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脇役令嬢は大団円を望みます

作者: 8


「うへへ〜推し達が今日も尊い!」


サラメル=アグリチェ

それが今の私の名前

そう、私は流行り(?)の異世界転生とやらをしたのだ。

まぁメインキャラクターではない脇役令嬢だけどね!

前世は平凡なOLで年齢=彼氏なし!乙女ゲーやアニメ大好きなオタクだった。死因は寝不足と過労だと思う。

まぁ転生してね、大好きな乙女ゲーの世界にやってこれたから満足!元々施設育ちで身寄りもないから無問題!

「おーい、一応侯爵令嬢なんだからちゃんとしろー!」

「しょうがないじゃない!今日も皆様素敵なのよ!」

幼馴染のリオネル=エドウィン、伯爵家の次男で領地が隣、親達も仲が良く産まれた時からずっと一緒にいる。

因みに彼はこの世界の攻略対象ではない。

「サラメルさん、ごきげんよう」

キラキラと光る金髪に映える赤いリボン、エメラルドの瞳、ぽってりと色っぽい唇。そして抜群のスタイル。

「セラテアさん!ごきげんよう!」

セラテア=ユークリッド公爵令嬢。

この世界では俗にいう悪役令嬢の立ち位置。

まぁそんなことさせないけどね。

「はは、アグリチェ嬢は今日も元気だね」

このお方はセオドア=ヴァニッシュ王太子殿下。

2人は幼馴染で、婚約はしてないが将来結ばれるだろうと誰もが思っていた。ヒロインが現れるまでは。

そう、彼こそ第一の攻略対象なのだ。

まぁ今彼がヒロインを選ぶかどうかは正直わからないけど。

「おはようございます!あ、違った、ごきげんよう!」

あぁ、天使。うん天使に違いないわ。

柔らかいピンク色の髪に、空色の瞳、背も低めで華奢、まさに守ってあげたい女の子第一位!

彼女が微笑めば大地も称賛する!ヒロインのマリアちゃん!

平民でありながら、その魔力の強さをかわれ学園入学。

その愛らしさとひたむきさに惹かれて対象者は恋に落ちる。

「マリアちゃん…天使すぎる!」

我が人生に悔いなし。…うそ、ある。まだ死なない。

「はーい、いい加減帰ってこーい!」

「はっ!危なく戻ってこれないところだったわ!」

「ふふふっサラメルさんったら!」

「あははっ面白いです!」

眼福〜!女神と天使が笑ってるぅ〜!好き〜!!!!

あ、どうしてこの2人が仲良いかって?私、頑張りました!

一応侯爵令嬢なので、小さな頃から社交の場でセラテアと仲良くなって、お出かけとかして街でマリアちゃんと会わせてみたり、それとなーくすり込みを入れてって、まぁちょっと危険な目に合いそうになった時マリアちゃんが助けてくれたのが一番かな。今ではお互い唯一砕けて話せる仲。

もちろん、他の攻略対象達やそのライバル令嬢達もセラテアと私の紹介でマリアちゃんと仲良くなってます!

私が目指しているのは大団円エンド。

正規ルートでは攻略対象と結ばれる、けれど攻略対象全員をクリアした後に逆ハーエンドがあり、それをクリアしてやっと現れる裏ルートに大団円エンドがあるのだ。

誰が誰と結ばれても幸せになる世界なんて、最高じゃない?

私はゲームのキャラクターとしてみんなが大好きだったけど、この世界で一緒に生きてより大好きになった。

だから、最後まで見届ける。


「サラ!大変よ、マリアが!」

慌てて私を呼ぶセラテアをみて心臓が嫌な音を立てる。

あぁ、見落としていた。私達がどんなに仲良く接していても、マリアちゃんは平民なのだ。

ドンッ

爆音!?まさか、魔法を使っているの?

