0.5話:まだ観ぬ冒険を求めて!
いちぼなんてもういい。様作:『ある毒使いの死』
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或未品様作:続・取扱説明書 製品名:ユストゥス・ブラウファル【危険物指定】
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より設定を拝借しております。
不快でしたらご一報を。
なお、この作品はフィクションです、実在する団体、企業に対してなんら恨みはございません、あくまでネタでございます。冗談を冗談と認識出来ない方、妊娠中の方(これは関係ない。)の閲覧はお勧めしませんし、読んで不愉快になったと云われても当方は一切の責任も取りませんし謝罪もしません。(否!チキンなんで謝罪はします。)
ナインテイル自治領北部のとあるダンジョン内…後に<大災害>と呼ばれた当日から冒険の旅へと出発し、それまで存在しなかった新規ゾーンを探し当てたナカスに本拠地を置くギルドがあった…。
そんな無謀な挑戦を行った命知らずなギルドが今回の主役…。
◆
シルバヘブン街に程近い<コクラ・ステーション>其処から延びる神代の遺構、新幹線の線路を本州方面へと進み、<ノウアスフィアの開墾>実装以前には存在しなかったダンジョンを探し当てた。
<アナト海峡トンネル>
現実世界で云うJR小倉駅~JR新下関間を通るトンネルダンジョン。2018年5月以前、そこは岩や木々や瓦礫などで行き止まりとなっていた。
現実世界での北九州市門司区に存在した自動車用及び歩行者用トンネルに当たる場所も、矢張り瓦礫等で本州方面への道は断たれていた。
12番目の拡張パック<ノウアスフィアの開墾>が実装されるまでは…。
■
「まぁ~♪盛りがつ~いた♪き…」
「止めなさい…!」
「ブベッ!」
先頭を歩くラバーマスクめいたモノを被り紋付き袴に仰々しい黄金の鉞を担いだ<武士>の後頭部にハイキックをお見舞いするクラシックナースのような装備に、似つかわしくない禍々しい両手斧を背に担いだ女エルフ<施療神官>…この2人を除いても傍目に異常としか映らない異装の集団、ナカスの街を本拠地として活動する“自称”戦闘系ギルド<八つ墓ヴィレッジ>、現在から約2年前に結成され、国内外を問わず高難易度クエストを攻略して来た新進気鋭のギルドではあるのだが…ほとんど同じ時期に元<放蕩者の茶会>のメンバーが中核となり結成された<西風の旅団>や“狐将軍”が鍛え“ミスリルアイズ”がギルドマスターに収まった<シルバーソード>の影に隠れて…と云うより、前述の2ギルドと較べると全く持って“戦闘系ギルド”として際立たない寧ろ、極一部には“イロモノギルド”として有名なギルドだったりする。
因みに…卑猥な替え歌を歌おうとして蹴り飛ばされた何処からどう観ても『犬神○の一族』の犬○ 佐清めいた姿の男こそギルド<八つ墓ヴィレッジ>の一応ギルドマスター自称“百識”を自負するメイン職<武士>種族<人間>サブ職<提督>スケキヨ。
そして、一応ギルドマスターにハイキックをお見舞いした、クラシックナースのような装備に似つかわしくない禍々しい両手斧を背に担いだ女性がギルドメンバー、全会一致で認める実質的ギルドマスター、メイン職<施療神官>種族<エルフ>サブ職<軍師>病院坂さん、余談ではあるが『さん』までが名前である。
「まぁまぁ、病院坂さんさんギルマスが口開くと、ろくな事云わないのは昔っから仕様ですし、いっそここで亡き者にして病院坂さんさんがギルマスに収まりません?」
「「「そうだ!そうだ!」」」
「異議なし!」
「異論は認めん!!」
「大体なんでコイツがギルマスなん?」
etc.etc.etc…
散々な云われようである。因みにギルマス交代&謀殺を示唆したのがサブギルマス、どこぞの事件発生中、連続殺人を阻止出来ない事で有名な探偵とそっくりな出で立ちのメイン職<神祇官>種族<猫人族>サブ職<水兵>コースケ☆金田1読みは『コースケ、ホシ、カネダワン』である。
彼に同調してハモったのが、兄妹揃って同ギルドに所属する、額に鉢巻で蝋燭のようなモノを二本括り付け、片手にライフル型の杖、もう片手には木刀型の杖を持ち顔色の悪い着流し姿の兄:メイン職<召喚術師>種族<法儀族>サブ職<魔杖使い>Yo蔵、その双子の妹で姉妹揃って全く同じ姿型の鎧を着てると云うより鎧に着られてる感がハンパない、メイン職<守護戦士>種族<ドワーフ>サブ職<砲撃士>Ko梅とKo竹。
…その他は追々後から出番が在るかも知れないので割愛。
「「「「「「は?」」」」」」
多分、出番あるから…うん!多分な!
っとメタはここらで終了!終了ですよ!終了!
