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金星・氷淵・明けない夢  作者:
第二章:鎖・悪意の行方・因果応報の意
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第一嚢:眠り姫の永遠

内容:一人称ボク。不細工なロリコン親父と美少女。

「今日からここが君の家だよ」


 そう言ってオジさんはほっぺを真っ赤にさせた。

これからの生活への不安は全くなかった。

そんなことよりボクは、オジさんの息が空気の中にとけて、それをボクが吸うんじゃないかって、そればかり気になっていた。


「ぼ、僕のことは実の父親だと思って甘えていいからね」


 ボクの頭を撫でようとする汗ばんだ手を避けて、ボクはオジさんを見上げた。

ボクが聞いた限りではオジさんはまだ27歳のはずなのに40代に見えるほど老けて見えた。

しかも禿げるし、運動をしていないのか服の上からでも膨らんだお腹が分かった。

そんな人がボクの父親?冗談でしょ。

美少女なボクと不細工なオジさんが親子だなんて誰も信じないだろうし、ボクだって認めたくない。

実際ボクとオジさんに血のつながりはない。

ボクは孤児だ。

オジさんがボクを引き取るまでボクはずっと孤児院にいた。

正直ボクは孤児院の生活に満足していたし、そのまま孤児院にいてもいいと思っていたんだけど、あまりのオジさんの熱意に負けてオジさんと一緒に暮らすことを受け入れた。

孤児院の先生によれば、美少女のボクにはたくさんの引き取り手がいたみたい。

だけど、オジさんが一番お金持ちだったと言っていた。

人生はお金を持っているか持っていないかで幸せになれるかが決まるらしい。

だからオジさんのもとへ行くのが一番いいと言われた。

先生が言うのだから、そうなのだろう。

そう納得して、こうしてオジさんと一緒にいるわけだけど、今少しだけ後悔している。

ボクはこの生活に耐えられるんだろうか。

可愛すぎるボクに興奮しているオジさんを見て、ボクは大きな溜息をついた。


 それからボクらは一緒に暮らし始めた。

その生活はボクが思っていた以上に快適なもので、お腹いっぱいにご飯を食べれるし、勉強は嫌だったけど好きな時に本が読めたし、オジさんの仕事がお休みの日はいろんなところに連れてってもらった。

オジさんは第一印象よりも悪い奴じゃなかった。

ボクと一緒にお風呂に入りたいとだだをこねて渋々ボクが折れて入ったら鼻血をだしたり、夜は絶対一緒に寝ないと駄目だと言って寝たのに興奮して眠れないと言って翌日から結局別々に寝ることになったり、まあいろんなハプニングはあったけどそれでもオジさんと暮らすことはなかなかおもしろかった。

その中でも一番ボクが今はまっているのは、ボクに一目ぼれしたらしいオジさんをからかうことだ。

オジさんは確かにハゲだしデブだしなんか臭いし気持ち悪いけど、からかうとすごいおもしろい反応をしてボクを笑わせてくれる。

そんなボクの笑顔を見て、オジさんが見惚れるのも悪い気分はしなかった。

オジさんはボクのことを好きでめろめろで愛しちゃってるんだ!

そう考えるたびにボクはいつも笑ってしまう。

ボクがこの前読んだ美女と野獣にそっくりだと思った。

でもオジさんはボクと結ばれてもかっこいい王子様には変身しないし、ボクだってオジさんみたいな男の人はお断りだ。


「オジさん、お休みのキスしてよ」


 そう言ってボクはベッドから上半身を浮かして、ボクを覗き込むようにして見ていたオジさんの首に腕を回して引き寄せて、ベッドに仰向けに倒れこむ。

オジさんの首筋は既に汗でべたついてたけど、そんなこと今のボクはどうでもよかったし、オジさんだって考える余裕がなかったように見えた。

真っ赤な顔をさせて、固ったようにぴくりとも体を動かさないオジさんを揺らす。


「ねえ、聞いてるの」

「…ぅえっ?!ええっ、あ、ああ、聞いてるけど…」

「けど何」

「いや、でも、あの」


 もごもごとオジさんは顔を真っ赤にさせたり青くさせたり、うろたえたように視線をさまよわせた。

ベッドにボクの身体を挟むように太い毛ダルマのような腕をついたオジさんの首に腕をかけながら、ボクは冷や汗の垂れているオジさんの顔を不満げに見遣る、ふりをする。


「何だよ、嫌なの」

「嫌じゃない!!いやじゃない、けど…」

「だったら早くしてよ。ボクもう眠いんだからさ」

「あーでも、お休みのキス?しちゃったらオジさん我慢できなくなるっていうか…」

「我慢って?」

「ええっ、と、だから、その、オジさんもね、男だから」

「むしろ女だったらいやだけど」

「違くて、オジさん、君みたいな可愛い子に迫られるとね、こう、君が嫌がることをしそうになるというかなんというか…」


 笑いそうになるのをこらえて、ボクは眉をひそめる。


「ボクが嫌がることって何?我慢?そんなのしないですれば」

「それは駄目だよ!オジさんは君の保護者だし、それに嫌われたくない!!」

「別にオジさんごときに何されたってボクは何とも思わないよ」


 一瞬傷ついたように表情を曇らせるオジさん。

ボクはオジさんの気持ち悪い笑顔の次に涙目のオジさんの顔がお気に入りなのだ。


「だからさ、すればいいじゃん。その前にお休みのキス」

「な、ななななんでキス?昨日まではしてなかったのに」

「だっておもしろそうじゃん。オジさんの唇って気持ち悪そうだけど」


 オジさんの悲哀とか興奮とかいろんな感情が入り混じってぐちゃぐちゃになった顔にボクは微笑んだ。

そしてゆっくりと眼をつぶり、オジさんのごくりと唾を飲み込む音を聞きながら、オジさんのべたべたしてて気持ち悪い唇の感触を待った。

 それにしてもオジさんはボクの年を本当に理解しているのだろうか。

オジさんに引き取られてから5年。

これでもボクは18歳だ。

確かにまだ未成年だけど、ボクだって馬鹿じゃない。

オジさんが何をしたいかだって理解している。

だからボクをまだ子供だからと言ってキスさえ躊躇うなんて馬鹿みたいだ。

ボクは美少女だから誰がボクに惚れて手に入れようとするかわからない。

実際ボクに告白してきた男なんていっぱいいるんだよ?

みんなおじさんより若くて痩せてて髪もふさふさだった。

その中でも、かっこよくて頭もいいお金持ちの男の人とボクが恋におちたらどうするつもり?

だからそんなことになる前に、ボクが誰かに捕まる前に、オジさんはボクを手に入れておかないといけないんだ。

躊躇っていないで早くボクに手をだしてしまえばいいんだ。

オジさんのことなんかボクはこれぽっちも好きじゃないけど、オジさんがどうしてもって言うならオジさんのところにずっといたっていいんだからね。

だってこれでもボクはオジさんとの生活が孤児院にいる時以上に満足しているし、これからもオジさんをからかっていたい。

ボクは、ボクが一番気に入っているオジさんの気持ち悪い笑顔をずっと傍で見ていたいんだ。

だからほら


「オジさん」


 早くボクを手に入れて。


完全に作者の趣味丸出し。誰得。

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