「取り消してください!今言ったこと!」

「平民風情が、私に命令するな!」

「マリアちゃん!あぶない!」

「「サラ!」」

そっと目をあけると目の前には氷の壁があった。

氷魔法は特殊で、使える家門は限られてる。

特にこの綺麗な紫色の氷を扱えるのは、1人しかいない。

「リオ、ありがとう!助かったわ!」

「サラ」

「マリアちゃん、怪我は「サラ!!!」ビクッ

あ、これは、相当怒ってらっしゃる。

はぁっとため息をつきながらも、しゃがんで私の目線に合わせてくれる。

「リオ……リーオ…リオネル、助けてくれてありがとう。」

「バカ、なんの防御もせずに飛び込むな。」

「うん、ごめん。」

「心臓止まるかと思った。」

あーぁ、これは相当心配かけちゃったな。

「ところで、これはどういうことなのかしら?」

「セ、セラテア様っ…」

「3対1とは随分と卑怯だね。」

「王太子殿下っ…」

「魔法まで持ち込むとは、ただじゃ済まされないよ。」

うわ、かっこいい。みんなかっこいい。アベン○ャーズ?

「あ、そうだ、マリアちゃんこの方達になんて言われてあんなに怒っていたの?」

「私と一緒にいるなんて、品位が下がるって、セラテアさんやサラメルさんを、侮辱した言い方を「黙りなさいっ!平民が!」

ブチッ

「「あーぁ。終わりだ(ね)」」

「あなた方、先ほどから平民と小馬鹿にしてらっしゃいますがこの学園は生徒達に平等を掲げていますのよ?もし貴族だの平民だの身分を引き合いに出すのなら、ここの学風には合ってませんので出て行ったらよろしいのでは?そもそも自分達が出来て無いことを人に言うのもどうかと思いますがね。

一歩学園を出れば私は侯爵令嬢、あなた方は子爵令嬢と男爵令嬢ではありませんか、それなのに私たちを侮辱したのでしょう?立場をわきまえるのはどちらかしら?」

「そ…れは」

「まぁ、私のことはいいんですけれど、セラテアさんまで侮辱したとなれば話は別です。私、大切な方を傷つけられるのが大嫌いですの。マリアちゃんとセラテアさんへの行いを見逃すことなど到底出来ませんわ。」

