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外伝最終話~ステイファートム~

本編完結から2年以上の時を経て、25話の外伝が完結しました。本当に長かったです。最後まで読んでくださりありがとうございました。


 この機会です。月一更新も多くなって正直内容忘れてる方も多いと思うので是非最初から読み直してみましょう。


 完結までのプロット考えて書いた訳じゃないので色々と反省点はあります。終わり方についても上手い落とし所ってどんな感じが良かったのか。まぁそれについてもまた愛嬌(ってことにしておいて下さいお願いします)。


 あとそうですね。ステイファートムのwikiをチョロっと書くのは確定で、余裕あれば種牡馬となったファーの1幕だったり、ファー以外のその後について書いてみたいですねぇ。


 最後まで読んでくださった皆さん! ハートやいいね、感想に星やレビューなどなど色々待ってますよー!


 では、これにて運命旅程ステイファートムのお話は幕を閉じさせて頂きます。

 ファ~アァ。やべ、あくびが出ちゃった。いやー懐かしい。昔の思い出に浸ってたわ。ラストランの有馬記念を勝って競走馬を引退して、そこでタマモクラウンに再会して……あれからもう"25年"が経ったのか。


 はは、懐かしいな。有馬記念は今思い返しても、最初の1000mでペースを落とさなかった俺と横川さんの判断は間違えてなかった。


 俺があそこでペースを落とさなかったことで、レース展開はハイペースではなくミドルペースとして持ち込まれた。


 ひたすら同じペースで、12秒台をほぼ一度も切る事なかった。全頭が俺に着いてこようとしたことで、後ろにいる馬も含めて脚が溜められず、前有利の展開となったんだったな。


 特にオーソレミオの奴がそれに気づいて位置取りを上げたんだっけ? それに合わせて後ろにいた馬も全頭上がったことでペースは維持できたし、前有利なのは変わらなかった。


 つまりオーソレミオは後ろから超超ロングスパートを掛けたようなもんだ。よく体力が持ったもんだ。そして……2着まで来れたもんだな。


 初めての日本の馬場をこなして、初めての中山コースを綺麗なコーナリングで駆け抜け……本当に、凱旋門賞の時といい、俺は展開に恵まれたよ。


 その後にタマモクラウンにドロッブキックしたのも懐かしい。あいつ泣いてて草だった。種牡馬生活は……まぁ、最初の方は苦労したけど何とかなった。


 最初はやり方わからなくて戸惑ってたけど、知らん間にヤリチンになってたタマモクラウンの実演動画視聴という、なんとも言えない教育をさせられたおかげだ。でもこの案考えたやつはぶっ殺す。


 その後は……あぁ、ディープゼロスとクレイアスに会ったんだよ。長い間喧嘩したりしつつも仲良くできたさ。


 タガノフェイルド……フェイもいたな。しばらくしてからだが、カーテンコールに告白もして正式に種付けしてたっけ。嬉しそうだったな。


 あぁ、最初の方だけだったけどゼッフィルドの奴も居たなぁ。あいつも生きてて良かったぜ。グルグルバットの奴も居た居た。あいつは最期までしぶとかった。


 俺と一緒に入ってきたのはドゥラスチェソーレだったか。あいつも戸惑いながらも仕事をこなしてたな。同期は残念ながら会えなかったみたいだけど、それでも楽しそうだった。


 一緒ならシャドーフェイスの奴も来たな。俺と安田記念で戦った後に海外のGIを勝ってきたらしい。色々な距離走ってたからか、顔見知りも多かった印象だ。


 先輩なら一個上のアスクマカヒキモア……マカモアのおっさんと2個上のシュトルムのおっさんもいた。かか、特にマカモアおじさんとの会話は面白かったな。


 種付けの時にだけどカレンニサキホコルお姉さんに再会した。あとはキャンディボールちゃんにルージュエルナとも。


 一応ペルツォフカちゃん……ペルツォフカとも再会できた。タマモクラウンが生きてたことを報告したら喜んでたなぁ。あ、種付けの方は……内緒で。


 こうして日本を満喫してたんだけど、2年ほど海外にも出張してたんだよなぁ。1年は欧州で。その時に種牡馬としてオーソレミオに再会したんだよ。


 繁殖牝馬としてジャパンCにも参戦したリリーオブザインカ、あとはフォア賞で同着になった白毛馬のレンテンローズとも。


 シャルルゲートの奴は探したんたけど、どうやらあいつ病気で早めに亡くなってしまっていたらしい。それだけは悲しかったな。


 あぁ、あと1年はアメリカでも種牡馬をしたぞ。アメリカ三冠馬のアナザーレインが懐いてくれたっけ。反対にドゥームネルトには嫌われてた笑。まぁレインの奴が向こうでボスをやってて俺は嬉しくなったよ。


