだ。

 

 そのほぼ中心部の<セーフティーゾーン>に当たる玄室の片隅で真紅の長い髪を結い上げた真紅の着流しに打刀を閂差しにした女<武士サムライ>が携帯電話で通話でもしてるかのように耳に手を当て一人会話をしていた。

 


『義盛?あんたの言い分は正しいよ?但し、それは“ゲームだった頃(・・・・・・・・)”の話だ。アイザックの阿呆が<ハーメンルン(笛吹男)>から<EXPポット>を購入してギルド全体のレベルUPを図ってるのは“最低限、自分の目の届く範囲の仲間”を守る為さ、やり方が不細工だけどね…。』


『…八姐!だったら!仲間を守る為なら!弱い人達を踏みにじるような事してもいいの?弱者を虐げている奴らと取引するって事は、ソイツらと同じ事してるって事でしょ?』


『だね、確かにそうだ。けど、幸か不幸かそれを咎める“法”がこの世界には無い…私ら“冒険者”って呼ばれるこの世界では規格外の存在にはね。だから“自由”と“無法”を履き違えたアンポンタンが横行する…じゃあどうするよ?あんたみたいに一時の激情任せでアイザックぶっ殺す?例えそれが成功したって、<黒剣騎士団>はあんたと意見を同じくする連中とアイザックに付き従う連中でギルドが割れてギルド内で“殺し合い”だろうね。それがあんたの中で最良の答えかい?』


『…う~…。』


『やっぱり其処まで考えて無かったか…。こんなゲームに酷似した異世界にイキナリ放り込まれて“平常心”保てなくて“平常運転”で頭が回らないってのは皆そうだとは思うけどさぁ…、ちょっと考えようよ。』


『…う~…。』


『あんたがどう思ってるのか知らないけど、エンクルマは義盛あんたに手を上げた事で凹んでるし、ヴィシャスやレザリックやキリーちゃん達も皆あんたの事を心配してるんだよ?それに、他の3人まで巻き込んで<黒剣ギルド脱退ぬけたらしいけど、後の事をちゃんと考えてんの?』


『…う~…。』


『…さっきから「う~う~」ってあんたは糞詰まりのブルドックか何かか?今のあんたよりもアイザックの方がよっぽど考えて動いてるよ?』


『いくら八姐でも云って良い事と悪い事がある!私があの馬鹿ゴリラより考えt…。』


『義盛!ゴリラに失礼でしょ!ゴリラはあんな厳つい容姿だけど物凄く繊細な生き物なのよ?アイザックをゴリラと同一視するなんて!ゴリラに失礼よ!ゴリラに失礼よ!大事な事だから2度でも3度でも云うよ?元の世界に戻れたら動物園に行ってゴリラに謝罪しなさい!』


 云ってる事は正しいが微妙に失礼である。(ゴリラに失礼なのかアイザックに失礼なのかは各人のご判断で…。)


『…ごめんなさい…って云うかなんでそんなにゴリラ推しなの??…じゃあ“DIY”にしとく。』


『?何?日曜大工って事?』


『違うよ八姐~“D”デンジャラス“I”良い歳“Y”ヤンキーの略だよ。』


『それ、言い得て妙過ぎて笑えない。…っと話は脱線したけど、アイザックのやり方が気に入らないのなら、あんたも行動起こしな!腐って塞ぎ込んでたって何も変わりゃしないよ?状況を変えたいなら先ずは自分が先陣切って動きなよ、あんたの周りにゃあんたを支えてくれる娘達が居るんだ!協力してアキバに“秩序”を作るも良し、PKや低レベルプレイヤー食い物にしてる奴らを狩るも良し、アイザック達の邪魔するも良し、あんたが“正しい”って思う事をやりなよ。どんな形であれ結果出すまではもう私にもランエボにも念話禁止!OK?』


『…。』


『よ・し・も・り・?御返事は?YESorNO?』


『…いえす!まむ!』


『返事まで妙に間があったけど…、良しとしておいてあげよう!じゃっ!』


 一方的に念話を切った八郎の眉間には皺がより、苦虫でも噛み潰したかのような渋い顔になっていた。

 義盛には悪いと思うが八郎からすれば、彼女の考え方は『甘い』の一言である。例え右も左も分からないゲームと酷似した異世界に飛ばされて色々混乱しているとはいえ“思考”を停止させてなすがまま、されるがままに<ハーメルン>のような小賢しいギルドの甘い言葉に騙されて搾取されている初心者達にも問題は無いか?っと考える八郎。確かにこの異世界には自分を含めた冒険者を縛る“法”は存在しない。精々、戦闘禁止区域での戦闘行為に対して“衛兵”が捕縛もしくは殺害に現れる程度で、それすら“法”と云うのもはばかられる。