「すっ…すみませんでした!」

「もう彼女にはっ…マリアさんには近づきません!」

「どうかお許しくださいっ!アグリチェ様!」

私の領地は海に面していて、外交が盛んだ。

だから少し手を加えるだけで、各領地の流通はストップする。そうなれば…まぁ子爵家や男爵家の没落はすぐだろう。

いや、やらんけど。やったことないしやろうとも思わんけど

「許しを乞う相手を間違えてるわ。」

「マ…マリア…さん…すみませんでした。」

「もう二度と…こんなことはしません。」

「本当に申し訳ございませんでした。」

「お2人を侮辱したこと、取り消してください。」

マリアちゃん…ここまで気にしてくれるなんて…やはり天使

「私たちが間違っておりました。申し訳ございません。」

「セラテア様、アグリチェ様、申し訳ございません。」

「どうか、お許しください。」

「私はいいですわ。ただこの件についてお咎めなしというわけにはいかないと思うので、学園からの連絡を待つことね。マリア、サラ、2人は大丈夫?」

「はい!私は…(フワッ)うわぁっ!リオネル!?」

「足捻ってる。」

さすが、バレてたか。にしてもお姫様抱っこは恥ずかしい。

「君たち、幸運だよ。もしサラに魔法が当たってたら今頃この世にいなかっただろうから。」

え、怖!彼女達の魔法はちょっとした雷魔法だから当たっても痺れる程度なのに、この人凍らす気だよ。

「リオったら過保護ね〜。」

「鈍い幼馴染を持つと大変なんだよ。」

「えー?えへへ」

「リオネルも大変だなぁ。」

「本当に…よくあそこまでされて気付かないわね。」

「あれでなんでくっついてないんでしょう?」

「ライバルは意外と多いんだから早くくっつけばいいのに」

「まぁ普段からずっとそばにいて牽制はしてるけど」

「サラの鈍感さが異常なんだな。」

「あんなに好意ダダ漏れで気付かないなんて」

「「はぁ〜」」


今日はついに一年を締めくくるパーティの日

ヒロインのマリアちゃんが誰と結ばれるかが分かる日

エスコートして一緒に入場してきた相手が…

ドクンッ

え…マリアちゃんと…リオが…一緒にいる…リオは…攻略対象じゃないのに…。

ドクンッドクンッ

なんでかな…大好きな2人なのに…見てられない。

脇役令嬢の私が、関わったから?だから攻略対象じゃないリオと結ばれ…

「あれ…なんで…泣きそう。」

胸が痛い。さっきの2人の姿が焼き付いて離れない。

「サラ!どうしたの!?」

「セ、セラテア〜!うぇーんっ!」

「アグリチェ嬢、休憩室へ行っておいで。」

あ、王太子殿下…セラテアと一緒にいる…てことは2人は結ばれたのね…よかった…。

「なんで泣きながら笑ってるんだい?」

「またいつもの考え事か?」

「そういえばなんで1人なの?君のナイトは?」

「ん?リオのこと?リオなら…マリアちゃんと…っ」

「「あぁー」」

「ごめんごめん、そんな泣くなって!」

「ちゃんとサラも、リオネルのこと好きだったんだね。」

「え?」

「「え?」」

好き…?私が…リオを…………好…っ///////////

「う…嘘っ…えっ…私っ/////////」

「「っ!///////////」」

「サラ、その顔はダメよ。可愛すぎるわ!」

「思わずドキッとしてしまった。すまないセラテア。」

「いや、今のは誰でもやられるだろ////」

「うーん、今のはダメージがっ////」

「不意打ちはずるいよなぁ////」

「サラ、リオはやめて俺にしとく?////」

「え、それなら僕も立候補したい////」

え?え?なぜ攻略対象達が私に?

「お前達、うしろうしろ」

ピキピキピキッ

「何やってるの?」

「「べ、別にぃ」」

「あ、リオ…」

「っ!サラ、どうして泣いてるの?誰かに何かされたの?」

「う…うーんとっ…///////」

「っ!////////」

ギュッ

「そんな可愛い顔、他のやつに見せないで!(ギロッ)」

「あぁ、はいはい、退散しますよ。」

「ちぇっ、サラを奪うチャンスだったのに〜」

「じゃあ会場で待ってるわね、サラ!」

「お前達、邪魔者はさっさと消えよう。」

あ…そういえば…

「マリアちゃんは?」

「あぁ、もう会場に行ったんじゃ無い?学園からの迎えの馬車が途中で不具合を起こしたらしくてついでだから乗せてきたんだ。」

え…じゃあ全部私の勘違い…恥ずかしい!

「そんなことより、なんでサラは泣いてたの?」

「あの…リオがマリアちゃんと居たから…その…「サラ」

ぐいっと顎を持ち上げられてリオと見つめ合う。

アメジストのような綺麗な紫色の瞳。彼の氷と同じ色。

「サラ、好きだよ。もうずっと、異性としてサラのことが好きだよ。」

ドキンッ

「私も…さっき気づいたんだけどね、リオのことが好き!」

「ふふっ遅すぎるよ。でも、やっと届いた。」

静かに笑い合った後お互いに目を閉じて、そっとキスをした

「みんながまってるから行こうか」

「うん!行こう」

ガチャッ

会場にはマリアちゃん、セラテア、王太子殿下、攻略対象達の姿が。

セラテアと王太子殿下が共にいて、攻略対象達は自由にしている、マリアちゃんはなんとセラテアのお兄様といる!

え、そこも攻略対象ではないのだけど!

「え、サラって本当鈍感だね。学園に入る前に何度か一緒に公爵家へお邪魔した時からあの2人はいい感じだったよ。」

「マリアも頑張ったわよね。お兄様は最初サラに夢中だったから。」

「まぁリオネルとの仲を見せつけられて早々に諦めたらしいけどね。」

そ、そんなことが、知らないのは私だけですか…。

でも、これって、みんなが幸せってことなのかな。

ヒロインにも相手がいる、悪役令嬢にも、ついでに脇役にも、攻略対象達はなんだかんだ楽しそうだし。

「ふふっ大団円ね!」

よかった!本当によかった!




「ねぇ、知ってる?この乙女ゲーム」

「あぁ、なんかすごい色んなルートがあるやつよね」

「そうそう、でも最後に全員が幸せになれる大団円エンドまであるんだよ!やばくない?」

「へぇ〜、大団円は珍しい」

「そうなの、しかも絶対にこのキャラが居ないと大団円にならないらしいの!」

「サラメル=アグリチェ?」

「そう、この子とその幼馴染がそろえば大団円エンドをクリアできるらしい」

「ふーん、でもこんなキャラ元々いたっけ?私のお姉ちゃんもこのゲームやってたけど聞いたことないな」

「えー?話さなかっただけじゃ無い?後から勝手にキャラが追加されるなんてこと無いし!」

「それもそうか!」

「さっそくやってみよーっと!」


【大団円エンドルートをプレイしますか?】

【Yes】






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