 そして戻ってからは館山牧場に帰ってきたんだよな。館山さんは相変わらず迎え入れてくれて、母さんも亡くなる直前だったけど会えてよかった。


 コールやセチア、後から産まれた他の兄弟とも再会できた。みんな立派に成長してたよ。コールもママをちゃんとしてたし、セチアも種牡馬として元気にしてた。


 俺の方は晩年だったのもあるだろうけど、種牡馬の仕事は軽めにしつつ緩やかな人生を送ってたな。思い返すと俺の馬生はこんなもんか。


 そうだ。横川さんはよく顔を見せに来てくれたな。なんでも俺の子供に乗れば勝率がめちゃくちゃ上がることを報告してた。ありゃありがたいね。俺も自分の子供には長生きして欲しいからさ。


 あ、新馬戦の頃から応援してくれてた兄ちゃんはいつの間にか俺を世話する人になってたっけ。あそこまで熱のこもった視線向けられると怖かったけどな!


 ……ふぅ。色々と思い返してたら頭がボーッとしてきたよ。どれも楽しい思い出だ。忘れたくねぇなぁ……。


 よっと……。牧場に生えている木の木陰の下で俺は横になる。今日はいい天気だ。俺の孫や曾孫? かは分からないけど、小さい身体を弾ませて走ってやがる。


 いいぞぉ、その調子でどんどん走れ。そして競走馬として成長して、強くなって……。








 あれ?









 頭が、ボーってする。









 はは、本格的に、眠たくなってきた……。













 まぁ、今日はいい天気だしな。












 昼寝をするには、十分だ。














 思い出に浸りながら、寝るとするか。













 いい夢を、見られると良いな。












 おやすみなさい。












「やぁ」



 なんだお前? 白いモヤモヤで見えねぇぞ。てかここどこだよ。……そう言えば俺、寝てたんだったな。なら……夢か?



「君を君にした存在だよ」



 はっ!?!? ……お前が、俺を馬に転生させた存在なのか!?



「あぁ」



 そうか。なら……ありがとうな。お陰でいい人生、馬生か、を送ることが出来たよ。



「なら良かったよ」



 いくつか聞かせてくれよ。なんで俺は競走馬として転生したんだ? ペルツォフカの奴もだよ。ずっと、考えてたんだ。考えても当然分からなくて放棄してたけど。



「輪廻転生……人間の次が馬だっただけだよ。いわば偶然だね」



 なるほど。馬に生まれた理由は分かった。けど人間としての記憶があるのは何故だ?



「イレギュラーさ。たまにあるんだよね。前の記憶が魂にこびりついちゃってるパターンだよ」



 だから俺とペルツォフカだけ人間としての記憶が断片的に残ってたわけか。……通りで名前や何をしてたか辺りは思い出せないわけだ。


 つまり、俺の前に現れたのはそのイレギュラーを修正しに来たって訳かね。痛いのは嫌だぜ?



「安心したまえ。別に悪いようにはしないさ。魂にこびり付いた人格や記憶、思い出。君を司る全てはそのままにしておこう」



 そりゃありがたい。俺が俺で居られるわけだ。



「本当ならこれ以上生きるのは大変だろうしこんな措置は行わないんだけど……君自身はこの意見に肯定的だろう? お詫びと謝罪をかねてさ。それじゃあね」



 お、おう……。そう言って白いモヤモヤは消えていった。……触れないでいたんだけど、俺は死んだってことだよな。


 …………ん? なんだあの光。っておいおい、ゼロスにクレイアス、タマモクラウンにゼッフィルド。フェイの奴にサザンプールやグルグルバット!?


 マカモアおじさんにシュトルムのおっさん、ドゥラスチェソーレやワナビアヒーロー。カレンニサキホコルお姉さんやペルツォフカ。


 あとオーソレミオやアナザーレインまで? それに……シャルルゲートも。リリーオブザインカや、カーテンコールやポインセチアもいるじゃねぇか。


 うおっ、急にターフが現れやがった。俺もいつの間にか芝の上に立っているし……。ゲートもあって、観客までいる。


 えっ? ……よ、横川さんも!? なんだここ……。まぁいいや、既に収まっているゼロスとクレイアス、フェイがこっちをじっと見ながら待ち構えている。


 ゲートにはオーソレミオも収まっているし、後ろでは次に入る予定のアナザーレインもグルグルと回っている。


 ……適正距離も、得意な馬場やコースも違うのになんだって一緒に走ろうとしてんだよお前らさぁ……。はぁ、全く仕方ねぇな。



『行こうぜ、横川さん』


「ふふっ、いけるさ。君となら、どこまでも」


『あぁ。……全員まとめて蹴散らしてやるよ!!!』



~~完~~

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― 新着の感想 ―
最終話まで、お疲れ様でした。 読みやすかったです。 自分も書いてますが、お互い、頑張りましょう!
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