第六嚢:
途中ですみません。
どこかの世界の勇者たちは非王道にも魔王よりもチートで簡単に討伐したりするらしい。
歯ぎしりしたくなるくらいうらやま…憎たらしい話だ。
おそらくそのせいで俺の世界の魔王がチートなのだ、違いない。
「これで何回目だよ」
うんざりしたような顔でこちらを見るのはパーティメンバーの一人、吟遊詩人。
その声音で女どもを惑わせ、人妻でさえも手を出すという節操なしだ。
「もう、あたしも勘弁してほしいんだけどねえ」
イラついたように足を小刻みに揺らしながら言うのはもう一人のメンバー、踊り子。
ほとんど全裸みたいな露出狂…小麦色の肌が丸出しの恥じらいのないビッチ。
「他の奴ら探してくんないか?俺も暇じゃないんでね」
愛想がつきたように吐き捨てたのはメンバーの中で最年長の盗賊。
三十代も後半にさしかかり、生きる気力もないが金にはがめつい守銭奴。
思うにパーティメンバーが悪すぎる。
吟遊詩人、踊り子、盗賊って真面目に魔王倒す気ねえだろ。
「もう一回!もう一回だけでいいから!」
だけどもうこいつらしかいないのだ。
俺は土下座して懇願した。
思い返せば一回目、二回目の仲間募集で集まったメンバーはまともだった。
だが五回目くらいでギルドの斡旋業者も苦い顔をするようになり、新たな仲間を募集するもまともなメンバーが集まらない。
最終的に俺のもとに集まるのは柄の悪い奴らばかり。
そんな仲間で魔王を倒せるわけもなく、何度も挑戦する戦いにメンバーはあきれはて解散という悪循環。
そして、俺の称号までもが愛想を尽かした。
遊び人。
それが第二の俺の称号である。
神様は俺が嫌いらしい。