 八郎が問題視しているのはよほど特殊な環境に置かれた生い立ちでもない限り万国共通で『知らない人に付いて行ってはいけません。』『知らない人の甘い言葉に騙されるな。』っと元の世界では大抵幼い時から、両親や学校の教員などから教わって居る筈だ。例え異世界に転移しようがその教えに間違いはないだろう。

 だからと云って、<ハーメルン>の肩を持つ気も無ければ、騙された初心者達が全面的に悪い、レベルが低い事や『力』が弱い事を責めようという訳では無い、もし八郎が<ハーメルン>に搾取されている初心者達を責めるとするなら“何故?皆で協力して逃げる事を考えないのか?”である。例えレベル差があろうともやり方次第、考え方次第ではなんとでもなる…<大災害>直後の自分達の狼狽振りと年齢的経験値の差を棚に上げているが、要は『八郎が現在のアキバに居たのならば<ハーメルン(笛吹男)>を引っ掻き回して、ホイホイ付いて行った初心者達にお説教をしたい。』だけなのである。


 …<大災害>以降、刺激が少ない所為か?彼女(八郎)の傍迷惑極まりない悪癖が疼いているのだ…『三つ子の魂百まで』を正に地で行っている、ストッパー役(旦那様)が居ないモノだから余計にだろう。

 色々と『自分が現在アキバに居たらどうしてくれようか?』っと悪知恵を巡らせていると『念話』が入って来た。今度はヴィシャスからだ。


『よう、お嬢そっち(ナカス)はどうだ?なんか変わった事あったか?』


 いつも通り飄々としたモノ云いのヴィシャス、それがお気に召さないのか不機嫌を隠そうともしない八郎は恨みがましい口調を答える。


『…だ・い・す・け・さ・ん!そっちは何だが面白不愉快な事態発生みたいだね?ね?』


 この台詞に半ば呆れた調子で返答するヴィシャス。


『お嬢…、また悪い癖が出てやがるな?おめぇさん…。面白くは無えが、確かに不愉快だな…。俺とエンク含めて<EXPポット>使う事は拒否してるが脱退ぬけないヤツも居れば、義盛嬢ちゃん達みたいに脱退ぬけた連中も居る…。さっきも朝坊とエンクが<銀剣>と<ハーメルン>潰すって殴り込み掛けようとしてキリー女史にしばかれてたんだぜ?』


『あらあら、キリーちゃんも大変だ…、??処で<ハーメルン>を潰すは分かるけど<銀剣>って?何処よ?それ?っでなんか<ハーメルン>と関係あんの?』


 ヴィシャスの口から出たギルド名であろう<銀剣>という単語に聞き覚えの無い八郎は頭に『?』マークを立てて小首を傾げる。

 それを察したであろうヴィシャスは暫く話の順序を考えてるのであろうかブツブツと独り言を始める。


 暫くしてヴィシャスが話し始める。


『<銀剣>…正しくは<シルバーソード>、お嬢も知ってる“狐将軍”エルヴィンが立ち上げた新進気鋭の戦闘系ギルドなんだが…。』


『?“狐将軍”?<シルバーソード>?イヤイヤ!待ってよ!大介さん?私が知ってる“狐将軍”がギルマスのギルド名って<エルヴィンと愉快な仲間たち>だか<エル×ダッを推す会>だったか…兎に角コロコロ名前変えてた気がするんだけど??』


 イマイチと云うべきか何となくと云うべきか…内容が理解出来ない把握出来ない八郎は念話でもありありと分かる困惑状態だ。


『話は最後まで聞け!あと、確かにあそこはコロコロ名前が変わっちゃいたがサツキの嬢ちゃんや朝坊が歓びそうなギルド名は名乗って無い筈だぞ?…まぁ其処はどうでもいいが…。』


『どうでもいいの?!』


『…一々ツッコむな!話が進まん!兎に角だ!お嬢が引退した後だ、“狐将軍”がギルド名を<シルバーソード>に改名して、“ミスリルアイズ”の二つ名持ちウィリアム=マサチューセッツって小僧にギルマスの座を譲り渡して“教官組”なんてモンに納まっちまった…その頃だったか?“道化師トリックスター”がフリーになったのは?』