<アナト海峡トンネル>
なんの捻りも無く只々、真っ直ぐ?なダンジョンなのだが、ただそれだけでは無い。大抵のダンジョンならば定番中の定番モンスター<鼠人間>が出て来ないのだ、変わりに出て来るモンスターと云えば、海底トンネルと云うこともあり水棲モンスターが主なのだが<ノウアスフィアの開墾>以前には存在しなかったモンスターが跋扈していた。多分、<水棲緑鬼>の亜種と思われるやや丸みを帯びた体型でネクタイを絞めアタッシュケースや名刺めいた武器を持つモンスター<河豚緑鬼>(平)(営業)や <巨大カニ>の亜種らしき、甲羅が苦悶の表情の武人めいた模様、鳴き声めいた『ヘイケニアラズンバカニニアラズ~』『ショギョウムジョー』という奇妙な音を発する<平家カニ>などの然るべき処から苦情が来そうなモンスター群、平均レベルは70~80と高めで特殊攻撃も多い曲者ばりなのだが、<八つ墓ヴィレッジ>のメンバーはモンスターのレベルなぞ気にしない、特殊攻撃も気にしない、気にしていたら負けと云わんばかりに気にしない。
「おら~!ファンタジーの世界で名刺なんか出すな!なんだ!その『死んだ魚みたいな目』は!何処の無気力社員だ貴様!!」
<河豚緑鬼>(平)を自慢の秘宝級武器<坂田金時の鉞>で殺戮していくスケキヨ、よほど現実世界で名刺などに良い思い出が無いようだ…が、他のギルメンも似たり寄ったりで<河豚緑鬼>(平)や(営業)に悪態を吐きながら殺戮していく。
「「「何だ!その恨みがましい顔は!ふざけんなこの野郎!何が『ショギョウムジョー』だ!!」」」
Yo蔵は従者召還した<アイアン・ゴーレム>を暴れさせ、魔杖から呪文を乱射、それに負けじとKo竹、Ko梅姉妹も大型の石弓を乱射し<平家カニ>を駆逐…フォーメーションもへったくれもあったモノではない。
スケキヨ以外のメンバーは、ほぼこの訳の分からない異世界に放り込まれた事、そして全く状況を把握出来ないまま阿呆の思い付きで冒険に付き合わされた事への八つ当たりで暴れている。
この新規ダンジョンを発見するまでの道程も散々なモノだった、Yo蔵の従者<魔導飛行船ヒンデンブルク>を定員over状態で飛行させ<ムナカタ神殿街>付近の海岸に不時着。
この時点でYo蔵さんMP切れで他の従者召還不可能、仕方無いので<巨大梟>で移動と云う病院坂さんの提案を無視した阿呆は召還笛で白馬を呼び出し目の前に広がる砂浜で『暴れ○坊将軍』OPごっこを始め、ギルメンに袋叩きにされた挙げ句、リアル『犬神家○一族』ごっこを体感させられる。
何だかんだと珍道中を続け、現実世界での北九州市門司区の関門トンネルがあった場所を探索するが成果は無く<醜豚鬼の無法者>の一団に囲まれたり、<梟熊>の群れに遭遇したりしつつ<シルバヘブン街>まで後退、駄目元で<コクラ・ステーション >から延びる神代の遺構、新幹線の線路を本州方面へと進みやっと発見した新規ダンジョン。
無邪気に喜ぶのは一応ギルマスの阿呆だけで、まだ『死からの復活』がある事を知らない(<大災害>直後から全く状況把握や情報収拾をしてないので知る由も無かったのだが)他のメンバーは喜びよりも『ここが俺の死に場所か…。』っと腹を括っていた。
実物大のリアルなモンスターに恐怖を覚えるより、無計画にナカスの街を飛び出しギルドを死地へと送り込んだ阿呆への憎悪が先立ちモンスターは只の八つ当たりの標的でしかない<八つ墓ヴィレッジ>の面々、ダンジョン最深部に到達する頃には戦闘訓練無し!ぶっつけ本番での戦闘に慣れてしまっていた。
「あ゛~クソ!何だこの<河豚緑鬼>(係長)って!戦う前から血反吐吐いてるぞ?」
「それ言ったら<河豚緑鬼>(部長)なんて他のより痩せ細って血尿漏らしてるわよ?」
中間管理職の悲哀を体現したような<河豚緑鬼>(部長)(係長)は『死んだ魚のような目』をした(平)や(営業)よりも脆弱に見えたが見た目に似合わず遥かに強かった、流石に今までのように個々が勝手に暴れてどうこうなる相手では無かった、吐き出される血反吐は<強酸>で防具の耐久度をどんどん落とし、漏れる血尿は強力な<邪毒>でごっそりとHPを削る。
流石にこのままでは拙いと判断した病院坂さん指揮の元、フォーメーションを組み体勢を整える<八つ墓ヴィレッジ>の面々…但し阿呆は除く。
「コースケさん!皆さんに障壁!Yo蔵さんはゴーレムを壁役に攻撃に専念!魔杖の出し惜しみ無しで、WKoは後方支援!鬼首さん、磯川さんは遊撃!他のメンバーは阿呆の子守りをお願いします。」