『…大介さん、そういう他のギルドの内情(余所の話)は相変わらずしっかりチェック入れて無いって云うか、疎いと云うか…。まっ、何となくは掴めた!っで?その一周回って頭悪そうな名前の坊やがギルマスになってる『現在』の<銀剣>さんも<黒剣騎士団>と穴兄弟(ハーメルンの顧客)な訳だ…。』


『一々一言多いわ、品の無ぇ言い回しだわ…本当に清々しいくれぇ昔のまんまだな!お嬢は…、そのなんだ…、<銀剣>に関してはまぁ、そういうこった。』


 <エルダー・テイル>が切欠で始まった八郎の交友関係でもっとも付き合いの長いヴィシャスは少々投げやりに返答する。


『で?なんで脱退ぬけた朝ちゃんと居座ってる(在籍組の)エンクルマがコンビ組んで穴兄弟(ハーメルンの顧客)の<銀剣>さんと<ハーメルン>に喧嘩売りに行ったのよ?朝ちゃんは分かるよ?でもエンクルマは…』


『其処は今から説明する!朝坊は<銀剣>の小僧と年が近いのと同じ<暗殺者アサシン>って事もあって一方的に敵視してんだよ…っんで、大義名分(喧嘩売る理由)が出来たからタイマン勝負挑みに行こうとした。…エンクの方は誰から聞いたのか<EXPポット>入手経路なんかの“仕組み(・・・)”を知っちまって、大工カーペンターに<EXPポット>を<ハーメルン>から購入するのを止めるように直談判したんだが……ふぅ、あのクソ大工カーペンター!エンクの性格知ってやがるクセに、“<シルバーソード>も同じ事やってやがるんだから、ウィリアムの小僧に腕ずくでも云う事聞かせて(取引を)止めさせられたら俺も止めてやる。”…なんて云いやがるもんだからエンクの野郎…真に受けて“フル装備(レイド仕様)”に“隈取り”までして<銀剣>に直談判しようとした訳だ…、そんで利害一致のエンクと朝坊が喧嘩売りに<銀剣>が“縄張りにしてる狩場”へ向かったんだがよう…分かるだろう?あの“行動の分かり易いコンビ”が動いてキリー女史が気が付かねぇ訳がねぇ…不意打ちで“毒”喰らって2人とも強制送還…正座させられてミッチリ説教された訳だ!あと、云わねぇでもお嬢も分かってるだろうがエンクの野郎は一度“仲間(身内)”って認識した相手にゃ甘い、ましてや女、子供に手を上げるなんて先ずやらねぇ…義盛嬢ちゃんの件は例外中の例外だぁ…。』 


 後半は何処か寂しげに語るヴィシャス。

 

 ヴィシャスの云うとおり、エンクルマは仲間思いで義侠心の強い男だ、そんなエンクルマが可愛いがっていた後輩に手を上げざるを得なかった…彼の苦悩は如何ばかりだろう…。


『…なんかゴメン…茶化して良い話題じゃないやね…。』


 何時になく、しおらしい八郎は言葉少なげに呟く。


『莫迦!謝るなよ…、こんなもんは些末なもんだ…、おめぇさんはクニヒコくんのお連れさん“対人家”のユウさんを憶えてるか?』


『忘れる訳無いでしょ!私が引退する前、最期に“PVP”った相手だよ?何かあったの?』


『詳しい理由は知らんがアキバ周辺で<ハーメルン>やPK…果ては<D.D.D>の一部を相手に“切り裂きジャックジャック・ザ・リッパー”も真っ青な殺戮繰り返して、<黒剣騎士団うち>から派遣された討伐部隊に追い立てられてアキバから消えた…。』


『はぁ?何?それ?』


『…大工カーペンターの野郎、討伐部隊の頭に誰を据えたと思うお嬢?』


『…その口振りからして…、クニヒコさんぶつけたんでしょ?あの馬鹿アイザック!何やらせてんのよ!何よ!みんなして!なんでそんな馬鹿げた事に血眼になってんのよ!』


 込み上げてくる得も云えぬドス黒い憤怒の感情をそのまま言葉にして吐き捨てる八郎…、自分が引退する前…<エルダー・テイル>がまだ、ただのMMORPGで今現在のように夢ともうつつとも付かない異世界じみた世界としてプレイヤーたる<冒険者>達に牙を剥く遥か以前、その頃では決して在り得なかった古巣<黒剣騎士団>の醜聞と可愛がっていた後輩達の内部紛争じみた脱退劇。