戦闘は呆気なくカタが付いた、病院坂さんの的確な指揮の元、被害を最小限で済ませ(部長)(係長)を撃破、ドロップされたアイテムや金貨を回収し、警戒態勢を取る。因みに最小限の被害とは文字通り『壁』として一身にBSを受けまくってラバーマスクの穴という穴から形容し難い色の液体を垂れ流して大の字になって痙攣を起こしている瀕死のスケキヨ、只1人である。
「…こんなのでも一応ギルマスだから、誰か死ぬ前に回復してあげてね。」
最深部の更に奥を警戒しながら他のメンバーに指示を出す病院坂さん、渋々、コースケや鬼首などが唾を吐き捨てながら<回復呪文>を投射したりBS解除の<霊薬>をマスクの穴に捻り込む。
申し訳程度のHP回復と取り敢えずなBS解除で辛うじて息を吹き返した阿呆は飛び上がるように起き上がり、手持ちの<霊薬>をラバーマスクの穴という穴に自ら捻り込む。
「あ~もう!何たる差別!俺様ちゃんはギルマスですぜ?みなさん?何この仕打ち?身体張って壁役勤めてこの仕打ちですか?俺様ちゃん要らない子認定?」
<八つ墓ヴィレッジ>の面々を無表情なラバーマスク越しに睨みつけるスケキヨ…興奮しすぎてラバーマスクの穴という穴から湯気やら汗のような液体やらを噴出しているがそんな表情も無いラバーマスクよりも更に無表情な面々から冷たい一言が飛んでくる。
「「「「「「「「何を今更!」」」」」」」」
「えぇぇぇぇ~!?」
そんな下らないやり取りを他所に戦域哨戒役を務めていたYo蔵の<アイアン・ゴーレム>が得物の大鉄球を振り回し戦闘態勢を取る。新手のモンスターが現れたようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
<河豚緑鬼>(支店長)
LV87ランク/UNKNOWN
HP/UNKNOWN
MP/UNKNOWN
DATA/UNKNOWN
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これまで戦った<河豚緑鬼>とは大きさから違う(平)(営業)の様に『死んだ魚のような目』では無く精気の漲る瞳。(部長)(係長)と違い、見るからに強靭な体躯。肌の?色艶も良好でネクタイも悪趣味な柄、口の上にはちょび髭を蓄え葉巻を咥え、札束らしきものを団扇代わりに我が身を扇いでいる…。
「コイツがこのダンジョンのボスみたいですね?みなさん何時ものように行きましょう!」
「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」
各人、戦闘態勢をとり陣形を構築する中、たった一人<武士>の特技<電光石火>で全身を稲妻がスパークするようなオーラ状のエフェクトに包まれ特攻を仕掛けるラバーマスクの男!
「わははははははははは!!!先手必勝!!!」
パーティープレイの鉄則なぞ無視の一騎駆けで<河豚緑鬼>(支店長)に襲い掛る駄目な<武士>の見本スケキヨ…。
だが、此処までが何時ものお約束とばかり粛々と通常の連携によるPT戦闘を開始する<八つ墓ヴィレッジ>…全てが織り込み済みのような、流れるような連携プレイ、突然の範囲攻撃などにも対応出来るよう指示を的確に出す病院坂さん、全体を見回し絶えず障壁を張り続けるコースケ☆金田1。
従者<アイアン・ゴーレム>を壁役に魔杖でのBS付与、特技<ガーディアンフィスト>でダメージを与えるYo蔵。
後方より特技<オンスロート>を交互に放ちダメージ出力を上げるKo竹Ko梅の<砲撃士>姉妹、的確にPTのHPを管理し、時には攻撃に転じる<森呪遣い>磯川等々力、ヒットアンドアウェイで確実に高ダメージを叩き出す<暗殺者>鬼首。
コレまでの短い道中で、ゲーム時代との戦闘や行動などの異差を完全とまでは行かないにしろ克服し見事な連携で初見のボスモンスターを屠る<八つ墓ヴィレッジ>……考えようによっては意図せず異世界に順応してしまった異能集団とでも云うべきか…。
大量の金貨と初めて見るアイテムや素材を眼にし1人狂乱するギルドマスタースケキヨと緊張の糸が切れその場に倒れ込む<八つ墓ヴィレッジ>の面々…。
「夢なら早く醒めろ!飯は不味い!交通手段はない!どんな悪夢だ!」
「…全く、でも痛いし疲れるし本当に夢なのかしら?」
「タブレットもスマホもねぇよ…どんな原始時代だ?」
「「どうでも良いけど、お風呂に入りたいです!」」
兎に角、愚痴しか出ない。
「さぁ!皆の衆!戦利品を回収してナカスの街に凱旋しようじゃないか!間違いなく俺様ちゃん達が最速で新規ゾーンを発見した勇者だ!!!」
ボロボロに成りながら1人気炎を吐くスケキヨを無言で立ち上がり袋叩きにする<八つ墓ヴィレッジ>の面々…、彼等の苦労はまだ始まったばかりだ!頑張れ<八つ墓ヴィレッジ>!負けるな<八つ墓ヴィレッジ>!きっと報われる日が………
来る事を祈る!
次回、本格的に再開。