 八郎の中での皆で馬鹿騒ぎして悪戯して泣いて笑って同じ戦場を駆け抜けてきた大切な思い出をぶち壊されたような気分になり八つ当たりで目の前の壁に拳を叩きつける。


『お嬢が怒る気持ちは分かるがよう…こんな異常な事態で正気と道理を保てる方がそれこそ“異常”なんじゃ無ぇのか?行動の浄不浄はどうであれ、動き出した奴らは兎に角、捨て鉢だろうが何だろうが必死なんだよ…、人によっちゃぁ悲観してうずくまって思考も何もかも止めて生きたしかばねになってる奴らも居る…“誰かが動いて現状を変えてくれる”なんて他力本願な奴らも居る…そうやって立ち止まってる奴等よりは泥水啜ってでも例え道理に反して悪名轟かせようとも、手前てめぇの視界の中に入る仲間だけでも守ろうって思いで動いてる大工カーペンターの方が幾分かマシ(・・)なんじゃねぇか?』


 淡々とした口調で己自身にも言い聞かせるが如く言葉を発するヴィシャス、購い様の無いこの事態をひっくり返す術を見出せずヴィシャス自身も得も云えぬドス黒い憤怒の感情を持て余しているのだ…だがそれを暴発させないのが彼の彼たる所以でもある。

 それを察したであろう八郎もそれ以上は怒りをぶちまけるような発言は飲み込んだ。

 

『…あの馬鹿(アイザック)も酷な事をやれせるねぇ…、否?見通しが甘いって方が正しいかな?この場合…。ユウさんこっち(・・・)での対人戦闘に慣れきってるんでしょ?大介さんの云い様からして<黒剣騎士団うち>の被害も結構なものなんじゃないの?』


 ユウとはゲーム時代に一度手合わせをしている事と、異世界と化した<エルダーテイル>での自身の戦闘経験からアイザックが討伐部隊に何人割いたかは分からないまでも対人戦闘を得意とするユウを追い詰めるのにソレ相応の代償を払っている(犠牲者を出している)はずだ…。


『ご名答…、4人大神殿送り(死亡)、クニヒコくんとゴランは瀕死…軽傷で済んでるのは討伐に出張でばったメンツじゃエド1人だ、しかも大神殿送り(死亡)にされた4人はかなりエゲツナイられ方したみたいでPTSD…心的外傷後ストレス障害ってヤツか?でありゃしばらく使いモンにならん…。キリー女史がその事でキレてなだめるのにどれだけ大変だったか…。』


 念話越しでも分かるくらい後半は盛大な溜息交じりだった事から察するに仲間を大神殿送り(死亡)にされて怒り狂うキリーの姿が容易に想像出来、同じく盛大な溜息を吐く八郎。


『そっか…、そんな状況じゃそっちはみんな“自分の事で”いっぱいいっぱいか…まぁ、こっちも大なり小なり異差はあるけど同じだしねぇ…私がそっちに現在いま居た処で状況が変わる訳でも無し、いい加減な事しか云えないけど!大介さんせめて親しい連中だけでもフォローして上げて…。』


『任せろ!って云いてぇ処だが…、政治屋みたいに“善処します。”としか現在いまの俺じゃ云えんがな。』


『大丈夫!この“チープスリルジャンキー”伊庭八郎の師匠だもん!“善処”して頂けるだけで十分です!それじゃ!なるだけ早くそっちに戻れるようこっちも“善処します。”』


『おう!早く帰って来いよ!あと、云い忘れてたがナカス(そっち)に懐かしい御仁が居るから遭遇したらよろしく云っといてくれ…じゃぁな!』


『はぁ?っちょっとd…』


 “懐かしい御仁”とやらの名を告げずに念話を切るヴィシャス…聞きそびれて、再度念話するも繋がらない…。


「…大介さん一時的にミュートしやがったな!絶対嫌がらせだ!クソ!憶えてろよぉ~、無事に元の世界に戻ったら大介さんの昭和ラ○ダーフィギュアコレクションのアンテナ全部ニッパーでチョン切ってやる!!」


 この世界のアキバに戻るのにも四苦八苦してるのに元の世界に戻った時の仕返しを算段する位には生き急いでいる八郎、そんな下らない算段をあれやこれやと我知らず呟いていると目の前に黒尽くめでノッポのエルフが現れ八郎の顔を覗きこんだ。


「…先生?もう念話終わりました?それともまだ誰かとお取り込み中です?そろそろ夕飯の食材を狩りに地上に出ません??ねぇ?先生?」


 下らない算段に思考を埋没させている八郎は全く目の前のエルフに気が付いていない…、その事に感付いたエルフはここぞとばかりに暴挙で出る。


 ムニュ


 ムニュムニュ…。


 …事もあろうに八郎の胸を揉みしだくエルフ…。


「ぎゃ~!!!鎌吉!何?人の胸揉んでるのよ!!このエロフ!」


 悲鳴と同時に『エロフこと、鎌吉こと、自称“伊庭八の1の子分”キティー・ホーク』の股間を蹴り上げる八郎、蹴りは見事!金的に直撃し『エロフこと、鎌吉こと、自称“伊庭八の1の子分”キティー・ホーク』は悲鳴を上げる間も無く悶絶し白眼を剥いてその場に崩れ落ちる…自業自得とは云え余りにも痛々しいので合掌。


「鎌吉くんも懲りないねぇ~…。お義姉ねえちゃん内緒話は終わったの?」


 服こそ脱いでないもののその昔、某WJで連載されていたプロボクサー志望のこれまた当時ヘビー級チャンプだった人物の名前をモジった名前の不良高校生が主役の漫画に登場した出オチ要員のようなポーズで地に伏せている鎌吉を憐れみと蔑みとなんだかよく分からない生物ナマモノを観るような眼でチラリと見やり軽く溜息を吐きつつ、義姉に質問するランエボ。


「一応ね…、一応…後で沙代ちゃんサッちゃんコンビと浅ちゃんにも連絡付けないといけないけど、一先ずはね…ってランエボ!あんたも一緒なら、このエロフを止めなさいよ!もうお義姉ねえちゃん!お嫁に行けない身体になったじゃないの!!馬鹿!!」


「…。」


 既婚者がどの口でそんな寝言をほざくのか?っと云いたげな顔のランエボだが“何時もの事”なので!“永遠()26歳”とあからさまに年齢詐称を約36××日ほど続けている義姉の抗議など最初から無かった事のようにスルーする。


「ちょ…っランエボ!あん…」


  『『グウゥゥゥ…』』


 スルーされた事に抗議しようとした時だ、義姉妹の腹の虫が同時に鳴き出した。


「「…。」」

 

 

 義姉妹は無言で顔を見合わせ、次に2人の間でとても間抜けな姿のままうつ伏せに悶絶している『エロフこと、鎌吉こと、自称“伊庭八の1の子分”キティー・ホーク』に目を向けて盛大な溜息を吐く。


「このキョニュー好きな」


「このオープンスケベな」


「「ところさえ無ければ有能なのに…。」」


「女が2人も居てまともに料理が作れないなんて…。」


「サブ職“料理人”しか“料理”が出来ないとか…。」


「「なんなの?この中途半端なゲーム仕様は!!」」


 ブツブツと怨嗟の言葉を垂れ流しながらゲシゲシと『エロフこと、鎌吉こと、自称“伊庭八の1の子分”キティー・ホーク』に蹴りを入れる義姉妹。


「鎌吉!こんな処で寝るな!夕飯の食材狩りに地上に戻るぞ!起きろ!」


 寝てるのでは無く気絶しているのだ…八郎おまえの所為で…。


「そうよ!鎌吉くん!君しか料理出来ないんだから!こんな処で寝てないでさっさと起きる!」


 いや…、だから寝てるのでは無くランエボ(おまえ)の義姉の仕業だろう…。


 幾ら蹴っても“気絶”のBSバットステータス表示は消えずHPだけが徐々に削れる鎌吉、(『エロフこと、鎌吉こと、自称“伊庭八の1の子分”キティー・ホーク』はいい加減長いので以降“鎌吉”で統一。)仕方なく<武士サムライ>の特技<斬鉄剣>でダンジョン壁面から露出した1、5mほどの朽ちた鉄芯を寸断し、鎌吉の手足を何処から取り出したか分からない青い紐で鉄芯に括りつけ2人で担ぎ、幾つかある<テンジン地下ダンジョン>の出入口で手近な場所へ移動を始める義姉妹と鎌吉…。


 

 この後、ダンジョン出入口で衝撃的な?状況に出くわし衝撃的な出会いと再会?を果たすとはこの時、誰一人として知る由も無かった。


長くなったので分割します。次回はある意味、大規模戦闘で御座います。

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